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部下がメンタル不調で泣いてしまったら? 人事労務担当者が知るべき対応

部下のメンタル不調、特に泣いている姿に直面すると、人事労務担当者としてどのように対応すべきか迷いますよね。一見、感情的な問題に見えますが、放置すると企業にとって大きなリスクにつながる可能性があります。
この記事では、部下がメンタル不調で泣いてしまったときの適切な対応方法を、人事労務担当者の視点から解説します。メンタル不調のサインの見つけ方から、具体的な声かけ、面談の進め方、そして企業として取るべき措置まで、現場で役立つ実践的な内容をご紹介します。

部下のメンタル不調で泣く原因とは?

部下がメンタル不調で泣いてしまうのには、さまざまな原因が考えられます。単なるストレスだけでなく、心身の不調が深刻化しているサインかもしれません。

泣くのはストレスの限界サイン

涙は、感情の起伏を抑えきれなくなったときのひとつの表現です。過度なストレスやプレッシャー、孤独感、そして将来への不安などが蓄積し、本人の許容量を超えたときに、涙としてあふれ出ることがあります。これは、感情が制御できなくなっている状態であり、メンタルヘルスの悪化を強く示唆しています。

メンタル不調の放置がリスクになる理由

メンタル不調を放置すると、以下のようなリスクが生じます。

  • 症状の重症化: 初期段階で適切な対応を取らないと、うつ病や適応障害といったより重い精神疾患に発展する可能性があります。
  • 休職・離職: 状態が悪化すれば、長期の休職や、最悪の場合、退職につながることもあります。これは企業にとって大きな損失です。
  • 安全配慮義務違反: 企業には、社員が安全に働けるよう配慮する義務があります。メンタル不調を放置した結果、社員が自傷行為に至るなどの重大な事態が発生した場合、安全配慮義務違反として訴訟リスクを負う可能性があります。

メンタル不調の兆候を早期に見つけるには?

部下のメンタル不調は、泣くという行動の他にもさまざまなサインとして現れます。早期発見が、問題の悪化を防ぐ鍵となります。

見逃してはいけない初期サイン

  • 行動の変化: 無断欠勤や遅刻が増える、服装や身だしなみが乱れる、業務上のミスが増えるなど。
  • 身体の不調: 食欲不振や過食、不眠、頭痛、めまい、疲れやすいといった身体的な訴えが増加する。
  • 精神面での変化: 集中力が低下する、感情の起伏が激しくなる、会話が減る、ネガティブな発言が増えるなど。

これらのサインが複数見られる場合、メンタル不調の可能性を考慮し、注意深く観察することが重要です。

部下が泣いたときの具体的な対応ステップ

部下がメンタル不調で泣いてしまったとき、人事労務担当者としてどのように対応すべきか、具体的なステップを解説します。

【ステップ1】落ち着ける場を確保する

まずは、部下が人目を気にせず話せるような、落ち着いた個室や会議室に移動を促しましょう。「よかったら、少し場所を変えてお話しましょうか」と静かに声をかけ、無理のない範囲で誘導します。

【ステップ2】聴くことに徹する

場所を確保したら、まずは部下の話をじっくりと聴くことに徹します。

  • 共感的な姿勢: 部下の話を否定せず、「そうだったのですね」と相槌を打ちながら、共感的な態度で聴きます。
  • 結論やアドバイスを急がない: 感情的になっている場合、すぐに解決策を求められても、かえってプレッシャーになることがあります。まずは「話してくれてありがとう」と感謝を伝え、安心して話せる雰囲気を作りましょう。

【ステップ3】専門家への相談を促す

部下の話を聞いた後、専門家への相談を促します。

  • 産業医・カウンセラーの紹介: 「会社には産業医やカウンセラーがいるので、一度専門家とお話してみませんか?」と提案します。
  • 秘密厳守の約束: 産業医との相談内容はプライバシーが守られることを明確に伝え、安心して相談できる環境を整えます。

人事労務担当者として取るべき措置

個人への対応だけでなく、組織として対応することで、問題の再発防止や、より大きなリスクの回避につながります。

関係部署との連携

部下の同意を得た上で、上司や所属部署と情報を共有し、連携して対応を進めることが重要です。

  • 業務調整の提案: 一時的に業務量を減らす、担当業務を変更する、部署異動を検討するなど、業務負荷の軽減を提案します。
  • 柔軟な働き方の提案: 時差出勤やリモートワークなど、柔軟な働き方を一時的に導入することも有効です。

産業医・外部機関との連携

社員のメンタルヘルス問題を、人事労務担当者だけで抱え込まないことが大切です。

  • 産業医との連携: 産業医に相談し、専門的な視点から助言を求め、今後の対応方針を協議します。
  • 専門機関への紹介: 必要に応じて、外部の医療機関やEAP(従業員支援プログラム)を紹介し、専門的なサポートを受けられるように手配します。

まとめ

部下がメンタル不調で泣いている状況は、人事労務担当者にとって難しい局面です。しかし、適切な対応と、組織的なサポート体制を整えることで、部下の回復を支え、企業のリスクを軽減できます。

  • 冷静な対応: 感情的にならず、まずは落ち着いた場所で話を聴くことが重要です。
  • 専門家への連携: 産業医や外部機関と連携し、専門的なサポートを提供しましょう。
  • 組織的な対策: 業務負荷の調整や柔軟な働き方を検討し、再発防止に努めましょう。

部下のメンタル不調は、個人だけの問題ではなく、組織全体で取り組むべき課題です。この記事を参考に、職場全体のメンタルヘルスケア向上に役立てていただけたら幸いです。

エムスリーキャリア健康経営コラム編集部

エムスリーキャリア健康経営コラム編集部

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