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雇用形態や働き方が多様化する中、産業医の役割に注目が集まっています。
企業が、産業保健や労働衛生の専門知識を持った産業医を有効に活用することで、従業員の健康を守り、活力ある職場になることが期待できます。
従業員の健康リスクを早期に把握し、産業衛生上の経営リスクを軽減することも可能です。
産業医を選任するにあたり、企業が行うべきことは数多くあります。
必要とされる報告書の種類やその提出方法について、詳しく知りたいという企業経営者や人事労務担当者、または、顧問企業をもつ社労士も多いのではないでしょうか。
この記事では、産業医選任報告の提出方法や、そのほか企業が実施しなければいけない産業保健に関する取り組みや報告について解説していきます。
初めて産業医を選任する事業所の場合、「そもそも産業医とはどんな仕事をするのかがわからない」という声をよく聞きます。
そこで、まずは産業医についての基本的な事項について簡単に解説します。
産業医とは、事業所で主に労働者の健康保持のために職場環境の管理を行い、専門的な立場から指導や助言を行う役割を担う医師のことを指します。
医師であれば誰でも産業医になれるというわけではありません。
産業医になるためには、日本医師会の研修を履修するか、産業医科大学の産業医学基本講座を受講することなど、厚生労働省が定めた要件を備える必要があります。
産業医の職務については労働安全衛生規則第14条第1項に定めがあります。
主な業務は以下のものです。
労働安全衛生法により、従業員が50人以上の事業場では、産業医の選任が義務付けられています。
従業員数が多くなるほど産業医の業務量が増えるため、以下表の通り、常に働いている従業員の数によって、必要とされる産業医の人数は異なります。
常時 1,000 人以上の従業員が働く企業と、特定の業務(※)に常時500人以上の従業員が従事する場合は、常勤の専属産業医を選任する義務があります。
一方、従業員数50人以上999人以下の規模の企業の場合、嘱託産業医の選任でも問題ありません。
※500人以上の事業場で専属産業医が必要な特定業務(安衛則第13条第1項第2号)
イ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
ロ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
ハ ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務
ニ 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
ホ 異常気圧下における業務
ヘ さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
ト 重量物の取扱い等重激な業務
チ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
リ 坑内における業務
ヌ 深夜業を含む業務
ル 水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り 扱う業務
ヲ 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベン ゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
ワ 病原体によつて汚染のおそれが著しい業務
カ その他厚生労働大臣が定める業務
労働安全衛生法第13条には、会社が成長して事業場の従業員数が50人を超えたら(産業医を選任すべき事由が発生したら)14日以内に産業医を選任しなければならないと規定されています。
違反した場合は、労働安全衛生法第120条にのっとり、50万円以下の罰金に処するという罰則規定が設けられています。
産業医には、嘱託産業医と専属産業医という2種類があります。
この2つは勤務形態が異なるだけで、産業医として行うことのできる業務に違いはありません。
嘱託産業医とは、非常勤で働く産業医のことです。
普段は勤務医や開業医として働いている医師が、本業のかたわら各企業と契約して働きます。
月に1~数回、1回数時間の訪問をする形態が一般的です。
嘱託産業医として10社以上の企業を担当し産業医事務所を開設している医師もいます。
専属産業医は、従業員として企業に所属し、勤務時間も企業の定めによります。
企業には産業医の選任義務のほかに、従業員の健康を守るために必ず実施する必要がある4つの報告と取り組みがあります。
1つ目の報告は、産業医選任の報告です。
産業医を選任したら、産業医選任報告書を所轄の労働基準監督署に提出します。
提出手続きは、産業医を選任しなければならなくなった日から14日以内に完了させる必要があります。
産業医専任報告書を提出する際は、添付が必要な書類もあるため、事前に労働基準監督署に書き方や必要書類について確認することをお勧めします。
報告書の書き方が各労働基準監督署によって異なる場合もあります。
産業医選任報告書の提出には2通りの方法があります。従来通り紙の書類を提出する方法と、「e-Gov(イーガブ)」から電子申請を行う方法です。
それぞれについて簡単に説明します。
(1) 紙の書類を提出する方法
① 書類を入手する
書式は統括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者の選任報告と同じです。
書類の入手方法は、以下の2通りがあります。
もしくは、厚生労働省「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」で書類を作成する
② 必要事項を記入する
必要記載事項は以下の通りです。
※「産業医の場合は医籍番号等」の種別は、別表に掲げる種別の区分に応じて該当コードを入力。
【別表】
コード
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種別
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1
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労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であって労働大臣が定めるものを修了した者
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2
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産業医科大学その他の大学であって厚生労働大臣が指定するものにおいて医学の正規の過程を修めて卒業した者であって、厚生労働大臣が定める実習を履習したもの
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3
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労働衛生コンサルタントで試験区分が保健衛生である者
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4
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大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、助教授又は講師の食にあり又はあった者
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5
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労働安全衛生規則第14条第2項第4号に規定する者
