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健康経営優良法人2025の認定基準は?認定までのスケジュールや申請方法を解説

健康経営優良法人に認定されると、従業員を大切にする優良企業の印象を与えられたり、保険料割引が適用されたりするなどさまざまなメリットを享受できます。

健康経営優良法人2025の認定基準には、新たな項目が追加されています。そのため、申請前に昨年度からの変更点を把握しておくことが大切です。

本記事では、健康経営優良法人2025の認定基準や申請までのスケジュール、申請方法を解説します。

健康経営優良法人認定制度とは

健康経営優良法人認定制度とは、健康経営に取り組む優良な法人を顕彰する制度です。健康経営に取り組む法人を健康経営優良法人として認定することで見える化し、社会的評価を受けられる環境を整えることを目的としています。

健康経営優良法人の認定を受けると、ステークホルダーに健康経営に取り組んでいる法人であることをアピールでき、申請企業は年々増加傾向にあります。

健康経営優良法人の評価部門は「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2つです。2024年度は大規模法人部門で2,988法人、中小規模法人部門で16,733法人が認定されました。

その内の上位500法人について、大規模法人部門は「ホワイト500」、中小規模法人部門は「ブライト500」として認定されています。

また、健康経営優良法人2025からは、中小規模法人部門の上位501~1500位の法人は「ネクストブライト1000」に認定されます

【参考】
経済産業省「「健康経営銘柄2025」及び「健康経営優良法人2025」の申請受付を開始しました」
経済産業省「健康経営優良法人認定制度」
日本経済新聞社「ACTION!健康経営|ポータルサイト(健康経営優良法人認定制度)」

【関連記事】

ホワイト500とは?メリットや認定要件を分かりやすく解説

ブライト500に認定されるメリットとは?認定基準や申請方法も解説

健康経営優良法人制度と健康経営銘柄との違い

健康経営銘柄とは、東京証券取引所の上場企業33業種から、経済産業省と東京証券取引所が共同で各業種につき原則1社ずつ選定した銘柄をいいます。2024年は27業種52社が選定されています。

健康経営銘柄の概要や、健康経営優良法人制度と健康経営銘柄の違いについては、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

【関連記事】健康経営銘柄とは?認定基準や選定されるメリットを解説

【参考】経済産業省「健康経営銘柄」

健康経営優良法人2025の対象法人区分

健康経営優良法人2025の対象法人区分は、以下のように従業員数によって「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2つに分類されています。

 

業種 大規模法人部門 中小規模法人部門
従業員数 従業員数 資本金または出資金額
卸売業 101人以上 1人以上100人以下 1億円以下
小売業 51人以上 1人以上50人以下 5,000万円以下
サービス業 101人以上 1人以上100人以下 5,000万円以下
製造業・その他 301人以上 1人以上300人以下 3億円以下

(出典:経済産業省「部門の区分」

上記の「従業員」とは、「常時使用する従業員(1年以上雇用予定、週の労働時間が正社員の3/4以上)」のことです。そのため、パート・アルバイト、派遣社員なども該当する場合があります。

また、「中小規模法人部門」については、資本金額または出資総額も認定に関係してきます。業種により従業員数や資本金・出資金額の要件が異なるため、申請時に自社がどの区分に該当するか確認しましょう

健康経営優良法人2025の認定基準

健康経営優良法人2025の認定基準は、以下の5項目に大きく分かれています。

  • 経営理念(経営者の自覚)
  • 組織体制
  • 制度・施策実行
  • 評価・改善
  • 法令遵守・リスクマネジメント

大規模法人部門、中小規模法人部門で認定基準が異なるため、混同しないように気をつけましょう。

大規模法人部門の認定基準

大規模法人部門の認定基準は、以下のとおりです。

 

 

(出典:日本経済新聞社 ACTION!健康経営「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)認定要件」

