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産業医面談を行う目的と企業担当者が注意すべき対応ポイントとは?

健康経営コラム編集部

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ここ最近、メンタル不調を訴える従業員の増加や長時間労働に対する対応として、産業医面談の重要性が高まっています。

ところが、何の準備も行わずに対象となる従業員に面談の通知をしても、面談を断られる、また実際に面談しても効果が上がらず休職してしまった、という結果になりかねません。

そこで今回は、人事・総務の担当者向けに、産業医面談とは何か、どんな時に行うものなのか、そして実際に産業医面談を行うときに注意すべき点についてまとめました。

 

産業医面談、押さえておきたい3つのポイント

産業医面談とは、従業員の心や体の健康に問題がないかどうかを確認するためのものです。

健康診断やストレスチェックの結果の事後措置として、また長時間労働やメンタルヘルスに関わる問題、さらに休職・復職判定などの目的で行います。

企業の担当者は、産業医面談について正しく理解し有効に活用するために、産業医や面談に関わる基本的な知識をもっておくことが重要です。

ここでは、担当者が最低限理解しておくべきポイントを、3つに分けて説明します。

 

そもそも産業医とは?

初めて産業医を選任する職場の場合はもちろん、職場に産業医がいる場合でも、実際にどのような役割をする存在であるのか理解されていないことも多いです。「病院などの医師とは何が違うのか」と疑問を感じている人もいるかもしれません。

産業医とは、従業員が健康的に仕事をできるように指導や助言をする医師のことです。
診断や治療行為を行わないのが、病院やクリニックの医師とは異なる点です。

産業医が従業員の不調などの治療を施すわけではないので、間違えないようにしましょう。
もし、専門的なケアが必要な場合には、治療ではなく医療機関の紹介などを行います。

産業医についてもう一つ覚えておきたいことは、産業医は企業と従業員、どちらにも偏らず常に中立の立場を取る存在であるということです。

企業が雇用しているため、企業側も従業員側も、産業医は企業側の立場を取ると勘違いするケースもよくありますが、産業医は完全に中立の立場にあります。産業医には勧告権があるため、産業医という立場から職場環境の改善について勧告を行うこともあります。

 

産業医には守秘義務と報告義務がある

産業医面談がうまくいかない理由の一つは、産業医への信頼度の低さです。

「産業医は面談の内容を全て会社側に報告する」と勘違いしている従業員が非常に多いのですが、それは大きな誤りです。命に関わる重大事項や本人が企業に通達を希望した場合を除き、産業医面談の内容は企業側には秘密とされます。

産業医には、「守秘義務」と「報告義務」という2つの相反する義務が課されているためです。

「守秘義務」とは、「業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない」という義務です。
​​​​​​​医師としての守秘義務は、刑法第134条に定めがあります。

また産業医としては、「労働者の同意がない限り、労働者の健康管理情報を上司および企業側に伝えてはならない」という守秘義務が労働安全衛生法第105条によって規定されています。これらは非常に重い義務であり、刑法には罰則規定もあるのです。

一方で産業医に課される「報告義務」とは、「労働者に健康上の問題があることを知ったときには、事業者にこれを指摘・報告する義務」です。これは、企業に対し従業員が安全・健康に働けるよう労働環境を整備する「安全配慮義務」を果たすためのものです。

産業医に同時に課されるこの2つの義務についてどちらが優先されるかですが、基本的には守秘義務の方が優先されます。

したがって、本人が希望しない限り、面談で話した内容が企業側に伝わることは一部の例外(自傷行為や伝染病など、報告しないと本人もしくは周囲の人間の生命に関わること)を除いてありません。

また産業医が報告義務に基づいて面談内容の報告を行う場合でも、報告の内容は危険を排除するのに必要な最小限度に限られます。

 

産業医面談は義務?

産業医による面談の実施には、法的な強制力はありません。
あくまでも「従業員本人の申し出」に従うものであり、本人が希望していないのに無理やり面談を受けさせることはできないのです。

忙しくて面談を受けている暇がない、産業医面談を受けることで人事評価に悪影響を及ぼすのではないか、面談内容が上司に筒抜けとなるのではないか、などの理由で、産業医面談を拒否する従業員も実際にたくさんいます。

時間外労働者に労災が起きてしまった場合、業務と労災の因果関係が強く疑われてしまうため、結局は企業が大きな責任を問われる事例が多く出ています。

労災が起こる前に面談を含めた予防の措置を講じたかは、企業の安全配慮義務を果たしたか否かの大きな判断材料になります。

 

申し出の有無にかかわりなく、時間外労働が100時間を超えた場合は、医師による面接指導を実施するのが望ましいです。

産業医面談を従業員に快く受けてもらうためには、産業医面談は企業のためではなく「本人のため」に行うものだということを周知し、産業医面談を受けたからといって人事評価には影響を及ぼさないこと、本人の同意なく面談内容が企業側に知られることはないことをきちんと伝えることが非常に重要です。

 

【関連記事】従業員が産業医の面談を拒否した場合はどうする?

