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データヘルスとは?簡単にわかりやすく解説!活用で得られるメリットも

データヘルスとは、デジタル化された健康データを分析し、健康保険加入者に応じた効果的・効率的な予防・健康づくりを行う事業のことです。データヘルスを活用すれば、企業の健康経営をより効率的・効果的に進められます。

本記事では、データヘルスの活用で得られるメリットや、活用する際のポイントなどについて解説します。

データヘルスとは

データヘルスとは、レセプト(医療情報)の電子化によってデジタル化されたデータを分析し、健康保険加入者の健康状態に応じて効果的に予防・健康づくりを行うことです。

データヘルスを実施する目的は、企業で働く従業員の健康維持・増進、および身体的・精神的に安定して働ける職場の実現です。この目的の実現によって、医療費の適正化や生産性向上など、さまざまな効果が期待されています。

2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略」において、すべての健康保険組合は、データヘルス計画の作成や実施、評価などの取り組みが求められるようになりました。

【参考】厚生労働省「データヘルス作成の手引き」

【関連記事】​​PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)とは?健康経営に活用するメリットやポイントを解説

データヘルスが求められる背景

データヘルスが求められる背景には、以下の3つがあります。

  • 社会環境の変化
  • レセプト・健診データの電子的標準化の進展
  • 政府の成長戦略で「健康寿命の延伸の延伸」が掲げられたこと

それぞれの内容について解説します。

【参考】厚生労働省「データヘルス作成の手引き」

社会環境の変化

データヘルスが求められる背景の一つに、社会環境の変化により健康保険加入者ごとの健康課題に応じた働きかけが必要になったことが挙げられます。

近年、雇用形態や生活様式の多様化により、健康保険加入者ごとに健康課題は異なっており、従来までの方法では対応が困難になりつつあります。

そのような状況を改善するために、データ分析により各加入者に合った対策を行えるデータヘルスが求められるようになりました。

少子高齢化や定年退職の延長などの変化に伴って、職場の平均年齢は上昇しています。職場における平均年齢の上昇は、健康リスクの増加や労働生産性の低下につながります。そのため、従業員の健康づくりは、すべての企業にとって重要な経営課題といえるでしょう。

レセプト・健診データの電子的標準化の進展

レセプト・健診データの電子標準化が進み、データの蓄積や分析、対策の検討が容易になった点もデータヘルスが求められる背景に挙げられます。

2004年に策定された「保健事業指針」で、効率的・効果的な保健事業のための施策として、保険者による健康情報の蓄積および活用が示されました。その後、2008年に特定健診制度が開始され、全国どこでも同一の様式で電子的に保管されるようになりました

その結果、受診者の健康状況や健康保険組合ごとの傾向が掴みやすくなり、現在では健康課題の把握や対策が以前より容易にできるようになっています。

【参考】厚生労働省「健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針

政府の成長戦略で「健康寿命の延伸の延伸」が掲げられたこと

2013年に閣議決定された「日本再興戦略」において、「国民の健康寿命の延伸」が重要な柱として掲げられたことも背景の一つです。

日本再興戦略において「保険者は、健康管理や予防の必要性を認識しつつも、個人に対する動機付けの方策を十分に講じていない」と指摘されました。

上記に伴いすべての健康保険組合に対して、データヘルス計画の作成や事業実施、評価などが求められ、今もなお取り組みは進められています。

データヘルスを活用した健康経営「コラボヘルス」とは

コラボヘルスとは、従業員とその家族が健康であり続けられるために、健康保険組合と企業が積極的に協力・連携し、健康づくりを効果的かつ効率的に実行する取り組みです。

コラボヘルスの実施には、保険者・企業それぞれに以下のようなメリットがあります。

対象 メリット
保険者 ・財源や人材の確保

・加入者の健康増進

・医療費の抑制

企業 ・健康経営の推進

企業・保険者それぞれ単体では、行える取り組みに限界があります。お互いが協力し足りない部分を補完することで、それぞれが抱える課題をより効果的・効率的に改善できるようになります

