#php if (is_mobile()) : ?> #php else : ?> #php endif; ?>
衛生委員会は単に実施するだけではなく、議事録を作成することが必要です。この議事録は、3年の保存年限や周知などの法的な義務があります。ここでは、法的な義務や活用方法について説明します。
常時雇用する従業員の数が50人以上の事業所では、従業員の健康や安全を守るために必要な対策について、労使が一体となって調査審議し、事業者に対し意見を述べるために月に1回以上は衛生委員会を開催する必要があります。そして、事業者衛生委員会を開催した際には、議事録を作成しなければなりません。
また、令和2年の通達によって、衛生委員会はオンラインでも開催することが認められています。オンラインの電子会議システムを活用する事によって、電子媒体として委員会の動画や話し合われた内容の会話録が残る場合があります。このような場合であっても、衛生委員会の議事録を別途作成することが必要です。
【関連記事】ネタがマンネリ化しがち…衛生委員会のテーマを決めるポイントは?
衛生委員会の議事録を作成したら、適切に保存することが必要です。作成された議事録の保存年限も法によって定められています。議事録は「3年間」は保存しておく必要があります(安衛則23条4項)。なお、紙媒体に限らず電子データとして保存することも可能です。
衛生委員会では、職場における健康や衛生に関する様々な議題について確認したり、審議したりします。その内容については、出席した委員や産業医だけが知っておけば良い、という性質のものではありません。衛生委員会の審議事項は、健康に働きやすい職場作りに寄与する事柄ですので、従業員に周知する必要があります。これは、安衛則23条3項で定められています。
周知の方法も、従業員の誰もが議事録にアクセスできるよう、法令で定められています。紙媒体を利用する場合は、事業場内の見やすい場所などに掲示する方法があります。食堂や掲示板など、誰もが目にする場所への設置が望ましいでしょう。また、従業員に書面を交付する方法も可能です。電子媒体を利用する場合は、「磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること」と規定されています。現在は磁気テープ等の利用は少なくなっていますので、実態としては社内イントラネットで公開・共有する、社内メールで送信するなどの様々な方法が考えられます。
このような周知は、各従業員がその内容を把握し、働きやすい職場作りに役立てることが重要です。単に議事録を眺めるだけにならないような工夫も必要です。例えば、ある月の衛生委員会の議事録に記載されている審議事項について、「衛生委員会で議論したが、再度議論するために従業員からの意見を募る」、「よりデータに基づいた審議を行うため実情についての簡単なアンケートを実施する」などの記載を行い、議事録に対して従業員がレスポンスをしたくなるような仕掛けを入れておくと良いでしょう。
衛生委員会は何度か行っていると、議論の内容がマンネリ化しやすい傾向があります。このマンネリ化を防ぐために、過去の議事録を見直すことも役に立ちます。これまでの労働衛生に関するデータの推移をみたり、過去の労災状況の推移を改めて確認したりすることができます。このような過去の情報に基づいた検討を衛生委員会で行うと、新たな対策を事前に打つなど、リスク要因の先取りを行うことができます。
例えば、クールビズ対策について検討する場合、除湿機をどの部署に何台入れるかを決定する必要があります。その際に、1年前の除湿機設置台数の算出根拠が他資料には残っていなかったために、算出をし直すことになりかけました。しかし、衛生委員会議事録に残っていたため、同様の算出方法を利用し、円滑に決めることができたという事例があります。
また、労災事故情報は、類似作業を行っている別の支社や事業所でも重要な情報です。同様の労災事故を別の支社・事業所でも発生させないためにも、事故情報や再発予防策の共有は重要です。こういった共有を円滑に行うために、労災事故について話し合われた議事録を活用した、という事例もあります。
先にも説明しました通り、衛生委員会の議事録の作成と保存は、法令で定められています。そのため、労働基準監督署の立ち入り検査(臨検)があった場合には、衛生委員会の議事録(保存期間の3年分)がチェックされます。このとき、衛生管理体制組織図、衛生委員会規程も同時にチェックを受けるので、同じ場所に保存し、すぐに取り出せるように整理しておくとよいでしょう。まとまった資料が整理された状態で保存されていると「書類管理については問題ない」という評価を得られ易くなります。そうすると、監督官はより直接的に職場の衛生や安全に関係する箇所のチェック・指摘に注力できます。このチェック・指摘は耳が痛いものもありますが、上手く活用することで職場の安全衛生の状態をより高めることができます。
また、臨検では衛生委員会議事録から産業医の出席や職場巡視の頻度なども確認されます。場合によっては、頻度が極端に少ない名義貸し産業医であることを疑われ、頻度を多くするように指導されることもあります。産業医の訪問頻度が少ないと指摘を受けたら、きちんと訪問するように依頼しましょう。衛生委員会でも労災事故を防止し、働きやすい環境とするために、しっかりと話し合いを行いましょう。
議事録には委員会開催の日時、出席者、衛生委員会で審議した事項、各委員からの報告(職場で困っている健康や衛生に関する問題など)、労災、過重労働の状況を含めて記載します。法令(安衛則第23条第4項)では、「委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容」と「その他、議事で重要なもの」を記録することになっています。これらの事項については、抜けがないように確認が必要です。
議事録では、個人情報の取扱いに注意が必要です。個人情報を議事録に不必要にいれることで「プライバシーが保護されない」という問題もありますが、それだけでなく、「働きやすい職場作りに悪い影響がでること」にも繋がってしまいます。例えば、労働災害の報告では、事故を起こした従業員の名前を記載することで、労働災害が個人の責任として捉えられ、職場の改善に繋がらない可能性があります。
また、産業医が出席できる日程で衛生委員会を開催することが望ましいですが、毎回出席できるとは限りません。産業医が出席していない場合には、議事録を作成した後にメールをするなどの方法で、産業医による確認を得て、記録しておく必要があります。
衛生委員会の議事録には、法的な義務があるため、適正な作成・従業員への周知・3年間の保存を実施しなければなりません。しかし、このような法的な義務を守ることだけが、目的ではありません。そもそもの衛生委員会の目的は、健康に働きやすい職場作りです。議事録はその基礎資料ともなるので、しっかりと必要な事項を記載し、活用することが望ましい在り方です。
議事録の書式は特に定まっていませんので、自社で作成したり、インターネットからダウンロードできる様式を使ったりすると良いでしょう。エムスリーキャリアでも議事録フォーマットをダウンロードできますので、ご活用ください。
安全衛生委員会のテーマ資料サンプル集です。 「ハラスメント」「メンタルヘルス」「業務災害」の3つのテーマについて 委員会でご利用いただける資料のサンプルをダウンロードいただけます。 効果的な議論を行うためにも、ぼんやりとテーマを決めておくのではなく テーマについて下調べし、資料を作成しておくことが大切です。 参加者の論点を揃え、具体的な話や改善策の検討につながるように準備しておくとよいでしょう。
50人以上の事業場向け
1,000人以上の事業場向け
※有害業務従事の場合は500人以上
単発の面談が必要な事業場向け