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6
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平成8年10月1日以前に労働大臣が定める研修の受講を開始し、これを修了した者
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7
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上のいずれかにも該当しないが平成10年9月30日において産業医としての経験年数が3年以上の者
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③ 必要書類と一緒に産業医専任報告書を所轄労働基準監督署長に提出する
・必要書類
(2)電子申請
電子政府の総合窓口である「e-Gov(イーガブ)」から申請も可能です。
書式や必要なものは紙での申請と同じです。
詳しくは以下のサイトを参照してください。
2つ目の報告は、定期健康診断と結果の報告です。
そもそも、すべての事業場は労働安全衛生法、労働安全衛生規則第44条に基づく定期健康診断を実施する必要があります。
そのうえで、事業場の従業員が50人になったら、健康診断の結果の報告義務が生じます。
健康診断の結果を産業医にチェックしてもらい、押印してもらった健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署に提出します。
ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票(選択回答) に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレス がどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。
従業員数が50人以上の事業場は、毎年1回ストレスチェックを実施する義務があります。
ストレスチェックの対象となる従業員は、契約期間が1年以上、または週の労働時間が通常の労働者の4分の3以上を満たしている社員のほか、パートやアルバイトも当然含まれます。
厚生労働省によると、使用者はその対象に含まれないことになっています。したがって社長や役員に対してストレスチェックを実施する義務はありません。
ストレスチェックの実施は、主に産業医などが担当する「ストレスチェック実施者」が中心となって、計画から結果のチェックまでを行います。
厚労省が提供する調査票を利用する、ストレスチェック実施会社に外部委託するなどの方法があります。
ストレスチェックの結果は、健康診断の結果と同様に、所轄の労働基準監督署へ報告書を提出する必要があります。
また高ストレス者と判定された従業員から申し出があった際には、産業医が高ストレス者の面接指導を行い、就業制限・配慮などの就業上の措置を記載した意見書を作成します。
そのほか、産業医はセルフケアの方法を伝えたり、専門医を紹介したりするなどの対応をします。
ストレスチェックの結果について労働基準監督署への報告を怠ると、最大で50万円の罰金支払い義務が発生します。さらに、労働契約法に定められている安全配慮義務違反になってしまう可能性がありますので注意しましょう。
衛生委員会とは、労災防止に努め、従業員の健康と安全を維持するために設置されるものです。
50人以上の従業員がいる事業所は、衛生委員会を設置する義務があります。
衛生委員会は、産業医の他に、衛生に係わる技術的な事項の管理を主な仕事とする衛生管理者も構成メンバーとする必要があります。
産業医は衛生委員会の構成員となり、定期的に開催される衛生委員会に出席することが望ましいです。
衛生管理者の選任義務が発生しているにも関わらず、それを選任しなかった場合、50万円以下の罰金が発生します。
衛生管理者として選任する人は、労働安全衛生法で定められた国家資格を有していることが必須となります。
また産業医同様、労働基準監督署へ必ず選任報告書を提出する必要があります。
選任から報告書提出までの期日も産業医専任の場合と同じく、選任義務が生じた日から14日以内と定められています。
では、自社に合った産業医はどのように探すのが良いのでしょうか?
産業医を探す方法は、医師会に相談する、近くの医療機関に電話してみる、知り合いの産業医にお願いする、などの方法があります。
どの方法も一長一短あるため、自分たちが求めていることを過不足なく実現してくれるノウハウとコミュニケーション能力をもっている産業医かどうかを判断することが大切です。
メリット
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デメリット
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47都道府県にそれぞれ医師会が存在し、地域で活動する多くの医師が登録しています。
医師会によっては産業医紹介サービスを行っているところもあります。事業場から近い産業医を選任しやすいメリットがあります。
ただし医師会はあくまでも産業医の紹介をするだけで、職務内容や報酬などの交渉は企業自身が行わなければならないことがほとんどです。
したがって、企業に産業医の採用経験がある担当者がいない場合、交渉がまとまらず採用までに時間がかかるケースも珍しくありません。
また、複数事業場がある企業の場合は、それぞれの地域ごとに、産業医を探さなければなりません。
メリット
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デメリット
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もう1つの方法は、産業医のいる医療機関に相談してみることです。
知っている医療機関の先生なので安心してお願いできる反面、知り合いだからこそ、トラブルがあった際の対応が難しいです。また、そもそも、地域によっては産業医のいる医療機関を見つけるのが難しい場合もあります。
メリット
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デメリット
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医師を専門に扱っている人材紹介会社を利用するのも一つの方法です。
すべての会社が産業医に対応しているわけではないですが、多くの産業医が登録する紹介会社ほど、自社のニーズにマッチする産業医を見つけられる可能性が高くなります。
紹介された産業医を選任することになった場合は、紹介会社に対し手数料を支払うのが一般的です。
産業医紹介に豊富な経験を持つ紹介会社なら、企業や事業場にあった産業医の雇用形態や報酬など詳細についても相談できます。
【関連記事】嘱託産業医への報酬はどれくらい?相場や決まりなど
従業員の健康を維持するためには、企業は、産業医を選任したら終わりというわけではありません。産業保健に関する実施義務や報告義務を正しく守った上で、企業にとって、より自社にあった産業医と出会うことが大切です。
健康経営への注目が集まる中、どのような産業医を選任できるかは、企業の成長にも関わります。
従業員の健康管理やメンタルヘルスケアに長けた質の高い産業医を選任し、従業員の健康に積極的に投資を行うことで、休職者を減らすとともに職場環境の改善による離職率低下も見込めます。
産業医を有効に活用し、満足度の高い活力ある職場作りを目指しましょう。
従業員数が50名を超えた事業場には、労働法令によって4つの義務が課せられています。
「そろそろ従業員が50名を超えそうだけど何から手をつければいいんだろう」「労基署から勧告を受けてしまった」。従業員規模の拡大に伴い、企業の人事労務担当者はそんな悩みを抱えている人も少なくありません。
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