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団体経由産業保健活動推進助成金とは? 補助内容や支給要件を解説

2022年、小規模事業場産業医活動助成金をはじめとする産業保健関係の助成金制度が廃止されることが決定しました。これに代わって新設されたのが「団体経由産業保健活動推進助成金」です。
この記事では、団体経由産業保健活動推進助成金の内容や支給要件、対象となる保健サービスについて解説していきます。

産業保健関係助成金が廃止に

2022年11月、独立行政法人労働者健康安全機構が産業保健関係助成金の撤廃を発表しました。

産業保健関係助成金とは、事業場における産業保健活動の活性化を目的に、産業保健活動に取り組む事業主に対して助成されるものです。具体的には、以下の助成金が含まれます。

    • ・小規模事業場産業医活動助成金
    • ・ストレスチェック助成金
  • ・職場環境改善計画助成金
  • ・心の健康づくり計画助成金
  • ・治療と仕事の両立支援助成金
  • ・副業・兼業労働者の健康診断助成金
  • ・事業場における労働者の健康保持増進計画助成金

上記7つの産業保健関係助成金が、2021年度を以って廃止となりました。そして、産業保健関係助成金に代わって導入されたのが、本稿で紹介する「団体経由産業保健活動推進助成金」です。

【関連記事】【最大60万円支給】従業員50人未満の事業場で活用できる「小規模事業場産業医活動助成金」とは?(2022年度版)
【ストレスチェック助成金】従業員50人未満の事業場が、ストレスチェック助成金を活用するメリットとは?

団体経由産業保健活動推進助成金とは?

団体経由産業保健活動推進助成金とは、小規模事業場等の産業保健活動の支援を目的に設立された助成金です。事業者団体等を対象に、上限100万円として産業保健活動費用の4/5が助成されます。

廃止された「産業保健関係助成金」と新設された「団体経由産業保健活動推進助成金」の大きな違いは、前者が事業所ごとの申請であったのに対して、後者は商工会や同業組合などの小規模事業場の活動を支援する事業者団体が申請を行う点です。つまり、企業ごとの申請はできず、企業組合や商工会議所などの団体単位での申請が必要となります。

団体経由産業保健活動推進助成金の支給要件や対象となる保健サービスについて、詳しく見ていきましょう。

支給要件

団体経由産業保健活動推進助成金の支給対象となる団体は「事業主団体等」と「労災保険の特別加入団体」です。

ここで言う「事業主団体等」には、以下の団体が含まれます。

  • 事業協同組合、事業協同小組合、信用協同組合、協同組合連合会、企業組合、協業組合、商工組合、商工組合連合会、都道府県中小企業団体中央会、全国中小企業団体中央会、商店街振興組合、商店街振興組合連合会、商工会議所、日本商工会議所、商工会、都道府県商工会連合会、全国商工会連合会、生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会、一般社団法人、一般財団法人、公益財団(社団)法人、都道府県事業主団体、共同事業主

なお、「事業主団体等」「労災保険の特別加入団体」ともに、細かい支給条件が設けられています。自分の所属する団体が支給対象であるかを調べたい場合には、以下のチャートや独立行政法人 労働者健康安全機構のホームページを確認してください。

引用:独立行政法人 労働者健康安全機構「助成対象となる事業主団体等の確認フロー図」

参考:独立行政法人 労働者健康安全機構「団体経由産業保健活動推進助成金の手引き」

助成対象となる産業保健サービス

団体経由産業保健活動推進助成金の対象となる産業保健サービスは、以下の7つです。ただし、いずれに関しても、申請団体に属する使用者、医師、保健師等が実施した活動については助成対象外となります。

