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診療情報提供依頼書は、産業保健の場面において、従業員から主治医等へ診療情報の提供を依頼するために用いる書類です。
書類の作成自体は産業医がするケースがほとんどですが、場合によっては企業側が行うこともあります。また、診療情報提供依頼書の取り扱いについて社内規則に定める必要もあるため、正しく理解しておかなければなりません。
本記事では、診療情報提供依頼書を利用するシーンや利用の流れなどを解説します。
診療情報提供依頼書とは、産業医が患者(従業員)の健康を確保するために必要と認めたときに、従業員の主治医に対して診療情報の提供を求めるための書類です。
従業員の同意を得た上で、主に以下の情報を主治医に求めます。
項目 | 求める情報 |
治療状況及び病状の回復状況の確認 | ・今後の通院治療の必要性及び治療状況についての概要の確認
・業務遂行(自動車等を運転しての通勤を含む)に影響を及ぼす症状や薬の副作用の有無 ・休業中の生活状況 ・その他職場復帰に関して考慮すべき問題点など |
業務遂行能力についての評価 | ・適切な睡眠覚醒リズムの有無
・昼間の眠気の有無(投薬によるものを含む) ・注意力・集中力の程度 ・安全な通勤の可否 ・日常生活において業務と関連のある行為の遂行状況と、それによる疲労の回復具合(読書やPC操作が一定の時間集中してできること、軽度の運動ができること等) ・その他家事・育児、趣味活動等の実施状況など |
(出典:厚生労働省「職場復帰支援の手引き」)
基本的に診療情報提供依頼書の作成は産業医が行いますが、普段の勤務状況などを主治医に伝える際は、企業の担当者が作成するケースもあります。
なお、求めに応じて主治医から返送されてきた書類は「診療情報提供書」と呼ばれます。
診療情報提供依頼書を利用する主なシーンは以下の2つです。
それぞれの利用シーンについて解説します。
休職している従業員から職場復帰の意思を伝えられた際、診療情報提供依頼書を利用する場合があります。事業者や産業医が復帰可能かを判断するためです。
まずは主治医に診療情報提供依頼書を送り、求める診療情報を記載してもらいます。返送される診療情報提供書には、就業する上で配慮すべき点などに関して主治医の意見を記入してもらう必要があります。
なお、主治医による診断では、日常生活における病状の回復程度のみで職場復帰の判断をしている可能性もあり、業務遂行能力まで考慮された判断とは限りません。
そのため、主治医だけではなく産業医の意見も聞いた上で、復帰の可否を決める必要があります。
従業員の治療と仕事の両立支援をするにあたり、主治医からの情報が十分でないと判断したときにも診療情報提供依頼書を利用します。
治療と仕事の両立支援とは、疾患を抱える従業員から申し出があった場合に、治療と仕事の両方を無理なく進められるよう、事業者が配慮・支援する取り組みです。
治療と仕事の両立支援を目的に診療情報提供依頼書を送る際は、依頼書とあわせて従業員の現在の業務遂行能力を記した書類も送付する必要があります。
【参考】厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」
診療情報提供依頼書を利用する際の流れは、以下のとおりです。
当該従業員に関する必要な情報をスムーズに入手できるよう、利用の流れを理解しておきましょう。
休職している従業員の求めに応じて産業医に面談を依頼します。
産業医へ面談を依頼する際は、事前に従業員がどのような内容(職場復帰・治療と仕事の両立支援など)で面談を希望しているのか確認しておきましょう。
また、産業医に面談を依頼する場合、面談の依頼内容だけでなく当該従業員の普段の状況もできる限り伝えておくと、産業医が従業員の状況をより把握でき、スムーズに面談を進められます。
【関連記事】産業医面談とは?実施が必要となる基準や話す内容を紹介
産業医が従業員と面談し「主治医の意見を聞きたい」「面談だけでは分からない情報が欲しい」と判断した場合、診療情報提供依頼書を主治医に送ります。
依頼書は、従業員本人が主治医へ持っていくケースがほとんどです。
主治医から診療情報提供書が届いたら、産業医にもう一度従業員との面談を依頼し、面談結果にもとづいた意見書を作成してもらいます。
産業医による意見書作成に関しては、法令で具体的に定められていないため、作成依頼は必須ではありません。
しかし、職場復帰・支援の可否に従業員が不満を持ち、問題が発生した際にきちんと根拠を示せるよう、主治医の診断書とあわせて準備しておくのが望ましいです。
診療情報提供依頼書を主治医へ送り情報提供をしてもらう場合、情報提供料として1通3,500〜5,000円ほどの費用が発生します。
情報提供料の費用を企業・従業員どちらが負担するかについては、とくに決まりがありません。そのため、誰が費用を負担するのかをあらかじめ決めて、就業規則に記載しておくとよいでしょう。
2019年4月に施行された改正労働安全衛生法により、企業は従業員の健康に関する情報をどのような目的で利用するのかを従業員に周知する義務が生じました。
診療情報提供依頼書は、従業員の健康情報に深く関わる内容です。そのため、必要に応じて主治医から情報提供を受ける旨と、健康保持のために利用する旨を就業規則にあらかじめ記載しておく必要があります。
【参考】厚生労働省「事業場における労働者の健康情報等の取扱規定を策定するための手引き」
【関連記事】健康情報取扱規程とは?定める内容や従業員数に応じた策定方法を解説
診療情報提供依頼書は、産業保健の場面において、従業員から主治医等へ診療情報の提供を依頼するために用いられます。
事業者・産業医が、休職している従業員の職場復帰や、治療と仕事の両立支援の可否を判断するにあたって、主治医からの意見や情報が欲しいときに利用します。
健康情報の利用目的は、従業員に周知しておかなければなりません。また、主治医から情報提供をしてもらう際には費用が発生するので、トラブルを避けるためにも診療情報提供依頼書に関して就業規則に定めておくのが望ましいです。
診療情報提供依頼書について理解を深め、適切に取り扱えるようにしておきましょう。
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