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株式会社OKANでは、「働く人のライフスタイルを豊かにする」をミッションに、企業・社会課題の解決に取り組んでいます。働き方改革を振り返り、会社として重視すべきはワーク・ライフ・バランスではなく、仕事と生活における個人の価値観、すなわち、「ワーク・ライフ・バリュー(WLV)」であると考えました。今回は、従業員の価値観を企業が知ることで生まれた人事施策、これから健康経営を継続するうえで取り組んでいきたいと思うことについて、ヒューマンサクセスグループの白田静香氏、手塚ちひろ氏にお話を伺いました。
【企業プロフィール】
―まず、「働く人のライフスタイルを豊かにする」という企業ミッションに込められた思いについて教えてください。
手塚:現在は働きながら育児や介護、副業をするというように、働き方の多様性が拡張され、働き方についてさまざまな価値観を持つ働き手がいる時代です。しかし、企業や社会がそれに対応できているとは言い難い状況です。例えば、時短勤務制度はあるものの、子どもが何歳になるまでと制限があってうまく運用できていないなどが挙げられます。このようなギャップにより何が起きるかというと、本当はもっと働きたいのに制度が整っていないため退職せざるをえない従業員が出てしまうこと。今後の人口動態を考えると、労働人口は減少していくでしょうし、労働力不足は企業の存続を左右する課題になります。私たちは、そういう社会構造を変えていきたい。働きたい人が働き続けられる社会を実現したい思いから、「働く人のライフスタイルを豊かにする」という企業ミッションを掲げています。
―このミッションのもと提唱している、「ワーク・ライフ・バリュー(以下WLV)」についても教えてください。
手塚:例えば、子どもがいる人が必ずしも時短勤務で働きたいとは限りません。子どもがいてもキャリアを積みたい、もっと活躍したいと考える人には、時短勤務ではなくフレックス制度を適用して、しっかり稼働できる環境を提供する──。ワーク・ライフ・バランスを決めるにあたり、仕事と生活に対する個人の価値観をふまえて何を優先するかという視点です。先ほどもお伝えしましたが、現在は働き手の価値観もさまざま。会社として、個々人の価値観やライフスタイルにあわせた制度・支援が必要であり、その結果、従業員が安心して働き続けられる環境を提供できると考えています。
―御社では、従業員のWLVをどのように把握しているのですか。
白田:弊社の人材定着支援サービス「ハイジ」を活用して、月に1回従業員サーベイを行っています。人材定着と関連の深い15要素を計測し、それらを組織、部署、個人の階層から分類してスコア化しています。弊社の場合、1番スコアが高い要素が良好な人間関係で、従業員の8割が最重要視しています。次にやりがい、私生活との両立、経営への信頼、上司との関係と続いています。
他社でも良好な人間関係が1位になるかというと、そうではないと思います。個人や会社の風土によって、大事にされる価値観は違います。そこを会社が理解して、大事にすべき価値観を取り入れるよう働きかけることが重要です。
手塚:アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグは、社員の離職理由は2種類あると提言しています。1つは、仕事のやりがい、職務内容など動機づけ要因のモチベーター。もう1つは、健康、会社での人間関係、職場環境など衛生要因であるハイジーンファクターです。ハイジはこの衛生要因に特化したサーベイなので、そこでの気付きを人事施策などに取り入れています。
―従業員サーベイの気付きが人事施策に活かされた事例を教えてください。
白田:全ての気付きに施策を打つことは難しいので、できること・やるべきことを優先順位付けしています。ただ、社員のほとんどが重要視している良好な人間関係については、特に注力しています。弊社には、社内のコミュニケーション活性化に取り組む有志がいます。コロナ禍でリモート勤務がメインになってから「同僚と関わりが少なくなって寂しい」「仕事だけの日々になっている」といった声が集まりました。実際に、従業員サーベイでもメンタルヘルスのスコアが下がってしまったんです。その際に、有志の方たちが率先して動いてくれました。具体的には、週1で開催していた全社員が参加する「家族会議」をオンラインでも継続して実施。大人数のオンライン会議は一方的になりがちなので、従業員同士のコミュニケーションを増やすためにグループわけをして、5人前後のメンバーで話せる時間も設けました。昨年5月からは企業の福利厚生として従業員の自宅にお惣菜を“仕送り”する『オフィスおかん仕送り便』がスタートしたので、弊社従業員の自宅にも送付しています。毎月新しい従業員が入社しているので、歓迎会を兼ねて、会社から届いたお惣菜をみんなで食べながらオンラインランチも実施しています。あとは、非公式ではありますがオンライン飲み会も盛んですね。
