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これまで従業員50人以上の事業場にのみ義務付けられていた「ストレスチェック」ですが、法改正により、いよいよ従業員50人未満の小規模事業場でも実施が義務化される見通しとなりました。
「いつから義務化されるのか?」「小規模企業で産業医もいないのに、どのように対応すればいいのか?」「パートやアルバイトも対象になるのか?」など、担当者の方々は多くの疑問や不安を抱えているのではないでしょうか。
本記事では、厚生労働省の最新マニュアルや中央労働災害防止協会のQ&Aなど、信頼性の高いデータソースに基づき、50人未満の事業場におけるストレスチェック義務化のスケジュール、実施に向けた具体的なステップ、外部委託の活用方法、そして企業が負うべき産業保健の義務について詳しく解説します。また、記事後半では「小規模企業担当者が抱えがちな疑問」をQ&A形式で網羅しています。
目次

現在、従業員50人未満の事業場におけるストレスチェックは「努力義務」とされていますが、2025年5月に「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」が成立・公布され、事業場の規模にかかわらず実施が義務化されることになりました。
気になる施行時期ですが、法律の施行日は「公布の日から3年以内の日」と定められているため、遅くとも2028年(令和10年)5月14日までには義務化がスタートする見込みです。
対象が50人未満に拡大された背景には、小規模事業場におけるメンタルヘルス対策の遅れがあります。厚生労働省の「令和5年労働安全衛生調査」によると、ストレスチェックの実施率は50人以上の事業場で89.6%に達しているのに対し、30〜49人の事業場では58.1%、10〜29人の事業場では58.6%と、50%台にとどまっています。一方で、精神障害の労災認定件数は増加傾向にあり、小規模事業場においてもメンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)が急務となっているのです。
【参考】厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査) 」
【関連記事】ストレスチェックの対象者は?導入から実施までの流れを徹底解説
ストレスチェックの対象となるのは「常時使用する労働者」です。具体的には、以下の2つの条件を両方満たす従業員が対象となります。
したがって、上記の条件を満たせば、パートタイム労働者やアルバイトであっても対象となります。また、週の労働時間が通常の労働者の4分の3未満であっても、おおむね2分の1以上である従業員に対しては、実施することが望ましいとされています。
なお、派遣社員に対するストレスチェックの実施義務は「派遣元の企業」にあります。ただし、職場の一体的な環境改善を目的とする集団分析においては、派遣先の企業が自社のストレスチェックの対象に含めることも可能です。役員については、労働者ではなく使用者である場合は対象外となりますが、実態として労働時間管理がされているなど労働者性が強い場合は確認が必要です。
従業員50人未満の事業場における、ストレスチェック義務化のメリットは以下のとおりです。
・メンタルヘルス不調者を早期に発見できる
・職場環境の改善につなげられる
それぞれの内容について解説します。
ストレスチェックの義務化により、従来よりもメンタルヘルス不調者を早期に発見しやすくなります。
従業員は、自覚なくいつの間にかストレスが溜まっていることも少なくありません。ストレスの蓄積はうつ病や不安障害などを招きます。場合によっては休職や退職につながることもあるでしょう。
ストレスチェックが義務化され、メンタルヘルス不調者を早期に発見できれば、悪化する前に適切に対処できます。
ストレスチェックの実施は、職場を効率的に改善するためのデータとして役立ちます。ストレスチェックの結果を分析すれば、人間関係や労働環境など、従業員が職場のどの部分にストレスを感じているかを把握できるからです。
解消すべきストレス要因の優先順位が明確になるため、効率的に職場環境の改善が進められるようになります。
職場環境の改善が進みストレス要因が減れば、従業員の労働意欲が上がりやすくなります。その結果、生産性の向上や離職率の低下などの効果が期待できるでしょう。

