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従業員の健康管理を経営課題としてとらえ、積極的に取り組むことで組織全体のパフォーマンスを向上する「健康経営」を目指す企業が増えてきました。
そこで注目を集めているのが、経済産業省が実施する「ホワイト500」認定制度です。
ホワイト500は、健康経営の取り組みを認められた健康経営優良法人の中でも、とくに優良であると認定された企業を指します。
ホワイト500に認定されると「健康経営に熱心な企業」と周知されるため、企業イメージの大幅な向上が期待できます。その他にも社内外でさまざまなメリットがあるため、健康経営の実現を目指す場合はぜひとも認定を受けたいところです。
今回は、そんなホワイト500について、制度の概要やメリット、認定を受けるための基準や申請方法などを詳しく紹介していきます。
ホワイト500とは、健康経営優良法人認定制度の大規模法人部門に認定された企業のうち、上位500法人に付与される称号です。
健康経営優良法人認定制度は、健康経営に取り組む優良な法人を顕彰する制度のことで、経済産業省が認定しています。
健康経営に取り組む企業を「見える化」することで社会に周知し、企業が適切な社会的評価を受けられるよう環境を整えることが目的です。
ホワイト500に認定されることは、健康経営に取り組む優良法人の中でも、とくに優良であると認められた証明になります。
▼中村創一(エムスリーキャリア株式会社 健康経営グループ コンサルタント)からのコメント
【参考】経済産業省「健康経営優良法人認定制度」
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【5分でわかる】健康経営優良法人の認定基準と申請方法について企業担当者が知っておくべきこと
健康経営とは?企業が取り入れるメリットや取り組み方法を徹底解説
健康経営優良法人認定制度の申請企業が増えているため、ホワイト500の認定難易度は上がっています。
大規模法人部門の認定数は2023年では2,676法人でしたが、2024年には2,988法人と一年で300件増加しました。
ホワイト500に認定されるには、まず健康経営優良法人認定制度で認定されたうえで上位500企業に入る必要があります。そのため、認定取得難易度は非常に高いといえるでしょう。
▼中村創一(エムスリーキャリア株式会社 健康経営グループ コンサルタント)からのコメント
【参考】経済産業省「健康経営優良法人2024」認定法人が決定しました!」
ホワイト500に認定されると、社内的にさまざまなメリットがありますが、とりわけ従業員に関連したメリットは大きいです。ここでは、社内に期待できるホワイト500認定の主なメリットを解説します。
ホワイト500認定を受けることは、従業員の健康維持につながります。
認定を受けるには、従業員の健康課題の把握やワークライフバランスの推進、過重労働対策やメンタルヘルス対策など、幅広い分野での取り組みが必要です。
ホワイト500認定に向けてこれらが積極的に行われるため、必然的に従業員の健康が良好に保たれます。
生産性の向上が期待できることも、ホワイト500認定を受けるメリットの一つです。
ホワイト500に認定されるほど健康経営が実現できているなら、従業員が健康を損なって休職・離職に至るリスクが軽減できます。
労働力の喪失による生産性低下や、新たな人材確保のためのコスト増加などのダメージを避けられるのは、企業にとって大きな魅力です。
また、従業員が心身ともに充実した状態で働けることで、モチベーションや生産性の向上など組織の活性化も見込めるでしょう。
【関連記事】プレゼンティズム、アブセンティズムとは?違いや原因、改善方法を解説
企業が従業員を大切にしていることが伝われば、従業員のエンゲージメントも向上し、労使間の関係改善や、さらなるモチベーションの向上につながる可能性もあります。
従業員一人ひとりが意欲的・能動的に業務に取り組んだ結果、個々のパフォーマンスが最大限に発揮され、企業の業績向上も期待できるでしょう。
社外に期待できるホワイト500認定のメリットは、主に「イメージの向上」です。自社の印象が良くなることは、投資や採用の面でも大きな影響があります。
ホワイト500は、経済産業省・日本健康会議が共同で認定する制度です。そのため信頼性が高く、認定を受けると「従業員を大切にしている企業」として、社会的に高い評価を受けられます。
健全な企業イメージが広まるだけでなく、健康経営による業績向上が期待されるなどして投資家から好まれ、株価が上昇するケースも少なくありません。
近年、投資や購買行動でも、企業の倫理性や社会的な取り組みが重視されるようになりました。実際、健康経営銘柄2023に選定された企業の株価は、東証株価指数を上回る形で推移しています。
また、2021年には経済産業研究所の研究で健康経営施策と利益率には正の相関があることが明らかになりました。
【参考】経済産業省「健康経営の推進について」
ホワイト500の認定を受けると、健康経営に取り組む企業としてESG観点から投資家の評価向上が期待できます。
ESGとは「Environment=環境」「Social=社会」「Governance=ガバナンス」の頭文字です。このうち、健康経営はSociaにあたります。
ESG投資では環境配慮や、人権・ダイバーシティに関する取り組み、法令遵守などを重視して投資先を決定します。
