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管理職のメンタル不調に人事労務がすべきことと注意点

管理職のメンタル不調は、本人だけでなく組織全体の生産性低下や法的リスクに直結する重要な課題です。企業の人事労務担当者として、その兆候をいち早く察知し、適切に対応することが求められます。この記事では、管理職がメンタル不調に陥る原因から、具体的な初期対応、そして再発防止のための組織的な対策まで、人事労務担当者が今すぐ実行すべきポイントを解説します。

管理職のメンタル不調、放置で企業が負う3つのリスク

管理職がメンタル不調を抱えたまま業務を続けることは、企業にとって大きなリスクとなります。特に重要なのは、以下の3点です。

  • ハラスメントリスクの増大: 管理職が精神的に不安定な状態になると、部下への対応が不適切になり、パワーハラスメントなどのリスクが高まります。これにより、訴訟や企業の評判低下につながる可能性があります。
  • 生産性の低下: メンタル不調の管理職は、判断力や集中力が低下し、業務効率が著しく下がります。その影響はチーム全体に波及し、組織全体の生産性低下を招きます。
  • 法的リスクの発生: 企業には労働者の安全配慮義務があります。管理職のメンタル不調を放置し、適切な対応を取らなかった場合、安全配慮義務違反として損害賠償を請求される法的リスクを負うことになります。

管理職がメンタル不調に陥る原因と兆候

管理職のメンタル不調は、複数の要因が複雑に絡み合って発生します。

管理職のメンタル不調の原因

管理職は、自身の業務に加え、部下の育成や評価、部署全体の目標達成など、多岐にわたる責任を負っています。これに加え、以下のような要因がメンタル不調を引き起こすことがあります。

  • プレッシャーと孤独感: 会社や上層部からの業績プレッシャーと、部下には弱みを見せられないという孤独感が精神的な負担となります。
  • 板挟みのストレス: 経営層と現場の板挟みとなり、双方の意見調整に疲弊し、ストレスを抱えやすくなります。
  • スキル不足: 新任管理職の場合、マネジメントスキルやコミュニケーションスキルが不足していることで、自信を失い、精神的な負担が増大することがあります。
  • 環境の変化: リモートワークの普及や働き方の変化に適応できないことも原因の一つです。

メンタル不調の兆候を見つけるためのチェックリスト

人事労務担当者は、日頃から管理職の様子を観察し、早期発見に努めることが重要です。

  • 行動の変化: 遅刻や欠勤が増える、会議で発言が少なくなる、身だしなみに無頓着になる。
  • 態度の変化: 以前は明るかった人が口数が少なくなる、不機嫌な態度を見せることが増える。
  • 身体の変化: 体重の増減、顔色の悪化、睡眠不足による目の下のクマなど。
  • パフォーマンスの変化: 業務上のミスが増える、判断が遅くなる、部下への指示が曖昧になる。

メンタル不調を発見したときの適切な初期対応

管理職にメンタル不調の兆候が見られたら、人事労務担当者は以下のステップで慎重に対応します。

プライバシーに配慮した面談の実施

面談は個室などプライバシーが確保された場所で行い、本人の状態を冷静にヒアリングします。

  • 本人の状態を客観的に伝える
  • 休養や医療機関への受診を提案する
  • 会社としてサポートする姿勢を示す

産業医や外部専門家との連携

本人への対応と並行して、産業医や外部のカウンセラー、メンタルヘルス専門サービスと連携します。

  • 産業医に相談して専門的なアドバイスを受ける
  • 外部の相談窓口への利用を案内する

業務調整と休職の検討

本人の負担を軽減するため、業務内容の調整や休職を検討します。

  • 一時的な業務量や責任範囲の調整
  • 休職制度の利用案内

メンタル不調を未然に防ぐための予防策

管理職のメンタル不調を根本から解決するには、組織全体で予防策を講じることが不可欠です。

メンタルヘルス研修の実施

管理職向けのメンタルヘルス研修を実施し、セルフケアとラインケアの重要性を理解してもらいます。

  • セルフケア: 自身のストレスに気づき、対処する方法を学ぶ
  • ラインケア: 部下のメンタルヘルスをチェックし、サポートする方法を学ぶ

相談しやすい環境づくり

社内に気軽に相談できる窓口を複数設置します。人事担当者や産業医、外部相談窓口など、複数の選択肢を提供することで、利用のハードルを下げます。

評価制度や業務フローの見直し

評価基準や業務のプロセスを明確にし、プレッシャーを軽減する工夫も重要です。また、過重労働にならないよう、業務量の適正化を図ります。

まとめ:管理職のメンタル不調は企業全体で取り組むべき課題

管理職のメンタル不調は、個人だけの問題ではなく、組織全体で解決すべき課題です。早期発見と適切な対応、そして何よりも予防策を講じることが、企業のリスクを軽減し、健全な組織を築くために不可欠です。本記事を参考に、自社のメンタルヘルス対策を見直してみてはいかがでしょうか。

エムスリーキャリア健康経営コラム編集部

エムスリーキャリア健康経営コラム編集部

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健康経営に関するお役立ち情報を発信する「健康経営コラム」編集部です。 産業医サービスを提供するエムスリーキャリア株式会社が運営しています。 全国34万人以上(日本の医師の約9割)が登録する医療情報サイト「m3.com」のデータベースを活用し、あらゆる産業保健課題を解決に導きます。 お困りの企業様はお問い合わせボタンよりご相談くださいませ。

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