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毎月の安全衛生委員会のネタやテーマ選びについて、お困りの方も多いのではないでしょうか。
「勝手が分からない」、「マンネリ化してしまう」、「テーマ選びに時間がかかる」など、多くの担当者が一苦労感じているようです。
この記事では、議題にすべき内容やテーマの選び方、1年間のスケジュールの具体例と2023年のトピックについて詳しく解説いたします。
まずは安全衛生委員会で議題にすべき内容について確認していきましょう。
厚生労働省によると、安全衛生委員会で話し合うべき基本的な内容として以下の事項が挙げられています。
前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項
上記は安全衛生委員会で議論されるべき基本事項であり、これらの基本事項を踏まえた上で安全衛生委員会で審議すべき具体的なテーマ内容は法律上以下のように定義されています。
【出典】厚生労働省「安全衛生委員会を設置しましょう」
安全衛生委員会について法律で要求されている基本事項を踏まえた上で、自社の労働環境をより良いものにするために、より効果的なテーマや議題の選び方についてのポイントを簡単にまとめました。
同じ人ばかりがネタを考えると、どうしてもマンネリ化してしまいます。また、ネタを考える人以外は会議の参加に受動的になり、活発な意見交換が望めません。ネタを考える人を当番制にして全員が選定に関わるようにすれば、会議自体の活性化が期待できます。
現在世間で何が問題となっているかを知り、社外の状況に対してアンテナを張り巡らせることはとても大切です。
時事ネタとして世間のトピックを知っておくことも大切なことですが、自社に全く関係のない内容ばかりでは効果的な安全衛生委員会になっているとは言えません。自社で困っている内容や自社の事業内容と関係していることをテーマとし、より自社にとって有意義で効果的な会議となるよう心がけましょう。
例えば社内で実施している健康診断やストレスチェックの結果の分析しテーマとしてとりあげるなどは、社内の健康状態の確認や、長時間労働の是正にもつなげられます。
季節ネタや時事ネタにその業界特有のトピックが含まれている場合は、積極的に安全衛生委員会のネタにするといいでしょう。
たとえば飲食業界なら、夏なら食中毒、冬ならノロウイルスをネタにできます。以前なら、観光業では全国旅行支援やGO TOトラベルが話題になりました。教育業界なら新学期には不登校・いじめ問題が議題にあげられます。
このような業界特有の季節ネタ・時事ネタは、世間一般でも注目されるトピックです。日ごろから世間で話題になっていることをチェックし、最新の情報を仕入れるようにしましょう。
安全衛生委員会のメンバーだけではなく、社内から取り上げてほしいネタを公募するのは一案です。メンバーには思い付かなかったようなテーマや、これまで見えていなかった社内の問題点が浮き上がってくるかもしれません。
安全衛生委員会では毎回新しいネタを話すだけでなく、既存のネタを深掘りしていくことも重要です。1つのテーマを深掘りしていくことで、問題の原因特定・対策につながるためです。
たとえばストレスチェックをネタにする場合、質問項目を安全衛星委員会で審議するだけでは十分とはいえません。高ストレス者が出た場合、職場環境をどのように改善していくのか、そして対策は効果があったのか継続的な調査が必要です。
もちろん毎回同じネタを取り上げると、マンネリ化につながります。深掘りの余地が大いにあるときや、ネタに困ったときの手段として、既存のネタの深掘りを検討しましょう。
自社でネタになりそうなテーマが見つからない場合には、他社の事故事例や取り組み事例を参考にしてもよいでしょう。
たとえば、自動車業界では工場で事故が発生しないように職場全体の意識改革に取り組んでいる企業があります。また、飲食業界でのワンオペによる過労死問題からは、人材を適切に配置する重要性が学べるでしょう。