産業医面談の目的と企業の対応

スーツの女性

産業医面談を実施する目的には、いくつかの種類があります。
企業は、目的に応じて面談を受けさせることが重要です。

ここでは、6つの場面それぞれについて、産業医面談を行う目的と、担当者がとるべき対応について説明します。

 

健康診断

事業者は、健康診断等の結果、異常の所見があると診断された労働者について、就業上の措置について、3か月以内に医師の意見を聴かなければなりません。

事業者は、医師等からの意見を勘案して、必要があると認めるときは、該当する労働者の作業内容、労働時間その他の事情を考慮して、必要な措置を講じるべきであるとされています。

産業医は健康診断結果を確認し、問題のある従業員と面談を行います。
そして本人に改善のためのアドバイスを行うとともに「通常業務」「就業制限」「要休業」等の意見を記載します。

●面談当日までに必要な書類
・該当事業場における従業員の健康診断結果

 

ストレスチェック

ストレスチェックの結果、高ストレスのため医師による診断が必要と判定され、面談を希望した従業員に対する面談です。

厚生労働省は、指針に基づきストレスチェック後の面談を希望した時点で、ストレスチェック結果を企業に通知することに同意したとみなして構わないとしています。

しかし、従業員本人から「面談を希望したが結果の開示には同意していない」とクレームが入ることもありますので、この指針の内容について事前に説明しておくことが望ましいです。

面談で得た情報のうち、産業医が必要であり緊急性があると判断したものについては、本人の同意がなくても企業側と共有されます。産業医は従業員本人にアドバイスを行うとともに、企業に適切な対処を取るように助言します。

企業側は、ストレスチェックの結果をもとに従業員に対して不利益な取り扱いをすることは禁止されています。

●面談当日までに必要な書類
・厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書様式」

 

長時間労働

面接指導の対象となる従業員は「時間外・休日労働時間が1カ月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者」です。2019年4月1日に施行された働き方改革関連法により対象が拡大されていますので、自社の従業員についてもう一度対象者がいないか確認しておきましょう。

企業側の立場からすると面談は全員に行うのが望ましいのですが、法的には面談の実施は義務ではありません。
時間外労働等の要件を満たし、面接の希望を申し出た従業員に対して行うことになっています。

長時間労働者に対する産業医面談の目的は、長時間労働により疲労が蓄積し、健康障害発症のリスクが高まった従業員に対し、健康状態を把握してアドバイスを行うことです。

面接指導実施後は、産業医が就業判定や必要な措置に関しての意見書を作成します。

●面談当日までに必要な書類

  • 直近1カ月間の勤怠管理表
  • 健康診断結果
  • 対象となる従業員の氏名、性別、年齢、所属する事業場名、部署、役職、業務内容等

 

メンタルヘルス相談

心身の不調、またはストレス関連疾患を有している可能性がある従業員と産業医が面談し、医療機関への受診勧奨、就業判定や就業に際して配慮が必要な措置に関しての意見書など、必要な措置を行います。

メンタルヘルス不調は職場内でのトラブルや休職の原因となりやすいので、早めの対処が必要です。

面談の内容は本人が希望しなければ秘密とされること、面談を行っても不利益な扱いをすることはないことなど、メンタル不調者が気軽に面談を希望できる職場内の雰囲気作りが重要です。

●面談当日までに必要な書類

  • 直近1カ月間の勤怠管理表
  • 健康診断結果
  • 対象となる従業員の氏名、性別、年齢、所属する事業場名、部署、役職、業務内容等

 

休職

休職願いのあった従業員、または休職指示を検討している従業員と産業医が面談を行い、主治医の診断書、休職への意思、就業能力の評価、休職の原因等を基に意見書を作成します。

●面談当日までに必要な書類

  • 直近1カ月間の勤怠管理表
  • 健康診断結果
  • 主治医の診断書
  • 就業規則など、復職判定基準が記載されている資料
  • 対象となる従業員の氏名、性別、年齢、所属する事業場名、部署、役職、業務内容等

 

