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ストレスチェックは、従業員のメンタルヘルス不調を発見し、予防するための制度です。ストレスチェックにおいて産業医は実施者としての役割を担うことが望ましいとされています。
しかし、ストレスチェックの際にどのように産業医と連携したらいいのか分からないと悩んでいる担当者もいるのではないでしょうか。
本記事では、ストレスチェックにおける産業医の役割や高ストレス者に対しての面接指導後に事業者が対応すべきことなどを解説します。産業医の探し方や、選定する際のポイントも解説しているのでぜひ参考にしてください。
ストレスチェックとは、従業員のストレス状態を調査するための検査です。常時50人以上の従業員を抱える事業場では実施が義務付けられています。
実施義務のある事業場では、対象従業員に対し、1年以内ごとに1回ストレスチェックを行わなければなりません。
ストレスチェックの対象者は厚生労働省により、以下のとおり規定されています。
条件を満たしていればパートやアルバイトも対象です。経営者や役員、派遣労働者は対象に含まれません。
50人未満の事業場においては2024年現在、努力義務とされています。
【関連記事】従業員、常時使用(雇用)する労働者の定義とは? 社労士が解説!
【参考】厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」
ストレスチェックを実施する目的は、従業員のメンタルヘルスの不調を未然に防ぐことです。ストレスチェックの実施結果を分析することで、高ストレス者となっている従業員を見極められます。
ストレスが引き金となって体調不良が生じるケースもあるため、高ストレス者を早期に発見することは、本人のみならず企業にとってもメリットです。
また、ストレスチェックの結果を分析することで、ストレスの多い事業所を特定し、職場改善を図れるメリットもあります。
【関連記事】ストレスチェックで高ストレス者を選定する際の方法や注意点
ストレスチェックにおける産業医の役割は以下の4つです。
それぞれにおいて産業医が担う役割を解説します。産業医にストレスチェックを依頼する際には、企業側と産業医で役割分担して進めましょう。
ストレスチェックの実施は、産業医の役割です。ストレスチェックの実施者になれるのは医師や保健師、一定の研修を受けた看護師・精神保健福祉士のみと決められています。
産業医によるストレスチェックは、厚生労働省が推奨している「職業性ストレス簡易調査票」を用いて実施するのが一般的です。
従業員に調査票の質問項目に回答してもらい、ストレスの要因やストレスに対しての本人の自覚症状、就業上のサポートの必要性などを把握します。
【参考】
厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票(80項目版)」
厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」
従業員に回答してもらった後、その結果を分析して高ストレス者を判定することも産業医の役割です。高ストレス者の判定基準は、厚生労働省の「ストレスチェック実施マニュアル」に次のように記載されています。
(参考:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」)
最終的な判定基準は社内の衛生委員会で審議し、事業者が決定する必要があります。審議する際は産業医から専門的な意見をもらって、自社の労働環境に即した判定基準を設定しましょう。
ストレスチェックを実施した際には、集団分析を実施することが努力義務となっています。集団分析をすることのメリットは、高ストレス者が発生しやすい職場かどうか、組織の状況を把握できることです。
集団分析は個人情報が特定されないよう、10人以上の組織で評価します。評価方法や基準、分析する組織の単位は、産業医を含めた衛生委員会で調査審議し、事業者が決定します。
【関連記事】ストレスチェックの集団分析の方法とは?分析結果別の対処方法も解説
ストレスチェックで高ストレス判定が出た従業員に対する面接指導も産業医の役割です。
本人から要望があった場合、産業医が面接指導を実施し、就業上の措置が必要かどうかを判断します。
面接指導で産業医が確認することは、以下の3つです。
面接指導は、高ストレス者がメンタルヘルスの不調などに陥るのを未然に防ぐ目的で実施します。ただし、高ストレス者であっても、当該従業員が申し出ない場合は面接指導を実施できません。
高ストレス者への面接指導の際には、当該従業員のストレス状態を産業医が確認するために、以下の情報を準備しておく必要があります。
上記の情報をまとめられるフォーマットは、厚生労働省のサイトからダウンロードできます。面接指導をスムーズに進めるために事前に用意しておきましょう。
【参考】
厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」
厚生労働省「医学的知見に基づくストレスチェック制度の高ストレス者に対する適切な面接指導実施のためのマニュアル」
産業医の面接指導が終わったら、事業者は以下の対応が必要です。
それぞれについて具体的に解説します。
面接指導の実施後、遅くとも1ヶ月以内には産業医から意見を聴取し、従業員のストレスの程度に応じて就業措置をとりましょう。
就業上の具体的な措置としては、勤務場所の変更や労働時間の短縮、休職などが挙げられます。