手塚:社内のコミュニケーション活性化は有志での取り組みにはなりますが、仕事として成果を出してほしいと思っています。現在の社員数ですと1人1人のインパクトが強いので、離職率ではなく、従業員サーベイのスコアを指標としています。弊社では、採用面接の際に事業だけでなく組織についても真剣に考えられる人と働きたいと話しています。それもあって、組織課題への感度が高く、自分の考えを話してくれるメンバーが多い印象を受けます。
―御社の従業員が、やりがいを持ちながら私生活も両立できている秘訣は何でしょうか。
白田:やりがいについては、定期的に『価値観ワークショップ』を実践しています。弊社にある「こう働きたい」という約50の価値観から自分のTOP5を選んで発表してもらうものです。ワークショップを通じて自分のキャリアと紐づけをして、やりがいを再認識してもらうことが狙いです。私生活との両立については、子の看護休暇、介護休暇、フレックスでコアタイムなしなので子どもの病院に行ってから始業可能など、制度が充実していると思います。WLVの理解・支援をする制度として、『ワーク・ライフ・バリュー ストーリー』があります。年1回、15,000円の手当もしくは1日休暇を選んで活用し、各々のストーリーを社内共有することで相互理解を深める取り組みです。「家族会議休暇」「子供1on1休暇」「温泉休暇」など、従業員の価値観の数だけストーリーがあります。
―WLVを明確にすることが、従業員の働きやすさにつながるといえそうですね。
白田:「働く人のライフスタイルを豊かにする」、その実現のためにワーク・ライフ・バリューがあります。人事施策のコンセプトとして、多様な選択をできる生き方を従業員に提供したい思いがあります。その選択をできるようになるには、人事施策をリンダ・グラットンの著書『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略』で言われている、生産性資産、活力資産、変身資産で分類できると考えています。弊社はスタートアップなのでさまざまなタスクがあり、成長できる環境です。変身資産は先ほどお話したワークショップなどがあります。活力資産は健康、家族のみならず、社風柄、同僚もキーワードになっているのが弊社の特徴です。健康経営を推進するにあたり、活力資産を得ることは特に重要だと考えています。
従業員の健康管理をどこまで面倒みるか、については多くの会社で論点になる部分ですが、弊社では弊社代表の沢木が長時間労働の結果、食を疎かにして体を壊してしまったのが創業のきっかけという背景もあり、現時点ではプラスというよりマイナスにさせない最低限のところに基準を置いて着実に実施しています。残業時間管理の徹底を主軸に、コアタイムなしのフレックス勤務、在宅×オフィスハイブリッド勤務、健康診断受診率100%、人間ドッグ・婦人科検診会社負担、インフル予防接種補助など基本的な取り組みをしています。
―人事施策のPDCAサイクルをまわして、気付いたことはありますか。
手塚:従業員サーベイのスコアをもとに効果検証をしていますが、数字だけ見るのではなく、個人にヒアリングをするなど一歩踏み込んだコミュニケーションを取らないと本質的な課題解決にはならないと感じています。職場環境に課題があるとわかっても、原因がコミュニケーション不足なのか、インフラの未整備によるものなのかは数字だけでは判断できません。数字は指針になる一方で、それだけを基準にすると意思決定を誤ることもあります。
―今後、人事施策を含む健康経営を継続するうえで取り組んでいきたいことを教えてください。
白田:引き続き従業員サーベイを行い、今以上にデータ分析と必要に応じたコミュニケーションを図っていきたいですね。従業員が大切にしている価値観を把握している企業はなかなかないと自負しています。それぞれのWLVに基づき、自分の人生をどうしていきたいのかをしっかり考えて発信することを呼びかけていきたいです。それが新しい人事施策のヒントになるとも思っています。
手塚:私たちはミッションファーストで業務にあたっています。社内で対応できていないことを社外に提供するのは違うと思うので、まずは社内から働く人のライフスタイルをより豊かにして、社外におけるスタンダードを示していきたいです。WLVを突き詰めた結果、健康経営も担保でき、従業員のライフスタイルが豊かになり、長く働き続けられる会社になることが1つのゴールだと思っています。そのため、健康経営は通過点として考え、やるべきことを進めていきたいですね。
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