健康経営優良法人2025では、ホワイト500の認定基準に「健康経営推進に関する経営レベルの会議での議題・頻度」が追加されています

ホワイト500に認定されるには、経営層による健康経営に関する会議の実施はもちろん、議題の内容や頻度がトップランナーとして妥当であることが必須です。

「健康経営推進に関する経営レベルの会議での議題・頻度」については、健康経営度調査票の設問にもなっています。

【参考】経済産業省「令和6年度健康経営度調査票(素案)」

中小規模法人部門の認定基準

中小規模法人部門の認定基準は以下のとおりです。

(出典:日本経済新聞社 ACTION!健康経営「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)認定要件」

中小規模法人部門の認定基準は前年度と同様ですが、新たに小規模法人特例が試験的に導入されています。一般の中小規模法人部門とでは、必須要件や任意で選択する要件が異なるため、対象となる小規模企業は注意しましょう。

また、健康経営優良法人2025からは、ブライト500およびネクストブライト1000に申請した法人に対し、フィードバックシートの開示が求められます

フィードバックシートとは、健康経営度調査の集計結果を記載したシートです。健康経営度調査に回答した法人にのみ交付されます。

ブライト500およびネクストブライト1000の認定を受けるには、フィードバックシートの開示に承諾することが必須要件です。

【参考】経済産業省「「健康経営銘柄2025」及び「健康経営優良法人2025」の申請受付を開始しました」

健康経営優良法人2025に認定されるメリット

健康経営優良法人2025に認定されると、健康経営に積極的に取り組んでいる企業としての証明になり、以下のようなさまざまなメリットを得られます。

  • 企業ブランドが高まる
  • 優秀な人材確保につながる
  • 金利・融資の優遇措置を受けられる
  • 保険料の割引が適用となることがある

それぞれの内容を詳しく解説します。

企業ブランドが高まる

健康経営優良法人に認定されると、「従業員の健康に向き合う企業」と認識されやすくなるため、企業ブランドの向上につながります。

また、健康経営はESG投資の「Social」にあたり、投資家が企業に投資する際の評価軸の一つです。そのため、健康経営優良法人に認定されれば、投資家からの評価が高まりやすくなります。

さらに、従業員を大切にする企業は、投資家だけでなく顧客や取引先などのステークホルダーからも好感を得やすいです。ステークホルダーにも積極的にアピールすることで、業績アップや事業の成長が期待できます

優秀な人材確保につながる

健康経営優良法人に認定されると、従業員の健康管理にしっかり取り組む働きやすい企業であることを求職者にアピールでき、優秀な人材が集まりやすくなります

ライフワークバランスを重視するなど、働き方への考えが多様化しており、企業に対して従業員への配慮や健康への取り組みを求める求職者は少なくありません。

そのため、健康経営の具体的な取り組みをアピールすることは、人材不足の解消につながります。

また、自社の健康に対する考え方を事前に知ってもらうことで、入社後のミスマッチからの離職率低下も見込めるでしょう。

なお、健康経営優良法人に認定されると、「健康経営優良法人」のロゴマークをハローワークの求人票に利用できるようになります。健康経営優良法人に認定された際は、活用するとよいでしょう。

【関連記事】健康経営が人材採用にもたらす効果は?具体的な取り組みや事例も紹介

金利・融資の優遇措置を受けられる

健康経営優良法人に認定されると、金融機関から以下のような優遇措置を受けられる場合があります。

  • 事業資金の融資利率割引
  • 保証料の減額や免除
  • 教育ローンや住宅ローンなど、従業員向けローンの金利優遇

金融機関だけでなく、自治体が提供するインセンティブ措置も増えており、奨励金や補助金を受けられる場合もあります。

優遇措置を受けられる条件や措置内容は金融機関や自治体によりそれぞれ異なるため、利用する際は各所に問い合わせましょう。

【参考】経済産業省「健康経営の推進について」

保険料の割引が適用となることがある

保険会社によっては、健康経営優良法人認定企業に対し保険料の減額・免除を適用する場合があります。一例としては以下などです。

保険会社 割引の内容
東京海上日動火災保険株式会社 従業員が被った業務上の災害をカバーする保険商品において、「健康経営優良法人認定割引」として5%の割引を適用
住友生命保険相互会社 3大疾病を保障する団体保険において、「健康経営優良法人」に対して健康経営割引プランを適用し、保険料を2%割引