50人未満の事業場がストレスチェックを導入・実施するためには、厚生労働省の「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」に沿って、適切な体制を整備することが重要です。ここでは、具体的な5つのステップを解説します。
まず、事業場のトップ(事業者)が、メンタルヘルス不調の未然防止を目的としてストレスチェック制度を導入する方針を従業員に表明します。従業員が安心して受検できるよう、「個人の結果が本人の同意なく会社に知られることはない」「結果によって不利益な扱いを受けることはない」といったプライバシー保護の姿勢を伝えることが重要です。
次に、実施体制や実施方法、情報の取り扱いなどを定めた「社内ルール」を作成し、従業員に周知します。ルール作成にあたっては、労働者の代表や衛生推進者などから意見を聴取する機会を設けることが推奨されています。
ストレスチェックを実施するためには、医師や保健師などの資格を持つ「実施者」と、データの入力などを補助する「実施事務従事者」、そして企業側で外部との連絡調整を行う「実務担当者」を決める必要があります。
労働者数50人未満の小規模事業場では、人事権を持つ者が実施事務に携われないという制限や、厳格な情報管理の負担があるため、ストレスチェックの実施を健診機関などの外部機関に委託することが強く推奨されています。
外部機関を選定する際は、事前に「サービス内容事前説明書」の提出を求めましょう。確認すべきポイントは以下の通りです。
実際の調査票には、国が推奨する「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」などを用います。外部委託の場合、委託先が調査票の配布から回収までを行います。
受検自体は従業員の義務ではありませんが、メンタルヘルス不調の未然防止のためには全員が受検することが望ましいです。そのため、未受検者に対しては、強要にならない範囲で受検勧奨を行います。
検査結果は、委託先の外部機関から従業員本人に直接通知されます。電子メールや密封された封筒など、第三者や会社に内容が分からない方法がとられます。法令により、本人の事前の同意なく、事業者が個人のストレスチェック結果を提供して受け取ることは禁止されています。
ストレスチェックの結果、「高ストレス者」と判定され、かつ面接指導が必要とされた従業員から申し出があった場合、事業者は遅滞なく医師による面接指導を実施する義務があります。
事業者は、面接指導を担当する医師に対し、対象者の労働時間(時間外労働を含む)や業務内容、過去の健康診断結果などの情報を提供します。面接指導後、事業者は速やかに(遅くとも1ヶ月以内に)医師から意見を聴取します。医師の意見に基づき、必要があれば「労働時間の短縮」「深夜業の制限」「作業の転換」などの就業上の措置を講じなければなりません。
なお、面接指導の申し出をしたことや、面接指導の結果を理由として、従業員を解雇したり、不当な配置転換を行ったりするなどの「不利益な取扱い」は法律で固く禁じられています。
個人のケアだけでなく、職場全体のストレス要因を把握し改善することも重要です。事業者は、外部機関に依頼して、部署やグループごとの結果を集計・分析する「集団分析」を行うよう努める必要があります(努力義務)。
集団分析の結果を活用して、業務量の偏りを見直したり、コミュニケーションを促進する場を設けたりといった職場環境の改善に取り組みます。ただし、プライバシー保護の観点から、集計の単位が10人未満となる部署の場合は、原則として集団分析結果の提供を受けてはいけません。
ストレスチェックの義務化に伴い、小規模事業場が抱えるその他の産業保健の義務についても整理しておきましょう。
従業員を1人でも雇用している場合、以下の義務が発生します。
常時使用する従業員が10人以上になると、上記に加えて以下の義務が発生します。
従業員50人以上の事業場には産業医の選任義務がありますが、50人未満の事業場では産業医の選任義務はありません。
しかし、企業には従業員が安全で健康に働くために配慮する「安全配慮義務」が課せられています。ストレスチェックで高ストレス者が多数判明した場合や、休職者が発生している場合などは、規模を問わず自発的に産業医(スポット契約や嘱託契約)を選任し、専門的なアドバイスを受けることが強く推奨されます。
