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健康診断は、労働者を雇っている会社が定期的に行わなければなりません。その実施は義務といわれていますが、会社を立ち上げた人などの中には、実際に対象となる労働者や健康診断の項目など、その詳細は知らない人も多いのではないでしょうか。この記事では、健康診断の概要に加えて、企業が理解しておきたいポイントについて紹介していきます。
労働安全衛生法により、事業者は労働者に対して健康診断を受けさせる義務があります。よって、従業員の健康診断は絶対に必要です。受けさせないと、違法行為となってしまいます。
違法行為とみなされた場合、労働基準監督署から指導が入り、さらに無視を続けるなどすると、50万円以下の罰金を支払わなければなければなりません。そのため、従業員には健康診断を絶対に受けてもらうようにしましょう。
対象となるのは、正社員はもちろん、契約期間が1年以上、かつ週所定労働時間の4分の3以上労働する契約社員やパート労働者も該当します。それは、個人事業でもいわゆる中小企業や大企業でも違いはありません。
対象となる人を雇った場合には、会社の規模に関わらず健康診断を受けさせなくてはならないのです。
健康診断には、いくつかの種類があります。ここでは、従業員を雇い入れたときに行う雇入れ時健康診断と、年1回のペースで行う定期健康診断について詳しく紹介していきます。
対象となる労働者を雇い入れる直前か直後のタイミングで、健康診断を実施する必要があります。これが、従業員を雇い入れたときの健康診断です。
対象者が入社前3カ月以内に必須の診断項目を受けていて、その結果を会社に提出する場合には、この健康診断を省略することが可能です。対象となる労働者とは、常時使用する労働者と呼称されます。具体的には、1年以上使用する予定で、週の労働時間が正社員の4分の3以上と定められています。よって、その対象は正社員に限りません。
さらに、週の労働時間が2分の1以上であっても企業には努力義務が課せられています。ほかにも、派遣社員は派遣元で実施する義務があるなど、いくつかの線引きがされています。
企業はまた、対象となる労働者に対して、1年に1回のペースで定期的な健康診断を行う義務もあります。対象となるのは、雇い入れたときに実施する健康診断と同じく、常時使用する労働者です。
ただし、特定の化学物質を扱う職種など、厚生労働大臣が定める特定業務従事者については、この対象者に当てはまりません。6カ月以内に1回のペースで行う、特定業務従事者健康診断を実施することになります。実施する項目については、定期健康診断と同じです。
従業員を雇い入れたときの健康診断や定期健康診断などは、一般健康診断という呼称で分類されます。その項目をみてみると、既往歴および業務歴の調査、自覚症状および他覚症状の有無の検査、体重、視力、腹囲および聴力の検査、胸部X線検査、血圧測定、尿中の蛋白の有無検査は、必須項目として診断を受けなければなりません。
ただし、定期健康診断の場合、年齢や医師の判断により、省略できる項目もあります。身長喀痰検査、血色素量および赤血球数をみる貧血検査、肝機能検査、LDLコレステロールやHDLコレステロールおよび血清トリグリセライドをみる血中脂質検査、血糖検査、尿中の糖の有無検査、心電図検査がそれにあたります。
しかし、雇い入れのときの健康診断ではこれらを省略することはできません。定期健康診断のときのみ省略可能なので注意しましょう。
【参照】一般財団法人 日本健康倶楽部
健康診断の実施にはいくつかのパターンがあります。会社全体で健康診断を実施したり、会社が指定する病院で診断させたりすることが考えられるでしょう。
もちろん、従業員各自に受診させて結果を提出させる方法もあります。それぞれにメリットやデメリットがあるため、会社の規模や業種などによって適切な手段は異なります。複数の方法を併せて受けても問題はありません。企業ごとに判断して実施するのが重要です。
また、気を付けたいのはそれぞれの実施項目です。場合によっては、必須とされる診断項目が診断されないこともあります。特に従業員各自に受診させるパターンにおいては、従業員が間違えて受診してしまうケースも多いです。推奨する病院などを紹介して、スムーズに受診ができるよう促してあげるのも大切です。
健康診断を企業が行ううえでは、注意したいポイントがいくつかあります。ここではその気を付けたいポイントを紹介していきます。
事業者に実施が義務付けられている健康診断の費用は、ほとんどの場合において、事業者側に負担義務があります。ただし、たとえば人間ドックなどの高額な健康診断を受診する場合は、定期健診費用に相当する部分のみを企業側が負担するに留めることも可能です。