  • 1. 医師、歯科医師による健康診断結果の意見聴取
  • 2. 医師、保健師による労働者または労災保険の特別加入者に対する保健指導
  • 3. 医師による労働者または労災保険の特別加入者に対する面接指導および当該指導結果に基づく意見聴取(長時間労働者に対する面接指導、高ストレス者に対する面接指導など)
  • 4. 医師、保健師、歯科医師、看護師、精神保健福祉士、公認心理師、産業カウンセラー、臨床心理士その他の産業保健スタッフによる労働者または労災保険の特別加入者に対する健康相談対応
  •  ※相談体制の整備のみは対象外。労働者等から相談を受けた実績を有することが支給要件。
  • 5. 医師、保健師、看護師その他産業保健スタッフ、社会保険労務士、両立支援コーディネーター等による事業者または労働者もしくは労災保険の特別加入者に対する治療と仕事の両立支援
  • 6. 医師、保健師、看護師その他の産業保健スタッフ等による事業者に対する職場環境改善支援
  • 7. 医師、保健師、看護師その他の産業保健スタッフ等による労働者または特別加入者に対する健康教育研修、事業者および管理者に対する周知啓発
  •  ※研修等実施に要する講師費用や会場賃借費用、テキスト費用等。録画動画の配信等によるオンデマンド研修は助成対象外。

なお、健康診断やストレスチェック、集団分析などの実施費用については助成金支給の対象外となります。

出典:独立行政法人 労働者健康安全機構「団体経由産業保健活動推進助成金の手引き」
【関連記事】中小企業で産業医がいない場合、どうなる? 相談先は?

助成金額

団体経由産業保健活動推進助成金では、上限100万円として上記産業保健サービスの活動費用の4/5が支給されます。各団体につき、各年度1回限り申請可能です。

支給対象となる具体的な経費項目としては、以下のものが挙げられます。

項目 内容
謝金 指導・助言等を受けるために依頼した専門家等への謝礼。
旅費 情報収集や各種調査の実施、会議や打ち合わせへの参加、指導・助言・講演等を依頼した専門家等に支払われる旅費。

※グリーン車、ビジネスクラス等の特別に付加された料金や外国旅費、日当、宿泊費は対象外。

会議費 会議、セミナー等の開催の費用。会場借料、会場装飾費、茶菓代等。

※事業主団体等、特別加入団体またはそれらの構成事業主が保有する施設で会議、セミナー等を実施する場合は対象外。

印刷製本費 研修資料、パンフレット・ポスター等の作成費用。 印刷は必要最小限にとどめ、事業実施予定期間終了時点での未使用残存品は対象外。

なお、支給を受けるには原則振込払とし、支給申請書に振込記録が分かる書類を添付する必要があります。

出典:独立行政法人 労働者健康安全機構「団体経由産業保健活動推進助成金の手引き」
【関連記事】産業医を派遣してもらうにはいくらかかる?費用や報酬相場についてポイント別に解説

不交付・不支給要件

団体経由産業保健活動推進助成金は、先述の「支給要件」で定義された団体に該当しない場合は支給されません。

また、以下を満たさない場合も不支給となります。

  1. 1. 団体経由産業保健活動推進助成金の交付申請を行い、交付決定を受けた団体等である
  2. 2. 事業実施計画に基づき、事業を実施した団体等である
  3. 3. 1および2に基づく成果を明らかにする書類を整備している団体等である

さらに、労働保険料の滞納や不正受給、暴力団員との関係、労働関係法令違反、倒産など、助成金の支給が不適切と認められる場合も対象外となります。

出典:独立行政法人 労働者健康安全機構「団体経由産業保健活動推進助成金の手引き」

まとめ

団体経由産業保健活動推進助成金は、中小企業の産業保健活動の充実に繋がる制度です。支給要件や対象となる産業保健サービスをよく理解した上で活用し、事業場の産業保健活動を推進していきましょう。

なお、2022年度の団体経由産業保健活動推進助成金の申込み受付は既に終了しています。2023年度以降の継続は明らかになっていませんが、来年度の利用を検討している場合は、独立行政法人労働者健康安全機構のホームページを定期的に確認することをおすすめします。

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