このように、業界が違っても自社で活かせる内容はたくさんあります。厚生労働省では、安全衛生優良企業の取り組み事例を紹介しているので、参考にしてみましょう。
【参照】厚生労働省「安全衛生優良企業の取組事例」
安全衛生に関する知識が足りないと感じる場合は、研修会・セミナーに参加することも検討しましょう。
各都道府県に設置されている産業保健総合支援センターでは、産業保健の研修会や健康管理等に関するセミナーが実施されています。また、企業や大学、商工会議所などが主催の健康経営セミナーなども多数あり、健康経営のサイトからチェック可能です。
知識を深めて問題意識を改めることによって、自社の課題発見につながることもあります。社内だけではネタ切れを感じる際には、積極的に外部の研修会・セミナーに参加しましょう。
【参照】ACTION!健康経営「PICK UP!」
産業衛生上の課題は、自社独自のものと全ての会社に比較的共通したものに分けられます。全ての会社に共通した課題については、すでにある程度の解決策が見出されているものも数多くあります。インターネット上の情報は誤っているものも散見されますので、公的機関などからの情報を取り上げましょう。
テーマの決め方や内容についての理解が深まったかと思いますが、毎月テーマを考えることに大きな負担を感じるかもしれません。年頭や年度初めなどに年間スケジュールを立てることをお勧めします。ここでは季節的な事柄や時事ネタ、自社特有のテーマなどを組み合わせて、年間スケジュールの例を作成してみました。例えば毎年8月は公募テーマなどと言うように決めておくと良いでしょう。全てをそのまま取り入れることは難しいと思いますが、一つの例として参考にしてみてください。
4月 | ・安全衛生に関する基本知識
・今年度の安全・衛生に関わる法律の改正について |
5月 | ・昨年度の健康診断の結果と事後措置、対策
・熱中症対策 |
6月 | ・生活習慣病の予防
・睡眠、休養と健康 |
7月 | ・時事ネタ 治療と仕事の両立
・タバコと健康 |
8月 | ・社内から公募したネタ
・食事と健康 デリバリーランチなど福利厚生の利用状況確認、改善検討 |
9月 | ・運動と健康
・交通事故を含めた通勤災害の予防 |
10月 | ・時事ネタ 健康経営について
・ハラスメント対策 |
11月 | ・ウィルス性感染症の予防(COVID-19、インフルエンザなど)
・今年度のストレスチェックの結果と対策 |
12月 | ・時事ネタ BCPについて
・アルコールとの上手な付き合い方 |
1月 | ・職場で最も労災適用が多いものについて(例:転倒・転落災害、VDT障害の防止など)
・労働時間に関する部署別統計の作成と改善案の検討 ・ワークライフバランス―長時間労働の防止と健康障害対策(労働時間や有休消化率に関する部署別統計の作成と改善案の検討) |
2月 | ・花粉症対策
・時事ネタ リモートワークと健康 |
3月 | ・メンタルヘルス対策
・安全衛生教育の実施計画作成 |
安全衛生委員会のテーマは、毎年繰り返し行い社内で周知徹底させたいテーマと、その年の時流を反映した時事ネタを適度に織り込むことで、知識の固定化を図るとともにマンネリを防ぐことができます。ここでは、2023年に注目されているトピックをいくつかご紹介します。
新型コロナウイルス感染症が初めて日本で確認されてから3年以上が過ぎ、2023年5月からは感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)上の扱いが5類感染症に変更されます。初期の頃とは異なり、ワクチンを接種している一般成人にとっては生命を脅かす可能性が低くなっていることは確かですが、高齢者や持病のある方などにとってはまだまだ恐ろしい病気であることに変わりありません。また罹患後、長期間にわたり体調を崩す方もおられ、仕事に影響を与えるケースも少なくありません。これから新型コロナウイルスと共存していくにあたり、知識をブラッシュアップし、今後の社内体制について周知徹底することは極めて重要です。
