産業医の紹介会社は多数あり、さまざまなランキングサイト／比較サイトで紹介されているため「どれを選べばよいのか分からない」と感じている方も多いと思います。
本記事では、産業医サービスを提供する立場から、比較する際の要点を5つにまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
産業医紹介サービスは、実際に利用して比較することが難しいサービスです。半年～1年ほどは利用しないと、その良し悪しを実感しにくく、3社比較するだけでも最低1年半はかかります。また、そう頻繁に変更すべきものでもありません。
そのためランキングサイトでは、各社の公開情報をまとめることが多く、具体的なサービス内容にまでは踏み込みにくい面があります。どのような紹介会社があるのかを調べたいときや、各社ウェブサイトの情報を端的に知りたいときは有益ですが、選び方のポイントまでは明言しにくいのが実情なのです。
一方で、産業医紹介会社には、競合他社から自社に切り替えた企業の情報が集まるため、どのような点で比較されているのかがわかっているものです。実際に紹介会社を利用したユーザーの意見なので、信憑性が高いといえるでしょう。
では、具体的にどのような点に着目して比較すると良いのでしょうか。
比較ポイントの1つめが「産業医の登録数が多いかどうか」という点です。
産業医の登録数が重要な理由には、自社の所在しているエリアで産業医がマッチングできるか否かという点に関わります。
日本医師会によれば産業医として認定されている医師は全国に10万人以上いるとされていますが、産業医として企業に勤務している人数は3万人程度とも言われています。
つまり、産業医という存在は決して多くなく、この人数で全国の企業を支援しているのです。
東京都などの首都圏であれば産業医の確保は問題ないかもしれませんが、地方では産業医を探すこと自体が難しく、紹介会社によっては紹介できないあるいは紹介までに長い期間が必要となるケースもあるようです。
ですので、比較・ランキングサイトでは産業医の登録数で比べることや、全国エリアで産業医紹介を行っているかという点に注意しておきます。
2つめの比較ポイントは「産業医サービスの料金」です。
産業医紹介サービスでは主に初期費用と月額費用が注目点になります。
各社の嘱託産業医の紹介サービスを見てみると月額3万円程度（税抜）が最安値の水準といわれておりますので、ひとつの基準になると考えられます。
初期費用については無料の紹介会社もあれば、10万円ほど発生するケースもあるようですので、事前に確認しておきましょう。
また、産業医サービスの内容は各社で違いがあり、いわゆる「産業医を紹介するだけ」という紹介会社も無くはありません。
一方で、産業医の紹介から選任後の実働支援までサポートしている紹介会社も多くありますので、初めての産業医選任の場合などでは頼もしいでしょう。
なお、これらのサポートも月額費用に含まれているケースとオプションによる別費用となる場合がありますので、資料請求などで詳細をチェックし、自社が受けたいサポートと照らし合わせてサービスを比べるようにします。
詳しくは次の章で紹介します。
【関連記事】産業医に支払う費用はどれくらい？報酬相場と報酬以外にかかる費用を解説
産業医紹介サービスを比較するポイントの3つ目は料金に引き続き「サポートの充実度」で比較することです。
各社で産業医サービスの料金はおおむね同程度であることが多くなっていますが、サポート内容は千差万別といえる状況です。
産業医サービスを比較する際には「どれだけサポートが充実しているか」という点も重要になります。
具体的には産業医はただ選任すれば良いというものではなく、選任時には産業医との契約・給与交渉をはじめ、選任後には労働基準監督署へ「産業医選任届」を提出し、産業医と訪問日程を調整し、訪問時の活動内容を事前にすり合わせ……といったように数多くの業務が発生します。
また、事業場の従業員がこれから50名を超えるタイミングであれば衛生委員会の立ち上げなども必要になってきます。
これらはほとんどが企業の担当者（人事・総務など）が対応することになるため、戸惑ってしまうことも少なくないと思われます。
産業医サービスを提供する会社によっては、これらの実務をまるごとサポートしてくれるところもあります。
担当者の方の業務負担を少なくするという視点からも「サポート内容が充実度」は産業医サービスを選ぶ際に考えたい点といえます。
【関連記事】【まとめ】産業医の探し方 紹介を受けられる5つの相談先と選び方のポイント
産業医紹介サービスを比較する際のポイント4つ目は「産業医の質」で比べてみることです。
自社にマッチする産業医を選任することは企業の健康状態や生産性の向上に期待ができますので、慎重に選びたいところです。
例えば、製造業の職場では「労災対策に詳しい産業医」、オフィス職場では「メンタルヘルス対応の経験が豊富な産業医」など、企業によって求められる産業医の質は異なるでしょう。
よって、自社が抱えている健康課題が解決できる産業医を選べるかどうかという点は大切になると考えられます。
そして、こうした企業の現状やニーズをヒアリングし、自社に合った産業医を探してくれるサービスを選ぶことも重要になります。
とはいえ、まずは法令対応のために産業医を選任したいという企業もあるかと思います。
そういった場合には、「産業医紹介の実績が豊富かどうか」という部分にも着目して比べましょう。
比較ポイント5つ目は「全国エリアで産業医紹介に対応しているか」という点です。
ポイントの一つ目で取り上げた産業医の登録数とも関連する内容ですが、地方に所在している企業や、各地に支社・支店を持つ企業にとっては重要になります。
医師の人数が多い都市部のようなエリアであれば問題ないといえますが、地方によっては産業医が少なく企業とのマッチングが難しい現状があります。
ですので、産業医の紹介会社によっては全国に対応していない場合があるため注意が必要です。
地方の事業場で「産業医がいないから選任できない」「選任はしたが名義貸しのような状態で稼働実態がない」、というような場合は罰則が科されるリスクや労基署からの是正指導などにつながることもあります。
なお、全国的に産業医のネットワークがある産業医紹介会社はそれだけ医師からの信頼性の高いサービスであるとも言えます。
そのような紹介会社では複数拠点での産業医を一括選任できる場合があります。
本社・支社で共通の産業医サービスを利用することで、産業医への連絡・相談や日程調整などの煩雑な業務負担を軽減できるだけでなく、産業保健活動の格差が生まれづらいというメリットがあります。
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産業医紹介会社を比較する際の要点について紹介しました。
産業医紹介サービスにはさまざまなものがありますが、比較・ランキングサイトを活用する際はこれらのポイントを見ておきます。
また、比較サイトだけでは掲載されている情報も限定的であるため、各社のウェブページをチェックするなどして、自社に合った産業医紹介サービスを選ぶようにしましょう。
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