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高齢化に伴い、従業員による家族介護は企業にとって避けては通れない課題となっています。大切な従業員が家族を介護するために離職する「介護離職」は、企業にとっても大きな損失です。このような事態を防ぐためにも、企業の人事労務担当者は、育児・介護休業法に基づく「介護休暇」や「介護休業」といった制度を正しく理解し、従業員が安心して利用できる環境を整備することが重要です。
特に、「介護休暇の申請に診断書は必要なのか?」という疑問を抱く担当者の方も多いのではないでしょうか。本稿では、介護休暇の基本から、診断書の提出に関する企業の対応、さらには介護休業との違いや申請時の注意点まで、人事労務担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。この記事を通じて、従業員が介護と仕事を両立できるような、より良い職場環境づくりにお役立てください。
介護休暇とは、従業員が要介護状態にある家族の介護や世話をするために取得できる休暇制度です。育児・介護休業法によって定められており、企業は従業員からの申し出があった場合にこれを拒むことはできません。
「要介護状態」とは、負傷、疾病、身体上または精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態を指します。一般的にイメージされる高齢の親の介護だけでなく、以下のようなケースも「要介護状態」に該当し、介護休暇の取得対象となる可能性があります。
介護休暇の取得日数は、対象家族の人数によって異なります。
この日数は、2021年1月からは1日単位だけでなく、1時間、2時間といった時間単位での取得も可能になりました。これにより、例えば「午前中だけ病院に付き添う」といった柔軟な利用が可能となり、従業員はより介護と仕事を両立しやすくなっています。
介護休暇の対象となる家族は、以下の通りです。
介護休暇は、すべての労働者が取得できるわけではありません。以下の従業員は、原則として介護休暇の取得対象外となります。
介護休暇は、比較的短期間の介護や、突発的な介護のニーズに対応するのに適しています。
これらのケースでは、介護休暇を効果的に活用することで、従業員は仕事と介護の両立を図ることができます。
【参考】
厚生労働省「育児・介護休業法について」
介護休暇の申請において、従業員が「家族の要介護状態を証明する診断書」の提出を求められるケースがあるかもしれません。しかし、育児・介護休業法では、診断書の提出を義務付けているわけではありません。
厚生労働省の通達では、企業が従業員に証明書類の提出を求めることを認めている一方で、「労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきもの」とされており、臨機応変かつ柔軟な対応が求められています。
つまり、たとえ会社の就業規則や育児・介護休業規程で診断書などの証明書の提出を求めるルールを設けていたとしても、それを従業員に強制することはできません。診断書がないことを理由に、従業員からの介護休暇の申し出を拒否することはできないのです。
【参考】
厚生労働省「よくあるお問い合わせ(事業主の方へ)」
企業が対象家族の要介護状態を確認したいと考えるのは、制度の不正利用防止や、両立支援助成金などの申請のために証明書が必要になる場合があるためです。このような目的で証明書を求めることは問題ありませんが、以下の点に留意し、従業員への配慮を忘れないようにしましょう。
介護休暇の申請は、比較的簡易な方法で行うことができます。しかし、いくつか注意すべき点もあります。
介護休暇の申請は、口頭または書面で行うことができます。
人事労務担当者は、従業員からの介護休暇申請があった際に、以下の点に注意して対応する必要があります。
介護のための休暇制度には、「介護休暇」の他に「介護休業」があります。両者は名称が似ているため混同されがちですが、目的や取得条件、取得日数などが大きく異なります。人事労務担当者は、これらの違いを理解し、従業員が状況に応じて適切な制度を選択できるよう情報提供することが重要ですし、参照サイトとして厚生労働省のウェブサイトも確認すると良いでしょう。
項目 | 介護休暇 | 介護休業 |
---|---|---|
概要 | 要介護状態の家族の介護や世話をするための休暇 | 要介護状態の家族を介護するための休業 |
取得日数 | 対象家族1人につき年5日、2人以上で年10日まで | 対象家族1人につき通算93日まで(3回まで分割取得可) |
取得単位 | 1日単位または時間単位 | 原則として日単位(長期休業) |
申請方法 | 口頭または書面(当日申し出・中抜けも可) | 休業開始予定日の2週間前までに書面で申出が必要 |
経済的支援 | なし(企業規定による) | 要件を満たせば介護休業給付金(賃金の67%相当額)が支給される可能性あり |
適したケース | 突発的な介護、単発的な介護(通院付き添い、面談など) | 長期的な介護(老人ホーム入居準備、遠方での介護、看取りなど) |
従業員がどちらの制度を利用すべきか迷っている場合は、それぞれの制度の特徴やメリット・デメリットを具体的に説明し、介護の状況や今後の見通しを踏まえて最適な選択ができるようサポートしましょう。
人事労務担当者として、従業員が介護と仕事を両立できるよう、積極的にサポートする姿勢を示すことが重要です。
介護休暇や介護休業といった制度は、従業員にとって知っているようで知らないことも多いのが現状です。就業規則や社内ポータルサイトなどで制度の概要を明確に記載し、定期的に周知する機会を設けましょう。また、制度利用に関する相談窓口を明確にし、従業員が気軽に相談できる環境を整備することも大切ですることはもちろんのこと、参照サイトとして厚生労働省のウェブサイトも確認すると良いでしょう。厚生労働省のウェブサイトでは、制度解説のパンフレットや詳細なQ&A集が提供されており、これらを参考に情報提供を行うことができます。
介護は突発的に発生することが多く、従業員が予測できない状況に直面することもあります。介護休暇の時間単位取得の活用促進はもちろんのこと、短時間勤務制度、フレックスタイム制度、在宅勤務制度など、柔軟な働き方を導入・推進することで、従業員はより介護と仕事を両立しやすくなります。
介護の状況は従業員によって様々です。型にはまった対応だけでなく、従業員一人ひとりの状況やニーズに耳を傾け、個別事情に応じた柔軟な対応を心がけましょう。例えば、緊急時の連絡体制の確認、業務内容や量の調整、他の従業員との連携支援などが考えられます。
現場の管理職が介護に関する制度や従業員への配慮について正しく理解していることは非常に重要です。管理職向けの研修を実施し、ハラスメントの防止、情報共有の促進、従業員の状況理解といった視点から、適切なマネジメントができるよう教育を進めましょう。
【参考】
東京労働局
社内だけでなく、社外の相談窓口(例:社会保険労務士、ケアマネジャーなど)との連携を検討することも有効です。専門家からのアドバイスを受けることで、従業員はより安心して介護に取り組むことができます。各都道府県労働局では、育児・介護休業法に関する相談窓口が設けられており、個別具体的な事案について相談することも可能です。
介護休暇は、従業員が家族の介護と仕事を両立できるよう支援するための重要な制度です。人事労務担当者は、「介護休暇の申請に診断書は必須ではない」という点を正しく理解し、従業員に過度な負担をかけることなく、柔軟かつ適切に制度を運用することが求められます。
本記事で解説した内容を参考に、自社の介護休暇・介護休業制度を今一度確認し、従業員が安心して介護と仕事の両立ができるような、より働きやすい職場環境を整備してください。従業員が安心して働ける環境は、企業の生産性向上にもつながり、ひいては企業の持続的な成長に貢献するでしょう。
介護に関する従業員からの相談があった際は、焦らず、各制度の特徴を説明し、従業員の状況を理解した上で、最適なサポートを提供できるよう努めましょう。
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