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職場関係者とお酒を飲む機会がある全ての人が加害者・被害者になる可能性があるのが、「アルコールハラスメント(アルハラ)」です。職場関係者との飲み会での何気ない言動・行動が、「実はアルハラだった」というケースは少なくありません。
アルコールハラスメントを未然に防ぐためにも、人事労務担当者は、アルハラが従業員、そして社会に与える影響について考え、会社として対策を講じる必要があります。
本記事ではアルコールハラスメントの概要をはじめ、どのような行為が該当するか、企業に与える影響などについて解説します。忘年会、新年会、歓送迎会といったお酒の席が増えるシーズンに向けて気をつけたいポイントを押さえておきましょう。
アルコールをはじめとする依存性薬物の問題を予防、早期発見や治療支援、回復を応援するNPO法人ASK(アスク)によると、アルハラは「飲酒にまつわる人権侵害。命を奪うこともある」と述べられています。ASKが示すアルハラの定義は次の5つです。
アルコールハラスメントには、上司や先輩などが心理的な圧力などをかけ飲まざるをえない状況に追いこんだり、飲めないと主張する人の意向や体質を無視して飲酒を勧めたりなどが当てはまります。相手がNoと言えない状況に追い込んだり、圧力を利用した状況での飲み会はアルハラといえます。アルコールハラスメントの定義とあわせて、以下の「あなたのアルハラ度セルフチェック」を社内周知することで、従業員の意識改善が期待できます。
1つでもあてはまったら、あなたは気づかぬうちにアルハラしている可能性があります。
当然ながら、数が増えるほど、アルハラ度は上昇します。
【引用】特定非営利活動法人ASK「あなたのアルハラ度セルフチェック」
ゼネラルリサーチ株式会社が実施した「アルコールハラスメントに関する意識調査」によると、お酒の強要などのアルハラを受けたことがある人はアンケート対象者の40%に対し、アルハラをしたことがあると回答した人はわずか10%でした。
同アンケート結果からも分かるように、自分がアルハラの加害者であるということは自覚しにくい状況にあります。
アルハラは、セクハラやパワハラといった他のハラスメント同様、犯罪です。
刑事、民事といった法的責任が問われます。加害者となった従業員はもちろん、場合によっては企業も責任を負うケースがあります。具体的には、お酒を無理矢理強要することは強要罪、強要して酔い潰された場合には傷害罪、飲酒が原因で倒れたのに救急車を呼ばなかった場合には保護責任廃棄罪などが挙げられます。
一気飲みを促すようなコールで飲まないといけないような空気を作り出した人も、現場助勢罪に問われる可能性があります。もし会社の飲み会でこれらの行為が行われたのであれば、使用者責任として、企業は損害賠償を背負う可能性があります。これは民事責任に該当します。
過去にあった訴訟では、周囲から見ても明らかに飲めない営業担当に「吐いたら飲める」と飲酒を強要した上司と企業が提訴されました。本件では、上司の不法行為責任と会社の使用者責任が認められ、損害賠償が命じられています。
このようにアルハラは従業員だけが意識する話ではなく、企業としても従業員が問題を引き起こさないよう一体となって対策を講じる必要があるのです。
参考:ゼネラルリサーチ株式会社 アルコールハラスメントに関する意識調査
アルコールハラスメントが与える従業員や企業への影響にはどのような内容があるのでしょうか。
従業員の立場からは、「従業員の離職のきっかけ」「仕事へのモチベーション低下」などが挙げられます。
昨今は、従業員一人ひとりの労働環境における心理的安全性が重視されます。
だからこそ、アルハラが生じるような環境では安心して働くこと自体が難しいと判断され、仕事に対する意欲の低下や離職のきっかけに繋がります。
また訴訟問題などで裁判問題などに発展すると、「企業ブランドの失墜」の引き金にもなりかねません。
アルハラに限らず、ハラスメントが生じる企業に対しては、社会的な責任を果たせるかどうかという世間の目が厳しく突き刺さるからです。
次に、「アルハラを起こしやすい社員」「受けやすい社員」の特徴について説明します。
アルハラを起こしやすい社員の特徴としては、「飲むこと=コミュニケーション」「上下関係に厳しい」「私生活が上手くいってない」などが挙げられます。
まず世代に限らず、「飲むこと=コミュニケーション」と考えている方の場合には、自分のお酒の誘いやお酌を断られると自分自身のことを拒否されていると感じてしまうケースが少なくありません。その結果として、無理矢理にでもコミュニケーションを取ろうとお酒の強要などに走ってしまうのです。
上下関係に厳しい方の中には、「なぜ、円滑に飲み会を進めるためにも一杯飲めないのか」と考えてしまう人もいるようです。
また、私生活が上手くいってない方の場合だと、お酒に溺れて自身の感情がコントロール出来ず、周囲に絡んでしまう状況が多々生じます。
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アルハラを受けやすい社員の特徴としては、「空気を読みすぎて断れない」「若手は飲まないといけない」「飲みキャラ、いじられ役」などが挙げられます。
新入社員や若手に多いのが、「空気を読みすぎて断れない」ケースです。企業内における、上司や先輩とのこれからの関係性を気にして、本音が言えない状況になっています。学生時代の部活や環境が起因となって、「若手は率先して飲まないといけない」という意識を持っている方も少なくありません。同時に「飲むこと=コミュニケーション」と捉えていることが多いです。
「飲みキャラ、いじられ役」といった立ち位置になっている人も、場の雰囲気を盛り上げるために、飲むことを強要されやすい状況にあります。
アルコールハラスメントを未然に防ぐためには、企業としてどのような対応をとるのが望ましいでしょうか。その一例をご紹介します。
社内報の一環としてアルハラについて取り上げる、アルハラによる企業訴訟の事例を伝えるなどすることで、身近なところから社員たちに情報が発信できます。
飲みニケーション世代に時代が変わっていることを自覚してもらうためにも、産業医や専門家などを招いて「アルハラの勉強会を実施」する方法もあります。
専門家の第三者視点から話してもらうことで、飲むことがコミュニケーションになっている管理職などに、客観的な意見を知ってもらうことが狙いです。
また「労使との連携」によって企業を挙げてアルハラに対して厳しい姿勢をもって向き合うこと、現状を把握するための「企業アンケートの実施」なども、検討してみてはいかがでしょうか。
企業が把握していないところで、既にアルハラの被害にあっている従業員がいるかもしれません。人事労務担当者を中心に体制を整え、ハラスメントも対象としたハラスメント関連の相談窓口を設けましょう。窓口を設置することで、被害にあった従業員の把握・対応を速やかに行うことが期待できます。
アルコールハラスメントは、従業員はもちろん、企業に大きな損害を与えるハラスメントです。日頃から従業員に情報発信、ハラスメント全般に対する研修を行うことで、アルハラを未然に防げる可能性が高まります。企業としてしっかり対策を行っていきましょう。
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