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長時間労働対策の取り組み事例10選|課題解決に向けた具体的な取り組みとポイント

「働き方改革」が叫ばれ、長時間労働の是正が急務とされている現代、多くの企業がこの課題に直面しています。「対策を講じているのに効果が見えない」「何から手をつければ良いかわからない」「現場の協力が得られない」といったお悩みを抱えている人事労務担当者の方も少なくないのではないでしょうか。

この記事では、そのようなお悩みを解決すべく、長時間労働対策に成功した企業の具体的な取り組み事例を10選厳選してご紹介します。各事例から、自社の状況に合わせたヒントを見つけ出せるはずです。さらに、単なる事例紹介に留まらず、成功の裏側にある共通のポイントや、対策を継続させていくための注意点についても詳しく解説します。

長時間労働が深刻な社会問題となる背景

近年、長時間労働は単なる個人の問題ではなく、企業活動を阻害する深刻な社会問題として認識されています。その背景には、労働者の心身の健康被害や過労死、メンタルヘルス不調のリスク増大、少子高齢化に伴う労働人口の減少、そして社会全体のコンプライアンス意識の向上が挙げられます。

特に、2019年4月から施行された「働き方改革関連法」により、時間外労働の上限規制が法的に定められました。これにより、企業には労働時間削減に向けた具体的な対策が義務付けられています。この法改正を契機に、労働時間の見直しはもはや避けて通れない経営課題となったのです。長時間労働を是正することは、従業員のパフォーマンス向上や生産性の向上、優秀な人材の確保・定着にも直結する、企業成長のための重要な投資と考えられています。

長時間労働対策に成功した企業の事例10選

ここでは、各業界で長時間労働対策に成功した企業の具体的な取り組みを10個ご紹介します。

IT企業:テレワークと先進的なITツールで生産性を飛躍的に向上

あるIT企業では、新型コロナウイルスの流行以前から全社的にテレワークを導入していました。働く場所の制約をなくすことで、従業員は通勤時間を削減でき、その時間を業務やプライベートに充てられるようになりました。また、勤怠管理システム、タスク管理ツール、Web会議システム、ドキュメント共有ツールなどを徹底的に活用。これにより、従業員一人ひとりの業務進捗状況やタスクの偏りをリアルタイムで可視化できるようになり、より公平で効率的な業務配分を実現しました。

成功のポイント:

  • 従業員の働き方を尊重する柔軟な勤務制度の導入。
  • ITツールを単なる便利ツールとしてではなく、業務の可視化と効率化のための基盤として活用。
  • 従業員の自主性と責任感を尊重する企業文化の醸成により、自律的な働き方を促した。

製造業:業務プロセスの徹底的な見直しと無駄の排除

ある製造業の企業は、工場現場と事務部門の双方で長時間労働が常態化していました。そこで、全従業員が参加する形で、日々の業務プロセスを徹底的に洗い出すワークショップを実施。その結果、重複する確認作業や、非効率な書類作成、複雑な社内承認フローなど、多くの「ムダ」を発見しました。これらのムダを排除するため、マニュアルのデジタル化、業務自動化ツールの導入、そして決裁フローの簡素化を進めました。

成功のポイント:

  • 現場の従業員を巻き込み、主体的な改善活動を促した。
  • 「ムダ・ムリ・ムラ」を徹底的に排除するという明確な目標設定。
  • 改善活動の成果を定期的に共有し、従業員のモチベーションを維持した。

建設業:建設DXの推進で現場とバックオフィスの連携を強化

建設業界は、長時間労働が特に深刻な課題とされています。ある建設会社は、この課題を解決するため、建設DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進しました。具体的には、現場の図面や進捗状況をクラウド上で一元管理するシステムを導入。これにより、現場と事務所間の移動や、電話・FAXでの煩雑なやり取りが不要になり、情報共有が格段にスムーズになりました。

成功のポイント:

  • 業界特有の課題をDXで解決するという明確なビジョン。
  • 現場の作業員の負担軽減を最優先に考えたツール選定と導入。
  • ツール導入後も、現場からのフィードバックを反映し、継続的な改善を実施。

その他の成功事例

  • コンサルティング企業: 業務の「見える化」と明確な目標設定により、従業員が自律的に時間管理を行う文化を醸成。
  • 小売業: シフト管理システムの導入と適正な人員配置により、従業員一人あたりの業務量を平準化し、残業を削減。
  • サービス業: ペーパーレス化とチャットツールの導入で、社内コミュニケーションの効率を向上させ、無駄な会議やメールのやり取りを削減。
  • 物流業: AIを活用した運行管理システムの最適化と配送ルートの見直しで、拘束時間を大幅に短縮し、ドライバーの負担を軽減。
  • 教育機関: 校務支援システムの導入と一部業務の外部委託により、教員の事務作業負担を大幅に軽減し、本来の業務に集中できる環境を整備。
  • 医療機関: 電子カルテシステムや予約システムを導入し、医師や看護師の業務を効率化。
  • 公務員:RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入で定型的な事務作業を自動化し、職員の負担を軽減。

長時間労働対策を成功させるための3つの重要なポイント

単に制度を導入するだけでは、長時間労働の問題は解決しません。対策を成功させ、社内に定着させるためには、以下の3つのポイントを押さえることが非常に重要です。

  1. 経営層が率先して意識改革の旗振り役となる
    長時間労働対策を成功させるには、まず経営層がその重要性を深く理解し、従業員に強いメッセージを発信することが不可欠です。経営層自らが率先してノー残業デーを守ったり、積極的に休暇を取得したりといった姿勢を示すことで、社内全体の意識が変わります。また、労働時間削減を人事評価に反映させるなど、具体的な仕組みに落とし込むことも効果的です。
  2. 業務プロセスの根本的な見直しと効率化
    「残業ありき」の業務プロセスになっていないか、もう一度見直してみましょう。目的が曖昧な会議、冗長な報告書作成、複数人でのチェック体制といった非効率な業務を洗い出し、本当に必要な業務に絞り込むことが重要です。ITツールの導入や、専門性の高い業務のアウトソーシングも、効率化を加速させる有効な手段です。
  3. 従業員との密なコミュニケーションで現場の声を反映させる
    対策は、会社が一方的に決めるのではなく、従業員の協力を得て進めることが成功の鍵です。定期的な面談や匿名でのアンケートなどを通じて、現場で何がボトルネックになっているのか、どのような対策を求めているのか、従業員の声に真摯に耳を傾けることが大切です。対策の導入後も、効果を定期的に測定し、従業員からのフィードバックを反映しながら継続的に改善していくことで、現場に定着し、より効果的な対策へと進化させていくことができます。

まとめ:具体的な事例を参考に、自社に最適な対策を

長時間労働対策は、一朝一夕で解決するものではありません。この記事でご紹介した具体的な成功事例を参考に、貴社の現状の課題を明確にし、従業員を巻き込みながら、継続的に取り組むことが成功への鍵となります。

労働環境の改善は、従業員のエンゲージメントと生産性を高め、企業の持続的な成長を促す大切な投資です。この記事が、貴社の働き方改革の一助となれば幸いです。

エムスリーキャリア健康経営コラム編集部

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