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ウェルビーイングとは?経営に取り入れるメリットと5つの実践方法

エムスリーキャリア健康経営コラム編集部

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健康経営が意識されるようになり、「ウェルビーイング」をキーワードにした経営施策や方針提案が増えてきました。今回は「ウェルビーイング」の言葉の意味や注目される背景、経営に取り入れるメリットをご紹介します。人事労務担当者向けの実践例もあるので、ぜひ参考にしてください。

ウェルビーイングの意味とは?

そもそも企業におけるウェルビーイングとは、どういう意味なのでしょうか。

先に答えだけをお伝えすると、「自身も周囲の環境も『良好な状態』にある」というのが健康経営におけるウェルビーイングの意味合いです。

英単語(Well-being)は幸福という意味ですが、happyのようなワクワクとする幸せよりも、ほっとしたというような安心感から得られる幸せの方がニュアンスとしては近いかもしれません。

ちなみに世界保健機構(WHO)憲章における「健康の定義」では、ウェルビーイングという言葉は次のように使われています。

“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. ”

健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)

※引用元:日本WHO協会 健康の定義

上記内容はWHOの行動指針として、健康や医療をはじめ、社会福祉など幅広い領域で使用されています。

ウェルビーイング(Well-being)の3つの側面

先の説明で述べた通り、「ウェルビーイング」といってもさまざまな捉え方があります。ここで、ウェルビーイングを3つの分野別に見ていきましょう。

医学的ウェルビーイング

医学的側面では、病気やケガ、メンタル疾患などがなく、健康的な心身が維持されることを指します。企業でも健康診断やメンタルヘルスチェックなどで測ることができるでしょう。

快楽的ウェルビーイング

快楽的ウェルビーイングは「快楽心理学」をベースにした考え方で、気持ちいい、楽しくて気分がいいなど主観的な状態を指します。このようなポジティブ感情は、心拍数、ホルモンの分泌量などに良い変化をもたらします。ただし、個人の主観によるため、本来の人の豊かさの指標としては疑念が残る部分があるかもしれません。

持続的ウェルビーイング

持続的ウェルビーイングは、その名の通り、快楽的ウェルビーイングより長いスパンで個人の状態を総合的に捉えます。家族や会社、地域コミュニティなど、あらゆる人との関係性の中で、意義を感じていきいきとしている状態が持続的ウェルビーイングです。

組織が持続的ウェルビーイングに関する施策を考える時、PERMAモデル(※)が参考になります。これは、以下の5つの要素を満たすことで持続的な幸福が得られると考えられた理論です。

  • Positive Emotions(ポジティブ感情)
  • Engagement(エンゲージメント)
  • Relationships(関係性)
  • Meaning(仕事の意義や目的)
  • Accomplishment(達成)

※引用元:ペンシルベニア大学、Martin Seligman(マーティン・セリグマン)博士の提唱理論

世界中の研究者や機関が同モデルを活用し、ウェルビーイングの政策や教育に生かしています。会社にも生かせるため、5つの要素が満たされるような環境や条件を話し合ってみてはいかがでしょうか。会社によって状況は異なるため、カスタマイズが必要です。いきなり部署単位で話すのが難しい場合は、同僚や上司など身近な人たちと話すだけでも気付きがあるかもしれません。

ウェルビーイングを構成する5つの要素

次に、アメリカの大手コンサルティング会社のギャロップ社が定義するウェルビーイングの5つの構成要素をご紹介します。先述した3つの側面よりも具体的な内容になっています。

Career Wellbeing(キャリア ウェルビーイング)

仕事、仕事以外(育児、趣味、ボランティア)、あるいは好きなことをする時間を含めた自分の時間の使い方、キャリアの幸福です。

Social Wellbeing(ソーシャル ウェルビーイング)

周りの人との強固な絆、信頼、愛情で結ばれているという人間関係に関する幸福を指します。

Financial Wellbeing(フィナンシャル ウェルビーイング)

経済的な幸せです。収入源があるか、持っている資産を管理し、有効に活用できているかなどが当てはまります。

Physical Wellbeing(フィジカル ウェルビーイング)

体と心が健康であることの幸福で、日常的に、ポジティブな感情でエネルギッシュに活動できるかが重要です。仕事の進捗や質、休日の状況など、労働環境の影響も大きい要素だと考えられます。

Community Wellbeing(コミュニティ ウェルビーイング)

