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産業保健師とは?企業での役割や産業医との違いを解説

従業員の健康への配慮が企業の発展につながる「健康経営」への取り組みが広がる中で、注目すべき存在が「産業保健師」です。

しかし、産業保健師の選任は任意なため、まずは産業保健師が企業内でどんな役割を果たすのかを理解したうえで、設置を検討する必要があります。

この記事では、産業保健師の役割や選任するメリットなどを詳しく解説します。産業保健師の採用時に重視すべきポイントも紹介していますので、産業保健師の設置を検討している企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

産業保健師とは

産業保健師とは、民間企業に設置される保健師です。人事担当者や産業医と協力して、従業員の健康維持・改善をサポートする業務を行い、ときには産業医と企業をつなぐ立場にもなります。

また、企業の労働衛生対策として、厚生労働省が企業に対して「産業保健チーム」の構築を推進しており、産業保健師もその一角を担う存在です。

産業保健チームでは、産業医の業務の一部について、産業保健師も医療・保健の専門職として携わるよう厚生労働省が提言しています。そのため、今後産業保健師の必要性が高まっていくと考えられます。

【参考】厚生労働省「産業保健活動をチームで進めるための実践的事例集」

産業保健師の役割

産業保健師の役割は、企業で働く従業員のケガや病気を未然に防止し、健康を維持させることです。その実践のために、産業保健師が行う具体的な業務は以下の6つです。

  • 健康相談
  • ストレスチェックの実施
  • 従業員向けセミナーの実施
  • 衛生委員会への参加
  • 職場環境の巡視
  • 定期健康診断

それぞれの内容について解説します。

【参考】厚生労働省「産業保健活動をチームで進めるための実践的事例集」

健康相談

産業保健師は、従業員からの心身の健康に関する相談に対して助言したり、産業医面談へつなげたりする役割を果たします。

産業保健師による健康相談では、生活習慣病や健康改善などの身体的な内容だけでなく、業務上のストレスによるメンタルヘルスの不調についても対応します。

また、私傷病で休職していた従業員に対して、面談や経過観察などの復職支援をするのも産業保健師の業務です。

ストレスチェックの実施

常時50人以上の従業員がいる事業所で義務づけられているストレスチェックも産業保健師の役割の一つです。

ストレスチェックを実施できるのは、法令で定められた有資格者のみです。産業保健師もこの有資格者に該当するため、ストレスチェックを担当できます

また、ストレスチェックを実施するだけではなく、析結果をまとめたり、課題を見つけたりするのも産業保健師の役目です。

【参考】厚生労働省「労働安全衛生法にもとづくストレスチェック制度実施マニュアル」

【関連記事】
ストレスチェックの対応はできていますか?導入から実施までの流れを徹底解説
義務化されたストレスチェックは正しく実施しよう!制度や方法を紹介
ストレスチェック制度とは?導入された背景や目的、実施時の流れを解説

従業員向けセミナーの実施

産業保健師は、健康管理についてやメンタルヘルス対策などの社内セミナーを実施することもあります。

役職別にテーマを変えて実施したり、従業員が参加しやすいようにオンライン形式にしたりなど、企業の課題や状況によって適切な方法で実施します。

衛生委員会への参加

職場環境の保持や改善を目的にした衛生委員会の構成員には、産業医を含める必要がありますが、産業保健師の参加は義務化されていません。

しかし、医療分野の専門家としての見解を述べたり、現場の状況を発信できたりするため、産業保健師は衛生委員会の構成員として適任といえます。

【参考】厚生労働省「職場のあんぜんサイト」

【関連記事】安全衛生委員会と衛生委員会とは? それぞれの役割と開催条件について

職場環境の巡視

産業医による職場環境の巡視に同行するのも、産業保健師の役割です。職場環境の巡視は、産業医に義務づけられた業務で、産業保健師による実施は必須ではありません。

しかし、産業保健師も同行し医療・衛生分野の専門家の視点から課題を見つけ、改善案を提示できます

【関連記事】
産業医の職場巡視は義務!2ヶ月に1回でもOKな理由、罰則、チェックリストを確認
衛生管理者による職場巡視は義務なのか?労働環境改善に役立つポイントを徹底解説

