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健康診断で有所見が認められた従業員がいた場合、二次検査を受けるよう受診勧奨をする必要があります。
しかし、「受診勧奨は義務なのか」「二次検査の受診率を上げるにはどうしたらよいか」と疑問をもっている人事担当者の方もいるでしょう。
本記事では、健康診断後に受診勧奨を行うべき理由や、受診率を上げる取り組みの具体例を紹介します。
健康診断実施後の受診勧奨とは、健康診断で要検査の判定が出た従業員に対し、二次検査の受診を促すよう働きかけることです。
健康診断の結果は、A~Eの判定区分に分かれています。医療機関や検査内容により細かい区分は異なりますが、判定区分と内容は以下のとおりです。
判定区分 | 内容 | |
A | 異常なし | 今回の検査でとくに問題はない |
B | 軽度異常 | 軽度の異常所見が見られるが、とくに問題はない |
C | 要再検査 | 異常所見が認められるため、再検査を勧める |
D | 要精密検査 | 異常所見が認められるため、速やかな受診・精密検査を勧める |
E | 治療・加療中 | 現在治療中の所見 |
一般的に二次検査の受診勧奨の対象となるのは、判定区分がC・Dだった従業員です。
「要再検査」と「要精密検査」は検査の目的が異なります。それぞれの目的は以下のとおりです。
検査区分 | 目的 |
要再検査 | 数値の異常をもう一度確認する |
要精密検査 | 数値の異常がなぜ起こるのか具体的に調べる |
【参考】東京大学 保健センター「判定基準の考え方」
【関連記事】健康診断の再検査、従業員に受けてもらうには?企業がとるべき対応を解説
健康診断で異常所見ありと判断された従業員に対し、受診勧奨を行う理由を解説します。
受診勧奨をしないと、安全配慮義務違反になる可能性があります。当該従業員に対する二次検査の受診勧奨は努力義務であり、受診勧奨をしなくても罰則は科せられません。
しかし、事業者には労働者への安全配慮義務があります。事業者は労働者の生命および身体の安全を確保し、働けるようにしなければなりません。
安全配慮義務に違反した場合、50万円以下の罰金が科せられます。そのため、受診勧奨を行って二次検査を受けるよう促すことが重要です。
【参考】e-GOV法令検索「労働安全衛生法」
【関連記事】安全配慮義務違反に該当する基準とは?企業が取り組むべき対策も解説
従業員が二次検査を受けず重篤な病気になった場合、優秀な人材を失うリスクがあります。
生活習慣病やがんなどの病気は、初期段階では自覚症状がなく、気づいたときには病状が進行していることも少なくありません。病気による休職や退職で貴重な人材を失うと、生産力の低下につながります。
受診勧奨で再検査や受診を促し、従業員の健康維持に努めれば人材の損失を防げます。
【関連記事】 健康診断は企業の義務! 実施すべき健康診断の種類や対象者を解説
ここでは、二次検査の受診率を上げるための取り組みを紹介します。
二次検査の受診率を上げるには、従業員が検査を受けやすいよう就労環境を整えることが大切です。
平日の終業後に二次検査を受けようと思っても、医療機関の診療時間内に間に合わず、受診できないケースがあるでしょう。また、休暇を取ってまで二次検査に行こうと考える従業員は、少ないかもしれません。
平日の就業時間内に二次検査を受けられる制度を導入すれば、従業員は受診しやすくなります。たとえば、次のような制度が考えられます。
二次検査の費用は従業員自身の負担となるため、費用がかかるのを懸念し、二次検査を受けない可能性があります。そのため、当該従業員の費用負担が軽減する給付金制度を案内し二次検査を促しましょう。
制度の一例として「労災保険二次健康診断等給付」があります。労災保険二次健康診断等給付は、過労死などの原因となる脳血管や心臓疾患の予防を図るための給付制度です。
定期保険診断で異常所見が認められた場合、特定保健指導を1年度内に1回無料で受診できます。
給付を受けるには条件を満たす必要がありますが、当該従業員に制度を案内すれば二次検査受診率向上が期待できるでしょう。
