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皆さんは2019年4月に施行された働き方改革関連法が、中小企業にも順次適用されていることをご存じでしょうか。2020年4月には、時間外労働の上限規制が適用されます。
有給休暇の取得や時間外労働など、違反していた場合は法的な処分(刑事罰など)を受ける可能性があります。
働き方改革関連法が、これからの会社と現場にどのような影響を与えるのか――中小企業の人事労務担当者に向け、中小企業に適用される内容やそれに伴い企業として取り組むべきことなどをご紹介します。
まず押さえておきたいポイントは以下の4つです。
2018年6月に成立した働き方改革関連法は、2019年4月に施行されました。大企業と異なり、猶予期間が与えられている内容もありますが、一部は既に中小企業にも適用されています。今回2020年4月に適用されるのは「時間外労働の上限規制」です。
これまでは、努力目標とされている内容が多かったですが、一部内容については、罰金刑や懲役刑などの罰則規定が定められました。
今後も中小企業向けに適用される法案は増えるため、どの法案がいつから適用されるかを把握していきましょう。
法案の内容を紹介する前に、自社が中小企業の定義に当てはまるかを確認し、各内容の施行時期も一緒に把握しましょう。
「資本金額または、出資の総額」「常時使用する労働者数」のいずれかを満たしていれば、中小企業に該当すると判断されます。
「小売業」「サービス業」「卸売業」「その他」の4種類に分けられますが、自社の業種分類が不明な場合は、リンク先のP5を参考にご判断ください。
施行時期については、2019年から段階的に適用されています。以下、添付の表と併せ、ご確認ください。
【働き方改革関連法の施行時期】
2019年4月に施行した内容についても、この機会に併せて確認しましょう。
ここからは、2020年4月以降、順次適用される3つの内容について簡単にご紹介します。
1つ目は2020年4月に適用される「時間外労働の上限規制」です。
この内容が適用されると、時間外労働の上限は、原則として「月45時間」「年360時間」とされ、臨時的な特別の事情がなければ超えることは出来ません。
なお臨時的な特別の事情については、「全体としてその状況が1年の半分を超えない」という条件があります。
例えば、「緊急を要するトラブルへの対応」「突発的に発生した大規模なクレームへの対応」などです。ただし、臨時的な特別の事情があり、かつ労使が合意する場合でも、以下4点を守る必要があります。
(※)「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」とこの期間の時間平均がどれも80時間以内になることを指します。以下の画像は改正前後のイメージです。
【引用】厚生労働省:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説
この内容を違反すると、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科される恐れがあります。
「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」という冊子が厚生労働省から発行されていますので、併せてご覧ください。
2つ目は2021年4月に適用される「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」です。
その内容は3つあります。
不合理な待遇差の禁止というのは、「同一労働同一賃金」に向けた対応です。
同じ企業内で働く正社員と非正規雇用者との間で、基本給や賞与、手当、福利厚生などあらゆる待遇に不合理な差を設けることを禁止します。
社内の運用が適法であるかを簡易的に把握したい場合は、以下のチャートをご活用ください。
【引用】「同一労働同一賃金」への対応に向けて
行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR※)の整備では、行政による助言・指導等となる根拠を有期雇用者にも規定しました。また、都道府県労働局において、無料・非公開で行える裁判外紛争解決手続は、非正規雇用者も対象となります。
厚生労働省が関連冊子を発行していますので、併せてご覧ください。
【参考】
厚生労働省:雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
厚生労働省:「同一労働同一賃金」への対応に向けて
(※)事業主と労働者との間の紛争を裁判せずに解決する手続きのこと
3つ目は2023年4月に適用される「月60時間超の法定時間外労働に対する割増賃金率の変化」です。
現行では、1週40時間、1日8時間と定められた法定労働時間を超える労働(法定時間外労働)については、25%以上割増しした賃金を社員へ支払わなければなりません。変更後は、1ヶ月60時間を超える法定時間外労働に対して50%以上割増した賃金の支払いが求められます。
引き上げ分の割増賃金の代わりに代休休暇を設けることも可能ですが、それには労使協定が必要となります。
社内はもちろん、労働組合や社員と早い段階で協議を進めていきましょう。
「II法定割増賃金率の引上げ関係」が厚生労働省から発行されていますので、併せてご覧ください。
最後に、これから働き方改革関連法案と向き合う中、“最低限”行いたい4つの取り組みについてご紹介します。自社で進めていくことを意識しながらご覧ください。
1つ目は、2020年4月以降に適用となる働き方改革関連法の理解です。「時間外労働の上限規制」については速やかに内容を把握するようにしましょう。自身が知ることはもちろん、部署全体でも内容を理解することが求められます。
今後3年間で順次適用される内容について、厚生労働省のサイトリンクを掲載しますので、併せてご覧ください。
【参考】
厚生労働省:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説
厚生労働省:II法定割増賃金率の引上げ関係
厚生労働省:雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
今後、労働を取り巻く環境がより一層厳しくなることから、社員たちの労働実態を定量的に把握することが求められます。自身の労働状態を客観的に知ることは、労働時間を抑えるためにも必要です。状況によっては、36協定(労使協定)の内容見直しなども視野に入れましょう。
労働時間の把握と並行して行いたいのが、「俗人的な仕事が増えていないか?」などの業務棚卸しです。
個人単位から、部署単位まで今一度行うのに丁度良いタイミングではないでしょうか。業務効率化に向けた、最初の一歩にもなります。
この機会に、業務効率化に役立つITツールの新規導入なども検討し、業務見直しや改善を進めましょう。
【関連記事】
長時間労働はなぜ問題になるのか?労働環境を見直すべき理由
「3.社員の働き方見直し」と並行して、労働時間を保管する環境が整えられていることも確認しましょう。
2019年4月に労働時間の把握義務が中小企業にも適用となりました。
これは、パソコンなどの“客観的な方法”を用いて、労働時間の把握を企業が行うことを義務化した内容です。
なお、把握した労働状況については記録を作成し、3年間保持する必要があります。
これは社員の健康管理を目的とした改正です。
ご存知の通り、1ヵ月あたり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる場合、該当者は産業医などの医師による面接指導の対象になります。
基本的に、医師による面接指導の実施は本人の申し出を受けてとなりますが、会社としても、記録を通して適切な労働が行われているかをチェックする必要があります。
なお、研究開発業務従事者で時間外・休日労働時間が月100時間を超えた場合は、本人の申し出によらず、面接指導を行うことが義務化されています。注意してください。
本記事では、取れる対策について中小企業の人事労務担当者に向けて、働き方改革関連法が自社へ与える影響や人事労務担当者がご紹介しました。
関連法の理解を始め、自社社員の労働時間の把握や働き方見直しを通し、働きやすい会社への第一歩を踏み出しましょう。
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