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本連載も最終回となりました。今回は今後の健康経営の主なトレンドを2点紹介します。
本年3月に発表された顕彰制度では、1.情報開示の促進、2.業務パフォーマンスの評価・分析、3.スコープの拡大、が変更されました。これらは来年度以降も引き続き求められてくるでしょう。それぞれ具体的にみていくと、1.情報開示の促進では、フィードバックシート等の開示をホワイト500の必須要件としたり、定量的な指標(健診受診率、喫煙率、高ストレス者率等)の開示状況が求められたりしています。つまり、開示が必須な時代になっているということです。2.業務パフォーマンスの評価・分析では、業務パフォーマンス指標として、アブセンティーイズム、プレゼンティーイズム、ワークエンゲイジメント等を取り上げ、測定の有無とその手法について聞いています。これらの測定の結果、業績・企業価値向上に結び付いているかを確認しようとしています。測定方法は、健康経営度調査の調査票、または私の最新刊「最強戦略としての健康経営: 競争優位とサステナビリティを生む人的資本のためのビジネスモデル」をご覧ください。3.スコープの拡大では、健康経営の普及のため、ESGの”環境”のように、健康経営のスコープを自社だけでなく「サプライチェーン」や「社会全体」に広げる動きを促進するため、健康経営の取り組みを支援しているか等を聞いています。さらに付随するサービス・商品の開発を促しています。これは管轄の経済産業省のヘルスケア産業課の目的が、健康経営の普及とヘルスケア産業の創出となっているからです。
少子高齢化が言われて久しく、また近年では、人生百年時代、生涯現役社会ともいわれています。そのような環境の変化の中で、企業は定年の延長や育児・介護と仕事の両立支援等の充実、また労働者自身の働く意義や働き方等も変化してきました。企業では、今後どのように適応していく必要があるのでしょうか?ひとつに、高齢者になっても働ける環境の整備や社員教育等の人材開発があげられます。人材開発と健康経営は、自律的社員の育成と目標においては、補完的な関係にあるとの発表もあり、Well-Beingやイノベーティブな社員の育成に役立つ可能性が示唆されています。そこで、新たにウエルネス(健康)キャリアという概念を提唱します。具体的には、下表1となります。
表1 ウエルネス(健康)キャリア
研修時期 | 人材開発等 | 健康経営等 |
20代 | 仕事の方法、目的、責任 | メンタル、レジリエンス |
30代 | リーダーシップ、部下を使う責任 | 食事や睡眠、ガン |
40代 | マネジメント、ダイバーシティ | タイムマネジメント、運動 |
50代 | 社会人キャリアと外の世界との関係 | オーラルケア、更年期障害 |
60代 | 今後の人生の目標、老後のお金の計算 | 認知症予防プログラム |
70代 | ― | フレイル対策、アイケア |
入社時 | コミュニケーション、メンタル対策 | |
管理職 | 意思決定理論、組織活性化 | 健康経営マネジメント力 |
※筆者作成
ぜひ人材開発でも健康経営の視点を持って取り組んでみてください。
最後までにお付き合いいただき、ありがとうございました。健康経営は2024年のISO化(国際標準化) を目指しており、また今流行りの人的資本経営にも含まれます。さらに地方自治体からも医療費の削減が見込まれることから、愛媛県や山形県上山市のように、域内に健康経営に取り組む企業を増やそうとする動きも加速しています。これらの動きから、健康経営に取り組まなければいけない時代が到来しているように思われます。長期的には労働人口の減少が見込まれている中、従業員一人一人の価値はさらに高まっていくことでしょう。まだ取り組んでいない企業はすぐに、すでにはじめている企業は健康経営を更に推進していきましょう。応援しています!そして、どこかのセミナー等でまたお会いできることを楽しみにしています。
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※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
【参考文献】
健康経営度調査票について
経済産業省、健康・医療新産業協議会 第4回健康投資WG
平野光俊、勝又あずさ:健康経営施策とキャリア開発支援の補完的連携ー戦略的人的資源管理の視点からー、産業カウンセリング研究、2020、第21巻、第1号pp27-38
経済産業省ホームページ 健康経営に関する海外展開と国際標準化の狙い
経済産業省ホームページ 人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~
Well-being愛媛
山形県上山市ホームページ
従業員数が50名を超えた事業場には、労働法令によって4つの義務が課せられています。 「そろそろ従業員が50名を超えそうだけど何から手をつければいいんだろう」「労基署から勧告を受けてしまった」。従業員規模の拡大に伴い、企業の人事労務担当者はそんな悩みを抱えている人も少なくありません。 本資料ではそのようなケースにおいて人事労務担当者が知っておくべき健康労務上の義務と押さえるべきポイントについて詳しく解説していきます。
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