【参考】厚生労働省「コラボヘルスガイドライン」

【関連記事】

健康経営とは?企業が取り入れるメリットや取り組み方法・必要性を徹底解説

コラボヘルスとは?注目されている理由や具体的な事例を紹介

データヘルスの活用で得られるメリット

データヘルスの活用で企業が得られる主なメリットは、以下の2つが挙げられます。

  • 効率的に健康経営が進められる
  • 健康優良法人の認定につながる

それぞれのメリットについて解説します。

効率的に健康経営が進められる

データヘルスの実施により、企業は健康保険組合がもつノウハウや、医療・健康データを活用でき、効率的に健康経営を進められるようになります。

健康経営を推進することで、以下のような効果が期待できます。

  • 従業員の意欲向上
  • 健康リスクの軽減による労働生産力の向上
  • 企業負担の医療費軽減
  • 従業員の健康増進に投資する企業として社会的信用の向上
  • 人材定着率の向上
  • 優秀な人材の獲得

データヘルスを活用して上記のような成果を出せれば、周囲により強くアピールできるため、他社との差別化が図れます

【関連記事】人的資本経営とは?情報開示が求められる項目やISO30414について解説

健康経営優良法人の認定につながる

コラボヘルスの実施は、健康経営優良法人の認定にも効果的です。健康経営優良法人とは、健康経営に取り組む優良な企業に与えられる顕彰制度です。

健康経営優良法人に申請する際に企業が作成する「健康経営度調査票」には、保険者との連携について記入する設問があります。記入できる項目が多いほど評価点が増えることから、認定される可能性が高まります。

