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「会社から衛生管理者の資格を取得するように言われたけど、合格するのはどれくらい難しいのだろう……」
「そもそも衛生管理者って何をするのかな。受験の申し込みや過去問についても知りたい」
という方に向けて、要点をまとめています。
試験合格の第一歩は情報収集ですので、この記事でぜひチェックしておきましょう。
衛生管理者の資格試験を受ける前に、まずはその役割と法律上の義務について知っておきましょう。
衛生管理者は、いわば「職場の健康維持に携わるキーパーソン」であり、厚生労働省のホームページを見ると「4つの役割」が次のように記載がされています。
衛生管理者は、
(1)労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
(2)労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
(3)健康診断の実施その他の健康の保持増進のための措置に関すること。
(4)労働災害防止の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
等のうち衛生に関する技術的事項の管理を行います。
出典:厚生労働省「衛生管理者について教えて下さい。」
従業員が50名を超える事業場では、衛生管理者の選任が義務とされています。
これは労働安全衛生法第12条にて定められており、従わない場合には企業が罰則の対象となるおそれがあるため十分注意してください。
ちなみに、従業員が50名を超えるなどの義務が発生してから「14日以内」に衛生管理者を選任し、遅れることなく労働基準監督署へ選任報告書を提出しなくてはなりません。
この「従業員50名を超える」というタイミングは、衛生管理者だけでなく衛生委員会の発足や産業医も選任もしなくてはなりませんので、抜け目なく対応できるように準備しておきましょう。
ちなみに、当編集部では従業員50名以上で義務になる法律とその対応についてまとめた資料を作りましたので、良ければダウンロードしてみてください。
衛生管理者の役割・義務について学んだところで、次は資格の種類に関する説明です。
衛生管理者の資格は大きく分けて「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」の2つがあります。この違いは主に「有害業務を行う業種であるか否か」で必要となる資格が分かれています。
そのため、農林水産業をはじめ製造業や電気・水道・ガス等の事業を行う職場では第一種衛生管理者の資格が必要となります。
一方で有害業務を行わない業種、例えば一般的なオフィスや小売業、サービス業等の事業場であれば第二種衛生管理者の資格でよいというものです。
ちなみに、第一種衛生管理者の資格を所有していればすべての事業場で衛生管理者を務めることが可能になりますが、第二種衛生管理者の試験よりも難易度が高いと言われています。
詳細については以下の表をチェックし、自分が必要な資格を確認しましょう。
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業 | 第一種衛生管理者免許 もしくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は労働安全衛生規則10条各号に掲げる者(医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等) |
上記以外の業種 | 第二種衛生管理者免許(第一種衛生管理者免許も可) もしくは衛生工学衛生管理者免許を有する者又は労働安全衛生規則10条各号に掲げる者(医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等) |
衛生管理者試験の受験資格についてはさまざまなものがありますが、ここではその要点を挙げていきます。
詳細については公益財団法人安全衛生技術試験協会のホームページをチェックしておくことをおすすめします。
衛生管理者の試験を受けるためには、主に以下3つのうち1つの要件を満たしている必要があります。
ここでいう「労働衛生の実務経験」については解釈の幅が広いといわれており、厳密さが問われるケースは少ないそうです。
ですので、例えば「オフィスを定期的に清掃している」「設備に以上がないか確認している」といったものでも実務経験として認められると考えられていますが、疑問がある場合には事前に試験協会へ問い合わせておきましょう。
