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「産業医と合わない…」と従業員・担当者が感じた時の対処法

「産業医との面談が噛み合わない」「産業医となんとなく話しにくい」従業員や人事担当者がこうしたミスマッチを感じるケースもあるようです。

産業医は、従業員の心身の健康維持と、安全な職場環境づくりのための専門家であるため、企業とは良好な関係でいることが重要になります。

本記事では、産業医と「合わない」と感じる理由と対処法を紹介します。

 

従業員が産業医と「合わない」と感じたら

まずは従業員の立場からです。従業員と産業医が接する場面は、主に面接指導のシーンが考えられます。

そんな時「面談で産業医に本音を話せない」「アドバイスが的外れだと感じる」など、産業医との相性に悩む従業員の方は少なくありません。

産業医に対して「合わない」と感じる内容は、主に以下の3つといえそうです。

  1. 専門性の問題:産業医から具体的なアドバイスがなく一般論に終始する、休職・復職の判断基準が曖昧など、専門性や知識不足、傾聴姿勢の欠如が原因です。
  2. 信頼関係の欠如:会社に都合の良い意見しか言わない、企業の監視役のように感じられる、守秘義務への不安など、産業医の中立性の欠如や倫理観・配慮の不足に起因します。
  3. コミュニケーション能力:威圧的で話しにくい、質問の意図が伝わらない、レスポンスが遅いなど、コミュニケーション能力の不足が相談へのハードルを上げます。

 

企業(人事・衛生管理者など)が産業医と「合わない」と感じたら

産業医の交代理由は「ミスマッチ」が多くを占める

エムスリーキャリアが2025年に人事担当者を対象に行った調査によると、産業医を交代した企業のうち、3割以上が「産業医とのミスマッチ」を主な理由に挙げています。これは、転居などの医師側の都合に次いで多い割合です。

従業員からの信頼が得られない、または企業側の要望に応えてくれないといったミスマッチは、産業保健体制を機能不全に陥らせる深刻な問題です。

この調査結果は、産業医との関係改善が難しい場合、無理をせず「交代」を選択することが、企業と従業員双方にとって最も有効かつ具体的な解決策であることを示唆しています。ミスマッチを感じたら、次のパートナーを探すための準備を始めることが重要です。

産業医の役割は、従業員の健康管理だけでなく、企業のリスク管理にも直結します。従業員からの苦情が多い、法定業務を怠っているといった問題がある場合は、企業の責任として積極的な対処が必要です。

企業側が確認すべきミスマッチの類型

企業側が産業医とのミスマッチを判断する際、以下の観点から問題点を洗い出しましょう。

産業医とのミスマッチは主に3つの観点から判断できます。

まず、法定業務の履行状況として、職場巡視や衛生委員会への参加が形骸化していないか、また高ストレス者面談や結果分析に真摯に協力しているかを確認が必要です。

次に、従業員からの苦情の有無や、復職判断などの就業上の意見が現場の実態に合っているかを見極めます。さらに、企業側との連携では、連絡に対するレスポンスの遅延がないか、企業の課題に対する具体的な改善提案があるかをチェックすることが重要です。これらの点で問題がある場合、役割が適切に果たされていないと判断できます。

 

「合わない」産業医への対処法

【対処法1】産業医との「対話」による改善を試す

従業員からの苦情や企業側の要望を一方的に伝えるのではなく、産業医の状況や心境を尊重しながら改善を求めることで、改善してもらえることもあります。

例えば、以下のような方法で

  1. 具体的な要望を丁寧に伝える:従業員Aさんから『面談の際、先生が何度も時計を見る仕草が気になって、目を見て話す場面が少なく不安を感じた』という報告がありました。次回からはご配慮いただけますか」といった形で、具体的な事例に基づき改善点を伝えましょう。
  2. 期待役割のすり合わせを行う:契約当初の期待役割と現状がずれていないか、法令に対応した活動を行えているかなど、契約内容や業務指示書を基に再確認します。産業医の専門分野や得意分野を考慮し、出来ていない部分があれば改善に向けた話し合いをしましょう。

【対処法2】改善が見られない場合は「産業医の変更」

対話による改善努力を尽くしても状況が変わらない場合は、産業医の変更(解任・再選任)を検討する時といえます。従業員の安全・健康の保持が履行されない状況は、法に違反している恐れもあるからです。

以下の要点をおさえつつ進めていきましょう。

契約内容の確認

まずは、現在の契約書を確認し、解約に関する規定(予告期間、解約理由の要否など)を把握します。一般的に、予告期間を設けることで契約を解除できますが、円滑な交代のために書面で丁寧に通知することが重要です。

新しい産業医の選任準備

後任の産業医が不在とならないよう、並行して次の産業医を探し始めます。

なお、産業医が退任したあとは遅滞なく後任者を選任し、労基署への届け出を行うことを忘れないようにします。

従業員への周知

産業医が交代する際は、従業員に対してその経緯と新しい産業医の紹介を丁寧に行う必要があります。

単なる事務的な通知ではなく、「従業員の健康を守る体制をより強化するための変更である」というメッセージを伝えることで、新しい産業医への信頼を早期に築きやすくなります。

失敗しない産業医選びのポイント

新たな産業医を選任する際は、まず自社が抱える課題(メンタルヘルスや長時間労働といった具体的な課題)を解決できる専門性を持つか、求める産業医像を明確にしましょう。

次に、契約前の面談で、人柄やコミュニケーション能力、熱意を必ず確認します。過去に担当した企業の業務実績を確認することも重要です。

最後に、業務内容、訪問頻度、報酬、守秘義務の範囲を明確に書面化し、特に衛生委員会への参加姿勢や職場巡視の形式を詳細にすり合わせることで、ミスマッチを防げます。

産業医とのミスマッチは、単なる個人間の相性の問題でなく、従業員の健康保持の観点や、ひいては企業の生産性にも関わってくるものですので、看過できない課題といえます。

産業医と「合わない」と感じた時こそ、より良い産業保健体制を構築する機会ともいえます。当メディアを運営しているエムスリーキャリアでは、こうしたお悩みも解決に向けて対応いたしますので、ぜひご相談ください。

エムスリーキャリア健康経営コラム編集部

エムスリーキャリア健康経営コラム編集部

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