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従業員のメンタルヘルス不調は、休職や退職につながる可能性があり、企業によるサポートが重要です。
しかし、怪我や身体的な病気と異なり、休職してもいつ復帰できるのか分からないケースが多く、個人の病状に合わせて柔軟な対応が必要になります。
メンタルヘルス不調に伴う復職で、近年注目が高まっているのが生活記録表です。復帰時期を明確に決めにくい場合でも、客観的な判断を助けてくれる生活記録表は、多くの企業の休職者対応において活用されています。
本記事では、生活記録表の必要性から書き方までを詳しく解説します。
生活記録表とは、主に休職中の従業員が毎日の生活リズムを記録していく表です。メンタルヘルス上の問題で休職した従業員が作成し、復職できるかどうかの判断材料にするために使用します。
また、休職者自身に自らの生活や心の変化を見つめ直してもらい、セルフケアを促す意味でも効果的です。
生活記録表は起床と就寝、食事の時間を基本に、実際に睡眠が取れた時間や外出した時間をグラフや表にして、客観的に生活リズムが分かるように記録します。
記入者が通院や服薬している場合は、通院日や処方された薬をいつ飲んだかも分かるようにします。自宅にいる間は主に何をして過ごしたか、外出はどこに行ったかも分かれば、なおよいでしょう。
休職・復職における生活記録表の必要性には、以下の4つが挙げられます。
・生活リズムを客観的に評価するため
・休職者が自分自身の状態を客観視するため
・再休職や退職のリスクを減らすため
・厚生労働省が示す復職基準を評価するため
それぞれの内容について解説します。
生活記録表は、復職できる生活リズムが送れているかを客観的に評価する材料になります。
復職の可否は本人の意思だけにもとづかず、主治医や産業医、人事部が連携しながら判断します。複数の担当者が関わるため、誰が見ても同じ事実で判断するための材料として、生活記録表は有効です。
うつ病をはじめとしたメンタルヘルス上の疾病は、症状として睡眠障害が多く現れます。そのため、睡眠リズムの健全化は疾病からの回復を客観的に判断する材料として有効です。
また、通院や外出ができているかどうかで、実際に通勤が可能かも判断できます。
生活記録表を作成すれば、症状がどのような推移で発症しているか、抑えられているかを確認できるため、回復の度合いを客観的に評価できるのです。
生活記録表は、休職者が自分の状態を客観的に見つめなおす材料としても重要です。1日の行動を詳しく記録するため、いつどんなときに症状が出やすいのか、体調が良いのかが分かるようになります。
また、症状の推移が目に見えるので回復の実感も得やすく、目標に向けた行動を取りやすくなるでしょう。
休職中はとくに根拠のない不安に襲われるケースもあります。自分自身を客観視して、問題を具体的に見つめなおすきっかけとなる生活記録表は、認知行動療法的な観点からも有効です。
【参考】厚生労働省「うつ病の認知療法・認知行動療法マニュアル」
生活記録表の活用で適切な復職判断につながれば、再休職や退職のリスクも減らせます。生活記録表を作成することで日々の睡眠時間や外出時間が確認でき、安定して勤務を続けられる生活リズムかを判断できるからです。
メンタルヘルス不調が十分に改善していない状態で復職するケースが少なくなり、復職後のストレスによる再休職や退職の防止につながるでしょう。
従業員が再休職や退職をしてしまうと、人員の補充や配置転換などの人材管理業務が増えてしまいます。有能な人材流出を防ぐ観点からはもちろん、休職や退職に伴うコスト管理の観点からも、生活記録表の効果的な活用が望まれます。
メンタルヘルス上の疾病に伴う休職者の復職判断として、厚生労働省では以下のような基準を示しています。
・睡眠リズムが一定か
・昼間に眠気はないか
・決まった勤務日や時間に継続して就労可能か
・通勤が一人で安全にできるか
他にも判断基準は示されていますが、少なくとも上記項目は生活記録表を活用しなければ、客観的に評価しづらい基準です。厚生労働省は産業医に対して、高ストレス者との面談における生活記録表の活用を推奨しています。
【参考】
厚生労働省「医学的知見に基づくストレスチェック制度の高ストレス者に対する適切な面接指導実施のためのマニュアル」
厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
2023年に実施された厚生労働省の調査によると、1年間にメンタルヘルス不調で1ヶ月以上休職または退職した従業員がいる事業所は13.5%でした。前年に実施した調査よりも0.2ポイント増加しています。退職者に限定すると6.4%で、前年より0.5ポイント増加しています。
