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事業者には安全配慮義務が課せられており、従業員の健康診断の実施、および健診結果のもと適切に事後措置を講じる必要があります。
しかし、事後措置をしなければならないと知っていても、どのような流れで具体的に何をすべきか分からないと悩んでいる企業担当者の方もいるでしょう。
本記事では、健康診断の事後措置の目的や流れ、健康診断結果の保存義務について解説します。健康診断の事後措置の実施に向けてぜひ参考にしてください。
健康診断の事後措置とは、健康診断で異常所見が指摘された従業員に対し、就業上の必要な措置を取ることです。
事業者は従業員に対して年に1回健康診断を実施し、その結果をもとに適切な措置を講じるよう義務づけられています。
【参考】
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断実施後の措置について」
e-GOV法令検索「労働安全衛生法」
健康診断の事後措置の目的は、従業員の健康と企業の責任を守ることです。事後措置を実施すれば心身の異常を早期に発見して必要な治療をはじめられるため、健康リスクを下げられます。
また、健康診断の事後措置を行って従業員の健康を守ることは、生産性向上にも効果的です。
さらに、従業員の健康増進への取り組みが優れている企業は、「健康経営優良法人」として経済産業省から公表されるため、企業のアピール材料の一つにもなります。
このように健康診断の事後措置の実施は、従業員にも企業にもメリットをもたらします。
【参考】
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断実施後の措置について」
経済産業省「健康経営(METI/経済産業省)」
【関連記事】【5分でわかる】健康経営優良法人の認定基準と申請方法について
健康診断の事後措置の流れは、次のとおりです。
それぞれの手順のポイントを解説します。
【参考】
厚生労働省 愛知労働局「健康診断事後措置等のあらまし」
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断実施後の措置について」
まず健康診断の結果から、異常所見が認められる従業員がいないか確認します。「要経過観察」「要治療」「要再検査」と診断された場合は異常所見ありと判断し、事後措置を講じなければなりません。
【関連記事】衛生管理者とは?選任義務と必要な資格について解説
異常所見の有無に関係なく、事業者は健康診断の結果を従業員に通知しなければなりません。通知を怠った場合は、50万円以下の罰金が科せられます。
従業員自身が健康状態を把握し自主的に健康管理に取り組めるよう、健康診断の結果を忘れずに通知しましょう。
【参考】
e-GOV法令検索「労働安全衛生法」
e-GOV法令検索「健康増進法」
事業者は安全配慮義務の観点から異常所見がある従業員に、二次健康診断の受診を推奨する必要があります。
従業員には二次健康診断の受診義務はないので、強制はできません。しかし、事業者は従業員の安全を確保しながら労働できるよう、必要な配慮をすべきと労働契約法に定められています。その配慮の一環として、二次健康診断の受診推奨も該当します。
強制力がないとはいえ、従業員に二次健康診断の受診を促すよう働きかけることが大切です。
【参考】e-GOV法令検索「労働契約法」
【関連記事】健康診断の再検査、従業員に受けてもらうには?企業がとるべき対応を解説
異常所見がある従業員に対する就業上の措置の必要性や措置の内容について、産業医などから意見を聴きます。産業医への意見聴取は、健康診断を行った日から3ヶ月以内に実施しなければなりません。
産業医を選任していない場合は、無料で産業保健サービスを提供している地域産業保健センターなどを活用するとよいでしょう。
【参考】e-GOV法令検索「労働安全衛生規則」
【関連記事】
【産業医寄稿】健康診断の後は、産業医から意見を聞いてますか?!
地域産業保健センター(地さんぽ)とは?役割や利用時の注意点を解説
具体的な措置を決定する前に、当該従業員と面談を実施します。従業員本人の意見を踏まえて措置を検討する必要があるため、産業医を同席させて面談をするのが望ましいです。就業措置の最終決定は、従業員の意見を尊重しながら事業者が行います。
必要に応じて産業医などの意見を衛生委員会・安全衛生委員会へ報告します。産業医の意見を報告する理由は、従業員の健康の状況を把握した上で調査審議するほうが、より適切な措置ができるためです。
従業員の健康情報の秘密保持のために、報告するときは個人が特定されないよう情報を加工する必要があります。
【関連記事】安全衛生委員会と衛生委員会とは? それぞれの役割と開催条件について
産業医などからの意見を踏まえて、事業者は必要な就業措置を決定します。医師からの意見聴取をもとにした就業措置の内容は、以下のとおりです。
就業区分 | 就業上の措置の内容 | |
区分 | 内容 | |
通常勤務 | 通常の勤務でよいもの | - |
就業制限 | 勤務に制限を加える必要のあるもの | 勤務による負荷を軽減するため、時間外労働の制限、労働負荷の制限、労働時間の短縮、出張の制限、作業の転換、就業場所の変更、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換等の措置を講じる。 |
要休業 | 勤務を休む必要のあるもの | 療養のため、休暇、休職等により一定期間勤務させない措置を講じる。 |
【出典】厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断実施後の措置について」
従業員の体調に悪影響を与えたり体調不良によって事故を起こしたりしないよう、適切な措置を決定しましょう。
異常所見があった従業員に対して、産業医や産業保健師による保健指導を実施します。保健指導は、健康状態の悪化を防ぎ健康的に働けるように促すのが目的です。
保健指導では、対象者に応じた生活習慣改善のアドバイスや、就労環境(作業量や作業時間、勤務形態など)についての指導などが行われます。
【参考】
e-GOV法令検索「労働安全衛生法」
厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム」
常時50人以上の従業員がいる事業者は、健康診断結果報告書を労働基準監督署に提出しなければなりません。
健康診断結果報告書の様式は、厚生労働省のサイトからダウンロードできます。健康診断結果報告書は、紙媒体だけでなく電子申請も可能です。
【参考】厚生労働省「各種健康診断結果報告書」
異常所見の有無にかかわらず、健康診断を受けた従業員の健康診断個人票(様式第5号)を作成して、5年間保存しなければなりません。義務を怠った場合は、50万円以下の罰金が科せられます。
健康診断個人票は、厚生労働省をはじめ行政のホームページなどからダウンロードが可能です。様式第5号の項目が記載されていれば個人票として認められます。もし医師の意見欄がない場合は追記が必要です。
健康診断の結果は、紙媒体以外に電子データによる保存も認められています。
【参考】
e-GOV法令検索「労働安全衛生規則」
e-GOV法令検索「労働安全衛生法」
厚生労働省「健康診断個人票」
健康診断の事後措置の目的は、従業員の健康を守り、事業者の責任を果たすことです。
健康診断で従業員に異常所見があれば産業医などへ相談し、事後措置を講じる義務があります。必要に応じて衛生委員会などへ報告し、労働環境の改善対策へ取り組むことも重要です。
健康診断の事後措置の流れや実施すべきことを理解し、正しく実施しましょう。
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