ここでは、50人未満の企業の担当者がストレスチェック導入にあたって抱えがちな疑問について、中央労働災害防止協会のQ&Aや厚労省マニュアルを基にお答えします。
A1.現時点では報告義務はありません。 従業員50人以上の事業場には、毎年ストレスチェックの実施状況を労働基準監督署へ報告する義務がありますが、50人未満の事業場については、企業の事務負担を考慮して報告義務は免除されています(出典:中央労働災害防止協会「ストレスチェック50人未満義務化 ~改正Q&A~」)。
ただし、これまでは報告義務がありませんでしたが、今回の義務化に伴い、小規模事業場でも労働基準監督署への報告が必要になる方針です。詳細な運用ルールについては、今後発表される省令を確認する必要があります。」
A2. 条件を満たせばパートやアルバイトも対象です。派遣社員は「派遣元」に実施義務があります。 契約期間が1年以上(または更新により1年以上雇用される予定)で、週の労働時間が通常の従業員の4分の3以上であれば、パートやアルバイトであっても受検対象となります。派遣社員については、雇用契約を結んでいる「派遣元企業」に実施義務があります。ただし、職場の環境改善(集団分析)の観点から、派遣先企業が自社のストレスチェックに派遣社員を含めることも可能です。
A3. スポット形式の面談サービスを利用するのも手。産業医サービス提供会社では、「必要な時だけ産業医に面談を依頼できる」いわゆるスポット産業医サービスを提供している場合もあり、安価かつ速やかに産業医面談を行うことができます(当ブログを運営しているエムスリーキャリアのスポット産業医サービスはこちら)。
また、労働者数50人未満の小規模事業場であれば、全国の労働基準監督署管内にある「地域産業保健センター(通称:地産保)」を利用することで、医師による面接指導などの産業保健サービスを無料で受けることが可能です。または、ストレスチェックを委託した外部機関が、面接指導のオプションサービスを提供している場合もありますので、委託先の選定時に確認しておきましょう。
A4. 自社での実施も可能ですが、推奨されません。 外部に委託せず自社で実施することは法令上は可能ですが、極めて慎重な運用が求められます。社長や人事権を持つ者は実施事務に携わることができず、担当者には重い守秘義務が課せられます。また、「会社に結果が筒抜けになるのでは」という従業員の不信感を招きやすく、正直な回答が得られないリスクが高まります。従業員のプライバシーを保護し、実効性のある検査にするためにも、健診機関などの外部機関への委託が推奨されています。
A5. 直接的な罰則はありませんが、「安全配慮義務違反」のリスクがあります。 現在のところ、ストレスチェックの未実施に対する直接的な罰則規定は設けられていません。しかし、事業者は従業員の健康と安全を守る「安全配慮義務」を負っています。義務化以降にストレスチェックの実施を怠り、その結果として従業員がメンタルヘルス不調により休職や過労死等に至った場合、企業側が安全配慮義務違反として重い損害賠償責任を問われるリスクが高まります。

2028年に見込まれる50人未満の事業場へのストレスチェック義務化は、小規模企業にとって新たな対応を迫られるものです。しかし、これを単なる「法律で決められた負担」と捉えるのではなく、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぎ、離職率の低下や生産性の向上につなげる「健康経営のための投資」と考えることが重要です。
実施にあたっては、すべてを自社で抱え込む必要はありません。労働者のプライバシーを守り、担当者の事務負担を軽減するためにも、健診機関などの外部委託サービスを有効に活用しましょう。また、産業医がいない事業場でも「地域産業保健センター(地産保)」を利用すれば、無料で面接指導を受ける体制を整えることができます。
施行までには一定の準備期間があります。まずは厚生労働省のマニュアル等を参照しながら、自社に合ったストレスチェックの実施方法や外部機関の選定を進め、従業員が安心して働ける職場環境づくりをスタートさせましょう。
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50人以上の事業場向け
1,000人以上の事業場向け
※有害業務従事の場合は500人以上
単発の面談が必要な事業場向け