【参考】厚生労働省「労災保険二次健康診断等給付」
従業員には二次検査の受診義務はありません。しかし就業規則に記載しておけば、業務命令として検査を促しやすくなります。
また、従業員は業務命令であれば従わざるを得ない状況となるため、受診勧奨後に二次検査を受けることが期待できます。
産業医や保健師、地域の医療機関と協力して受診勧奨をするとともに、リーフレットやチラシを配布し二次検査の重要性を伝えましょう。
二次検査を受けないと、症状が進行して休職や退職につながるリスクがあると従業員に知ってもらうことが目的です。
また、経営層からも伝え、二次検査の受診を後押しすることも重要です。社内報や朝礼などの機会に、二次検査を受ける重要性を周知しましょう。
健康経営を進めていくためには、健康に働く従業員が企業にとって資産であり、欠かせない存在だと伝えるとより効果的です。
【関連記事】健康経営とは?企業が取り入れるメリットや取り組み方法・必要性を徹底解説
受診勧奨を行う流れが曖昧だと、受診勧奨の漏れなどが起こり受診率が低下しやすいため、オペレーション体制を整備します。
以下のことをあらかじめ決めて、受診勧奨を確実かつスムーズにできるようにしておきましょう。
「いつ」「誰から」「どのように」を明確に決めることが重要です。
当該従業員に受診勧奨しても二次検査を受けない場合は、産業医に協力してもらい個別面談を実施するとよいでしょう。
医学の知見がある産業医から、健康診断の結果を踏まえた具体的な健康リスクや、病気の早期発見の重要性を説明してもらいます。専門的なアドバイスをしてもらうことで「二次検査を受けよう」と従業員の意識が変わるかもしれません。
また、個別面談では単に受診勧奨をするだけでなく、生活習慣改善のアドバイスや健康情報の提供などもあわせて行うことが大切です。
健康への意識が徐々に変わり、病気予防に努めるようになることが期待できるでしょう。
【関連記事】健康診断を従業員が拒否した場合はどうすればいい?具体的な対応方法を解説
受診勧奨の案内文は、厚生労働省が提供する文例集を参考にするとよいでしょう。以下のような、健康診断の結果別における例文が記載されています。
【血圧高値の所見が見られた従業員への受診勧奨例】
今回、血圧が非常に高くなっていました。望ましい血圧レベル(収縮期血圧 120 mmHg 未満かつ拡張期血圧 80mmHg 未満)の人と比べて、約5倍、脳卒中や心臓病にかかりやすいことがわかっています。この健診結果を持って、至急かかりつけの医療機関を受診してください。 【脂肪異常の所見が見られた従業員への受診勧奨例】 血液中の脂肪がとても多く、このままだと急性膵炎になる危険性があります。至急かかりつけの医師に相談して、専門の医療機関を紹介してもらいましょう。 |
(出典:厚生労働省「健診結果とその他必要な情報の提供(フィードバック)文例集 」)
受診勧奨をする際は、二次検査が必要な項目・理由を簡潔に伝えて、二次検査の受診を促すのがポイントです。
受診勧奨は、健康診断で「要再検査」「要精密検査」の所見があった従業員に対し、二次検査の受診を促すものです。受診勧奨を怠ると、安全配慮義務違反になる恐れや優秀な人材を失うリスクがあります。
二次検査の受診率を上げるには、就業時間内に受診できる制度の導入、受診勧奨の明確なオペレーション作りなどが有効です。従業員に二次検査の重要性を伝え、積極的に受診できるよう意識を変えることも欠かせません。
二次検査を受けやすい就労環境を作り、産業医や医療機関と協力しながら受診勧奨を行って、受診率の向上を図りましょう。
健康診断の受診勧奨を促すWord形式の参考例文フォーマットです。 メールに添付して活用できるもの、参考例文をコピー&ペーストしてそのままメール文として送れるものと2種類をご用意していますので、用途に応じて使い分け可能です。 本フォーマットを活用いただくことにより、速やかに健康診断の受診勧奨をすることができます。
50人以上の事業場向け
1,000人以上の事業場向け
※有害業務従事の場合は500人以上
単発の面談が必要な事業場向け