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【ストレスチェック助成金】従業員50人未満の事業場が、ストレスチェック助成金を活用するメリットとは?

三橋利晴(みつはし・としはる)

産業医・労働衛生コンサルタント

岡山大学にて産業衛生・疫学・予防医学の実務や研究を行う。 平行して2008年からは嘱託産業医として様々な業種の事業所を担当。 大学病院では疫学や研究倫理の観点から院内の臨床研究支援を行う。

※ご案内※
厚生労働省、労働者健康安全機構によると現在、小規模事業場産業医活動助成金を含む「産業保健関係助成金」の受付状況は以下の通りです(2022/6/23、編集部で確認)。
令和3年度(2021年度)分:受付を停止
令和4年度(2022年度)分:実施は未定
申請が例年を大幅に上回っていることを踏まえ、厚生労働省は2022年度の助成金を実施するか検討中です。実施可否の目処について厚生労働省に確認したところ「現時点では示せない」と回答をいただきました。ご承知おきください。

従業員50人未満の事業場では、ストレスチェックは努力義務ですが、費用面がネックになり、実施に踏み切れない場合もあるのではないでしょうか。この記事では、ストレスチェックに関する助成金を活用することで、費用負担を抑えて実施する方法について解説します。

ストレスチェックとは?

そもそも、「ストレスチェック」とはどのような制度なのでしょうか。まずは、制度の概要から確認していきたいと思います。

ストレス社会と呼ばれる現代では、近年精神障害による労災補償の請求件数が増加しています。そこで、ストレスにより体調を崩し、休職したり退職したりしてしまうことがないように、2015年から「ストレスチェック制度」が義務化されました。

ストレスチェックは、常時50人以上の従業員がいる事業場で1年に1回の実施が義務付けられています。従業員が普段の業務の中で感じているストレスの大きさを客観的に調査し、自己管理に繋げたり、必要に応じた措置を行ったりすることで、体調への悪影響を予防することを目的にしています。50人未満の事業場でも、実施することが努力義務となっています。
ストレスチェックは機微な情報を扱う検査であるため、専門知識を有する専門家の協力・実施が必要不可欠です。そのため、社内の従業員だけでは実施することができません。実施者としては、医師や保健師、所定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士のいずれかの有資格者が必要になってきます。

ストレスチェックはメンタルヘルス対策にも効果的

常時勤務する従業員が50人未満の事業場では、ストレスチェック実施は義務化されていません。しかし、努力義務として、自主的に実施することで様々なメリットがあります。

まず、メンタルヘルス対策としての効果を期待できます。ストレスチェックでは、従業員自身が感じているストレスを要因別、かつ、客観的に評価することになります。そのため、各従業員はストレスチェックの結果によって、適切なセルフケアに取り組むことが可能です。セルフケアだけでは不十分だったり、高ストレス判定が出たりした場合は、本人の希望によって医師の面接指導を受けることも可能です。
また、事業者は個々人の結果を知ることはできませんが、年齢や性別、職種、部署といった集団ごとに分析し、職場における全体的な状態を評価できます(集団分析)。それによって、全体像の把握はメンタルヘルスの問題が顕在化する前からリスク要因を把握し、具体的な職場環境の改善の検討に繋がります。このような職場環境の改善によって、従業員のモチベーション向上や生産性向上に繋げることが期待できるでしょう。

ストレスチェックにかかる費用はどのくらい?

健康診断と同様に、ストレスチェックでも費用が必要です。ストレスチェックおよびその後の面接指導にかかる費用については、事業者負担となっています。これは、法律で事業者にストレスチェックや面接指導の実施の義務を課しているためです。

ストレスチェックで費用がかかるものとは?