復職

復職を希望している従業員の方と産業医が面談を行います。

就業への意欲があるか、規則的な生活ができているか、安全に出社できる環境が整っているかなど、復職への障害がないかを確認します。場合によっては、上司などが面談に同席することもあります。

面接指導実施後は、復職への意思、就業能力の評価を基に、復職判定や就業に際して配慮が必要な措置に関する意見書を作成します。

主治医は「病気が回復したか」を見ているのに対し、産業医は「仕事に戻る準備が整っているか」という観点で判定を行いますので、時には本人や主治医と産業医の意見が異なることもあります。

●面談当日までに必要な書類

  • 休職前 直近1カ月間の勤怠管理表
  • 健康診断結果
  • 主治医の診断書(※主治医が「復職可能」と記した診断書 )
  • 就業規則など復職判定基準が記載されている資料対象となる従業員の氏名、性別、年齢、所属する事業場名、部署、役職、業務内容等
  • 休職に至るまでの経緯がわかるもの
  • (入手可能ならば)治療記録

 

実際に、産業医と従業員はどんなことを話すのか

産業医面談では、従業員の仕事の状況などの他、ストレスの要因(仕事以外のことも含め)について相談に乗ります。

睡眠や食事・運動などの生活習慣に関わることや治療中の病気についての相談(診察ではなく「病院に行ったほうが良いか?」や健康診断の数値についてなど)を受け、必要に応じて受診勧奨を含めたアドバイスを行います。

また、職場の愚痴や現状への不満を聞くこともあります。
守秘義務があるので、生命の危機があるなどの緊急の場合を除き、企業側には面談の内容を漏らすことはありません。

 

産業医面談の実施にあたり、人事労務が配慮すべきこと

女性

特にメンタル不調対策に非常に有効な手段である産業医面談ですが、残念ながら、従業員にとって産業医面談のイメージは悪いことがほとんどです。

産業医面談の呼び出しがあるだけで人事考課が下がる、上司や同僚の間で変な噂が立つ、産業医に相談すると企業に筒抜けになるなど、産業医面談についての悪い誤解が蔓延しています。

ここでは、産業医面談を有効に実施するために、企業側でできる工夫をご紹介します。

 

産業医面談開始の周知と対象者への連絡方法

産業医面談を行うためには、まず従業員側から面談を希望してもらわなくてはなりません。

特に、初めて産業医を選任した企業の場合、産業医面談の開始について全社員に周知する必要があります。
社内の掲示板やポスター、パンフレットなどを用い、全社員がわかるようにしておきましょう。

また、産業医面談は特別な人しか呼ばれないというイメージを払拭するのも大切です。

産業医面談の対象者は、勤怠不良や長時間労働者であること、高ストレス者など含め面談希望がある場合は対応可能であること、産業医面談はあくまで法律に従ってやるもので特別ではないこと、人事考課は一切関係なく、専門家の立場から客観的に判断して、働く際に発生する体調や健康面でのチェックをするのが目的であることを説明する必要があります。

面談を受けることで、メンタル不調を含めた病気を早く発見できるなどのメリットを伝え、面談は企業のためではなく、従業員のために行うものであることを啓蒙しましょう。

面談対象者にその旨を通知する際には、メールや封書などを利用し、できるだけ他人に分からないように行うのも、面談を促す上での大きなポイントになります。

 

社外にも相談窓口を置く

特に高ストレス者、メンタル不調者の場合、不調を抱えていることを社内の人間には絶対に知られたくない思いが強いことがほとんどです。

残念ながら、企業との信頼関係が崩れているケースも散見されます。
したがって、産業医面談の開始を告知しても、面談を希望しないことがほとんどです。

なんとか面談に漕ぎ着けたとしても、自社の産業医との面談では信頼関係が築けないので本音を出せず、問題の解決に結びつかないことがよくあります。

面談に至るハードルを下げるために、社外相談窓口を置くのも一つの方法です。
専門業者があるので、そのようなところを利用すると良いでしょう。

 

企業は産業医面談の場を設け、適切な対応をとることが大切

スーツの男性

産業医面談は、実施される場面によって目的が少々異なります。
しかし、共通していえるのは、従業員本人の健康を守るために役立つものであることです。

そのためにも、企業は必要に応じて産業医面談の場を従業員に提供することが重要です。

また企業には、面談の結果をふまえて職場環境の改善を行ったり、配置換えや業務内容の変更をしたりするなど、適切な措置をとることが求められています。

「面談を設けて終わり」ではなく、そこで得られた結果をしっかりと生かしていきましょう。

 

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