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従業員が休職を申し出たら、スムーズに療養を開始できるよう、事業者は速やかに手続きを進める必要があります。また、休職に関する手続きとともに復職に向けた支援を行うことも重要です。
本記事では、従業員の休職時に会社が行うべき手続きや対応について解説します。
従業員の休職時、事業者は以下の流れで手続きを行う必要があります。
1.医師の診断書を確認する
2.休職届の提出を依頼する
3.就業規則上の休職期間について説明する
4.休職中の給与の支払いについて説明する
5.社会保険料について説明する
6.傷病手当金の受給手続きについて説明する
7.休職中の連絡方法を決める
事業者が率先して対応することで、従業員は安心して療養に専念できるようになります。それぞれの手続きについて解説します。
【参考】厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
従業員が休職する際には、医師の診断書を確認する必要があります。なぜなら、医師の判断なしには休職を決められないためです。
医師の診断書には、病名や必要な療養期間などが記載されており、従業員の休職が必要かどうかを判断する材料になります。
また、従業員から医師の診断書が提出されたら、管理監督者は速やかに人事労務担当者に診断書が提出された旨を連絡することが大切です。診断書が提出された時点で情報を共有することで、休職の事務手続きや支援がスムーズに進められます。
【関連記事】産業医は診断できない?産業医の意見書と主治医の診断書、役割別の対応を解説
医師の診断書を確認し、従業員の休職が就業規則上、妥当であると判断できたら、当該従業員に休職届の提出を依頼します。
休職届のフォーマットに決まりはありませんが、最低限以下の項目を記載してもらう必要があります。
・休職期間
・休職事由
・休職中の連絡先
当該従業員の症状によっては、すぐに休職届を提出できないこともあるため、相談のうえ提出日を決めておくとよいでしょう。
就業規則で認められる休職期間を従業員に説明します。
医師による診断書には必要な療養期間が記載されていますが、あくまで医学的観点から見た療養期間の目安です。したがって、事業者は「就業規則において最長いつまで休職が認められるのか」を説明する必要があります。
休職期間が満了する時点で病状が回復せず、復職が困難な場合は自然退職となることも説明しておくと、トラブルに発展することを避けられます。
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次に、休職中の給与の支払いについて説明します原則として、休職中の従業員に対して、会社側は賃金を支払う義務はありません。
ただし、就業規則で「休職中も給与を支払う」と定めている場合は、給与の支払いが必要です。
給与の説明とあわせて、休職中の社会保険料の扱いについても説明しましょう。
休職中であっても、従業員には社会保険料の支払い義務が発生します。負担割合は休職前と同様、会社と従業員で半分ずつです。
ただし、休職中に無給となる場合は給与から保険料を差し引けないため、徴収方法を事前に話し合って決める必要があります。
以下は、休職中の社会保険料の徴収方法の一例です。
・毎月従業員から直接会社に振り込んでもらう
・傷病手当金を会社で受領し、社会保険料控除後に手当金を支給する
・会社が立て替えておき、復職後にまとめて徴収する
・復職後の賞与で相殺する
ただし、復職後に徴収する方法は、従業員が休職期間を延長した場合や退職した場合に徴収できなくなる恐れがあるため注意が必要です。
住民税についても、上記の方法または普通徴収への切り替えのいずれかを選択してもらいましょう。
従業員に安心して休んでもらえるよう、傷病手当金についての説明は必須です。傷病手当金とは、病気や怪我が理由で働けなくなったときに、本人とその家族の生活を保障するための制度です。
社会保険の被保険者に対し、支給開始日から通算して最長1年6ヶ月間、給与額の3分の2にあたる金額が支給されます。
傷病手当金を受け取るための条件は、以下の4つです。
・業務外での病気や怪我による休業であること
・怪我や病気で働けないこと
・連続して4日以上仕事を休んでいること
・休職中に会社から給料が支払われていないこと
また、うつ病などが休職の原因として労災と認められた場合、労災保険の休業補償給付の受給が可能です。病気によって生活や仕事などが制限される場合は、障害年金を受給できることもあります。
これらの手当金の受給手続きを行うにあたって、従業員から必要書類の記入や押印を求められた際は、速やかに対応しましょう。
【参考】全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」