定期健康診断

健康診断を滞りなく実施するために、産業保健師は健康診断前と診断後に以下の業務を行います。

健康診断前

産業保健師は、健康診断の実施前に健診の対象となる従業員のリストアップや、外部の健診機関との日程調整を行います。また、従業員への健診の案内も業務の一環です。

健康診断後

健康診断の結果によって、従業員に保険指導をするのも産業保健師の役割です。必要に応じて産業医との面談を設定し日程調整を行います。

その他に、受診結果の集計・分析やデータ管理などのデスクワークも担当します。

産業保健師を選任する3つのメリット

産業保健師を選任するメリットは、以下の3つが挙げられます。

  • 従業員に細やかな対応ができる
  • 産業医の負担軽減が見込める
  • 健康に関する社内行事に対応できる

順番に解説します。

従業員に細やかな対応ができる

産業保健師を選任すると、従業員へのより細やかなフォローが実現します。常勤の産業保健師であれば、産業医の不在時でも、日常的に現場で従業員と接点が持てるためです。

また、産業保健師が健康に関する相談窓口の役割を担うことで、従業員が気軽に相談しやすくなり、こまめな健康管理のサポートができます。

産業医の負担軽減が見込める

産業保健師のサポートによって、産業医の業務負荷を軽減できます。産業医の職務には、産業保健師が代わりに対応できる業務もあるからです。

企業によっては、産業医の出勤回数がそれほど多くないケースもあります。そこで、産業医が対応しきれない業務や産業医面談の日程調整などを代行できる産業保健師は、産業医や企業にとって頼れる存在です。

また、産業保健師が従業員の心身の健康状態を把握し産業医に共有することで、スムーズな健康管理業務の遂行につながります

健康に関する社内行事に対応できる

産業保健師を選任すれば、健康に関する社内行事の企画・運営に携わってもらえます。たとえば、下記のような場面で産業保健師の参画が期待できます。

  • セミナーを依頼できる
  • 健康イベントの企画・助言をしてくれる場合がある

それぞれの場面について解説します。

セミナーを依頼できる

産業保健師には、従業員向けのセミナー講師を依頼できます。産業保健に携わる専門家として登壇し、従業員の健康維持や改善に役立つ内容の講演が可能です。

企業内の健康についての課題を把握している産業保健師の講演であれば、従業員が自分ごととして捉えやすくなりますまた、外部の専門家に依頼するコストが削減できるのもメリットです。

健康イベントの企画・助言をしてくれる場合がある

選任した産業保健師が、ウォーキングやヨガなどの健康イベントを企画したり、実施する際に助言してくれたりする場合があります。

企業に常駐している産業保健師ならではの、従業員のニーズを汲み取ったイベントの開催が期待できます

産業保健師の採用時に重視すべきポイント

産業保健師を採用する際には、以下の点を重視しましょう。

  • 事務処理能力
  • 企業での実務経験
  • コミュニケーション能力

事務処理能力

産業保健師を選ぶ際には、事務処理能力を確認しましょう。事務処理も産業保健師の必須の日常業務だからです。

中でも、パソコンスキルがあるか否かはとくに重要です。産業保健師は、パソコンを日常的に使用するため、スムーズに業務をこなせる程度のパソコンスキルを持っている必要があります。

データ管理やリスト作成で使うExcelや、セミナー資料を作成するためのPowerPointなど、業務で必要なレベルを有しているか確認しましょう。

企業での実務経験

企業での実務経験がある産業保健師を採用すれば、早期に戦力になってくれる可能性が高まります。実務経験者であれば、入社時から産業保健師の業務内容を理解しているため、新人教育にかかる時間やコストの削減にもつながります

とくに、産業保健師を設置するのがはじめての企業は、産業保健師の実務の流れが分かる人材を採用するのが望ましいです。採用選考の際には、産業保健師としての経験年数や、最近の産業保健についてどの程度理解があるかなどを確認しましょう。

