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メンタルヘルスの社内相談窓口とは、従業員のストレスや悩みの相談に応じる窓口です。従業員の健康維持には身体だけではなく心のケアも重要であり、メンタルヘルスの社内相談窓口は欠かせない存在です。
従業員が相談しやすい窓口を設置するには、あらかじめ相談窓口の重要性や設置手順を理解しておく必要があります。
本記事では、メンタルヘルスの社内相談窓口の設置手順や運用する際の注意点などを解説します。
メンタルヘルスの社内相談窓口とは、従業員がストレスやメンタル不調を抱えた際に、相談する一次対応の窓口です。社内相談窓口では、相談者の悩みをヒアリングしたうえで助言し、必要があれば産業医などにつなぐ役割もあります。
厚生労働省によると、企業におけるメンタルヘルスケアは、以下のすべての働く人を対象にするとしています。
(参考:厚生労働省「3メンタルヘルスケアとその実践の意義」)
社内相談窓口が適切に機能して積極的に活用されれば、従業員のメンタルヘルス不調の未然防止や早期発見につながります。
メンタルヘルスの社内相談窓口と社外相談窓口の違いは、「カウンセラーなどを雇用して社内に相談窓口を設置しているか、外部に委託して社外に相談窓口を設置しているか」です。
この違いを踏まえ、社内相談窓口と社外相談窓口にはそれぞれ以下のような特徴があります。
種類 | 特徴 |
社内相談窓口 | ・相談員が企業の状況を把握しており、相談者の悩みを理解しやすい
・社内の事実関係を調査、把握しやすい ・相談員の顔が見えるので、安心感につながる |
社外相談窓口 | ・相談したことを周囲に知られる心配がなく、気軽に相談しやすい
・専門知識をもつスタッフが対応するため、手厚いサポートが期待できる ・人事労務担当者の負担が少ない |
社内相談窓口と社外相談窓口の両方を設置すると相談先の選択肢が多くなり、従業員が相談しやすい環境を整えられます。
【関連記事】EAPとは?必要とされる理由や導入メリットをわかりやすく解説
労働安全衛生法により、事業者は労働者の心の健康を保持・増進する必要があるため、メンタルヘルスの社内相談窓口の設置が求められています。
加えて、厚生労働省が定めた「労働者の心の健康の保持増進のための指針」においても、職場におけるメンタルヘルス対策を推進しています。同指針では、メンタルヘルスケアの推進で実施すべき内容を以下のように示しています。
上記のように、従業員からの相談に対応する体制が必要とされています。
【参考】
e-Gov法令検索「労働安全衛生法 第69条第1項」
厚生労働省「職場における心の健康づくり 労働者の心の健康の保持増進のための指針」
メンタルヘルスの社内相談窓口の設置には、法律上の義務はありません。ただし、生産性の向上や職場の活性化、労災リスクの軽減などの観点から、メンタルヘルスの社内相談窓口を設置したほうがよいでしょう。
なお、メンタルヘルスではなく、ハラスメント相談窓口の設置は労働施策総合推進法で義務付けられているので、混同しないよう注意しましょう。
【参考】e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第30条の2の第1項」
【関連記事】パワハラ防止法は中小企業も対象!罰則や取り組むべき対策を解説
メンタルヘルスの社内相談窓口の種類は、以下のとおりです。
それぞれの相談窓口について解説します。
メンタルヘルスの社内相談窓口を「対面」とする場合は、相談者と日程を調整して直接相談に対応します。対面での相談は相談内容に加えて、相手の表情や仕草などからも多くの情報を得られるのがメリットです。
相談者が訴えたいことを自由に話せる環境をつくり、時間をかけて丁寧にヒアリングしましょう。
メンタルヘルスの社内相談窓口を「メール」とする場合は、イントラやポスターなどに相談先のメールアドレスを記載し、相談を受け付けます。プライバシーの保護を考慮すると、相談窓口の対応者以外に情報が漏れないよう、専用アドレスを設けるのが賢明です。