また、同時に実施された従業員個人に対する調査では、仕事に強い不安や悩み、ストレスを感じていると回答した割合が82.7%でした。
ストレス要因は「仕事の失敗や責任の発生」が最も多く、ついで仕事の量、セクハラやパワハラをはじめとした対人関係となっています。
メンタルヘルス不調で従業員が休職した場合は、退職や再休職を防ぐためにも生活記録表を活用することが重要です。
【参考】
厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要(事業所調査)」
厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要(個人調査)」
【関連記事】職場のメンタルヘルスケアとは? 企業が知っておくべき対策を徹底解説
生活記録表を復職時の客観的な判断材料とするためには、以下の項目を休職者に記録してもらいましょう。
・1日の行動内容と時間
・疲労度や気分
・睡眠や食事の質
それぞれの項目に記入する内容を説明します。
起床と就寝の時間や食事、外出、通院など1日の行動内容を記録してもらいます。
睡眠リズムの安定化は、とくに復職判断において重要な基準であるため必ず記入してもらいましょう。加えて、昼間に眠気があるかどうかを判断するために、昼寝をした場合も記入してもらいます。
また、通院や散歩をはじめ、外出ではどこに行ったかも記録してもらい、交通機関を使えたか、人混みの中に行けたかどうかを分かるようにします。
自宅で過ごしていた場合は、読書やストレッチをはじめ、できたことはなるべく具体的に記録してもらいます。
時間軸を図式化すると、一目で就寝時間や睡眠時間、外出時間が把握しやすくなるためおすすめです。
具体的な行動だけでは分かりにくい疲労や気分の変化を数値化し、改善の有無を客観的に分かるように記録してもらいます。
たとえば、まったく症状がない状態を0、最も症状が重い状態を10として、日々の体調を数値化して記入してもらいます。丸、三角、バツのように記号を使って視覚的に分かりやすく記入してもらうのもよいでしょう。
特定の時間帯で症状に変化がある場合は、午前と午後に分けて体調を記録してもらうようにします。
睡眠や食事に関しては時間だけでなく、よく眠れたか、美味しく感じて食べられたかも記録してもらいます。
睡眠の質を客観的に分かりやすくするためには、布団に入ってから眠れるまでのおおよその時間や夜中に目が覚めた回数などを、記録してもらうとよいでしょう。
生活記録表は休職期間中、可能な限り毎日記入してもらうのが望ましいです。しかし、休職者の負担になる場合もあるため、症状の程度に応じて記入開始のタイミングは調整する必要があります。
産業医や主治医とコミュニケーションを取りながら無理のないように進めましょう。
生活記録表を活用して復職判断する際には、安定した生活リズムを継続できているか確認する必要があります。最低でも2週間以上は記録してもらいましょう。
また、復職後も経過を確認するために、記入の継続を求めたほうがよいでしょう。
【参考】厚生労働省「メンタルヘルス不調による休職者に対する科学的根拠に基づく新しい支援方策の開発」
生活記録表を活用して復職の可否を判断する際の評価ポイントは、以下の3つです。
・生活リズムが整っているか
・疲れが翌日に回復しているか
・通勤できるか
それぞれの内容について解説します。
生活記録表を使って生活リズムが整っているかを評価します。とくに睡眠リズムが整っているか、昼間に眠くならないかは、復職後に通常勤務できるかどうかの重要な判断材料です。
出社時間に間に合う時間に起床できているか、睡眠時間や質の高い睡眠は確保できているか、昼寝を頻繁にしていないかを確認しましょう。
加えて、定期的に外出できているかや、人混みの多い場所で活動できているかどうかも確認します。
また、自宅で過ごしている時間も、読書をはじめ集中力を保つ活動ができているかで、長時間の業務に対応できるかを図れます。
数値化した疲れや気分が、翌日に通常時の数値と同程度に戻っているかを評価します。数値を見る際は、適度な運動や外出、人と会った後に突発的に疲れや気分の落ち込みが強まっていないかを確認しましょう。
また、復職直前の期間で、継続して疲労度が回復しているか確認することも大切です。
通勤時に公共の交通機関を使用する場合は、人混みの中に長時間いられるかどうかも復職の判断材料として重要です。
定期的に外出できているか、公共の交通機関を利用した移動があるかどうかを生活記録表で確認します。外出後の疲れや気分に変動がないかも合わせて確認しましょう。
休職期間が長期化することで焦りを感じ、休職者が生活記録表に事実とは異なる記録をしてしまう可能性があります。そのため、以下のような対策をするとよいでしょう。
・定期的に産業医面談を行う