コミュニケーション能力

産業保健師の採用時には、コミュニケーション能力も重視しましょう。従業員や人事労務担当者、産業医と関わる機会が多いため、コミュニケーション能力は必須といえます。コミュニケーション能力やカウンセリング能力が高ければ、従業員から相談しやすい人だと認識され、結果的に従業員の健康状態をより詳しく把握できる可能性が高まります

従業員に寄り添って耳を傾けられるか、的確にアドバイスを伝えられるかなどのコミュニケーション能力を確認しましょう。

産業保健師と産業医の違い

産業保健師と産業医では、以下の4つの点が異なります。

  • 設置義務の有無
  • 必要な資格
  • 勤務形態
  • 業務の範囲

それぞれの違いについて、順番に解説します。

設置義務の有無

産業医は、常時50人以上の従業員がいる事業所には1人以上、3,001人以上の事業所には2人以上設置するよう労働安全衛生法で定められています。

それに対して、産業保健師には設置に関する法的な定めがなく企業が任意で選任します。

【参考】
厚生労働省「産業保健活動をチームで進めるための実践的事例集」
東京都医師会「産業医とは」

【関連記事】産業医の選任義務とは?設置基準や選任届について解説

必要な資格

産業医は医師免許に加えて、厚生労働省の定める要件を満たす必要があります。一方で、産業保健師は、保健師免許と看護師免許の両方の取得が必須です。

【参考】
厚生労働省「産業医について」
e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」

勤務形態

産業医は、常勤の「専属産業医」と非常勤の「嘱託産業医」に分かれます。産業医の出社日数に明確な規定は存在しませんが、専属産業医の場合は週3〜5日程度出社するのが一般的です。

嘱託産業医の場合は、開業医や勤務医が日常診療と掛けもちで従事していることが多く、出社する頻度は月1〜2回程度と少ないケースもあります。

一方、産業保健師は、企業に直接雇用され社内の医務室などに常駐するのが一般的です。出社日数は企業によって異なり、週に数回程度のケースもあります。

【参考】
東京都医師会「産業医とは」
e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」

【関連記事】非常勤の産業医とは?専属産業医との違いや報酬相場、選び方のポイント

業務の範囲

産業医の業務は、医学の専門的な知識にもとづいた健康に関する指導・アドバイス、休職・復職判定などです。また、衛生委員会への参加や定期的な職場巡視などの法令業務もあります。

それに対して産業保健師は、医療・衛生分野の知識を有した保健師としての立場から、従業員の健康相談に対するアドバイスや指導などが主な業務です。

【参考】
厚生労働省「産業保健活動をチームで進めるための実践的事例集」
e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」

【関連記事】産業医とは? 企業での役割、仕事内容、病院の医師との違いを解説

産業保健師と産業医はセットで選任するのが望ましい

産業保健師の設置を検討する際は、産業医の設置を前提として選任することをおすすめします。

従業員数が50人未満の企業には、産業医の設置義務がありません。そのため、産業医を設置せず、産業保健師のみを選任しても法的に問題は生じません。

しかし、産業医の補助業務に携わる立場の産業保健師のみでは、対応できない範囲が出てきます医師免許を保有し医学の専門知識のある産業医も産業保健師とともに選任すれば、より専門性の高い健康管理の実施が期待できます。

【参考】東京都医師会「産業医とは」

【関連記事】50名未満の事業所にも産業医って必要?―今さら聞けない産業保健vol.3

産業保健師と協力し、従業員の健康維持に努めよう

産業保健師は、企業で働く従業員に対して健康に関する指導や助言を行う、医療・衛生の専門家です。従業員の心身の健康維持・改善を目的として、産業医をサポートする役割を担っています。

健康経営の観点から、産業保健師を設置して従業員の健康を守ることは、結果的に生産性の向上につながります産業保健師と協力して、従業員が健やかに働けるように努めましょう。

エムスリーキャリア健康経営コラム編集部

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