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従業員から「通勤中に事故にあった」との連絡を受け、どのように対応すればよいかお困りではありませんか?
通勤災害は、いつ起こるか予測が難しく、いざ発生すると人事労務担当者には迅速かつ適切な対応が求められます。対応を誤ると、法的な問題に発展したり、従業員との信頼関係を損ねたりする可能性もあります。
この記事では、通勤災害が発生した際に会社がとるべき対応について、具体的な5つのステップで分かりやすく解説します。また、担当者が抱きやすい疑問に答えるQ&Aも用意しました。
目次
まず、通勤災害の基本を理解しましょう。通勤災害とは、従業員が通勤によって被った傷病などを指します。ここでいう「通勤」とは、住居と就業場所との間の往復などを、合理的な経路および方法で行うことであり、業務の性質を有するものを除きます。
労災保険における「通勤」と認められるためには、以下の3つの移動が該当する必要があります。
これらの移動を、合理的な経路および方法で行っている途中の災害が、通勤災害と認定されます。例えば、電車やバス、マイカー、徒歩などがこれにあたります。
通勤災害と業務災害の最も大きな違いは、災害が起きた原因が「業務」にあるかどうかです。
業務災害は会社の責任が問われることが多い一方、通勤災害では原則として会社に安全配慮義務違反などの責任はありません。ただし、会社所有の送迎バスでの事故など、状況によっては会社の責任が問われるケースもあります。
通勤災害が発生した場合、会社は以下のステップで対応を進めます。
まずは、被災した従業員本人またはその家族から、災害の発生について報告を受けます。その際、従業員の安全確保を最優先し、必要に応じて救急車の要請や病院への連絡を指示してください。落ち着いて状況を確認し、以下の情報をヒアリングします。
従業員からの報告をもとに、通勤災害の状況について客観的な事実確認を行います。具体的には、以下の点を確認しましょう。
可能であれば、本人に「通勤災害に関する報告書」などの書式で報告を求めると、後の手続きがスムーズになります。
通勤災害では、業務災害と異なり「労働者死傷病報告」の提出義務は原則としてありません。ただし、被災した従業員が亡くなった場合や、4日以上休業する見込みの場合は、死傷病報告の提出が必要になるケースがあります。判断に迷う場合は、管轄の労働基準監督署に確認しましょう。
通勤災害と認定されれば、従業員は労災保険から治療費や休業中の補償などを受けられます。会社は、従業員がスムーズに給付を受けられるよう、申請手続きをサポートする義務(助力義務)があります。
主に以下の書類を準備し、労働基準監督署へ提出します。
これらの書類には、会社の証明を記載する欄があります。事実関係を確認した上で、速やかに記入・捺印しましょう。
従業員が休業している間も、定期的に連絡を取り、状況の確認や必要なサポートを行います。そして、従業員の回復状況に合わせて、産業医や主治医と連携しながら職場復帰の支援を行います。復帰プランの作成や、必要であれば配置転換などを検討します。
ここでは、人事労務担当者からよく寄せられる質問にお答えします。
A. 原則として、会社に損害賠償責任はありません。
通勤中の移動は、会社の支配下にあるとはいえないためです。ただし、会社が提供する送迎バスでの事故や、欠陥のある社用車を貸与していた場合など、会社の安全配慮義務違反が認められるケースでは、損害賠償責任を負う可能性があります。
A. 欠勤扱いにするか、特別休暇などにするかは会社の規定によります。
労災保険から休業給付が支給されるのは休業4日目からです。そのため、最初の3日間(待期期間)は、会社の就業規則の定めに従って対応します。年次有給休暇の取得を従業員が希望した場合は、それを認めるのが一般的です。会社の規定で特別休暇(有給)を認めることも可能です。
A. 「第三者行為災害届」の提出が必要です。
相手方(加害者)がいる交通事故の場合、労災保険と相手方の自賠責保険のどちらにも請求が可能です。通常はどちらを先に利用するか調整しますが、労災保険を先に使う場合は、労働基準監督署へ「第三者行為災害届」を提出する必要があります。会社は、従業員がこの手続きを円滑に進められるようサポートしてください。
A. 経路の「逸脱」または「中断」があった場合、その後の移動は原則として通勤とみなされません。
例えば、仕事帰りに私的な用事で友人の家を訪れた場合、その時点から自宅に戻るまでの道のりは通勤経路から「逸脱」したと判断されます。ただし、日常生活上必要な行為(日用品の購入、病院での診察など)を最小限度の範囲で行う場合は、元の経路に戻った後からは再び通勤とみなされます。
通勤災害が発生した際、人事労務担当者には、従業員への配慮と法に基づいた正確な手続きの両方が求められます。
重要なポイントは以下の通りです。
いざという時に慌てないためにも、本記事で解説した対応フローやQ&Aを参考に、社内体制を事前に整えておくことが大切です。
50人以上の事業場向け
1,000人以上の事業場向け
※有害業務従事の場合は500人以上
単発の面談が必要な事業場向け