ちなみに、受験の前に準備が必要となる「事業者証明書」は、安全衛生試験協会のホームページにてダウンロードすることができます。こちらもあわせて確認しておきます。
さて、いよいよ試験の申し込みについてです。
衛生管理者の受験には「免許試験受験申請書」が必要になります。この書類は安全衛生試験協会の本部をはじめ、全国各地のセンター等で無料配布されています。
遠方により受験申請書の受け取りが難しい場合は郵送で取り寄せることも可能ですので、詳しくは安全衛生試験協会「郵送での請求について」のページを確認してください。
また、自動車運転免許証などの本人確認書類(コピー)、大学もしくは高校の卒業証明書、事業者証明書、証明写真(撮影後6ヶ月以内のもので、サイズは2.4cm×3.0cm)も必要になりますので、不備がないよう準備しておきましょう。
衛生管理者の受験にかかる費用は8,800円(※)です。
衛生管理者試験の受験料の支払い方法は大きく2つあります。
ひとつは振込用紙を利用し銀行または郵便局にて支払う方法。もうひとつは安全衛生試験協会・試験センターの窓口にて現金を支払う方法です。
なお、受験料の振込用紙は前述した「免許試験受験申請書」にとじ込まれています。
また、受験料を支払った後は、振込用紙の「振替払込受付証明書(お客さま用)」を受験申請書に貼り付けておくことを忘れないようにしましょう。
※2023年1月に「労働安全衛生法関係手数料令の一部を改正する政令」が公布され、試験手数料が値上げされています。
続いて試験の内容について学んでおきましょう。
衛生管理者の試験科目は大きく分けて「労働衛生」「関係法令」「労働生理」の3つから出題されます。
ただし、第一種と第二種では内容が異なるため注意が必要です。
第一種衛生管理者の試験では「有害業務に係るもの」が出題されますが、第二種衛生管理者の試験には出題されません。
また、第一衛生管理者試験では合計の出題数が44問であることに対し、第二種衛生管理者では30問という違いがあります。
第一種衛生管理者試験の配点については〈労働衛生150点・関係法令150点・労働生理100点〉の計400点が満点となります。
一方の第二種衛生管理者試験は〈労働衛生100点・関係法令100点・労働制理100点〉の計300点が満点です。
第一種・第二種ともに試験時間は3時間(13:30~16:30)となっています。
科目・出題数(配点)・試験時間について紹介しましたが、ここまでの内容を表にすると以下のようになります。
衛生管理者試験は、他の国家資格試験と比較すると難易度が低いといわれることが多いです。
また、試験はマークシート記入式なので記述方式よりは精神的なハードルは低いといえます。
とはいえ、専門的な知識力が求められる試験内容ですので、短い時間の学習で合格することは難しいでしょう。
特に第一種衛生管理者の試験では「有害業務に係るもの」に関する問題も出題されるため、難易度は高くなります。
働きながら衛生管理者試験の合格を目指すためのポイントは、自分に合ったテキストを活用する、過去問(後述)から出題傾向を掴むことなど、効率よく勉強することです。
また、社内に衛生管理者の資格を持っている人がいれば、受験に関するアドバイスをもらうことも効果的でしょう。
衛生管理者試験の合格基準についてもチェックしておきましょう。
衛生管理者試験を開催している安全衛生試験協会によれば、第一種衛生管理者・第二種衛生管理者ともに各科目の正解率が40%を超えていて、かつ全科目で60%以上正解していることが合格ラインとされています。
また、同協会が発表した令和4年度の合格率を見てみると、第一種衛生管理者で45.8%、第二種衛生管理者で51.4%となっており、受験者のおよそ半数が合格していることと、第一種の試験の方が高難度であることがわかります。
衛生管理者の試験に合格するためには、労働衛生に関する基礎的な知識を学んでおくことが重要になります
それに加えて、過去問題集等を活用し出題傾向を掴んでおくことが一般的です。
過去問は安全衛生試験協会の「公表試験問題」をはじめ、新潟ウェルネス(一般社団法人 新潟県労働衛生医学協会)等のホームページにてPDFが無料公開されています。
ちなみに、新潟ウェルネスのページでは過去問の掲載だけでなく、問題の解答と解説もされているため自己学習にとても役立つはずです。
受験前に必ずチェックしておきましょう。
衛生管理者試験の受験準備として最寄りの試験会場と日程についても知っておくことで、受験当日のトラブルを防ぐようにしてください。
衛生管理者の試験が行われる会場は全国に7か所あります。以下に会場名と住所、連絡先などを記載していますので交通アクセスや移動にかかる時間などを事前に調べておきましょう。