・生活記録表の記載内容について具体的に確認する
月1回程度、産業医面談を実施し休職者と一緒に生活記録表の内容を確認しましょう。1日の過ごし方や睡眠の質、気持ちの変化などを具体的に尋ねて、記載内容と相違がないかを確認します。
十分に回復していない状態で復職すると、体調をさらに悪化させてしまい、再休職や退職につながるリスクがあります。そのため、産業医面談で生活記録表を休職者と一緒に確認して、職場復帰のタイミングを検討することが重要です。
【関連記事】産業医面談とは?実施が必要となる基準や話す内容を紹介
復職においては生活記録表以外にも、企業が留意すべき点がいくつかあります。スムーズな復職につなげ、再休職や退職を防ぐために以下の4つに留意しましょう。
・本人の働く意欲
・段階的な復職の検討
・ストレス要因への配慮
・復帰後のフォローアップ
それぞれの留意点について解説します。
メンタルヘルス不調者が復職する際、もっとも大切なのは本人の働く意欲です。生活記録表で復職できると考えられたとしても、本人の働く意思が高まっていない状態で無理に職場復帰させれば、休職を繰り返す可能性があります。
そのため、産業医の面談や人事担当者とのコミュニケーションで、本人の不安を解消していくことも大切です。
また、本人は働きたいと考えていても、まだ働ける状態にない場合もあります。生活記録表を活用しながら、休職者の働く意思と体の状態を見極める必要があります。
【関連記事】
産業医面談が休職時に必要な理由とは?タイミングと復帰支援の方法を解説
精神科医ではない産業医でも、メンタルヘルス対応できる? 各自の役割と対応を解説
メンタルヘルス不調からの復職では、時短勤務や出勤数の調整をはじめ、段階的に業務量を増やしていく方法を検討しましょう。ストレスが少ない生活から急激に変化すると、体が追いつかない場合があるからです。
休職者が職場復帰に不安を感じている場合は、復職前にリハビリ出勤(試し出勤)の実施を検討するとよいでしょう。
リハビリ出勤とは、正式な職場復帰の前に出勤に近い取り組みを行う制度です。復職への不安を和らげ、休職者のスムーズな職場復帰が期待できます。
休職者とコミュニケーションを取りながら、どのような復職方法が最適か判断しましょう。
【関連記事】リハビリ出勤(試し出勤)制度とは?期間の目安や導入時の注意点を解説
休職者のストレス要因が職場にある場合、ストレスを取り除いたり、復職者から遠ざけたりする配慮も必要です。休職中に十分回復できたとしても、職場に同じ問題があれば休職を繰り返す可能性があります。
職場の人間関係に問題があるならば、配置換えを検討しましょう。また、業務内容や仕事量が原因の場合は、周りが仕事をサポートできる環境に改善する必要があります。
休職者が安心して復職できるように、ストレス要因を確認して適切に対処しましょう。
【関連記事】適応障害の従業員には休職を検討!復職サポートや対策を解説
メンタルヘルス不調からの復職では、継続的なフォローが重要です。休職前の仕事量に戻っていく過程で、ストレスによりメンタルヘルス不調が再発する可能性があるため、段階的なフォローは不可欠です。
また、環境が急激に変わる復職後数ヶ月は、生活記録表の記入を求めたほうがよいでしょう。復職プラン通りに業務内容や働き方が配慮されているかを確認できます。
症状が再発した場合や、新しいストレス要因が発生した場合にも早期対応が可能になります。
【関連記事】従業員の再休職を防ぐには復職支援が必須!産業医との連携による支援の流れを解説
メンタルヘルス不調が原因で休職した場合は、本人の意思や会社の都合だけで安易に復職させると、休職を繰り返す可能性があります。
生活記録表を活用すれば休職者の生活リズムが分かるため、復職を判断する基準になります。
メンタルヘルス不調による休職者が増えている近年、復職を適切にサポートできるかは、人材運用を考えるうえでも重要です。復職判断を客観的に判断できる生活記録表を有効活用し、復職をサポートしましょう。
休職中の従業員が職場復帰をするにあたり、事業者にはさまざまな対応が求められます。 本資料は産業医監修のもと、厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」の内容に基づいて作成した以下の資料をセットにしたものです。 流れがわかる!従業員の職場復帰支援ガイド 復職及び就業上の配慮に関する情報提供書 復職支援に関する情報提供依頼書 産業医面談記録表 両立支援プラン/職場復帰支援プランの作成フォーマット 生活記録表 「従業員の職場復帰の流れについて把握したい」 「従業員の職場復帰時に必要な資料がほしい」 とお考えでしたら、ぜひご活用ください。
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