また、メールで相談に対応する場合、言葉のニュアンスで異なる内容として汲み取られる可能性があります。たとえば、質問や共感の意図があっても、簡潔すぎる表現だと相手が「責められている」と感じる場合もあるので、細心の注意を払いましょう。
対面での相談が難しい従業員向けに、オンラインで相談できる環境を整えることも重要です。メールやチャットなどで相談者と日程を調整し、オンライン会議ツールを使って相談に対応します。
拠点が多く相談に出向くのが難しい企業や、リモートで働く従業員が多い企業は、オンラインでの相談対応を検討しましょう。
電話でメンタルヘルスの相談に対応する場合は、イントラやポスターなどに相談先の電話番号と相談の受付時間を記載し、従業員に周知しておきます。メール同様に、社内相談窓口専用の電話番号を設けておくと、相談者が安心して利用できます。
電話での相談対応は、相談者と会話できる点がメリットです。しかし、表情が読み取れず把握できる情報に限りがあるので、コミュニケーションには注意が必要です。
メンタルヘルスの社内相談窓口の設置は、以下の手順で進めます。
自社に設置することをイメージしながら、それぞれの工程をチェックしましょう。
【参考】厚生労働省「社内相談窓口設置までの流れとポイント|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」
衛生委員会などで以下の内容を決め、メンタルヘルスの社内相談窓口に関する方針を定めましょう。
相談者に対して専門的なケアが必要となる場合も考慮し、産業医・精神科医との連携方法などもあらかじめ整えておくとよいでしょう。
メンタルヘルスの社内相談窓口における方針・体制づくりは、厚生労働省の指針である「4つのケア」を参考にするのがおすすめです。「4つのケア」ではメンタルヘルスケアを4つのアプローチで分類し、誰がなにをすべきかを記載しています。
4つのケアの概要や取り組み方法については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
【関連記事】4つのケアでメンタルヘルスケアを推進しよう!具体的な取り組み方法を解説
【参考】厚生労働省「職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~」
社内相談窓口の対応者が産業医や保健師などの専門家ではない場合、研修を受けて専門知識や傾聴スキルを身につける必要があります。厚生労働省のイーラニングや民間企業が提供する研修プログラムを活用すると、必要な知識やスキルを習得できます。
また、相談対応者を選ぶ際は以下の点を重視しましょう。
相談者が安心できる環境を整えるために、人事権をもつ立場の者が相談対応者になるのは避けましょう。
【参考】厚生労働省「話を「聴く」~積極的傾聴とは~」
【関連記事】精神科医ではない産業医でも、メンタルヘルス対応できる? 各自の役割と対応を解説
社内相談窓口の対応体制を整備したら、メンタルヘルスの相談窓口を開設した旨を従業員に周知しましょう。従業員に周知しておくべき内容には、以下などが挙げられます。
社内相談窓口の開設に関する情報は、社内報・イントラ・ポスターなど、さまざまな方法で周知しましょう。情報が従業員に伝わりづらい場合もあるので、なるべく多くの従業員の目に触れる方法を選ぶことが大切です。
すべての準備が整ったら、メンタルヘルスの社内相談窓口の対応を開始し、必要があれば医療機関への相談や受診を勧めましょう。
対面だけではなく、メールやチャットなどを利用して相談できる体制を整えておくと、従業員の相談に対するハードルを下げられます。
メンタルヘルスの社内相談窓口を運用する際の注意点は、以下のとおりです。
トラブルが発生するリスクを軽減するために、注意点を押さえましょう。
メンタルヘルスの社内相談窓口を運用する際は、従業員の個人情報やプライバシーの保護に配慮が必要です。メンタルヘルスの社内相談窓口には、従業員に関するデリケートな情報が集まるからです。
以下の点に注意して、社内相談窓口を運用しましょう。
医療機関なども第三者に該当することから、情報提供する場合には相談者である従業員の同意が必要です。