公益財団法人 安全衛生技術試験協会 〒101-0065 東京都千代田区西神田3-8-1 千代田ファーストビル東館9階 TEL 03-5275-1088 ▼ホームページ https://www.exam.or.jp/ |
北海道安全衛生技術センター 〒061-1407 北海道恵庭市黄金北3-13 TEL 0123-34-1171 ▼ホームページ https://www.hokkai.exam.or.jp/asscn/Menkyokekka1.htm |
東北安全衛生技術センター 〒989-2427 宮城県岩沼市里の杜1-1-15 TEL 0223-23-3181 ▼ホームページ https://www.tohoku.exam.or.jp/asscn/Menkyokekka2.htm |
関東安全衛生技術センター 〒290-0011 千葉県市原市能満2089 TEL 0436-75-1141 ▼ホームページ https://www.kanto.exam.or.jp/asscn/Menkyokekka3.htm |
中部安全衛生技術センター 〒477-0032 愛知県東海市加木屋町丑寅海戸51-5 TEL 0562-33-1161 ▼ホームページ https://www.chubu.exam.or.jp/asscn/Menkyokekka4.htm |
近畿安全衛生技術センター 〒675-0007 兵庫県加古川市神野町西之山字迎野 TEL 079-438-8481 ▼ホームページ https://www.kinki.exam.or.jp/asscn/Menkyokekka5.htm |
中国四国安全衛生技術センター 〒721-0955 広島県福山市新涯町2-29-36 TEL 084-954-4661 ▼ホームページ https://www.chushi.exam.or.jp/asscn/Menkyokekka6.htm |
九州安全衛生技術センター 〒839-0809 福岡県久留米市東合川5-9-3 TEL 0942-43-3381 ▼ホームページ https://www.kyushu.exam.or.jp/asscn/Menkyokekka7.htm |
衛生管理者の試験はおおむね月に1回程度開催されていますが、関東センター等では月に4~6回程度と試験日が多く設定されています。
各会場の試験日程については次の表のようになっていますので参考にしてください。
また、試験日程は本記事制作時の情報となっていますので、必ず安全衛生試験協会のホームページにて確認しておきましょう。
安全衛生試験協会では「出張試験」という制度を設けています。
これは主に各地の試験センターから遠方に住む受験者を対象とした試験であり、1年間で1~2回程度実施されています。
出張試験は大学のキャンパスや地域住民センターなどさまざまな場所で開催していますので、地方在住の方は安全衛生試験協会「出張試験の日程」のページもチェックしておきましょう。
なお、出張試験であっても通常と同じく8,800円の受験料で試験を受けることが出来ます。
試験の終了後等に、会場で合格発表日が伝えられます
なお、受験後は安全衛生試験協会「最新の合格者」のページで合格者の番号が発表されますので、いち早く合否を知りたい方はこちらで確認することが出来ます。
合否にかかわらず結果は郵送され、合格者には「免許試験合格通知書」が届きます。
合格発表後は「免許申請」の手続きを忘れずに
衛生管理者試験に合格したら、「免許申請」の手続きを忘れずに行って下さい。
免許申請の方法については、各都道府県の労働局、労働基準監督署などで配布されている「免許申請書」を入手・記入し、「免許試験合格通知書」等の必要書類を貼り付けて提出することで完了します。
ちなみに「免許申請書」は厚生労働省のホームページからダウンロードすることも可能ですので、事前に印刷・記入して持参することもおすすめです。
衛生管理者の免許には更新がありません。
よって、一度取得すれば生涯にわたって活用し続けることができる資格です。
更新や再試験は不要ですが、労働衛生に関する必要知識は常に最新のものが求められますので、衛生管理者試験に合格後も情報のアップデートを行っていくようにしましょう。
衛生管理者試験の受験から合格後の手続きまで、まとめて紹介いたしました。
衛生管理者は職場の安全・健康を守るキーパーソンです。
ぜひ受験を通じて得た知識を活動に活かしていきましょう。
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50人以上の事業場向け
1,000人以上の事業場向け
※有害業務従事の場合は500人以上
単発の面談が必要な事業場向け