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休職中の従業員の“気持ち”に寄り添う対応とは?―産業医のメンタルヘルス事件簿vol.6

企業の人事労務担当者が思い悩むことの1つに、従業員のメンタルヘルス対応が挙げられるでしょう。「産業医のメンタルヘルス事件簿」では、VISION PARTNERメンタルクリニック四谷の産業医兼精神科医の先生方に、産業保健の現場で起きていることやその対応について寄稿いただきます。

今回はVISION PARTNERメンタルクリニック四谷のパートナー医師である伊藤友香先生に、休職中の社員への対応時のポイントについて教えていただきました。

効果なし?! 真面目な従業員が休職中にやりがちなこと

メンタル不調による休職者がいる職場は少なくないと思います。休職に至った経緯はそれぞれ異なるかと思いますが、休職中の従業員の多くが共通して抱く感情として、罪悪感や不安があります。
今回は事例を通して、休職中の従業員の気持ちに焦点を当てながら、人事労務担当の方が取るべき対応について検討していきます (以下、事例の細部は変更しています)。

【事例:休職中に気が休まらない真面目な従業員】

首都圏の情報通信系企業(従業員約80名)に勤務する36歳の社員Aさん。半年前から責任のある仕事を任されるようになりました。次第に帰宅後や週末のプライベートな時間にも仕事のことを考え続けるようになり、不眠、不安、頭痛等の症状が出現し、適応障害の診断で休職となりました。休職中はその罪悪感から、「会社を休んでいるのだから家でじっとしていなければ」と考え、あえて外出をしないように過ごしました。また、上司から3日に1回のペースで体調確認のLINEが届き、それを見るたびに仕事のことを鮮明に思い出してしまい、緊張状態が続いていました。

人事担当者から、休職期間中も産業医と面談できると聞いていたAさんは、休職後2か月経過してもなかなか調子が戻らないことに不安を感じて産業医面談を希望しました。

Aさんのように休職することに罪悪感を抱き、「休んでいるのだから」と考え、あえて家に引きこもる方も少なからずいらっしゃいます。Aさんとの面談で、「休職中は自分が楽しい、心地良いと思うことをしながら過ごして大丈夫ですよ」とお伝えしたところ、少し驚いた様子でした。その後、Aさんは気分転換に友人と食事に行ったり、コンサートに出かけたりするなどして、徐々に気分が回復していきました。その方の性格や症状にもよりますが、家でじっと過ごすことが必ずしも休養になる訳ではないのです。人事労務担当者からも、この点を伝えていただくと良いでしょう。

休職期間中の上長や人事の方との連絡頻度については、Aさんのように頻度が高いと内心気が休まらないと感じる方も少なくありません。今回の事例では、産業医から上長に連絡頻度を月1回程度に減らしていただくよう依頼し、本人も大分気持ちが楽になったとのことでした。連絡頻度についてはケースバイケースですが、一般的には月1回を目安にすることが多い印象です。休職に入るタイミングで、ご本人とよく相談した上で決めましょう。

また、最近は個人のスマートフォンから社用のチャットツールに簡単にアクセスできるため、休職中もついつい見てしまう方も少なくありません。しかし、それで調子が良くなることはないと思われます。休職中は、仕事を思い出すようなツールからしっかりと距離を置くように伝えてください。

次に、復帰を控え不安が高まる従業員への対応方法について検討しましょう。

休職期間中に不安をゼロにする必要はない

【事例続き:休職中に気が休まらない真面目な従業員】

休職中に産業医面談を行ってもらったAさん。その後、体調は大分改善しましたが、不安感は残存していました。特に予定がない日は復帰後の業務のことを考えて不安が高まり、産業医面談では不安が出てくること自体が不安とも話されていました。

休職中はやるべき仕事がないため、どうしても考え事をする時間が増え、不安が持続する方は珍しくありません。あまりやることがない状況下では、ポジティブな感情が出てきにくいことも影響している可能性も考えられます。これまで多くの従業員の方とお話をしてきましたが、私の経験上、休職されていた方が復職して日中やることができると、考え事をする時間が減り、自然と調子が整うことが少なくありません。Aさんも同様で、復帰後にはそれまで抱いていた不安は自然と軽減していき、徐々に業務に適応していきました。

休職期間中に不安をゼロにしようと思う必要はありません。「不安が全くないから大丈夫」というよりは、「不安があっても大丈夫。自分に必要な行動をとれる」と思える、つまりネガティブな感情とうまく付き合えることが大切なのではと思います。体調を万全にしなければと思いすぎると、症状にとらわれてかえってうまく行かないものです。人事労務担当の方も、休職に入る従業員と面談をする際には、このことを心に留めて言葉をかけていただけたらと思います。

伊藤 友香 (いとう ゆか)

産業医・精神科医・公認心理師・労働衛生コンサルタント・健康経営エキスパートアドバイザー

大手情報通信系企業の専属産業医。職域での認知行動療法の実践や、ストレスチェックを活用したいきいき職場づくりへの提案を行っている。

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