措置を取った方がいいと判断した場合、産業医同席のうえ、事業者が該当の従業員に対して、措置の内容とその理由について説明を行うことが大切です。
また、産業医だけでなく、現場の管理者とも連携をとり、理解を得るようにしましょう。
【関連記事】健康診断の事後措置の流れは?企業が対応すべき義務を解説
事業者は面接指導の記録(面接指導結果の報告書・意見書)を作成し、5年間保管することが義務付けられています。
面接指導の記録には、以下の内容を盛り込みましょう。
面接指導結果の報告書・意見書の様式に決まりはありませんが、厚生労働省が示しているフォーマットを参考にすると必要な情報を網羅できます。
【参考】厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」
ストレスチェック後、産業医面談を実施する際は、以下に配慮しなければなりません。
それぞれの注意点を理解しておきましょう。
面接指導の申し出を理由に、当該従業員を不利に扱うことは労働安全衛生法で禁止されています。面接指導の結果による解雇や退職を勧めることや、不当な異動などはできません。
【参考】e-GOV「労働安全衛生法」
面接指導の結果は、人事労務部門内のみで保有します。ストレスチェックや面接指導の内容に関わる情報に対しては守秘義務があり、違反は刑罰の対象です。情報にはパスワードをかけ、第三者に見られないよう管理しましょう。
事後措置など、情報を社内で共有せざるを得ない状況である場合でも、情報を開示する範囲は最小限にとどめなければなりません。
【参考】厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」
面接指導を受けるかどうかは、あくまでも従業員が選択します。しかし、事業者側としては、本人のためにも面接指導を受けてほしいのが本音でしょう。
面接指導を受けてもらいやすくするために、どのようなことに取り組めばよいのか解説します。
【関連記事】従業員が産業医の面談を拒否した場合はどうする?
高ストレス者と判定された従業員に結果を通知する際、面接指導を受けることに対する不安を取り除くよう配慮しましょう。
たとえば、面接指導の具体的な内容や個人情報の取り扱いについて説明することなどが考えられます。
面接指導の結果を理由とした解雇、雇い止め、退職勧奨、不当な動機・目的による配置転換・職位の変更などがされないことを伝えましょう。
また、面接指導の手続きを手間なくできるようにすることも大切です。面接指導を受ける気になっても、申し込み方法が分かりにくい場合、「面倒だからいいや」とせっかくの機会を損ねてしまいかねません。
申し込み方法を明確にし、従業員が迷わないように配慮しましょう。
厚生労働省は、高ストレス者への面接指導はストレスチェックの実施者による勧奨が望ましいと示しています。そのため、高ストレス者の従業員に面接指導を受けてもらうように、産業医に協力を仰ぎましょう。
ストレスチェックを受けて、高ストレス者と判定された従業員の中には、面接指導を受けたくない人もいることでしょう。
しかし、高ストレス者と判定された従業員は強いストレスを受けている状況下にあるため、適切な対応をせずにいると、メンタルヘルス不調に陥ってしまう可能性が少なくありません。
メンタルヘルスに関する医学的な専門知識を有する産業医から、面接指導を受ける必要性やメリットを当該従業員に説明してもらえば、産業医面談を受けてくれることが期待できます。
【参考】厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」
相談のハードルを下げるために、社外の相談窓口の設置もおすすめです。
高ストレス者の従業員は、「同僚や上司に高ストレス者だと知られたくない」「業務時間内に面接指導を受ける時間がない」などの理由から、面接指導を受けるハードルが高いと感じていることが考えられます。
このような場合でも社外にメールや電話で相談できる窓口を設ければ、会社関係者に知られずにいつでも相談できます。
【関連記事】EAPとは?メンタルヘルス対策としての概要や導入メリットを解説
【関連サービス】『こころとカラダの相談室』 サービス資料
ストレスチェックを実施するには、厚生労働省が定める要件を満たした産業医を選定しなくてはいけません。産業医の探し方には次の4つがあります。
自社の状況にあわせて、適した方法で産業医を探しましょう。詳細は関連記事をご確認ください。
【関連記事】【まとめ】産業医の探し方 紹介を受けられる5つの相談先と選び方のポイント
産業医はストレスチェックの実施者でありながら、集団分析や面接指導の役割も担います。
ストレスチェックや面接指導を受けてもらうためには、高ストレス者に対して面接指導の必要性や、不当に扱わない旨をしっかりと説明することが重要です。
従業員のメンタルヘルス不調を予防・改善するために、企業と産業医が連携し、適切にストレスチェックを実施し、必要に応じて適切な措置をとりましょう。
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産業医の選任など、産業保健関連の法定義務が一目でわかるチェックシートです。 最近では、労基署から指摘を受けた企業担当者からの相談も少なくありません。働き方改革を推進する観点から、国では今後も法定義務が遵守されているかの確認を強化していくと思われるため、定期的に自社の状況を確認することをお勧めします。
50人以上の事業場向け
1,000人以上の事業場向け
※有害業務従事の場合は500人以上
単発の面談が必要な事業場向け