新型コロナウイルスだけでなく、2023~2024年にかけてはインフルエンザにも注意が必要です。
インフルエンザの受診者数は2020〜2021年シーズンは1.4万人、2021〜2022年シーズンは0.3万人と非常に低い数値でした。しかし2023年は、夏に季節外れの流行が見られており、年末・年明けにかけても注意が必要です。2023年の傾向を見ると、「インフルエンザは冬に流行るもの」という固定概念は無くした方がよいかもしれません。
インフルエンザは一度感染が広がると、多くの社員の生産性を低下させる原因になります。手洗いうがいやマスク着用を呼びかけるなど、十分な対策が行えるように早めに議論しましょう。
【参照】厚生労働省「令和4年度 今冬のインフルエンザ総合対策について」
従業員の健康に投資することは、生産性の向上や組織の活性化をもたらし、業績向上や株価向上につながると期待されています。安全衛生委員会としても、健康経営についての基礎知識を身につけるとともに、企業側と従業員側双方の利益となるように協力していく姿勢が求められます。
BCP(事業継続計画)とは、大地震などの自然災害や大規模テロ、今回の新型コロナウィルス感染症の発生などの緊急事態に対応し企業活動を継続するために、あらかじめ立てておく計画のことです。安全衛生委員会としては、感染症対策や労働災害対策、メンタルヘルス対策などの労働安全衛生分野をはじめ、在宅勤務基準・勤務環境整備など人事・労務面などにおいて、BCPに積極的に参画していく必要があります。
働き方改革関連法案は、2019年4月1日から順次施行されています。これをもとに従業員の労働時間を把握する義務、産業医を設置する義務などが生じました。
また、運送・物流業や建設業の時間外労働時間が2024年から制限されるようになる「2024年問題」も話題です。このように、働き方改革にまつわる法・制度改正には安全衛生委員会が迅速に対応しなくてはなりません。
【参照】厚生労働省「時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務」
【関連記事】
「運送・物流業の2024年問題」とは? 働き方改革への対応、取り組み事例を紹介
建設業の働き方改革とは?「建設業の2024年問題」に備えて対策を
働き方改革や新型コロナウィルス感染症対策などで、すっかり定着したリモートワークですが、企業側が従業員の勤務実態を正しく把握できない、人と会わないためメンタル不調が増えた、家から出ないので体重が増えて生活習慣病が悪化したなど、これまでになかった事象が起こっています。安全衛生委員会でも、リモートワークで自社に起こった問題を具体的に取り上げ、対策を立てると良いでしょう。
【関連記事】
「産業医・精神科医が解説! リモートワークの落とし穴と対処法」
在宅勤務のストレス対策方法は?企業がテレワークの従業員をケアするために必要なこと
高齢化社会の到来と年金支給年齢の引き上げなどにより、60〜70歳代でも就業している人が増えています。それとともに、がんや心臓病、メンタル疾患など持病の治療を行いながら働く人も激増しています。会社として働く人をどのように支えれば良いのか、自社の支援制度なども交えつつ、安全衛生委員会で討議すると面白いでしょう。
パワーハラスメントへの対策は、2020年に大企業で義務化、2022年には中小企業も努力義務から義務に引き上げられました。しかし2023年には大手上場企業でのパワーハラスメントが全国報道され、なくなったとは言い切れない状況です。
パワーハラスメント以外にも、「〇〇ハラ」といったようにあらゆることがハラスメントに捉えられるようになっています。扱いが難しくなっているハラスメントをネタにすれば、従業員も高い関心を持って参加してくれるでしょう。
【参照】厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」
【関連記事】職場におけるハラスメントとは? 定義、具体例、法的義務を要確認!
