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【産業医寄稿】事業場内産業保健スタッフ等によるケアは何を行うのか

平成18年3月に厚生労働省は、働く人の精神的な健康の保持増進のために、4つのケアを上手く機能することが大切であると方針をだしました。4つのケアとは、具体的には、「セルフケア」「ラインケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」になります。
その中でも今回は、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」について、お伝えしたいと思います。
4つのケアの中でもこのケアに関しては、実際に何を行えばよいかピンと来ずに、実際には何も出来ていない事業場もたくさんあります。
具体例を交えて、実際に何を行っていくべきかを説明していきますので、明日からの産業保健活動にぜひ生かしてください。
 

事業場内産業保健スタッフ等とはだれか?

そもそも事業場内産業保健スタッフとは、誰のことを指すのでしょうか。イメージしやすい順番に説明したいと思います。
まず産業医です。事業場の規模によって、産業医の数や産業医の雇用形態(常勤、非常勤)も全く異なってきます。
つまり、産業医はその事業場の従業員でない場合であっても、メンバーの一員にカウントされます。さらに保健師が社内にいる時は、保健師もメンバーになります。
大雑把ですが、産業医や保健師は、医療的な立場から、メンタルヘルス不調を少しでも改善するために意見を述べる役割と考えておいてください。
しかし実際には、小規模の事業場では、産業医も保健師も全くいないことが多々あります。その場合、事業場内にいる従業員が、産業保健スタッフを担当する必要があります。
具体的には、事業場内にいる衛生管理者や人事労務スタッフが、事業場内産業保健スタッフの一員となります。
また、事業場内の従業員の中から、「事業場内メンタルヘルス推進担当者」を選任することも有効でしょう。
実際は、衛生管理者や人事労務スタッフが兼務していることも多いですが、役割としては、職場のメンタルヘルス対策の企画・実行をしたり、相談窓口になったり、産業医などとの面談の調整を行ったりします。
 

事業場内産業保健スタッフ等が行うこと

実際に行うべきことは多岐に渡るのですが、重要であるにも関わらず手薄になりやすいことがあります。それが「職場のメンタルヘルス対策の企画・実行」です。
具体的にどのようなことに取り組めばよいか分からないとの声もよくあがるので、具体的に説明していきたいと思います。

  • 職場の安全衛生・健康面の話し合いの場(衛生委員会)を設ける
  • メンタルヘルス不調者について把握すること
  • セルフケアやラインケアの研修・教育を行う
  • 休職者の職場復帰プログラムをつくる

 

メンタルヘルス対策をするということ

先ほど、実際に行うべきことを列挙しましたが、1つずつ見ていきましょう。
まず衛生委員会などの、安全衛生や健康面などについて話し合う場を作ることで、現状の問題点を浮き彫りにする必要があります。
さらに、職場としては、メンタルヘルス不調者の人数や休職期限などの把握が必要になります。
しかし、個人情報を守る必要があるので、担当窓口を決めて事業場の最新の現状を把握できるようにしておきましょう。
4つのケアを意識した時に、従業員の各個人がセルフケアやラインケアに関して全く知らないことも多く、事業場内産業保健スタッフによって、研修や教育体系を整えるところから始めることもあるでしょう。
さらに、メンタルヘルス不調で休職している従業員が、職場に復職する時のプログラムも必要になります。
例えば、主治医の『職場復帰 可』の診断書が出てから、産業医面談を挟み、そこでも『職場復帰 可』であれば、数週間のリハビリ勤務を挟んで復職するなどを決めていきましょう。
 

さいごに

メンタルヘルス対策と一言でいっても、多岐にわたり決して片手間ではできません。時間もかかりますし、その都度変更を余儀なくされることもあります。
しかし、従業員が財産であることは、どの企業も同じではないでしょうか。その貴重な財産をメンタルヘルス不調で失わないように全力で守って欲しいです。
そのためには、事業場内産業保健スタッフの力がとても大きいのです。出来るところからで大丈夫ですので、まずは実際に取り組んでみてください。

井上 智介 (いのうえ ともすけ)

産業医・精神科医

島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び2年間の臨床研修を修了する。 その後は、精神科医、産業医の役割を中心に活動し、産業医経験は5年以上になる。 産業医としては、毎月複数の企業を訪問し、精神科医や健診医の経験も活かしながら企業の安全衛生の保守や社員の健康障害の防止の活動している。 さらに、全ての国民に医療情報の正しい理解を目標にして、個人ブログやSNSを活用するだけでなく、コラムを担当したり、全国で講演したり、精力的に医療情報の発信を続けている。

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