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産業医とは、事業所において従業員が健康かつ快適な環境で仕事ができるように、専門的な立場から指導を行う医師です。そして、労働安全衛生規則において、産業医は月に一度の作業場巡視の実施が義務付けられています。
しかし、職場の巡視を実施するにあたって、確認項目が多く本来確認すべき箇所の見落としが発生するケースも少なくありません。そんなとき、役に立つのが職場巡視チェックリストです。
この記事では、職場巡視チェックリストの目的や入手方法、職場ごとに実施する内容について取り上げます。これからチェックリストの導入を検討している担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
職場巡視チェックリストとは、職場巡視を実施する際に確認すべき項目を一覧化したリストのことです。リストの内容は職場によってさまざまですが、主に以下のような項目が記載されています。
職場巡視チェックリストは、産業医が職場巡視を円滑に進めるにあたって便利なリストです。ただし、活用の義務はないため、使用するか否かは担当者によって決定されます。
職場巡視チェックリストの利用は任意であり、規則で決められているわけではありません。そんな職場巡視チェックリストは、どのような目的で使用されるのでしょうか。以下は、職場巡視チェックリストの主な使用目的です。
職場巡視チェックリストは、チェック項目の抜けや漏れを防ぐのに役立ちます。
職場巡視における確認項目は多岐にわたり、かつ会社や職場によって変化します。そのため、確認の抜けや漏れが発生してしまうケースも珍しくありません。
職場巡視チェックリストを活用すれば、確認事項をチェックしながら作業が進められるため、ミスや抜けを防げます。また、リストに記載する内容を洗い出している際に、確認が必要な項目を思い出せます。
職場巡視を実施した際は、調査の記録を残すのが望ましいです。記録があれば改善の過程も確認しやすく、問題に対するアプローチもしやすくなります。
また、チェックリストを作成して手元に残しておけば、職場巡視を実施した証明になります。職場巡視は、労働安全衛生規則にも定められている産業医の義務です。万が一怠った場合、企業と産業医の双方に責任が生じるため、必ず実施しなければなりません。
実施義務があるからこそ、職場巡視チェックリストを記録として残しておくのが望ましいです。
職場巡視リストに記載されているチェック項目は、職場によって異なります。職場ごとにどのような項目があるのか、順番にチェックしていきましょう。
一般的なオフィスで使用される職場巡視リストには、職場環境や防災安全、受動喫煙対策の有無に関するチェック項目が設けられています。また、パワハラやセクハラなど、昨今問題となっている各種ハラスメントに関するチェック項目が細分化されているケースも多いです。職場環境の項目では、清掃が行き届いているかを確認する箇所も設けられています。
製造業の場合は、安全衛生管理体制から日常安全衛生体制まで、チェック項目が細かく用意されています。製造業で扱う素材によって災害の防止対策が異なるため、項目も都度変更しなければなりません。
事故が発生しやすいフォークリフトやクレーンに関するチェック項目も多数設けられています。また、防毒マスクの使用や換気装置の有無など、職業性疾病予防対策についても細かくチェックしている点も、製造業の職場巡視リストの特徴です。
昨今、教職員の長時間労働が問題視されている影響もあり、学校の場合はストレスに関する項目が細分化されているリストが多いです。また、パワハラやセクハラなど、各種ハラスメントに関するチェック項目も設けられています。
学校には情報機器や薬品など、適切な管理をしなければ重大な事故につながる可能性が高い備品も多いです。そのため、職場巡視リストには教室や施設ごとに薬品や備品の管理状況、破損の有無について問われる項目も存在します。
病院の場合、医療器具や薬品の取り扱いに関するチェック項目が多数設けられているのが特徴です。また、院内感染を防ぐために使用後の医療器具や薬品の廃棄方法も細かく確認されます。
その他にも、放射線の取り扱いに関するチェック項目が設けられている点も病院の職場巡視リストの特徴です。放射線取り扱い主任者が選任されているか、管理区域ごとにX線作業主任者が選任されているかなどを主に確認します。
職場巡視チェックリストは、厚生労働省や各都道府県の産業保険総合支援センターのサイトなどからダウンロードが可能です。エクセルやPDFなど、さまざまな形式のリストが存在するため、扱いやすいものを活用しましょう。
なお、リストには決まったフォーマットは存在しないため、独自の調査項目を設けたリストを自作して活用しても問題ありません。
【参考】
厚生労働省「安全衛生巡回チェックポイント(例) No 項目」
地方公務員災害保険基金「職場巡視チェックリスト」
職場巡視の記録は、法律で保管が義務付けられていません。
保管期間を決める場合は、衛生委員会の議事録や健康診断結果の保管期間に合わせるのがおすすめです。衛生委員会の議事録は3年、衛生委員会の健康診断結果は5年と保管期間が定められています。
職場巡視は、職場の衛生管理や従業員の健康管理のためにも重要です。保管が義務ではないからと軽視せず、リスクアセスメントの点からも記録は必ず保管しましょう。
職場巡視を実施するにあたって、従業員たちが働いている職場を漠然と視察するだけでは不十分です。職場巡視をする際は、以下の点に注意しましょう。
職場巡視をする場所によって、どのような労災が発生しやすいかイメージしましょう。
たとえば薬品を扱う工場であれば、保管している瓶が中途半端な位置に置かれているのが原因で労災が発生するかもしれません。一見労災とは無縁に思えるオフィスでも、物の散らかりや床のケーブルが転倒の原因となり、大きな怪我につながる恐れもあります。
発生する可能性が高い労災から逆算して、労災を防ぐためにはどうすればよいか考えれば、より良好な職場環境の構築につながるでしょう。
どうしても悪い部分を探しがちな職場巡視ですが、よい部分を見つけることも大切です。労災を防ぐためにも厳しいチェックは必要ですが、それだけでは従業員たちにプレッシャーを与えてしまいます。
そのため、注意点だけではなく、事業所ごとによい部分や改善された部分を取り上げ、従業員に共有できるようにしましょう。目に見える成果が出ていれば、従業員のモチベーションを上げる効果も期待できます。
作業スペース以外の場所も、チェック項目に含めましょう。労災が発生しやすいのは作業現場ですが、職場巡視の目的は快適な環境で従業員が仕事に取り組めているか確認することです。
そのため、トイレや休憩室など、従業員が仕事以外で利用するスペースのチェックも実施してください。とくに喫煙室は、副流煙による他の従業員への影響の有無を含めてしっかりチェックしましょう。
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衛生管理者による職場巡視は義務なのか?労働環境改善に役立つポイントを徹底解説
職場巡視チェックリストは、衛生管理者の義務である職場巡視の作業効率や質を向上させてくれる存在です。リストの導入は任意ですが、厚生労働省のサイトなどから簡単に入手可能なため、積極的に活用するのをおすすめします。
また、職場巡視チェックリストの内容は、巡回を実施する職場によって詳細が異なります。どのようなチェック項目が必要なのか、またどこに着目すれば有意義な職場巡視ができるか考えて項目を設けましょう。
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