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レジリエンスとは回復力や復元力を意味し、受けたストレスを適切に対処して回復する能力のことです。
レジリエンスは、研修や訓練などにより向上が図れます。従業員のレジリエンスが高まれば、メンタルヘルス不調に陥る従業員を防げます。
本記事では、レジリエンスが求められる背景や、従業員のレジリエンスを向上させるメリット、高める方法などを解説します。
レジリエンスとは、困難やストレスがかかる状況でもうまく適応して乗り越え、回復する能力のことです。レジリエンスが高いと、困難な問題に直面しても柔軟に対応でき、ストレス反応を抑えられると考えられています。
経済産業省の健康経営の推進に関する資料には、従業員の健康増進の要素として「レジリエンスの向上」も考慮することが望ましいと明記されています。
先天的な性質によりレジリエンスが高い人もいますが、後天的にレジリエンスを高めることも可能です。そのため、トレーニングや研修などによって従業員のレジリエンスを鍛えれば、レジリエンスの向上が期待できます。
【参考】
日本教育工学会「リーダーシップ自己効力感とレジリエンスの関係」
経済産業省「健康経営の推進について」
レジリエンスが求められる背景には、以下が挙げられます。
それぞれの内容について解説します。
レジリエンスが求められる背景には、従業員を取り巻くメンタルヘルス問題が深刻化していることが挙げられます。
とくに人間関係はストレスの要因になりやすく、メンタルヘルス不調を招く原因の一つです。厚生労働省の実態調査によると、ストレスを感じている労働者のうち、対人関係にストレスを感じている人の割合は、26.2%との結果です。
職場の人間関係におけるストレスから回復する力(レジリエンス)を高めることは、メンタルヘルス不調を予防するためにも重要であるといえるでしょう。
【参考】厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策の現状等」
VUCA時代に適応するには、高いレジリエンスが求められます。VUCA時代とは現代の社会情勢の特徴を表し、以下の頭文字を取ったものです。
上記の特徴をもった社会では、迅速な意思決定や柔軟性のある解決策を提示し続ける力が重要であるため、レジリエンスを高めて対応していくことが求められます。
人生100年時代に備えるため、レジリエンスが注目されています。人生100年時代とは、日本人の平均寿命が100歳を超える時代のことです。
海外の研究では、2007年に日本で生まれた子は50%の確率で107歳まで生きるといわれています。
令和4年の厚生労働省の調査で報告されている平均寿命は、以下のとおりです。
2022年(実績値) | 2070年(推計値) | |
男性 | 81.05歳 | 85.89歳 |
女性 | 87.09歳 | 91.94歳 |
(出典:内閣府「高齢化の状況」)
平均寿命が長くなるに伴って従来より長い期間、労働できる心身が必要であるため、ストレスから回復できる力を鍛えておくことが重要です。
レジリエンスを高めるために必要な行動特性は、以下の5つです。
それぞれの特性について解説します。
【参考】慶応大学大学院「共感的な集団活動を取り入れたレジリエンス向上プログラム」
自己統制とは、自分の感情や行動をコントロールすることです。自己統制できることは、レジリエンスを高める行動特性に当たります。
自己統制ができると環境によって感情を左右されず、客観的に状況を適切に判断して振舞えます。また、思いがけない状況であっても動揺せず、自分の意思で気持ちを落ち着かせられます。
自己効力感とは「自分ならできる」と思える自信です。自身や他者の経験を通じて自己肯定感は養われます。
レジリエンスを高める行動特性では、自己効力感をもっていることも重要です。困難な経験でも自信をもって行動し成功体験を得ることで、次の困難を乗り越える自信へとつながります。
自身の経験だけではなく他者の経験も取り入れるには、本を読んだり人の経験を聞いたりすることが効果的です。
精神的な柔軟性があることも、レジリエンスを高めるためにもつべき行動特性として挙げられます。
精神的な柔軟性とは、一つのことに囚われず、他の筋道を探す性質です。多くのものに興味や関心をもてるため、想像力を働かせながら多角的に物事を考えられます。
現実的な楽観性をもっていることも、レジリエンスの向上につながります。現実的な楽観性とは、困難な状況に直面したときに肯定的に考えられることや、自己の成長を意識して前向きに取り組める思考の性質です。
悪い側面だけではなく良い側面を見るように努めることや、どうにもならないことに対して考えすぎないようにすることが特性として挙げられます。
行き当たりばったりの楽観性ではなく、現実の事象を観察したうえでの楽観性であることが重要です。
レジリエンスの行動特性には、人とのつながりが良好である点も挙げられます。人とつながる特性とは、自身が困ったときに相談できたり、共感してくれたりする関係を構築できることです。
レジリエンスが高いと良好な人間関係が構築しやすくなるため、ビジネスの場において協力者が現れやすくなるでしょう。
レジリエンスが高い人には、以下のような特徴が見られます。
各特徴について解説します。
レジリエンスが高い人は、一つの方法だけに固執せず、多くの選択肢の中から状況に合ったものを選択できます。
また、良好な人間関係を築ける行動特性を活かし、積極的に他者からの意見を集められるため、柔軟に考えられる点も特徴です。
レジリエンスが高いと、起きたできごとに対して反応するのではなく、感情をコントロールして客観的に判断できます。
たとえば、イライラや不安を感じた場合でも回復が早く、前向きな姿勢で業務に臨めることも特徴の一つです。