また、コラボヘルスを通して効率的に健康経営を進めれば、他の設問に対しても高い評価が得られる回答ができるでしょう。

【関連記事】健康経営優良法人制度とは?認定されるメリットや申請方法を解説

データヘルスを活用する際のポイント

企業がデータヘルスを活用する際のポイントを5つ紹介します。

  • 横断的な推進体制を構築する
  • 役割分担を明確にする
  • 2つの視点で現状把握を行う
  • 健康白書を作成する
  • 共通の目標・指標を設定する

データヘルスの活用を検討している企業は、ぜひ参考にしてください。

【参考】厚生労働省「コラボヘルスガイドライン」

横断的な推進体制を構築する

企業がデータヘルスを活用する場合、健康保険組合や人事部、総務部など、社内外での連携が不可欠なため、横断的な推進体制を構築する必要があります。

推進体制を構築する際は、以下のように情報共有や議論をしやすい環境を整えると、各部署や組織間の連携を高められます

  • 健康経営を実行する部署と労働組合を近くに配置する
  • 定期的に話し合いの場を設ける

また、産業医や保健師など専門職の人材がかかわれるようにすることで、専門的なノウハウを活かした施策の企画・実施ができます。

【関連記事】

【まとめ版】産業医とは?役割・業務内容と設置するメリットを解説

産業保健師とは?仕事内容や産業医・産業看護師との違いを解説

役割分担を明確にする

コラボヘルスの実施の際は、健康保険組合・企業双方の役割分担を明確にすることも重要です。例として、以下のような役割分担が挙げられます。

対象 役割分担の一例
企業 ・従業員の健康状態の把握

・健康増進に向けた施策の計画、実施

・定期健康診断の実施

・身体的、精神的に安定して働ける環境の整備

・従業員の健康管理やフォロー

・従業員の健康意識向上のための啓発活動

保険者 ・健診で得られたデータの分析や提供

・特定健診の実施

・健康リスクが高い人に対して特定保健指導を実施

役割を明確にすることで、作業の重複や非効率な作業を減らせます

2つの視点で現状把握を行う

「現在行っている取り組み」「従業員の健康状態」の2つの視点から現状把握をすることもポイントです。

現在の取り組みについては、各取り組みの目的や背景を整理し、重複した施策や目的が曖昧なものがないかを精査します。

従業員の健康状態については、各種健診の受診率や、健康プログラムの参加率などを参考に把握するとよいでしょう。

2つの視点で現状把握を行うことで、無駄な取り組みを減らせます。また、実施している取り組みの効果をより高めることが可能です。

健康白書を作成する

健診結果や勤務状況などのデータから、従業員の健康状態や健康習慣をまとめた「健康白書」を作成すると、より効果的な対策をとれるようになります。

取りまとめるデータの例としては、以下が挙げられます。

項目例 具体的な内容
医療費 ・健康診断

・人間ドック

・予防接種

健康状態 ・健診データ

・特定健診データ

・ストレスチェックの結果

生活習慣 ・喫煙率

・飲酒率

・食事回数

・運動習慣

・睡眠時間

健康に関する人事データ ・有給休暇消化率

・欠勤日数

・残業時間

全従業員を対象とした健康白書の作成が難しい場合、まずは特定健康調査の対象である40歳以上の従業員を対象に行うとよいでしょう。

共通の目標・指標を設定する

コラボヘルスによる取り組みをスムーズに進めるためには、企業・健康保険組合双方にとって意義のある共通の目標・指標を設定することが重要です。

企業・健康保険組合は、それぞれの役割が違うことから、求めているデータ・成果が異なるケースがあります。たとえば、健康診断の受診率など、双方にとって関心の高い項目がある一方で、「医療費」や「生産性」など関心の度合いが異なる項目も存在します。

お互いの求めるものが異なる点を考慮して、相手を尊重した指標を設定することで、より協力的に取り組みを進められるでしょう。

データヘルス(コラボヘルス)を実施している企業の取り組み事例

効果的にデータヘルスを活用している企業事例を紹介します。自社における施策を検討する上で、ぜひ参考にしてください。

【参考】厚生労働省「コラボヘルスの手引き」

花王グループ|健康宣言をベースに従業員の健康意識向上を推進

花王グループは、健康宣言をベースに健康保険組合と協力して、従業員の健康意識向上の施策を実施している企業です。

健康保険組合と協同して5年ごとの中期計画を定め、それにもとづいて各事業所の特性に合わせた施策を実施中です。また、施策の効果や健診結果などをまとめた健康白書を毎年発行し、浮き彫りになった課題を翌年の目標につなげ、PDCAサイクルを回しています。

これらの取り組みを推進した結果、3年連続で健康経営銘柄に選定されています。

【関連記事】
健康経営銘柄とは?認定基準や選定されるメリットを解説
健康宣言とは?策定するメリットや実施手順を解説

YKKグループ|健康度調査をもとに課題解決の施策を実施

YKKグループは、以前より健康保険組合と協力して従業員の健康づくりに取り組んでいましたが、2014年より本格的にデータヘルスを活用した健康づくりを開始しました。

データヘルスを活用した計画を策定するにあたり、効果を検証するためのデータを集めることを目的に「健康度調査」を実施。健康度調査によって得られた結果をもとに改善に向けた施策を行っています。

また、健康意識の向上のために「健康によい習慣」を実施している従業員に対して、賞品と交換できるポイントを付与するインセンティブ制度も導入しています。

データヘルスを活用して効果的な健康経営に取り組もう

データヘルスとは、医療保険者がレセプトや健診結果の電子化によって得たデータを分析して、健康保険加入者に対して効果的・効率的に健康づくりを行うための事業です。

企業がデータヘルスを活用することで、健康経営を効率的に進めやすくなる、健康経営優良法人に認定されやすくなる、などのメリットを得られます。

企業単体での健康経営の推進には限界があります。健康経営を効率的に進めるためにも、うまくデータヘルスを活用しましょう。

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