居住地域や身近な社会における良好なコミュニティとの関わりに対して感じる幸福を指します。企業内コミュニティも含まれるでしょう。

※参考:The Five Essential Elements of Well-Being

ウェルビーイングが求められる社会的背景

日本でウェルビーイングが注目されている背景には、「労働人口の減少」や「会社選びの意識変化」といった労働者を取り巻く環境の変化が挙げられます。

また、世界各国と比較して日本の幸福度が低いこともウェルビーイングへの関心を一層高めました。さらに、国は労働環境に関する政策を推進して国民のウェルビーイングの後押しをしています。

労働者を取り巻く環境の変化

少子高齢化や生産年齢人口(15~64歳の人口)の減少により、労働人口自体が減少しています。その一方で、ITや生産技術は進化し、単純な作業は機械に取って代えられてしまう時代です。

そのような環境の中、“高い課題解決能力を持った優秀な人材”は企業にとって今まで以上に貴重な人材になりました。

働き方の選択肢が多様化したことで労働者は、より個人の価値観に重きを置いた会社選びができるようになっています。

「とりあえず給与が高い企業で定年まで勤める」という単純な思考ではなく、「いかに自分らしく働けるか」「長期的なキャリアアップが望めるような環境か」など個人の価値観を重視した思考で会社を選ぶよう、労働者全体の意識がシフトしたのです。

給与が高ければ優秀な人材が集まるだろうという採用活動ではもはや人材が集まりにくいでしょう。人材の長期雇用につながるウェルビーイングの重要性が高まっているのです。

日本の幸福度

国連は毎年「世界幸福度ランキング」を発表しています。各国の国民約1,000人に「今の幸せを10点満点で採点したら何点か?」を問うヒアリング調査で、数値が高いほど国民の幸福度も高いと評価されます。以下の6つの要素について回帰分析がなされます。

  • 一人当たり国内総生産(GDP)
  • 社会的支援
  • 健康寿命
  • 人生の選択の自由度
  • 他者への寛容さ
  • 腐敗の認識

「世界幸福度ランキング2020」によれば、日本は世界153カ国・地域中62位で、2018年の54位、2019年の58位から更に後退した過去最低の順位、かつG7加盟国の中でも最下位でした。(※2020年3月時点)

幸福の感じ方は国や地域によって差があるとはいえ、日本人の幸福度が低いことは認めざるを得ない結果です。こうした世界的な背景も相まって、一人ひとりの幸福度を高めるウェルビーイングの考え方がより一層求められるようになっています。

※参考:World Happiness Report 2020(25ページ)

国が「働き方改革」や「健康経営」で後押し

個人や企業のウェルビーイングへの意識の高まりは、働き方改革や健康経営など、国が推進する政策の影響も大きいでしょう。ウェルビーイングの実践は、誰もが日々健康でイキイキと「仕事」に励める状態・環境を作ることも含まれます。

先述のWHOの定義を企業の健康経営に当てはめると、「働く従業員の心身、そして仕事に取り組むための労働環境が良好な状態であること」となるでしょう。経営者、人事労務担当者には、従業員が仕事に集中するための心理的安全基盤の整備が求められます。

ウェルビーイングを経営に取り入れる4つのメリット

ではウェルビーイングを経営に取り入れるメリットは何なのでしょうか。ここでは4つご紹介します。

メリット1:「従業員一人ひとりの生産性向上」

企業がウェルビーイングを通して健康経営を実践することは、従業員が身体体的にも精神的にも健康に働くことを助けます。

もちろん、個人による日々の管理も重要ですが、一人では気付かないことも多いのが現状です。

社内相談の窓口開設といった直接的な対応をはじめ、福利厚生による間接的なサポートなど、さまざまな方法で従業員の健康を支えることができます。

メリット2:「コミュニティへの帰属意識を高める」

ウェルビーイングを通して、会社との絆が深まることで、自社というコミュニティへの帰属意識が高まります。

自ら積極的に、チームのために、会社のためにと働いてくれる従業員の育成が可能です。社内に将来の経営幹部を育てたい場合にも有効でしょう。

メリット3:「優秀な人材の確保」

優秀な人材の確保にもウェルビーイングは重要です。

企業のウェルビーイングの取り組みが「会社が従業員をどれだけ大切にしているのか」の指標になります。

従業員にマッチする施策を講じれば、過度な転職や退職を防ぐ要素としても機能するはずです。

またリファラル採用を取り入れている場合には、メリット2:「コミュニティへの帰属意識を高める」の効果もあり、自社の魅力をアピールする要素として従業員が伝えることもあります。