(参考:全国健康保険協会「特典」

こうした保険料割引が適用されれば、さらに従業員の健康をサポートできます。健康経営優良法人に認定されることの大きなメリットといえるでしょう。

健康経営優良法人認定に関するデメリット

健康経営優良法人を取得するまでには制度を整える必要などがあり、以下についてデメリットと感じることもあります。

  • 投資対効果がすぐには見えない
  • データ収集・管理に対するコスト(労力、投資など)
  • 個人情報を提供することへの抵抗感

健康経営優良法人では「健康」を扱うため、すぐには効果が現れません。そのため、短期的な投資対効果が分かりにくく、長期的に取り組むことではじめて成果を実感できます

健康経営優良法人の認定を目指すために新たなシステムなどを導入する場合、担当者にはデータ収集・管理において労働負担が強いられます。

さらに、システム導入に伴う初期費用や維持費などもかかるため、費用コストの増加は避けられません。

また、健康に関する個人情報を会社に預けることになるため、従業員によっては強い抵抗感を示す場合があります。

健康経営優良法人2025の申請から認定までのスケジュール

健康経営優良法人2025の申請から認定までのスケジュールは、以下のとおりです。

(出典:日本経済新聞社 ACTION!健康経営「申請について」

大規模法人部門と中小規模法人部門では、以下のように申請期間が異なるため注意してください。

法人区分 申請期間
大規模法人部門 2024年8月19日~2024年10月11日17時
中小規模法人部門 2024年8月19日~2024年10月18日17時

大規模法人部門に申請する場合は、健康経営度調査に回答のうえ申請する必要があります。健康経営度調査とは、健康経営銘柄や健康経営優良法人を審査するうえでの基本情報となる調査です。

中小規模法人部門への申請には、健康経営度調査の回答は必須ではありません。しかし、健康経営のポイントが分かるため、健康経営を目指す中小企業は活用するとよいでしょう。

【参考】経済産業省「健康経営度調査について」

健康経営優良法人認定を目指す際に役立つ助成金

健康経営を推進するにあたり、企業が利用しやすいさまざまな助成金制度があります。

助成金

利用用途

条件

業務改善助成金

健康経営の取り組みに必要な設備投資やコンサルティングに利用できる

・中小企業・小規模事業者であること

・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること

・解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

 

受動喫煙防止対策助成金

一定の要件を満たす専用喫煙室、指定たばこ専用喫煙室の設置に必要となる経費に利用できる

・労働者災害補償保険の適用事業主であること

・中小企業事業主であること

エイジフレンドリー補助金

高年齢労働者の負担を軽減するための取り組みに利用できる

・中小企業であること

・高年齢労働者を常時1名以上雇用し、対象の従業員が対策を実施する業務に就いていること

くるみん助成金

仕事と子育てを両立する従業員の健康を配慮するための、子育て支援にできる

・くるみん認定、くるみんプラス認定、プラチナくるみん認定、プラチナくるみんプラス認定企業であること

 

・従業員の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整備を行う中小事業主であること

人材確保等支援助成金(テレワークコース)

従業員の健康や生活に配慮し、テレワークを導入する際に利用できる

【機器等導入助成要件】
・テレワーク実施計画を作成し、管轄の労働局に提出してその認定を受けるなど【目標達成助成要件】
・テレワークに関する制度の整備の結果、評価時離職率が、計画時離職率以下であること

