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従業員の健康診断結果になんらかの異常が認められた場合、事業者は医師の意見をもとに適切な措置を講じなければなりません。そのためには、有所見に該当する基準を正しく理解しておく必要があります。
本記事では、有所見の定義や受診推奨が必要な基準値について解説します。
健康診断における有所見とは、健康診断で異常の所見が認められたことをいいます。健康を害する可能性のある疑わしい要因が認められたり、検査結果が基準値より超えていたりする場合に医師が有所見と判断します。
検査項目のなかで有所見率が高い項目、および有所見率は以下のとおりです。
検査項目 | 有所見率 |
血中脂質検査 | 36.9% |
血圧 | 20.4% |
肝機能検査 | 19.3% |
血糖検査 | 13.3% |
(出典:厚生労働省「健康診断有所見者の推移」)
有所見には、一時的な軽微な異常から重大な病気を示すものまであるため、健康診断結果の判定区分に応じて従業員に適切に対処する必要があります。
【参考】厚生労働省「主な用語の定義」
【関連記事】健康診断は企業の義務!実施すべき健診の種類や対象者を解説
医師による健康診断の結果は、大きく分けて以下の判定区分に分かれており、要再検査・要精密検査・要治療の判定結果が有所見者に該当します。
判定区分 | 説明 |
異常なし | 健康診断で有所見なし |
要経過観察 | 所見が認められるものの、次回の健康診断まで経過を観察 |
要再検査 | 所見が認められるものの、一時的な可能性もあるので再検査が必要 |
要精密検査 | 所見が認められ、診断を確定するために精密検査が必要 |
要治療 | 速やかに医療機関を受診し、治療を受ける必要あり |
治療中 | 健康診断結果を主治医に見せ、主治医の指示に従って治療を継続 |
判定区分の「要経過観察」は、わずかに所見が認められるものの、現時点では健康上とくに問題はなく経過観察でよい状態です。そのため、多くの医師は要経過観察に該当する人を有所見者に含めていません。
【参考】一般財団法人日本予防医学協会「判定区分」
定期健康診断における有所見者率は、年々増加しています。厚生労働省の資料によると全国の有所見率は、2019〜2023年の直近5年間で以下のように推移しています。
年 | 全国の有所見率 |
2019 | 56.64 |
2020 | 58.51 |
2021 | 58.68 |
2022 | 58.30 |
2023 | 58.94 |
(出典:厚生労働省「一般定期健康診断検査項目別有所見率の推移(全国と茨城)」)
有所見者に対し適切に対応しないまま就業させると、労働負荷により脳卒中や心疾患などを発症する恐れがあります。
また、病気の影響により本来のパフォーマンスが発揮できなかったり、休職せざるを得なくなったりし、企業の生産性が低下することも考えられます。
そのため、事業者は従業員の病気を予防し、健康保持・増進に努めることが大切です。
厚生労働省は、「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」において、二次検査の受診勧奨が必要な有所見者を振り分ける数値基準を示しています。具体的には、以下の判定値を推奨しています。
項目名 | 保健指導判定値 | 受診推奨判定値 | 単位 |
収縮期血圧 | ≧130 | ≧140 | mmHg |
拡張期血圧 | ≧85 | ≧90 | mmHg |
空腹時中性脂肪 | ≧150 | ≧300 | mg/dl |
随時中性脂肪 | ≧175 | ≧300 | mg/dl |
HDLコレステロール | <40 | ー | mg/dl |
LDLコレステロール | ≧120 | ≧140 | mg/dl |
Non-HDLコレステロール | ≧150 | ≧170 | mg/dl |
空腹時血糖 | ≧100 | ≧126 | mg/dl |
HbA1c(NGSP) | ≧5.6 | ≧6.5 | % |
随時血糖 | ≧100 | ≧126 | mg/dl |
AST(GOT) | ≧31 | ≧51 | U/L |
ALT(GPT) | ≧31 | ≧51 | U/L |
γ-GT
(γ-GTP) |
≧51 | ≧101 | U/L |
eGFR | <60 | <45 | ml/min/1.73㎡ |
血色素量
(ヘモグロビン値) |
≦13.0(男性)
≦12.0(女性) |
≦12.0(男性)
≦11.0(女性) |
g/dl |
(出典:厚生労働省:「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)健診作業班における主な変更点」)
健康診断の判定基準は法令で定められてはいません。そのため、健診機関や医療機関によって判定結果が異なります。
有所見者を的確に把握するには、以下のような方法により判定区分を統一化させることが大切です。
【関連記事】
健康診断の受診勧奨とは?二次検査を受けてもらうための取り組みを解説
健康管理システムとは?運用するメリット・デメリットや導入事例を解説
健康診断結果を確認し有所見が認められた従業員がいた場合、事業者は当該従業員に対し以下の対応が必要です。
健康診断で有所見となっても、実際には異常がない場合もあります。そのため、当該従業員に精密検査を受診してもらい、異常値が確かなのかを確認したうえで就業措置を検討する必要があります。
従業員が50名未満の産業医の選任義務がない小規模事業場の場合には、産業保健サービスを無料で利用できる地域産業保健センターを活用するとよいでしょう。
健康診断結果の評価や従業員の健康管理についての指導・助言をしてくれるので、有所見者に適切な対応を取れます。
有所見者に対する必要な対応については、以下の記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
【関連記事】健康診断の事後措置の流れは?企業が対応すべき義務を解説
有所見に該当するのは、健康診断結果の判定区分において、要再検査・要精密検査・要治療の判定結果だった従業員です。
ただし、二次検査の受診勧奨が必要な数値基準は、医療機関によって異なります。そのため、有所者を的確に把握するには、健康診断を受診する健診機関・医療機関を指定するなどして、判定区分を統一化させる必要があります。
有所見者に適切に対応し、従業員の健康の保持・増進に努めましょう。
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