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労働安全衛生法違反の罰則を一覧で解説|人事労務担当者必見

労働安全衛生法違反の罰則を人事労務担当者向けに解説

労働安全衛生法に違反した場合、どのような罰則が科されるかご存知でしょうか。人事労務担当者として、自社の安全衛生管理体制が法令を遵守しているか、常に把握しておく必要があります。

この記事では、労働安全衛生法に違反した場合の罰則について罰則一覧や具体的な違反事例、企業と個人の両方に科される「両罰規定」について解説します。

労働安全衛生法に違反した場合に科される4つの罰則

労働安全衛生法に違反した場合、違反内容に応じて主に4つの罰則が科されます。これらの罰則は、違反の重大性や悪質性によって程度が異なります。

  • 1. 刑事罰(懲役・罰金)
    法令違反の中でも特に重大なケースに適用されます。
    最高で10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科される場合があります。
    法人に対しては「両罰規定」が適用され、罰金刑が科されます。
  • 2. 行政処分
    厚生労働大臣や労働基準監督署長が、事業主に対して改善を求める命令を出します。
    指導・勧告、是正勧告、作業停止命令などがあり、これらに従わない場合は刑事罰の対象となります。
    企業名が公表されるリスクもあります。
  • 3. 過料
    行政上の秩序を維持するために科される金銭的負担です。
    刑事罰とは異なり、刑罰ではないため前科はつきません。
    例:健康診断の実施義務違反など、比較的軽微な違反に適用されることが多いです。
  • 4. 損害賠償
    法令違反により労働者に損害を与えた場合、民事上の責任として損害賠償を請求されます。
    安全配慮義務違反として、多額の賠償金を支払うケースもあります。

労働安全衛生法の罰則一覧|違反事例と罰則をまとめて確認

労働安全衛生法に違反した場合の具体的な罰則を一覧でまとめました。自社の管理体制がどの規定に抵触する可能性があるか確認するのに役立てていただけます。

  • 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
    高所作業の安全措置を怠った場合
    特定の有害業務での健康診断の未実施
    労働基準監督署長の命令に違反した場合
  • 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
    安全管理者や衛生管理者の未設置
    特定の危険業務への未経験者の就業
    労働者への安全教育・衛生教育の未実施
  • 50万円以下の罰金
    ストレスチェックの実施義務違反
    作業環境測定の未実施
    労働者の負傷・疾病等に関する報告を怠った場合
  • 20万円以下の過料
    健康診断の実施記録の保存義務違反
    有害業務への従事者に特別教育を未実施
    労働者名簿や雇入れ時の書類に虚偽の記載をした場合

労働安全衛生法における「両罰規定」とは?

労働安全衛生法には「両罰規定」が設けられています。これは、法人(企業)と法人を代表する個人(事業主や役員など)の両方に罰則を科すというものです。
例えば、安全配慮義務を怠った結果、労働者が事故にあった場合、直接の違反者である担当者だけでなく、企業そのものも罰則の対象となります。これにより、企業全体で法令遵守を徹底し、安全衛生管理を推進する責任を負うことになります。

労働安全衛生法違反による罰則を回避するための対策

法令違反による罰則を回避するためには、日頃からの予防策が重要です。以下の対策を参考に、社内の安全衛生体制を見直してみてください。

  1. 法令や規則の最新情報を常に把握する
    労働安全衛生法は改正されることがあります。厚生労働省のウェブサイトなどで最新情報を確認し、自社の体制が法改正に対応しているかチェックしましょう。
  2. 定期的な社内安全衛生パトロールの実施
    労働基準監督官の臨検を待つのではなく、自社で定期的に安全衛生パトロールを実施し、リスクを早期に発見・改善します。
  3. 従業員への安全教育・衛生教育の徹底
    安全教育は義務であり、怠れば罰則の対象となります。危険作業に従事する労働者には、適切な教育を徹底しましょう。
  4. 産業医や衛生管理者の活用
    産業医や衛生管理者といった専門家の知見を借りて、より専門的かつ客観的な視点から安全衛生管理体制を構築・改善します。

これらの対策を講じることで、法令違反のリスクを低減し、従業員が安心して働ける環境を整備することが可能となります。

まとめ

労働安全衛生法の違反は、企業に罰則という大きなリスクをもたらします。懲役や罰金といった刑事罰に加え、行政処分や損害賠償のリスクも無視できません。
人事労務担当者として、法令を正しく理解し、自社の安全衛生管理体制が適切に運用されているか定期的に確認することが重要です。この記事で解説した罰則一覧や両罰規定、そして予防策を参考に、法令遵守を徹底していただければ幸いです。

エムスリーキャリア健康経営コラム編集部

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