メンタルヘルスの社内相談窓口に寄せられた相談内容を、メンタルヘルスケアの範囲を超えて利用することは厳禁です。事業者従業員に対して、以下のような不利益な扱いをしてはなりません。
直接雇用している従業員だけでなく、派遣労働者に対しても上記の扱いは認められません。また、相談者に対する不利益な扱いが発生すると、他の従業員が相談しづらくなるため注意しましょう。
メンタルヘルスの社内相談窓口に関して、ポスター掲示や案内配布などで繰り返し周知しましょう。情報が従業員に行き届いていない可能性があるからです。既存の従業員だけではなく新入社員や中途採用の従業員に対しても、周知を徹底することが重要です。
また、従業員の家族がメンタルヘルスの不調に気づくケースもあるので、社内報やリーフレットなど家族の目に触れる媒体での案内も検討するとよいでしょう。
【関連記事】華麗なる連携プレーで、メンタル不調の兆しをキャッチ!―産業医のメンタルヘルス事件簿vol.4
社内相談窓口を設置しメンタルヘルス対策を実施している企業事例を紹介します。自社のメンタルヘルス対策を検討する際の参考にしてください。
株式会社大塚製薬工場は、医薬品や医療機器などの製造・販売を主な事業としている企業です。
同社では、1998年から「生活相談室」を設置しており、専任の産業カウンセラーが年間約300件の相談に対応しています。産業カウンセラーは仕事や職場環境での悩みに限らず、家族の問題など幅広く対応しています。
加えて、相談対応を勤務時間外に実施するなど、周囲の目を気にせずに相談できるように工夫している点も特徴です。
また、産業カウンセラーが管理監督者に対して研修を実施し、メンタルヘルスに関する知識習得を促しています。
【参考】厚生労働省「株式会社大塚製薬工場(徳島県鳴門市):職場のメンタルヘルス対策の取組事例」
ドラッグストアや調剤薬局を展開する株式会社サッポロドラックストアーでは、メンタルヘルスに関する相談から職場復帰者への対応まで手厚いサポートを行っています。
メンタルヘルス不調による職場復帰者の対応は個別に実施しており、復帰後に何かあった場合は、管理監督者が人事部門に報告する体制を整えています。
社内相談窓口に関しては、全従業員が携帯している「接遇ハンドブック」や社内ポスター、研修などで周知を徹底する仕組みを構築しました。相談専用の電話とメールの両方を設けて、相談しやすい環境づくりに努めています。
【参考】厚生労働省「株式会社サッポロドラッグストアー(北海道札幌市):職場のメンタルヘルス対策の取組事例」
株式会社ジェイアール西日本メンテックは、JR西日本エリアの鉄道車両の整備・清掃などを行う企業です。
同社では、ハラスメントとメンタルヘルスの社内相談窓口を一本化しています。一本化した背景は、ハラスメントがメンタルヘルスの不調の原因となっている場合があるためです。
社内だけではなく社外にも相談窓口を設けており、従業員が相談しやすい体制を整備しています。社内で対応できない場合は社外の相談窓口につなげるなど、社内と社外の相談窓口の連携を強化している点も特徴です。
また、管理者に研修を毎年実施したり、商工会議所のメンタルヘルスに関する検定を団体受検したりしています。管理者を通じての相談が増加しており、施策の効果が現れています。
【参考】厚生労働省「株式会社ジェイアール西日本メンテック(大阪府大阪市):職場のメンタルヘルス対策の取組事例」
【関連記事】ラインケアとは?基本の進め方、推進するメリットを解説
メンタルヘルスの社内相談窓口とは、従業員がメンタル不調などを抱えた場合に相談する一次対応の窓口を指します。社内相談窓口を設置する際には、衛生委員会などで方針を決めてから相談体制を整えましょう。
メンタルヘルスの社内相談窓口では、従業員に関するデリケートな情報を取り扱うので、個人情報やプライバシーの保護に配慮が必要です。
メンタルヘルスの社内相談窓口を設置し、従業員の心の健康を守りましょう。
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