メリット4:「企業全体の生産性向上」

メリット1〜3の状態を組み合わせれば、労働生産性や効率が向上するでしょう。

従業員が健康的に働けることで欠勤や休職をせずに仕事に取り組めますし、心理的不安が無ければ社内で存分に能力が発揮できるのです。

帰属意識も高いため、従業員は業務に対して責任感を持ち、目標達成に向けて行動してくれます。

その環境に優秀な人材がどんどん集まり、結果として生産性や効率が高まるのです。

企業にウェルビーイングを取り入れるための5つのアクション

では、自社にウェルビーイングを導入するには、どのような行動から始めればいいのでしょうか。人事労務担当者がすぐに実践できる、5つの取り組み内容をご紹介します。

その1:必要とされる労務管理を徹底する

まずは、自社が労働基準法を遵守していることが重要です。

例えば、安全配慮義務を果たすためにも、労働時間やデスクの配置といった労働環境の確認や見直しをおすすめします。年に一回の健康診断やストレスチェック制度の実施が義務付けられていますが、これは従業員が自身の健康状態を把握する意味もあります。無理なく受けられる環境づくりができているでしょうか。

また、働く時間や場所の選択肢を増やすことも個々のウェルビーイングの向上に役立ちます。

その2:福利厚生や社内制度を充実させる

福利厚生や社内制度は、従業員の日常的な業務・生活に直結し、利用しやすいことが大切です。制度はあるものの従業員に十分使われていなければ、見直しをしましょう。

福利厚生であれば、健康に関する食事や運動への補助に人気があります。食事補助やフィットネス施設補助をはじめ、食事は社員食堂の整備や宅配業者との提携、販売機の設置など、さまざまな工夫ができます。

また、テレワークや副業の導入、スキルアップやキャリア支援制度などのニーズも高まっています。福利厚生のアウトソーシングなどを活用すると中小企業でも提供できるサービスの幅が広がるでしょう。

その3:活発なコミュニケーションを促す環境を作る

活発で良好なコミュニケーション環境もウェルビーイングの重要な要素です。コミュニケーション環境が整っていると、仕事は進みやすく、問題の早期発見や解決にも寄与します。

自社の業態・業務スタイル、従業員に合わせた整備と改善をおすすめします。

具体的には、フリーアドレス制の導入や休憩室を交流の生まれやすいレイアウトにするのも一策です。感謝を伝え合う制度・ツールの導入や上司と部下の定期的な1on1ミーティング、社員同士の親睦を深めるイベントやサークル活動の推進で成功している企業もあります。

その4:ウェルビーイングを可視化する

ウェルビーイングの取り組みや結果は、成果が見えづらいため、見える化して状況を把握することをおすすめします。

従業員のアンケートから意見を吸い上げていくと、状況の把握と改善点がまとめてわかるでしょう。ウェルビーイングの取り組みを可視化するツールも増えてきているので、用途に合うものを探して活用してみてはいかがでしょうか。

その5:他社事例から自社に合う内容を検討する

もし、取り組みを一から考えるのなら、他社の事例も参考になるでしょう。

一例を挙げると、PwC Japanグループは、ウェルビーイングを独自の4つの領域(Physical、Mental、Emotional、Spritual)で捉え、従業員のウェルビーイングの向上に向けた施策や環境づくりを推進しています。

主な取り組みは以下の通りです。

◇健康維持・増進活動の推進
・定期健康診断
・法定検診以外の補助
・予防接種の補助
・歯科検診の補助
・健康電話相談システム
・検診結果で所見のあった社員への指導
・ウェルビーイングセミナー(運動・食事・睡眠セミナーなど)
・ウェルビーイング通信
・マッサージルームの設置

◇メンタルヘルス対策の推進
・ストレスチェック(年1回)
・メンタルヘルス研修(全社員・管理職向け)
・相談窓口(産業医・看護師常駐)
・カウンセリングサービス
・職場復帰支援プログラム(勤務制限・産業医面談・カウンセリングサービスなど)

※引用元:PwC Japanグループサイト

このほか、健康経営銘柄や経済産業省近畿経済産業局などが公表する事例が役立つでしょう。自社の環境や状況に合わせ、モデルとなる事例を探してみてください。

健康経営銘柄2020

経済産業省近畿経済産業局

自社なりのウェルビーイング施策を実行しよう

人々の健康意識が高まり、企業もウェルビーイングを意識した経営に注力することが求められる時代。各社、さまざまなウェルビーイング施策に取り組んでいますが、まずは自社の現状を俯瞰して、自社に合う取り組みを実行・継続することが重要です。

ウェルビーイングの取り組みを通して、従業員にとってより働きやすい職場環境につなげていきましょう。

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