ホワイト500に認定されることは、人や社会を重んじる企業である証拠です。ESGを重視する投資家からは、投資先にふさわしい企業として評価される可能性が高まるでしょう。
企業イメージが向上することで、より多くの人材が集まりやすくなる効果も期待できます。
長時間労働や過労死が社会問題として注目される昨今では、従業員の健康に配慮する企業の人気が高いため、ホワイト500の認定を受けていることは大きなアピールポイントになるでしょう。
健康経営に取り組む企業は、金融機関から優遇措置を受けられる場合があります。また、自治体から奨励金や補助金も受けられる可能性もあります。
国が健康経営を推進していることから、今後優遇措置などが増えることもあり得るでしょう。
優遇措置に関しては、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
【関連記事】健康経営優良法人制度とは?認定されるメリットや申請方法を解説
ホワイト500に認定されるには、健康経営優良法人に認定され、その上位に入る必要があります。そのため、まずは健康経営優良法人に認定されるように、認定要件をよく理解することが重要です。
ここでは2024年の認定要件を参考に、大項目要件の詳細を解説します。
【参考】経済産業省「令和5年度 健康経営度調査」
一つ目の大項目は「経営理念・方針」です。健康経営優良法人(大規模法人部門)認定のためには「健康経営の戦略、社内外への情報開示」の小項目のみ必須となっています。
しかし、ホワイト500認定のためにはすべての小項目が必須です。「経営理念・方針」の項目でやるべきことは、「社内外への情報開示」と「自主従業員の枠を超えた取り組み」です。
健康経営の宣言や従業員のパフォーマンス指標・測定方法をレポートなどで開示し、健康経営の取り組みを自社従業員に留まらず普及することが評価につながります。
なお、ホワイト500認定の方が、健康経営優良法人(大規模法人部門)認定よりも条件が厳しくなっているのはその他の大項目でも同様です。
2つ目の大項目は「組織体制」です。健康経営に向けた組織体制を十分に整えられているかが問われます。たとえば、「実施体制」の小項目では、「健康経営施策の実施にあたって、産業医または保健師はどのように関与しているか」が焦点です。
「とくに関与していない」と回答するような体制だと、その時点で健康経営優良法人に認定されないので注意が必要です。
【関連記事】【まとめ】産業医の探し方 紹介を受けられる5つの相談先と選び方のポイント
3つ目の大項目は「制度・施策実行」です。健康経営のために実際にどのような制度を設計し、施策を行っているかが問われます。
たとえば「50人未満の事業場におけるストレス チェックの実施」では、50人未満の事業場でストレスチェックを実施していない場合、項目不適合となります。
「長時間労働者への対応に関する取り組み」では、面談指導や時間外労働の制限を行っているかが質問項目です。
また、メンタルヘルス不調の予防や不調者への復職支援、就業と治療の両立支援への取り組みが問われる項目もあります。
なお、2024年の「制度・施策実行」項目には、17つの小項目がありました。ホワイト500の認定要件としては、その17項目のうち特定の13項目が必須要件となっています。
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4つ目の大項目は「評価・改善」です。昨年までの取り組みについてどのように効果検証をしているかが問われます。
健康経営を始めるのがはじめての年であっても、労働安全衛生施策の結果などをもとに効果検証をしているか回答しなければなりません。
前年までの取組結果だけでなく、改善状況まで把握していないと健康経営優良法人不認定となります。
健康経営優良法人の認定に継続して挑戦しているなら、送られてくるフィードバックシートを踏まえた効果検証と改善がカギになるでしょう。
5つ目の大項目は「法令遵守・リスクマネジメント」です。定期健診や50人以上の事業場でのストレスチェックなど法令で義務付けられた対応をきちんと行っているかが問われます。
「法令遵守・リスクマネジメント」は質問項目ではなく誓約事項です。一つでも満たしていないと、当然のことながら不認定となります。
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健康経営優良法人制度は、下表のように「中小規模法人部門」と「大規模法人部門」に分かれているので注意が必要です。
業種 | ホワイト500・大規模法人部門 | 中小規模法人部門
(①②いずれか) |
|
従業員数 | ①従業員数 | ②資本金の額
または 出資の総額 |
|
卸売 | 101人以上 | 1~100人以下 | 1億円以下 |
小売 | 51人以上 | 1~50人以下 | 5000万円以下 |
サービス業 | 101人以上 | 1~100人以下 | 5000万円以下 |
製造業・その他 | 301人以上 | 1~300人以下 | 3億円以下 |
※会社法上の会社等および士業法人の場合
たとえば従業員数が60人の企業の場合、小売業なら大規模法人部門となりますが、サービス業だと中小規模法人部門になります。
ホワイト500の対象となるのは大規模法人部門だけなので、認定を目指す場合は、まず自社が大規模法人部門に該当するかどうか確認しておきましょう。
健康経営優良法人認定制度でホワイト500の認定企業になるまでの流れは以下のとおりです。
※今後変更となる可能性もあるため、申請時に最新の情報をご確認ください。