ストレスチェックでの費用は、どのようなことに費用が必要になるのでしょうか。ストレスチェック実施には、準備を含めいくつかの工程がありますが、いずれでも人件費が大きな割合として必要になります。ここでは、それぞれの工程にについて解説します。

まず、衛生委員会などにおいて、実施方法や体制について審議する必要があります。ストレスチェックに用いる質問票、面接指導の申出、受検結果を元にした集団分析の実施の有無など、事業場としてどのようなストレスチェックを実施するかを確定します。ストレスチェック導入の初年度では、様々な要件を確定するために、数回の審議が必要になることもあります。
次に、質問票などの書類やWeb画面の準備を行います。ストレスチェック制度自体は2015年から開始されていますので、書類様式例やWeb画面については、すでに世の中に出回っています。既存の用紙やシステムを利用することで簡略化が可能です。

これらの事前準備を行った後に、ストレスチェックを実施します。事業者自身は実施者となることができませんので、医師・保健師などの有資格者に依頼する必要があります。産業医との契約があれば、ストレスチェック実施者となることも契約内容に含めることも可能です。産業医がいない場合には、有資格者と別途契約する必要があります。
実施後には、高ストレスと判定された従業員のうち、希望者には医師による面接指導を行う機会を設ける必要があります。この際に、契約している嘱託産業医ではなく、外部の医師に依頼する場合には相応の人件費が必要になります。
必要があれば、受検結果の集団分析を行います。これは努力義務であるものの職場環境を俯瞰したり、改善したりするための対策を検討するには有用な情報になります。集団分析については、外部に委託すると費用がかかりますが、ストレスチェック結果について全国平均や同業種平均との比較を行ってくれる場合もあます。

ストレスチェックにかかる具体的な費用、相場とは?

自社独自のストレスチェックシステムを導入しようとすれば、そのシステムを開発するのに数千万円の費用が発生することも考えられます。ストレスチェックに関する準備を全て自社内で完結させることは難しいため、外部に委託することになります。

外部委託では、従業員1人あたり数百円程度で対応可能です。金額の違いは、業務委託内容はもちろん、管理サポート・未受検者への受検勧奨・高ストレスと判定された従業員への対応・集団分析(部署比較分析・経年比較)などの付加的なサービスの有無によって変わっています。
また、高ストレスと判定された従業員への医師による面接指導では、別途費用が必要になります。おおまかな目安として、外部の医師による面接指導等では1時間あたり3万円前後の金額が必要になります。1人の面接時間は30~40分程度ですので、面接者1人あたりとしては1.5~2万円前後の費用が必要になります。
このような種々の費用が必要になりますので、50人未満の事業場ではストレスチェック制度を開始することに二の足を踏むことになります。しかし、条件に該当すれば国からの助成金を受け取ることができます。事業場としての負担コストを最小化しながら、ストレスチェック制度を導入できますので、是非検討していただきたいと思います。

ストレスチェック助成金とは

従業員数が50人未満の事業場でも、ストレスチェックを実施し、メンタルヘルス不調の問題を未然に防止するために、「『ストレスチェック』実施促進のための助成金」という制度が設けられています。この助成金制度では、医師・保健師などによるストレスチェックや、その後の医師による面接指導などを実施した場合に、事業主がかかった費用について助成金を受けることができます。

2022年度にストレスチェック助成金を受けるためには

この助成金制度は、ストレスチェックに関連していれば、無条件で受け取れるという訳ではありません。次に示すような条件に該当していることが必要です。

ストレスチェック助成金の対象となる事業場

まず、助成金の対象となる事業場は、下記の3つに該当していることが必要です。
1番目の条件では、厚生労働省ホームページに掲載の「労働保険適用事業場検索」(※)において該当した事業場が適用事業場としています。

  1. 労働保険の適用事業場であること
  2. 中小事業主であること
  3. 常時使用する従業員が派遣労働者を含めて50人未満であること

※厚生労働省「労働保険適用事業場検索」

ストレスチェック助成金の対象となる取り組み

助成を受けるための取組みにも、下記の様な要件があります。
まず、当然ですが「ストレスチェックの実施」が必要です。ストレスチェックの実施および面接指導等を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であることも条件となっています。つまり、医師・保健師等の有資格者との契約が必要です。
次に、「ストレスチェックに係る医師の活動」も必要です。より具体的には、事業者が次に示すような内容を医師と契約を締結していることが必要です。

  • ストレスチェック後の面接指導等を実施することが含まれていること
  • ストレスチェックに係る医師による活動1回あたりの金額が明記されていること
  • 実施医師の氏名が明記されていること
  • 申請事業場が契約を締結していること。または、本社等が管轄事業場の契約をまとめて締結している場合は、申請事業場が契約対象事業場として明記されていること

