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【労働安全衛生法 改正2025】人事労務担当者が知るべき最新安衛法のポイントを解説

2025年に施行された改正労働安全衛生法は、企業の人事労務担当者にとって、喫緊の課題となっています。本記事では、法改正の背景から具体的な改正内容、企業が取り組むべき対応まで解説します。特に、ストレスチェック制度の見直しや熱中症対策の強化など、実務に直結する重要な変更点に焦点を当てていきます。

労働安全衛生法改正2025の全体像

2025年に施行された改正労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を一層確保することを目的としています。近年の労働環境の変化や新たなリスクの顕在化に対応するため、既存の枠組みでは不十分と判断された点が多数見直されています。特に、メンタルヘルス対策の強化や、熱中症リスクへの対応は、企業が喫緊で取り組むべき課題として位置づけられています。
この改正は、単なる法規制の追加ではなく、企業が自主的に安全衛生管理を推進し、労働者が安心して働ける環境を構築することを強く促すものです。人事労務担当者は、今回の改正が自社の事業活動にどのような影響を与えるかを正確に把握し、適切な対策を講じることが求められます。

改正のポイント:50人未満事業場へのストレスチェック制度義務化へ

ストレスチェック制度の義務化対象拡大の可能性

現在、従業員50人以上の事業場に義務付けられているストレスチェックですが、2025年の改正では、その対象が拡大される可能性が示唆されています。従業員数が少ない事業場においても、労働者のメンタルヘルスケアの重要性が高まっており、小規模事業場への義務化拡大や、実施頻度の見直しなどが検討されています。
現在は対象外であったとしても、今後の動向には常に注目し、早めの準備を進めることが重要です。厚生労働省の動向や関連省令の発表を注視し、制度改正の具体的な内容を把握しましょう。

改正のポイント:熱中症対策の強化

近年、記録的な猛暑が続き、職場での熱中症リスクはますます高まっています。このような状況を受け、労働者の命と健康を守るため、2025年6月1日より労働安全衛生規則が改正され、熱中症対策が強化されました。

義務化される熱中症対策の具体的内容

今回の改正で、事業者に義務付けられる具体的な措置は以下の2点です。

  • 熱中症の兆候報告体制の整備と周知 熱中症を引き起こす恐れのある作業(WBGT28度または気温31度以上で、1時間以上継続または1日4時間以上行われる作業)を行う際、「熱中症の自覚症状がある作業者」、または「熱中症の恐れがある作業者を見つけた者」が、その旨を速やかに報告できる体制を整える必要があります。具体的には、事業場ごとに報告先(連絡先や担当者)をあらかじめ定め、関係するすべての作業者に周知徹底することが求められます。これにより、早期発見・早期対応が可能となり、重篤化を防ぐことが期待されます。
  • 症状悪化防止のための措置内容と手順の明確化 上記と同様の熱中症を引き起こす恐れのある作業を行う場合、万一熱中症の症状が出た際に、その悪化を防止するために必要な措置と手順を、事業場ごとにあらかじめ定めて関係作業者に周知することが義務付けられます。具体的には、以下の項目を含める必要があります。
    • 作業からの速やかな離脱
    • 身体の冷却(例:日陰や涼しい場所への移動、冷たいタオルでの冷却など)
    • 必要に応じた医師の診察または処置
    • 事業場内の緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先と所在地など

    これらの措置を明確にし、手順を共有することで、いざという時に迅速かつ適切な対応ができるようになります。貴社では、これらの新たな義務に対応するための準備が整っているか、今一度確認してみましょう。

企業が今すぐ取り組むべき対応策

法改正情報の収集と社内共有

まず、最も重要なのは、労働安全衛生法改正に関する最新かつ正確な情報を継続的に収集することです。厚生労働省のウェブサイトや関係省庁の発表、信頼できる専門機関からの情報を常にチェックし、法改正の具体的な内容が確定次第、速やかに社内で共有する体制を整えましょう。
特に、経営層や各部署の管理職に対し、法改正の重要性と自社への影響を説明し、理解と協力を得ることが不可欠です。社内研修の実施も有効な手段です。

産業医・弁護士など専門家との連携強化

法改正への対応は、多岐にわたる専門知識を要することが少なくありません。特に、ストレスチェックの結果分析に基づく職場改善や、複雑な労働災害発生時の対応などにおいては、産業医や弁護士などの専門家の知見が不可欠です。
今回の改正を機に、これらの専門家との連携を強化し、必要に応じてアドバイスを仰ぎ、適切な対策を講じられる体制を構築しましょう。顧問産業医や顧問弁護士がいない場合は、この機会に契約を検討することも重要です。

まとめ

2025年の労働安全衛生法改正は、企業の人事労務担当者にとって、労働者の安全と健康を守るための重要な機会となります。ストレスチェック制度の深化や熱中症対策の強化など、実務に直結する変更点が多く、早期の対応が求められます。

エムスリーキャリア健康経営コラム編集部

エムスリーキャリア健康経営コラム編集部

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健康経営に関するお役立ち情報を発信する「健康経営コラム」編集部です。 産業医サービスを提供するエムスリーキャリア株式会社が運営しています。 全国34万人以上(日本の医師の約9割)が登録する医療情報サイト「m3.com」のデータベースを活用し、あらゆる産業保健課題を解決に導きます。 お困りの企業様はお問い合わせボタンよりご相談くださいませ。

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