「ダイバーシティ経営」に注目が集まっている昨今ですが、なかなか企業としては対策が進んでいない現状があります。これは、性的マイノリティをはじめとした当事者が感じる困難がなかなか周囲に理解されにくいためです。
誰もが働きやすい企業とするためには、今後入社してくるマイノリティ人材の理解に努め、社内制度を整える必要があるでしょう。
【参考】
経済産業省「健康経営 健康経営とは」
中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針 1.1 BCP(事業継続計画)とは」
安全衛生委員会のテーマは上に挙げたように多種多様であり、自社の事業内容や困りごとに合わせて幅広く設定することが可能です。しかしながら、職場の安全・衛生に関わる問題であれば何でも議題に載せて良いというわけではありません。ここでは陥りがちな失敗と具体的なNG例を提示いたします。
例えば冬にはインフルエンザ、夏には熱中症など毎年テーマが同一になる場合があるかもしれませんが、毎年同じテーマや資料を使い回すことはマンネリ化を引き起こす要因に繋がります。前年と同じテーマにする場合でも毎年内容がアップデートしたり、自社の分析内容などを盛り込んで、内容に変化をつけたりすることを意識しましょう。
日常の活動でもよくみられることですが、産業医に産業保健上の判断を丸投げしている企業がよくあります。産業医はあくまでも医学知識をもとにしたアドバイザー的な存在であり、企業内のことについては企業に所属する担当者に責任があります。さらに産業医にテーマを選択させると、当然医学的な内容に偏ってしまいます。
個別の事例からわかった職場環境の問題点について議論をすることは大切ですが、個人情報保護の観点から、例え企業内の関係者のみが集まる会議であっても、個人名を出すなど、事例から個人名が特定されるような話題の出し方は不適切です。実名を出すのは、その事例に関係のある従業員の間に留めましょう。
せっかく貴重な時間を割いて議論するため、その後自社にとって有益な時間となるよう具体的な内容を話していきましょう。
例えば、「生活習慣病 予防」をテーマに議論をする際は、一般的な生活習慣病の予防策について取り上げるだけでなく、その後の社員の生活習慣病への意識を変えるための注意喚起を促すメールを送るなど、具体的な行動を検討することができるとよいでしょう。
安全衛生委員会のメンバーは、毎年変わることがあります。元からいるメンバーには当たり前のことでも、新しいメンバーには全く分からないと言うことがよくあります。初めから専門的な内容を行うのではなく、年間計画を立てて段階的に難度を上げていくとよいでしょう。
例え世の中のトピックだとしても、毎月自社と全く関係のない内容を取り上げてしまうと、メンバーの興味関心が薄れ、結果として会議がマンネリ化してしまいます。なるべく自社独自の話題を中心に取り上げ、ニュースや時事ネタを取り上げる場合も自社に関係のある話題を選ぶようにしましょう。
ここまでは、安全衛生委員会のテーマ選びについて解説してきました。最後に、安全衛生委員会を実施するうえで注意しておきたいポイントを簡単に解説します。
会議当日に気をつけたいポイントは、発言者の偏りです。ファシリテーターは、特定の一人だけが発言しすぎることがないように気を配る必要があります。特に事業者側の意見に偏らないように、労働者側も含めた各メンバーの意見を求めることが、意義のある安全衛生委員会を開催する上でとても重要です。
安全衛生委員会の実施において、産業医は医療を修めた専門家の目線から、職場環境、そして労働災害の原因および再発防止についてアドバイスをする役割を持ちます。
産業医は専門家としての意見を述べる会社(事業者)側のメンバーであって、衛生委員会を仕切る立場ではありません。
安全衛生委員会の進行はもとより、産業保健活動に関する最終決定はあくまでも企業側が責任をもって行うものです。
テーマ選びや議事録の作成についても企業主導で準備しておきましょう。
議論は内部でとどめておくのではなく、職場にフィードバックすることが重要です。安全衛生委員会の内容は部署単位で報告を行い、従業員全体が安全衛生に意識・関心を高められるようにしましょう。とくに社内から募集したネタを扱った場合には、どのように議論され、どのような施策を実行するのかの説明が欠かせません。
安全衛生委員会を無事に実施した後には、議事録の提出及び保管が3年間義務付けられています。提出が必要となっていることをご存知の方は多いと思いますが、法律上必要とされているのは「提出」ではなくあくまで「保管」です(安衛則23条4項)。労働基準監督署の立ち入り検査(臨検)があった場合には必ず衛生委員会の議事録がチェックされますので、きちんと保管しておきましょう。
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毎月テーマを決めることは大変かと思いますが、効率的な議題選びの方法や運営方法のポイントを抑えて負担を減らしながら、参加者全員はもとより企業内の全員に有意義な会議となるようお役立ていただけますと幸いです。
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安全衛生委員会のテーマ資料サンプル集です。 「ハラスメント」「メンタルヘルス」「業務災害」の3つのテーマについて 委員会でご利用いただける資料のサンプルをダウンロードいただけます。 効果的な議論を行うためにも、ぼんやりとテーマを決めておくのではなく テーマについて下調べし、資料を作成しておくことが大切です。 参加者の論点を揃え、具体的な話や改善策の検討につながるように準備しておくとよいでしょう。
50人以上の事業場向け
1,000人以上の事業場向け
※有害業務従事の場合は500人以上
単発の面談が必要な事業場向け