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労働安全衛生調査とは、事業所で行われている安全衛生管理や労働災害防止活動の実態を行政が把握するために行う調査です。ほぼ毎年行われており、メンタルヘルス対策をはじめとした基本調査に加え、年度ごとに異なる内容の調査を実施します。
本記事では、令和5年度労働安全衛生調査の結果を分かりやすく解説します。自社における、労働環境の振り返りや、今後実施する施策の参考にしてください。
令和5年度労働安全衛生調査(事業所調査)における、以下の3つの項目結果について解説します。
【参考】厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要:事業所調査」
事業所調査では、以下3つのメンタルヘルス対策の状況が調査されました。
それぞれの調査結果について見ていきましょう。
令和4年11月1日から令和5年10月31日までの1年間において、メンタルヘルス不調が原因で連続1ヶ月以上休業した、または退職した労働者がいた事業所の割合は13.5%との結果です。
下表は事業所規模別における休業・退職した労働者の割合です。
事業所規模 | メンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業した、または退職した労働者の割合 |
1,000人以上 | 91.2% |
500~999人 | 87.2% |
300~499人 | 74.1% |
100~299人 | 55.3% |
50~99人 | 28.2% |
30~49人 | 16.0% |
10~29人 | 7.5% |
(出典:厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要:事業所調査」)
事業所規模が大きくなるにつれ、休業者・退職者がいた事業所の割合が多くなっています。産業別では、情報通信業が32.4%と最も多く、鉱業・採石業・砂利採取業が6.6%と最も低い結果でした。
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、全体の63.8%となっています。事業所の規模が小さくなるほど、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は少ない傾向にあります。
事業所規模 | メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合 |
1,000人以上 | 100.0% |
500~999人 | 99.5% |
300~499人 | 99.8% |
100~299人 | 96.6% |
50~99人 | 87.4% |
30~49人 | 71.8% |
10~29人 | 56.6% |
(出典:厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要:事業所調査」)
最も多い取り組み内容は「ストレスチェックの実施」が65.0%、ついで「メンタルヘルス不調の労働者に対する必要な配慮の実施」が49.6%となっています。
【関連記事】職場のメンタルヘルスケアとは? 企業が知っておくべき対策を徹底解説
ストレスチェック結果を集団単位(課・部など)で分析、および活用している事業所の割合は下表のとおりです。
項目 | 割合 |
ストレスチェックを実施した事業所のうち、集団単位で結果を分析している企業の割合 | 69.2% |
ストレスチェック結果の分析をした事業所のうち、実際に活用している企業の割合 | 78.0% |
(出典:厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要:事業所調査」)
分析結果の活用内容は「相談窓口の設置」が38.9%と最も多く、ついで「上司・同僚に支援を求めやすい環境の整備」が37.1%となっています。
【関連記事】ストレスチェックにおける産業医の役割は?面接指導後に対応すべきことも解説
産業保健に関する取り組みを実施している事業所の割合は87.1%との結果です。事業所規模別における取り組みの実施割合は、下表のとおりです。
事業所規模 | 産業保健を行っている事業所の割合 |
1,000人以上 | 100.0% |
500~999人 | 99.9% |
300~499人 | 99.8% |
100~299人 | 98.8% |
50~99人 | 96.6% |
30~49人 | 91.6% |
10~29人 | 84.0% |
(出典:厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要:事業所調査」)
調査結果から、事業所規模を問わず多くの事業所が産業保健に関する取り組みを行っていることが分かります。
実施している取り組み内容は「健康診断結果に基づく保健指導」が74.7%と最も多く、「メンタルヘルス対策(相談体制の整備など)」が74.2%と続いています。
【関連記事】【産業医監修】健康診断後、産業医に求められる対応とは?