申請の締切は例年10月です。12月にフィードバックシートの速報版が、健康経営優良法人の発表後に正規のフィードバックシートが送られてきます。
健康経営優良法人に認定され続けるためには、フィードバックシートを踏まえ、健康経営の取り組みをさらに改善していくことが重要です。
【参考】ACTION!健康経営「申請に関する説明動画・資料」
ホワイト500に認定された法人の、健康経営に関する取り組み事例を3社紹介します。優良企業の取り組みを参考にして、健康経営を推進してください。
【参考】ACTION!健康経営「認定企業一覧 健康経営優良法人2024 大規模法人部門」
三井情報株式会社では、健康経営推進責任者のもと、人事総務統括本部を中心にして健康経営を推進しています。
同社は生活習慣病の予防やメンタルヘルス対策、ライフワークバランスを推進し従業員のパフォーマンスの向上に努めました。その結果、2019年度から毎年健康経営優良法人に認定されています。
2019年より毎年申請を続けた同社が、はじめてホワイト500認定を受けたのは2023年です。2023年には、ストレスチェック結果をもとに職場改善の実施、ヘルスリテラシー教育などを行いました。
他にも、部門対抗ウォーキングなどの健康イベントやセミナーの実施や、自社の枠を超えて家族やパートナー社員の健康も推進しています。
これらの取り組みにより、2023年・2024年と連続でホワイト500に認定されました。
【参考】三井情報株式会社「「健康経営優良法人2024(大規模法人部門(ホワイト500))」に認定されました。」
株式会社 安藤・間は、2年連続で認定されているホワイト500認定企業です。
同社では、本社での健診開催や現場から通いやすい医療機関と連携するなど、健康診断を受けやすい環境を整え、健康診断受診率100%を推進しています。
また、年1回の意識調査を行うなど次年度に活かし、健康診断をただ実施して終わりにしていません。
長時間労働削減の取り組みとしては、テレワークやフレックス制度を導入しました。人事評価にタイムマネジメント項目を盛り込み、従業員自身が勤務時間に目を向けられるような仕組みにしています。
禁煙にも取り組んでおり、禁煙外来の費用補助や禁煙補助剤の配布などサポートを行っています。
【参考】株式会社 安藤・間「健康経営への取り組み」
佐川アドバンス株式会社では、経営層から従業員に向けて健康経営の方針を継続的に発信することで、健康経営を推進する風土を作っています。
同社が生活習慣病予防や疾病の重症化予防のために実施している取り組みは、食事や運動、肥満防止に関する情報発信やセミナーの開催です。重症者予防対象者への面談時間を就業時間認定とすることで、保健指導や受診率向上につなげています。
また、全社員を対象に女性特有の健康課題に関するセミナーを開催し、女性の健康に配慮し合える風土を作ったのも同社の取り組みの特徴です。
こうした取り組みを経て、健康経営優良法人としては6年連続、ホワイト500は5度目の認定にいたっています。
【参考】佐川アドバンス株式会社「「健康経営優良法人2024ホワイト500」に認定」
ここでは、ホワイト500に関するよくある質問について、疑問を解消していきましょう。
ホワイト500とブライト500の違いは、認定を受ける健康経営優良法人の部門です。
ホワイト500は、健康経営優良法人認定制度の大規模法人部門で認定を受けた、上位500の企業に付与されます。
対してブライト500は、健康経営優良法人認定制度の中小規模法人部門で認定を受けた、上位500の企業です。
大規模法人部門に該当するか中小規模法人部門に該当するかは、企業の従業員数により異なります。また、中小規模法人部門であれば、資本金額または出資総額も関係してきます。
自社の規模が中小規模法人部門に該当する場合は、ホワイト500ではなくブライト500を目指しましょう。
【参考】経済産業省「健康経営優良法人認定制度」
結論として、ホワイト500認定に意味はあります。意味がないといわれる理由は、2つ考えられます。
一つ目は、毎年申請する手間がかかってしまうためです。ホワイト500認定は一度認定された後、自動で更新されるわけではないため、健康経営を維持しなければなりません。毎年申請し直さなければならないことを、大変だと感じる人もいるでしょう。
二つ目は、効果が目に見えては分かりづらい点が挙げられます。健康経営は短期的に叶うものではなく、従業員の健康が目にはっきり見えるものでもありません。対外的に、ホワイト500認定を受けたことは自社でアピールする必要があります。
認定を受ける苦労もありますがメリットも大きいため、ホワイト500認定の意味はあるといえるでしょう。
健康経営にはさまざまなメリットがあります。健康経営優良法人やホワイト500認定を目指して健康管理を実施するだけでも、従業員の健康維持や生産性・モチベーションの向上などが期待できます。
さらに、認定を受ければ健康経営に積極的な企業として広く周知され、企業イメージも大いに高まるでしょう。
投資などを呼び込む意味では、企業の利益追求の面でも重要です。さまざまなメリットがあるホワイト500の認定にぜひチャレンジしてみましょう。
エムスリーキャリア・エムスリーグループが展開する健康経営サービスについてまとめた資料です。 健康経営の関心の高まりや健康経営を疎かにするリスクについても解説しています。
50人以上の事業場向け
1,000人以上の事業場向け
※有害業務従事の場合は500人以上
単発の面談が必要な事業場向け