その際には、トラブルを回避するためにも、従業員にその旨をあらかじめ通知するとスムーズでしょう。また、周辺の病院の定期健診費用をもとにして、会社が負担する上限額も併せて伝えることも大切です。
一般健康診断においては、企業側に実施義務があり、一般的な健康確保を目的としています。そのため、業務遂行との直接の関連はなく、受診時間の賃金については支払い義務は生じないと考えられています。
しかし、従業員の不満などを考慮すると、支払うことが望ましいとされていることは事実です。双方が納得いく形で、健康維持に努めることが大切です。
なお、特殊健康診断は業務の遂行に関して必ず実施しなければならない健康診断ですので賃金の支払義務が発生することに注意しましょう。
会社側には、健康診断の結果から個人票を作成して、5年間保有しなくてはならないという義務があります。その際には、本人の承諾が必要です。病院側から本人用と事業所保管用の結果が送られてくる場合も多いです。
それを保管しておけば問題ありません。また、個人で受けた場合など、一般健康診断の必須項目以外の診断結果については、保管義務は特にありません。
派遣労働者の場合は、一般健康診断に関する健康情報の取り扱いを、派遣元事業者の責任において行うのが一般的です。派遣元の事業者は、派遣労働者の同意を得ずに取り扱ってはいけません。
たとえば、同意なしに派遣先事業者に健康情報を渡すことなどは禁止されています。
常時50人以上の従業員を雇用する事業者には、所轄の労働基準監督署に対して健康診断結果を報告する義務が生じます。この報告義務も労働安全衛生法によって定められているため、守らないと違法行為とみなされてしまいます。
また、50人未満の従業員数であっても、報告する義務が免れるのみという点には注意が必要です。健康診断を受けさせる義務がなくなるわけではありません。
前述の通り、適切な健康診断を受けさせていないということは、違法行為にあたります。労働基準監督署からの指導が入り、それを無視していると、罰金50万円以下の罰則がくだることがあるので、従業員の健康管理は絶対にするようにしましょう。
ただし、忙しさなどを理由に、従業員が健康診断を拒否することも考えられます。未受診のまま会社がいずれかのアクションもかけずに、結果その従業員に健康被害がでた場合、会社は安全配慮義務違反という責任を負ってしまう場合もあります。必ず受診するよう促しましょう。
従業員に健康診断を受けさせる意味合いは、従業員の健康や安全を担保するだけに留まりません。企業イメージや信頼の獲得につながります。特に社会の働き方に対する意識が変わりゆく中においては、従業員ひとりひとりに対する健康面での配慮が大切です。
健康診断は受けさせて終わりではありません。その後、結果が送られてきてからのフォローも企業側には重要なことの1つです。診断結果に異常がみられた従業員がいれば、医師に聴取するなどしなくてはなりません。
さらに産業医などと連携し、場合によっては保健指導、あるいは休職などをすすめることも必要になります。
勤務形態や労働時間に対する考え方は、変化の一途をたどっています。ワークライフバランスが重要視される社会においては、従業員の負担や悩みは肉体的なものに限りません。
ときには精神面でのフォローがもっとも大切になります。そのフォローは結果的に会社のパフォーマンスを上げることにもつながります。従業員の健康管理には、肉体的にも精神的にも、十分に気を使う必要があるといえるでしょう。
健康診断は、従業員を1人でも雇えば発生する、知らないでは済まされない企業側の重大な義務の1つです。注意点やポイントを正しく理解したうえで、適切に行う必要があります。企業のパフォーマンスを向上させていくためにも、健康診断は適切に行いましょう。そのうえで、従業員の健康管理には常に目を向けておくことが大切です。
従業員数が50名を超えた事業場には、労働法令によって4つの義務が課せられています。
「そろそろ従業員が50名を超えそうだけど何から手をつければいいんだろう」「労基署から勧告を受けてしまった」。従業員規模の拡大に伴い、企業の人事労務担当者はそんな悩みを抱えている人も少なくありません。
本資料ではそのようなケースにおいて人事労務担当者が知っておくべき健康労務上の義務と押さえるべきポイントについて詳しく解説していきます。
産業医の選任など、産業保健関連の法定義務が一目でわかるチェックシートです。
最近では、労基署から指摘を受けた企業担当者からの相談も少なくありません。働き方改革を推進する観点から、国では今後も法定義務が遵守されているかの確認を強化していくと思われるため、定期的に自社の状況を確認することをお勧めします。