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経済産業省が推進する「健康経営」は、一般企業と同様に自治体でも実施されています。しかし、自治体では一般企業のように対策が進められない部分もあるため、どのように取り組めばよいか悩んでいる自治体の人事労務担当者の方もいるのではないでしょうか。
本記事では、自治体の健康経営とはどのようなものであるかや、自治体特有の課題、取り組み事例を紹介します。
健康経営とは、労働者の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践することです。自治体の健康経営では、職員が健康的に労働できることで、質のよい行政サービスを提供できると考えられています。
自治体は一般企業の健康経営を推進し、サポートしていく立場であるため、率先して健康経営に取り組むことが重要です。
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自治体の健康経営で取り組むべき課題は多くあるものの、とくに積極的に取り組むべき課題として以下の3つが挙げられます。
それぞれの内容を解説します。
自治体では、男性の育児休業が取得しにくい傾向にあるため、男性の育児休業取得率を上げるための環境整備が必要です。
2020年時点の地方公務員を対象とした調査では、育児休業を取得できていない男性職員は60.2%との結果でした。
育児休業を取得できていない要因には、「男性の育児休業に関する取り組みを実施していない」「育児休業取得の方針が明確化されていない」などが挙げられます。
この状況を改善するために、各自治体では男性の育児休暇の取得率について、年度ごとに数値目標を掲げて取り組みを実施しています。
【参考】総務省「令和2年度地方公務員におけるダイバーシティ・働き方改革推進に関する実態調査結果」
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健康経営の取り組みの一環であるテレワークの導入が遅れている地方自治体が多く、推進が難しい状況にあります。
総務省の2020年の調査によると、テレワークを導入している地方自治体の割合は以下のとおりです。
自治体の規模 | テレワーク導入率 |
都道府県 | 100.0% |
政令市 | 85.0% |
市区町村(101人以上) | 24.8% |
市区町村(100人以下) | 7.7% |
(出典:総務省「令和2年度地方公務員におけるダイバーシティ・働き方改革推進に関する実態調査結果」)
市区町村のテレワークの導入率が低い理由は、テレワークに置き換えることが難しい業務を抱えていることや、紙の資料が参照できないといった環境面の問題、労務管理に不安があることなどが挙げられます。
地方公務員の定年が60歳から65歳まで延長されるため、高齢による体調不調の防止に努めなければなりません。地方公務員の定年は、2023年度から2年ごとに1歳ずつ段階的に引き上げられ、2031年度には65歳になります。
厚生労働省の調査によると、労働災害によって4日以上休業する労働者は60歳以上の割合が高くなっており、2023年時点では全体の29.3%を占めています。
労働災害の発生要因としては、「動作の反動・無理な動作」や「転倒」などが多いため、職員の身体能力の維持に気を配らなければなりません。
そのためには、健康診断や体力チェックなどを通じて職員の状態を把握し、必要な措置を実施できる体制を整えることが重要です。
【参考】
総務省「地方公務員法の一部を改正する法律案の概要」
厚生労働省「令和5年 高年齢労働者の労働災害発生状況」
【関連記事】【社労士監修】労災とは?人事労務担当者が知っておくべき基礎知識と対応方法
一般企業と比較した自治体特有の健康経営の課題には、以下が挙げられます。
それぞれの内容を詳しく解説します。
一般企業と比べて自治体は、長時間労働を防止するための対策を取りにくいことが課題として挙げられます。
なぜなら、労働基準法では、国家公務員や地方公務員に対する労働時間の上限について、例外を設けているためです。例外では、臨時の公務や災害時は上限時間を超えた時間外労働を依頼できるとされています。
また、長時間労働者に対して面接指導を推奨しても、職員の仕事量が多いために、面接指導の時間を確保できないケースがあります。
そのため、自治体では時間外労働時間の上限規制が厳しい一般企業よりも、実効性のある長時間労働削減の取り組みがしにくいといえるでしょう。
【参考】
e-Gov法令検索「労働基準法」
総務省「地方公共団体における時間外勤務の上限規制及び健康確保措置を実効的に運用するための取組の推進について(通知)」
【関連記事】長時間労働はなぜ問題になるのか?労働環境を見直すべき理由
自治体によっては、古くから存在する紙資料の管理や、外部のネットワークを経由できない個人情報を取り扱う部署があるため、テレワークが実現できない場合があります。
上記を考慮したテレワークの選択肢として、総務省は在宅業務・サテライトオフィス勤務・モバイルワークの形態を駆使する必要があると示しています。これらの対策を講じるためには、あらかじめ業務を整理し、スモールスタートで取り組みを検証していくことが重要です。
【参考】総務省「地方公共団体におけるテレワーク推進のための手引き」
健康経営優良法人2024の認定を受けた自治体の事例を紹介します。健康経営を推進するうえで参考にしてください。
【関連記事】健康経営優良法人制度とは?認定されるメリットや申請方法を解説
北海道の苫小牧市は、健康経営優良法人2024(大規模法人部門)ホワイト500に認定されました。
健康経営の一環として、苫小牧市役所が取り組んでいる内容は以下のとおりです。
苫小牧市では「苫小牧市 ハラスメント・ゼロ宣言」を掲げており、職員のハラスメント行為が明らかになった場合は、懲戒処分などを含めて厳正に対処することを明示しています。
また、ワークライフバランスの推進のため、「イクボス宣言」を行い、子育てや介護の両立に対してサポートする文化の醸成に努めています。男性管理職の育休取得率は2018年度において2%でしたが、取り組みの結果、2022年度には40.4%に上昇しました。
【参考】苫小牧市「苫小牧市は「健康経営優良法人2024(大規模法人部門(ホワイト500)」に認定されました」
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長野県内で唯一2年連続で健康経営優良法人に認定されている駒ヶ根市役所では、健康経営推進のために以下の取り組みを行っています。
駒ヶ根市役所は、全職員への健康アンケートの結果を健康経営の取り組みに活用している自治体です。たとえば、健康アンケートで職員の関心が高かった「睡眠」について改善できるよう、健康セミナーや専門家による指導を継続的に実施しています。
また、始業前にラジオ体操を実施し、運動機会を増やす取り組みも行い、職員の健康管理に努めています。
【参考】
駒ヶ根市「市長が市政を解説」
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全国の中核市ではじめて健康経営優良法人に認定された大阪府の枚方市役所は、健康経営の一環として以下の取り組みを実施しています。
職員がワークライフバランスを取れるよう、時間外労働に関する報告を徹底しています。たとえば、事前申請をしていない職員に時間外勤務させないようにするために、自動でPCがシャットダウンするシステムを採用しています。
また、健康経営の推進により男性職員の育児休業の取得率が改善しており、2022年の42.9%から2023年には60%にまで向上しました。2026年には育児休業取得率が100%になるよう、取り組みを進める予定です。
職員の禁煙支援では、庁内研修で禁煙動画を配信したり、定期健康診断の会場に禁煙リーフレットを掲示したりすることで、喫煙率の減少に成功しています。
【参考】枚方市「枚方市役所における健康経営の取組み」
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職員が継続して業務のパフォーマンスを維持・向上できるよう、自治体でも一般企業と同様に健康経営の取り組みを進めることが重要です。
自治体の健康経営の課題には、男性職員の育児休業の取得促進やテレワーク導入の推進などが挙げられます。
ワークライフバランスの推進により結果を出している自治体や、テレワークが導入できている自治体もあります。他の自治体の取り組みも参考にして、健康経営を推進していきましょう。
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