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月1回の実施が定められている職場巡視。従業員の健康を維持する上で、とても重要な業務です。
今回は、産業医と衛生管理者がどのような点に注意して職場巡視を行えばいいのか、それぞれの役割や巡視のポイントについて解説します。
職場巡視とは、作業環境を産業医が実際に見て、安全衛生上の問題点を見出し、改善していくことを目的としています。
事業者は、職場巡視を実施する機会と情報を産業医に対して提供することになっています。
産業医が定期的に職場を訪れ、巡視することで、従業員と産業医とがお互いにとって身近な存在となりますし、産業医が職場環境や業務内容、企業自体を深く理解することにも役立ちます。
コロナ禍の影響により、一定の条件を満たすことで産業保健業務のオンライン対応も可能になりました。しかしながら、職場巡視の目的は「産業医が従業員の作業環境を直接見て、安全衛生上の問題点を見出し、改善していくこと」です。スマホなどを使って職場の様子を映すことはできても、労働環境を直接確認できないため、職場巡視のオンライン対応は難しいといえるでしょう。
産業医には法令業務がありますが、そのうちの1つが職場巡視です。労働安全衛生規則第15条により、以下のように産業医の定期巡視が定められています。
(産業医の定期巡視)
第十五条 産業医は、少なくとも毎月一回(産業医が、事業者から、毎月一回以上、次に掲げる情報の提供を受けている場合であつて、事業者の同意を得ているときは、少なくとも二月に一回)作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
出典:e-GOV 法令検索 労働安全衛生規則
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前述の通り、産業医による職場巡視は労働安全衛生規則で義務付けられています。そのため、職場巡視を実施しなかった場合は法令違反と見なされ、50万円以下の罰金もしくは6ヶ月以下の懲役に科されます。事業主が産業医に職場巡視を依頼し、産業医が職場巡視を怠った場合も同様です。
職場巡視を行わず、事業場で労災が発生してしまった場合、安全配慮義務違反と判断される可能性もあります。従業員の健康や安全を守ることはもちろん、法令遵守をするためにも、職場巡視を必ず実施しましょう。
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労働安全衛生規則の第15条により、産業医は少なくとも月1回、衛生管理者は週1回の職場巡視が規定されています。2017年に行われた労働安全衛生規則の改定により、特定の条件を満たした場合、産業医による職場巡視は2ヶ月に1回の実施頻度でも可能になりました。
この法改正の背景としては、従業員の過重労働による健康障害の防止やメンタルヘルス対策等が事業場における重要な課題であり、より効率的かつ効果的な産業医の職務の実施が求められているためです。つまり、産業医による職場巡視の頻度を減らす代わりに、過重労働やメンタルヘルス対策の強化に時間を割くことを目指した法改正といえます。
産業医による職場巡視が2か月に1回の職場巡視が可能になるのは、以下の2つの条件が満たされている事業場です。
(1)事業者から産業医に所定の情報が毎月提供されている
産業医の職場巡視の頻度を2か月に1回にした場合に必要になる「毎月提供する一定の情報」は以下となります。
(2)事業者の同意を得られている
産業医の意見に基づき、衛生委員会等において調査審議を行った上で、事業者の同意を得ることが必要です。
また、巡視頻度を変更する一定の期間を定め、期間ごとに産業医の意見に基づいて調査審議を行わなければなりません。
例えば、4月から9月までの間は巡視頻度を2か月に1回にすると決まった場合は、10月の衛生委員会で再度、巡視頻度が2か月に1回で十分だったかを話し合いましょう。
職場巡視を行うにあたり、チェックしたいのは作業環境、従業員の様子です。事業場の特徴や状況を把握したうえで、起こりうる労働災害を想定しながら作業環境を確認することが重要です。建設現場とオフィスでは作業環境が違うように、企業ごとにチェックポイントは異なりますが、たとえば以下のような項目が挙げられます。
出典:厚生労働省「安全衛生関係リーフレット等一覧」
関連資料:職場巡視チェックシート
職場巡視を実施する際には、PDCA(Plan, Do, Check, Action)を意識して計画、実施、評価、改善を行うことが重要です。
職場巡視を実施して終わりではなく、職場巡視を通じて見つかった問題点を安全衛生の改善にしっかりと活かしましょう。そして、労災を発生させないためにも、PDCAサイクルを連続的かつ継続的に実施する必要があります。
以下、労働者健康安全機構発行の「産業保健21」にて、職場巡視の流れとPDCAサイクルチェック表がわかりやすくまとめられています。ぜひ参考にしてみてください。
引用:労働者健康安全機構「産業保健21」第80号
職場巡視後は、産業医からのフィードバックを踏まえて改善措置を検討していきましょう。
また、安全衛生委員会で職場巡視の様子を共有する必要があるため、産業医に職場巡視の記録を作成してもらうことが望ましいです。巡視記録を残す法的義務はありませんが、労災の発生、臨検があった際には労働基準監督署から提出を求められることがあります。いざという場合に備えて、職場巡視後にはその記録を残し、一定期間保管しておくとよいでしょう。
従業員の安全を守るためにも、職場巡視は欠かせない業務です。そのため、頻繁に現場を回ることができる衛生管理者等と産業医との連携、人事労務担当者への共有が非常に重要となります。職場巡視を実施したら都度振り返り、職場巡視を通じて明らかになった課題点や改善点に対して、どのように対応するか検討していきましょう。
同時に、適切に対応や管理ができている部分もグッド・プラクティスとして前向きに評価することを心掛けましょう。
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