ストレスチェック助成金の助成額

助成金額の上限額があります。これらは上限額であって、実費額が上限額を下回る場合は、実費が助成されます。

  • ストレスチェックの実施費用として、1従業員あたり500円(税込)
  • ストレスチェックに係る医師による活動費用として、1事業場あたり1回の活動につき 21,500円(税込)。ただし、上限3回。

ストレスチェック助成金の申請~受給の流れ

助成金を申請、受給するためには、適切なストレスチェックを実施することが前提です。そのための準備・実施について流れを見ていきたいと思います。

①ストレスチェック実施にむけての準備

まず、最初にストレスチェックの実施について審議を行う必要があります。
ストレスチェックの実施について、医師からの助言、労使間での審議、従業員への説明・情報提供などを行い、スムーズに開始できるような準備が必要です。
50人未満の事業場では産業医がいないことが多いので、地域の医師会・地域産業保健センター・外部業者に相談する必要があります。ストレスチェック制度を実施することを明確にし、助成金を受けるためには「ストレスチェックに係る医師による活動」の契約締結を行うことが必要になるため、これを機に産業医契約を締結することが望ましいでしょう。

②ストレスチェックの実施

次に、審議した内容に沿って医師または保健師等によるストレスチェックを実施し、従業員へ結果を通知します。なお、2022年度のストレスチェック助成金対象となる実施期間は、上半期は2022年4月1日から2022年9月30日まで、下半期は2022年10月1日から2023年3月31日までとなっています。

③面接指導等の実施

ストレスチェック実施後に、高ストレス者に該当した従業員等から申出があった場合は、医師による面接指導等を行ってください。また、面接指導だけではなく、医師から事業場への意見を聴取し、必要に応じた職場改善なども検討し、よりよい職場作りを進めましょう。

④ストレスチェック助成金の申請

ストレスチェックについて一通りの業務が終わったら、助成金を受給するために必要な書類を揃えて助成金申請を行います。提出書類については、下記の様な書類を用意する必要があります。

  1. 「ストレスチェック助成金支給申請書」(様式1号)
  2. 医師との契約書(写)
  3. 医師であることを証明する書類(医師免許証等)(写)
  4. 「ストレスチェック実施報告書」(様式第2号)
  5. 「ストレスチェックに係る医師による活動報告書」(様式第3号)
  6. ストレスチェック実施者へ支払った費用の領収書(写)
  7. 医師へ支払った費用の領収書(写)
  8. 労働保険概算・確定保険料申告書等(写)
  9. 労働保険料一括納付に係る証明書
  10. 振込先の通帳(写)等
  11. 「中小事業主証明書」(様式第4号)
  12. 「支給要件確認申立書」(様式第5号)
  13. 「ストレスチェック助成金支給申請チェックリスト兼同意書」(様式6号)
  14. 事業場宛ての返信用封筒(長形 3 号封筒、切手不要)

申請はストレスチェック実施後6カ月以内に行なってください。取り組みの実施時期によって申請期間が異なるため、注意が必要です。申請期間は、上半期の場合2022年11月1日から2023年3月31日まで、下半期の場合2023年5月1日から2023年10月31日までとなっていますが、支給対象となる申請がそれぞれの期間の上限件数に達した場合、上限に達した日の消印をもって受付終了になるため、早めの申請が良いでしょう。

⑤審査結果の通知とストレスチェック助成金支給

書類等に不備がなければ、労働者健康安全機構から支給決定通知が届き、助成金が支払われます。一旦助成金を受けた後も、助成金にかかる関連書類を5年間は保管することが必要です。

ストレスチェック助成金の申請様式とチェックリスト

様式や助成金申請に関するチェックリストは、独立行政法人労働者健康安全機構のホームページからダウンロード可能です。助成の申請を検討される場合には、是非活用してください。

【申請様式とチェックリスト】

助成金を活用したストレスチェックの実施を

50人未満の事業場では、ストレスチェックを行うのは努力義務となっています。しかし、従業員のメンタルヘルス対策やモチベーション向上という面ではストレスチェックを実施するメリットがあり、費用面についても条件を満たせば助成金でカバーすることも可能です。これらの制度を活用し、ストレスチェック実施を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

出典:令和4年度版「ストレスチェック」実施促進のための助成金の手引

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