休職中の従業員との連絡方法を決めましょう。具体的には、社内の連絡窓口や連絡の頻度、方法、連絡内容を取り決めます。
たとえば「上司と月1回程度、主治医へ受診後に電話で治療経過報告をする」などです。
休職して間もない頃は療養に専念してもらうために、できるだけメールや書面での必要最低限の連絡など、従業員の負担にならないように配慮するとよいでしょう。
連絡を行うタイミングについては、職場復帰支援プログラムの策定時に検討しておくことが望まれます。
従業員の休職中は、以下のような対応を取る必要があります。
・定期的に連絡を取る
・休職者の病状や回復状況を確認する
・悩みや不安を相談できる公的機関・民間支援サービスの情報を提供する
それぞれの内容について解説します。
【参考】厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
従業員にゆっくり休んでもらうために、休職期間中は適切な距離をとることが大切です。
しかし、完全に放っておくのではなく、定期的に連絡を取ることも必要です。休職中は長期間仕事から離れることで、従業員が会社からの疎外感や孤独感を感じやすくなります。
休職中に会社とコンタクトを取っていると、「会社とのつながり」「会社に支援してもらっている」といった安心感が醸成され、復職を見据えた療養に専念してもらえます。
事前に取り決めた範囲で、従業員の負担にならない程度に連絡を取りましょう。
休職中は、当該従業員の現在の病状や回復状況を確認することも必要です。休職中も病状や回復状況を確認することで、復職までの見通しが立ち、復職に向けた準備がしやすくなります。
また、休職期間の延長が必要になった場合や、休職者から退職の意向が示されたときにスムーズに対応できるでしょう。
現在の状況を確認する際は、復職を急かしたりプレッシャーを与えたりする聞き方にならないように注意が必要です。
また、休職者本人が自分の心身の状態を把握するために、生活記録表を作成してもらうのもよいでしょう。
【関連記事】
休職・ 産業医の復職面談で使用する記録表の活用方法とは?
休職中に従業員がメンタルを安定した状態に保てるよう、悩みや不安を相談できる公的機関・支援サービスの情報を提供しましょう。
休職期間中は孤独感や今後のキャリア、復職できるかなど従業員がさまざまな悩みや不安を抱えることが予想されます。個別相談できる公的機関・民間支援サービスについて伝えておけば、精神的負担が緩和され復職に前向きな姿勢になれるでしょう。
従業員が復職を希望した場合は、主治医が作成した復職可否の診断書を提出してもらったうえで、産業医による復職面談を行います。
一人ひとりの状態をきちんと見極め、復職可能かの判断を下します。メンタルヘルス不調による休職は、人によって症状の経過や回復状態が異なるためです。
最終的な復職可否の判断は、産業医・主治医の意見を参考にしながら事業主が決定します。一般的には、以下の条件を満たしていると復職可能と認められやすい傾向にあります。
産業医による復職面談を経て復職が可能と判断できたら、職場復帰支援プランを作成します。また、従業員が復職後問題なく働けるよう、復帰後のフォローアップも欠かさずに実施しましょう。
詳しい復職支援の流れや注意点などについては、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
【関連記事】従業員の再休職を防ぐには復職支援が必須!産業医との連携による支援の流れを解説
【関連資料】【産業医監修】従業員の復職対応6点セット
従業員が休職を申し出たら、まずは主治医の診断書を確認し、休職に必要な事務手続きや説明を行う必要があります。従業員が経済的な心配をせずに休めるよう、休職中の社会保険料の支払い方法や傷病手当金の説明も必ず行いましょう。
また、休職期間満了後、従業員がスムーズに復職できるようにするためには、相談機関の情報を提供することも欠かせません。休職時に必要な手続きを理解し、適切な支援を行いましょう。
休職中の従業員が職場復帰をするにあたり、事業者にはさまざまな対応が求められます。 本資料は産業医監修のもと、厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」の内容に基づいて作成した以下の資料をセットにしたものです。 流れがわかる!従業員の職場復帰支援ガイド 復職及び就業上の配慮に関する情報提供書 復職支援に関する情報提供依頼書 産業医面談記録表 両立支援プラン/職場復帰支援プランの作成フォーマット 生活記録表 「従業員の職場復帰の流れについて把握したい」 「従業員の職場復帰時に必要な資料がほしい」 とお考えでしたら、ぜひご活用ください。
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