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企業の人事・労務担当者が思い悩むことの1つに、従業員のメンタルヘルス対応が挙げられるでしょう。本連載では、「産業医のメンタルヘルス事件簿」と題し、VISION PARTNERメンタルクリニック四谷の産業医兼精神科医の先生方に、産業保健現場で起きていることやその対応について寄稿いただきます。今回は、新年度に入社する社員のケアについて、院長の尾林誉史先生が押さえておきたいポイントを語ります。
もうすぐ新年度ですね。これまでと環境が変わらない従業員もいれば、異動や転勤、昇進など、今春から大きな環境変化を迎える従業員も多い時期ではないでしょうか。なかでも、社会人の仲間入りをする新入社員(場合によっては中途入社の社員)の多くが、期待と不安を胸に抱いていることは、想像に難くありません。今回は、新入社員を仲間として迎える企業サイドが、彼/彼女たちの緊張をほぐしつつ、健全な業務モチベーションを維持・促進していくためのポイントを解説します。相談者の人物像として、筆者がこれまでの産業医面談で実際に耳にすることの多かった声の中から、特に対応に苦慮しそうなものに絞って紐解いていきたいと思います。
学生時代はバイトや部活に懸命に取り組み、周囲の関係者から直接的に自身の存在意義を認めてもらえていたにも関わらず、社会人になってから自身の存在意義を見出しにくくなったと訴える新入社員は少なくありません。このような主訴は、間接部門への配属となった方だけではなく、顧客接点を持つ営業職からもあります。こういった感情がこじれた結果、メンタルへの影響が懸念される事例も、残念ながら散見されます。もちろん、社会人経験の下敷きが希薄であることに起因すると考えれば、コツコツと目の前の業務に取り組み、それらを消化吸収しながら体感値を上げていくしかありません。しかし、自己不全感に呆然としている新入社員を目の前にして、「とにかく何でも頑張ってやりなさい」と伝えても、相談を受ける側も着地点が見出せず、相談に乗り切れない場面も多いことでしょう。そんな時には、まず、Will(したいこと)-Can(できること)-Must(すべきこと)の観点でじっくり対話すること。そして、相談者の現状を、ただただ肯定してあげてください。新入社員は、とかくMust過多に陥っており、Can不足と Will欠乏に苦しんでいます。Mustの積み重ねがCanを育て、その先にWillが展望できること。この構造について、説教じみた内容に傾倒しないよう配慮しつつ、丁寧に共有してください。さらには、今重ねている経験全てが相談者の血肉になり、相談者の一途な姿勢そのものが、大変価値があると認めてあげてください。
「中長期的な自身の展望を描くことができません」「バリュー分析はそれなりにできていますが、ミッションやビジョンにうまく展開できません」――。筆者が産業医面談をしていると、このような頼もしいやら、何かが絶対的に不足しているような声を耳にすることも少なくないのです。話にしっかりと耳を傾けると、明らかにハイスペックで現状に窮々としているケースも稀にはあるものの、多くは頭でっかちになっています。しかし、ここで年長者の武勇伝を持ち出すことや、相談者の鼻をへし折るようなことをしても何の意味もありません。相談者は、混沌とした現状と希望の持てる未来を繋ぐ何かを欲しているのです。前項にも記したように、まずは「相談者の現状の取り組み姿勢」をしっかり認めてあげてください。その上で、今の連続の上に未来が築かれること、中長期的な目標を漠然と志向するのではなく、具体的かつ短期的なゴールを設定し、その達成を積み重ねることの意味と効用を、丁寧に伝えてほしいのです。夢や希望をしっかりと抱き続けることは、決して悪いことではありません。彼/彼女に足りないのは、短距離走の走力で長距離走も完走できるのではないか?といった、経験不足から陥る、ある種で致し方の無い想像力の欠如だからです。とはいえ、その走力では走りきれないといった否定や、基礎体力作りの有用性を説くばかりでは、走る意味すら見失ってしまいます。走ること自体の楽しさや、苦しさを乗り切るためのティップスを交え、伴走するように語る姿勢が、相談を受ける側には求められると思います。
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