令和5年労働安全衛生調査では、労働災害防止対策に関して以下4つの取り組み状況の調査が行われました。
それぞれの調査結果について解説します。
労働者の転倒防止対策の取り組み状況は「物理的対策」と「身体的要因を考慮した対策」の2つが調査されました。それぞれの実施割合は、以下のとおりです。
取り組みの種類 | 実施割合 | |
物理的対策(滑りにくい床材の導入や段差の解消等) | 78.1% | |
身体的要因を考慮した対策 | 骨密度やロコモ等のチェックによる転倒やけがのリスクの見える化 | 6.6% |
転びにくい、又は怪我をしにくい身体づくりのための取組(専門家等による運動指導等) | 13.4% |
(出典:厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要:事業所調査」)
事業所規模別の実施割合は、以下の結果となっています。
事業所規模 | 物理的対策の実施割合 | 身体的要因を考慮した対策の実施割合 | |
骨密度やロコモなどのチェックによる転倒やけがのリスクの見える化 | 転びにくい、又はけがをしにくい身体づくりのための取組 | ||
1,000人以上 | 91.7% | 21.5% | 45.2% |
500~999人 | 87.9% | 13.9% | 37.2% |
300~499人 | 89.8% | 10.9% | 31.8% |
100~299人 | 90.0% | 8.2% | 31.3% |
50~99人 | 90.0% | 10.3% | 20.4% |
30~49人 | 81.0% | 5.7% | 13.5% |
10~29人 | 75.1% | 6.2% | 11.1% |
(出典:厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要:事業所調査」)
調査結果から、物理的対策を実施している事業所は多いですが、身体的要因を考慮した対策を行っている事業所の割合は少ないことが分かります。
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労働安全衛生法に基づいた雇入れ時教育を行っている事業所は、全体の56.1%となっています。就業形態別(複数回答)における雇入れ時教育の実施割合は、以下のとおりです。
就業形態 | 雇入れ時教育の実施割合 |
正社員 | 54.9% |
契約社員 | 26.8% |
パートタイム労働者 | 34.2% |
(出典:厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要:事業所調査」)
産業別の実施割合は、電気・ガス・熱供給・水道業が最も多く90.2%との結果でした。一方、実施割合が最も少ない産業は教育・学習支援業で、33.0%となっています。
60歳以上の従業員がいる事業所のうち、エイジフレンドリーガイドライン(高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン)を知っている事業所の割合は23.1%となっています。
そのうち、高年齢労働者に対する労働災害防止対策に取り組んでいる企業は、19.3%との結果でした。
最も多い取り組み内容は「高年齢労働者の特性を考慮した作業管理」が56.5%。ついで「個々の高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応」が45.9%となっています。
【参考】厚生労働省「エイジフレンドリーガイドライン」
全事業所の中で、外国人労働者を雇用している事業所の割合は17.3%との結果です。そのうち外国人労働者に対する労働災害防止対策を行っている事業所の割合は75.9%となっています。
最も多い取り組み内容は「外国人労働者に分かる言葉(母国語・やさしい日本語など)により災害防止の教育」です。約半数である49.9%の事業所が実施しています。
令和5年度労働安全衛生調査(個人調査)における、以下2事項の調査結果について見ていきましょう。
【参考】厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要:個人調査」
仕事や職業生活における不安やストレスに関して調査された内容は、以下の2つです。
それぞれの調査結果を解説します。
現在の仕事や職業生活に関して強い不安や悩み、ストレスを感じる事柄がある労働者の割合は82.7%との結果でした。不安やストレスの内容別における割合は、以下のとおりです。
強い不安・悩み・ストレスの内容 | 割合(主なもの3つ以内を回答) |
仕事の量 | 39.4% |
仕事の質 | 27.3% |
対人関係(セクハラ・パワハラを含む) | 29.6% |
役割・地位の変化等 | 15.8% |
仕事の失敗・責任の発生等 | 39.7% |
顧客・取引先等からのクレーム | 26.6% |
事故や災害の体験 | 2.3% |
雇用の安定性 | 9.6% |
会社の将来性 | 22.2% |
その他の事柄 | 13.2% |
強い不安や悩み・ストレスを感じる事柄が無い | 16.7% |
(出典:厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要:個人調査」)
不安やストレスの内容で最も多かったのは「仕事の失敗、責任の発生等」で39.7%。ついで「仕事の量」が39.4%となっています。
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仕事や職業生活に関するストレスを相談できる相手がいる人の割合は、94.7%との結果でした。相談できる相手の割合は、以下のとおりです。
性別 | 相談できる相手の割合 |
男性 | ・上司:68.9%
・家族や友人:67.1% ・同僚:66.3% |
女性 | ・家族や友人:77.1%
・同僚:63.2% ・上司:52.4% |
(出典:厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要:個人調査」)
男性においては、上司に相談する割合は68.9%と最も多いですが、女性の場合は52.4%と半分ほどの割合です。女性の場合は、家族や友人に相談する人が多い結果となっています。
令和4年11月1日から令和5年10月31日までの1年間において、1ヶ月間の時間外・休日労働が80時間を超えた月があった労働者の割合は2.2%との結果です。
そのうち、医師による面接指導を受けた人・受けなかった人の割合は、以下のとおりです。
医師による面接指導の有無 | 割合 |
1か月間の時間外・休日労働が80時間を超えたすべての月について医師による面接指導を受けた | 6.1% |
1か月間の時間外・休日労働が80時間を超えた月のうち一部の月について医師による面接指導を受けた | 1.7% |
医師による面接指導を受けなかった | 92.2% |
(出典:厚生労働省「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要:個人調査」)
ほとんどの労働者が時間外・休日労働を80時間以上行っていても、医師による面接指導を受けられていないのが現状です。
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労働環境の改善は、従業員の健康や安全を守るだけでなく、従業員のモチベーションや生産性の向上など、企業にとってもメリットになります。労働安全衛生調査を通じて自社の労働環境を振り返り、必要に応じて改善を進めていきましょう。
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