ぜひ参考にして、自社の健康経営に役立つ助成金を探してみてください。

【関連記事】健康経営に活用できる助成金・補助金9選!活用するメリットも解説

健康経営優良法人認定に申請手順

ここでは、健康経営優良法人2025の申請手順を解説します。

【参考】日本経済新聞社 ACTION!健康経営「申請について」

大規模法人部門の申請手順

大規模法人部門の申請の流れは、以下のとおりです。

  • ACTION!健康経営」ポータルサイトからIDを発行する(新規申し込みのみ)
  • 申請専用サイトから「健康経営度調査票」をダウンロードし記入する
  • 健康経営度調査票を記入し専用サイトにアップロードする
  • 申請内容にもとづき審査が行われる
  • 健康経営優良法人に認定される

手順1のID発行手続きを行うと、登録したメールアドレス宛に申請専用サイトのURLが届きます。URL先へ移動し、健康経営度調査票をダウンロードしたら必要事項を記入します。

健康経営度調査票を記入後、申請専用サイトにアップロードしたら申請完了です。

中小規模法人部門の申請手順

中小規模法人部門の申請は、大規模法人部門の申請と一部手順や申請書が異なります中小規模部門の申請の流れは以下のとおりです。

  • 加入している保険者が行う健康宣言事業に参加する
  • ACTION!健康経営」ポータルサイトからIDを発行する
  • 申請専用サイトから「健康経営優良法人認定申請書」をダウンロードし記入する
  • 健康経営優良法人認定申請書を記入し、申請専用サイトにアップロードする
  • 申請内容にもとづき審査が行われる
  • 健康経営優良法人に認定される

まず協会けんぽ・健康保険組合連合会・国保組合など、企業が加入している保険者が実施する健康宣言事業に参加します。

保険者が健康宣言事業を行っていない場合は、各自治体が実施する健康宣言事業への参加が必要です。各自治体も実施していない場合は、自社独自の健康宣言事業を実施します。

中小規模法人部門の場合は、「健康経営優良法人認定申請書」に必要事項を記入して申請します。

健康経営優良法人2025の申請をする前に知っておくべき注意点

健康経営優良法人認定制度に申請する際には、事前に知っておいたほうがよい注意点がいくつかあります。申請前に確認しておきましょう。

投資対効果が分かりにくい

健康経営の取り組みを実施しても、投資対効果が見えにくいかもしれません。

たとえば、健康診断の有初見者が減り従業員が健康になっても、それが健康経営の取り組みによる結果かどうかは判断しづらいため、投資対効果が上がったか分かりにくいといえます。

適切な取り組みを実施したとしても心身の健康は、すぐに効果として現れるものではありません。健康経営の効果を実感するためには、長期的に取り組む必要があります。

データの収集・管理コストがかかる

健康経営におけるデータ収集の項目は「肥満度が下がった」「高ストレス者が減った」「欠勤率が下がった」など多岐に渡ります。そのため、データ収集・管理には、健康管理システムの導入が必要になる場合があります。

新システムを導入する場合、導入や維持にコストを要します。また、システムの使用方法を習得し周知するなど、従業員の負担が増える場合もあるでしょう。

認定の保持には毎年申請・更新する必要がある

健康経営優良法人2025に申請する際は、認定を保持していくために、毎年申請が必要になる点に注意しましょう。

健康経営優良法人2025の認定期間は、2025年4月1日~2026年3月31日までの1年間です。2026年4月1日以降も健康経営優良法人の認定を保持したい場合は、健康経営優良法人2026の申請をしましょう。

健康経営優良法人の申請期間は、例年8月~10月です。毎年申請する手間はあるものの電子申請が可能なため、申請にかかる時間はさほどかからないでしょう。

ただし、認定基準は毎年変更されるため、時勢に合わせた健康経営を行う必要があります。

健康経営優良法人2025の認定基準を理解して申請しよう!

健康経営優良法人2025では、ホワイト500の認定基準に「健康経営推進に関する経営レベルの会議での議題・頻度」が追加されています。

また、ブライト500、ネクストブライト1000に認定されるには、フィードバックシートの開示に同意する必要があります。認定基準を理解して適切に申請し、認定を目指しましょう。

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