レジリエンスが高い人は、自己効力感があるため自尊心が育まれています。自尊心とは、自分がかけがえのない存在であると認識している心情です。
また、自己認識が適切にできる傾向にあり、自分を必要以上に過大評価しません。そのため、自尊心をもっていても傲慢さを抑えて自己開示できます。
レジリエンスが高い人は自己効力感があるため、困難な状況であっても挑戦を諦めません。
挑戦した結果、失敗しても自身の糧になっていると考える前向きさがあるため、反省を次に活かして根気強く挑戦します。
レジリエンスが高いと目的を正確に認識していることが多く、未来の結果に対して悲観せずに楽観的に捉える傾向にあります。
また、職場で相手の欠点を見つけた場合でも前向きに捉えられるので、良好な人間関係を築けることも楽観性からくる特徴です。
従業員のレジリエンスを高めることには、以下のようなメリットがあります。
それぞれの内容について解説します。
レジリエンスが高まるとストレス反応を抑えられるため、メンタルヘルス不調を防げます。その結果、心身の健康を維持しやすくなります。
また、柔軟性のある考え方が身につくため、予定が見えにくい業務や企画など需要の変化に振り回されやすい部署に配属された従業員のストレスを軽減できるでしょう。
従業員のレジリエンスが高まると、諦めずに挑戦できる力が備わるので目標達成力の向上が期待できます。
困難な案件や状況であっても、自信をもって楽観的に取り組めるため、企業の売上や生産能力の向上にもつながるでしょう。
従業員のレジリエンスが高くなると柔軟に物事を考え、多くの解決策を用意できるため、組織の問題解決能力が高まります。
楽観性があるため失敗しても客観的に改善点を把握して、次の解決策を講じられる点もメリットです。
レジリエンスの行動特性として、人とつながりを構築するのが得意な傾向があるため、レジリエンスを高めれば、組織の人間関係が良好になります。
また、レジリエンスが高まると、ストレスを受け流す力が備わります。そのため、人間関係がこじれにくくなるでしょう。
他者の失敗に対しても前向きに捉えられるため、対人トラブルが起こりにくくなります。
従業員のレジリエンスを高めるには、以下の取り組みを実施すると効果的です。
それぞれの取り組みについて詳しく解説します。
従業員のレジリエンスを高めるには、専門家によるレジリエンスに関する研修の開催が効果的です。
一般的にレジリエンスの研修では、以下のようなことを学びます。
新入社員のレジリエンス向上のための研修や、部下のレジリエンスを向上させるための上司向けの研修などがあります。自社のニーズに合った研修を選ぶとよいでしょう。
レジリエンスを高めるためには、従業員の努力だけではなく職場環境の整備も必要です。
たとえば、従業員が挑戦したことに対して加点法で評価したり、失敗を個人のミスではなく職場の課題として扱ったりするなど、前向きな対応を取るとよいでしょう。
従業員が自信をもって判断できるようにするには、企業が目指す方向性を浸透させることが不可欠です。従業員が企業の方向性を理解していない場合、自身の行動や努力が評価されない理由が分からず自信を喪失する恐れがあるからです。
自信の喪失はレジリエンスの低下につながります。企業のビジョンやミッションなどを浸透させ、従業員が自信をもって行動できるようにしましょう。
以下の用語はレジリエンスと混同しやすいので、正しく理解しましょう。
それぞれの用語の意味を解説します。
ストレス耐性とは、ストレスに対する抵抗力のことです。ストレス耐性の高低は、ストレスを作りやすい性格であるかや、ストレスをに対して前向きに捉えられるかなどの要素により左右されます。
ストレス耐性が高いとストレスに対するダメージを受けにくく、早期に回復できる傾向にあります。
【参考】厚生労働省「ストレス耐性」
メンタルヘルスとは心の健康状態のことで、世界保健機関(WHO)は以下のように定義してます。
メンタルヘルスは、心の健康問題がないことを意味するものではなく、むしろ、人々が日々のストレスに対処し、自分の能力を発揮し、よく学び、よく働き、自身の所属するコミュニティに貢献することができる、精神的なウェルビーイングが保たれている状態 |
(出典:厚生労働省「世界保健機関(WHO)関職場のメンタルヘルス対策ガイドライン」)
レジリエンスは心の回復力を意味するので、レジリエンスが高くなるとメンタルヘルスを良好に保ちやすくなります。
【関連記事】職場のメンタルヘルスケアとは? 企業が知っておくべき対策を徹底解説
ハーディネスは、高いストレスがかかる状況であっても健康を保っていられる性格の特性のことで、ストレスを防御する精神的な強さを意味します。
ハーディネスが高いと、ストレスが過剰な状態・出来事をストレスの要因と知覚しないと考えられており、ストレスを感じてもダメージが浅い傾向にあります。
コーピングとは、ストレスを受けた後に対処する手法のことです。コーピングには、問題解決を図って対処する方法や、問題に対しての捉え方を変えて対処する方法があります。
コーピングの種類やストレス緩和につながるやり方は、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
【関連記事】コーピングとは?意味や種類、ストレス緩和につながるやり方を紹介
従業員のレジリエンスを高めれば、心身の健康を維持しやすくなります。また、目標達成力や問題解決の能力の向上が期待できる点もメリットです。
レジリエンスは、専門家による研修の開催や、職場環境の整備などによって高められます。従業員のレジリエンスを高め、変化に柔軟に対応できる組織を作りましょう。
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