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労働安全衛生法にて、事業所(会社)は従業員に対して健康診断を受けさせる決まりがあります。
大半の事業所がそのことを理解しており、定期健康診断であれば従業員は毎年1回必ず健康診断を受ける必要があります。事業所としては、受診率100%を達成するように努力しています。
健康診断が終了した後は、その結果について、医師から勤務の制限が必要かどうかの判断をしてもらう必要があります。
さらに、その医師の判断に基づいて事業所が、就業場所の変更や作業内容の変更などの措置を行う必要があります。
これを健康診断における事後措置といい、労働安全衛生法に記載されています。しかし、残念なことに、この事後措置まできっちりと守られていないのも事実です。
では、健康診断の事後措置を怠ることでどのような弊害が起こりうるのでしょうか。
実は、多くの事業所は、健康診断の受診率が100%を達成することに、かなりのエネルギーと時間を費やしています。「健康診断は毎年受けるのが当り前」と考えてくれている従業員もいれば、全くそのように考えていない従業員もいるのです。
特に、20代で健康に不安を抱えていない従業員は、「健康診断を受ける時間があれば、仕事をします」と言って、健康診断を拒否するような人もいます。事業所としては、そのような人に対して、一から健康診断の意味や必要性を説明することになります。
さらに、世の中には、1つのオフィスに全従業員が集まっているような企業ばかりでなく、客先常駐のように、大半の従業員が各々の現場に直行直帰するような労働形態もあります。そのような時に、総務人事課が健康診断の日程を決めたとしても、従業員が健康診断に行くことをうっかり忘れてしまうこともあります。
さらに、健康診断を受けていないことを総務人事課が把握するのが遅れて、慌ててその社員と話し合って、健康診断の予定を立て直したり、とてもバタバタするのです。
このように事業所としては、受診率が100%になることで全てのエネルギーを使ってしまって、“あとは知らない”というところもあります。
しかし、先ほど述べたように、健康診断が終了したら、産業医等の医師に結果を確認してもらう必要があります。それは、健康診断の結果によっては、今の就業条件では社員の健康を保持できない可能性があるからです。
例えば、血圧の数値が非常に高い従業員Aさんがいたとしましょう。産業医が、そのAさんと面談して話を聞いたところ、Aさんは何年も前から病院で高血圧の治療を行っていました。
しかし、ここ半年は病院にいくことを怠っていました。このようなケースはよくあります。特に高血圧だけであれば、自覚症状に乏しいことも多く、Aさんは「治療していてもしてなくても、体調は何も変わらないしお金がもったいないだけ」と主張され、治療意欲が乏しいことが確認できます。
このようなAさんに、多くの時間外勤務などを行わせることは、高血圧を悪化させることになるので、産業医としては、時間外勤務の禁止や就業時間の短縮を指示することになるでしょう。
上記の例では、産業医の出した意見を勘案しながら、事業所として、Aさんに措置を講じる必要があります。
産業医が時間外勤務の禁止を指示したとしても、もし今の現場では負荷が大きいと考えられるなら、業務の転換や就業場所を変更するなどの措置をとることが必要になってきます。
このように、事業所には、従業員の健康を保持しながら働いてもらうように、配慮する義務があります。
これを安全配慮義務といいます。つまり健康診断の事後措置を行わないことは、安全配慮義務違反になります。
健康診断後の事後措置というと、事業所としてはどこか従業員に対して罰則をあたえるような気持ちで躊躇しがちです。
しかし、実際は、健康診断後の事後措置は従業員の健康を保持するために行うことです。もしAさんが高血圧を放置していたら、いずれ脳卒中や心臓疾患で命に係わる可能性が高いです。
それが労働災害にあたるかどうかという話ではなく、事業所としては、従業員が少しでも長く健康で働いてもらうことこそが何よりも大切です。
何事もやりっぱなしは意味がありません。健康診断の事後措置を上手く活用して、事業所として従業員を守ることが、一番ポジティブな結果を生み出しいることを意識していきましょう。
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