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ストレスチェックは57項目でOK?他の調査票との違いを解説

従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐためには、ストレスチェックの適切な活用が欠かせません。調査の際に多くの企業が採用しているのが、厚生労働省が推奨する「ストレスチェック 57項目」の調査票です。

本記事では、ストレスチェック57項目版がなぜ標準として選ばれるのか、またその他の項目版との違いやメリットについて紹介します。

 

ストレスチェックの調査票は4種類

ストレスチェックの調査票は、以下の4種類です。

  • 57項目版
  • 23項目版
  • 80項目版
  • 120項目版

それぞれの調査票の特徴を詳しく解説します。

厚労省が推奨するストレスチェック57項目版とは

57項目版の「職業性ストレス簡易調査票」は、労働安全衛生法に基づいて実施されるストレスチェック制度のために、厚生労働省が開発・推奨する標準的な調査票です。

この調査票の最大の強みは、個人のストレス状況を客観的に把握できるだけでなく、職場全体の課題を浮き彫りにする集団分析にも適している点にあります。

質問数が多すぎず少なすぎないため、回答時間は5~10分程度と従業員の負担が少なく、ストレスチェックの目的である「メンタルヘルス不調の予防」と「職場環境の改善」を両立できる構成となっています。

なお、57項目版の調査票は、厚生労働省のサイトからダウンロード可能です。

〈参考〉厚生労働省「ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等」
厚生労働省「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラムダウンロードサイト」

57項目版で測定できる3つのこと

ストレスチェック調査票の57項目版では、検査を通じて確認すべきと定められている以下3つの領域をバランス良く測定します。

 

  1. 仕事のストレス要因
  2. 心身のストレス反応
  3. 周囲のサポート

「仕事のストレス要因」は、業務量や時間に関する「量的負担」、仕事の難しさや集中度に関する「質的負担」、仕事の進め方や決定権に関する「仕事のコントロール」など、計17項目からストレスの元となる仕事の内容を調査します。

「心身のストレス反応」は、仕事に対する活気や不安といった心理的ストレス反応と、体の痛みや頭痛、胃腸の具合などといった身体的ストレス反応を計29項目から調査。これにより、従業員が実際にどのような心身の不調を感じているかを具体的に把握できます。

最後は「周囲のサポート」。上長や同僚、家族など周囲の人物からのサポートがどの程度得られているかを計11項目で調べます。この理由は、周囲からの支援はストレスを和らげる重要な要素であるからです。この項目を分析することで、職場の人間関係の健全性を測る手がかりとなります。

23項目・57項目・80項目・120項目との違い・選び方

ストレスチェックの調査票には、23項目・57項目・80項目・120項目の4種類が存在します。それぞれに特徴があり、メリットがありますので確認しておきましょう。

23項目版 57項目版 80項目版 120項目版
調査内容 法令対応、簡易的な実施 標準的なストレスチェック、集団分析 詳細な職場環境の分析、ハラスメントなど 職場環境改善への深い分析、エンゲージメントの把握
回答時間(目安) 5分程度 5~10分 10~15分  15~20分
特徴 従業員の負担が少ない 信頼性が高い情報を入手 潜在的課題の発見や詳細な分析が可能 従業員のエンゲージメントまで計測可能

23項目版|57項目版の省略版

23項目版の調査票は、厚生労働省が推奨している57項目版から一部の項目を省略した調査票です。

回答の所要時間は5分程度しかかかりません。しかし、従業員個人のストレスに関する項目が少ないため、ストレス状況を十分に把握できない点がデメリットとして挙げられます。

たとえば、57項目版の周囲のサポートの項目は「上司」「同僚」「配偶者、家族、友人等」の3つです。一方、23項目版は「上司」「同僚」の2項目に省略されています。

そのため、23項目版はストレスチェックが努力義務として課せられている従業員50人未満の事業所で、試験的に利用する場合に向いているといえるでしょう。

23項目版を入手したい場合は、以下のサイトからダウンロード可能です。

【参考】厚生労働省「実施者向けストレスチェック関連情報」

80項目版|57項目版に推奨尺度セット短縮版を追加

80項目版は、57項目版の内容に働きがい(ワークエンゲージメント)やハラスメント、上司のマネジメント、人事評価に関する23項目が追加されたものです(新版推奨尺度セット短縮版)。

職場環境に関する直接的な質問が充実しているため、より詳しく集団分析できます

ただし、80項目版は無償のWebシステムが提供されていません。そのため、集団分析を適切に行うためには、自社で分析できる環境を用意するか、外注で依頼する必要があります。

以上の特徴を踏まえると、80項目版の利用に向いている事業場は、以下のとおりです。

  • 80項目版の情報を集計・分析できる事業場
  • メンタルヘルス改善の予算に余力がある事業場

80項目版を使用する場合は、以下のサイトからダウンロードできます。

【参考】厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票(80 項目版)」

【関連記事】ストレスチェックの集団分析の方法とは?分析結果別の対処方法も解説

120項目版|57項目版に推奨尺度セット標準版を追加

120項目版は、57項目版に新版推奨尺度セット標準版の63項目を追加したものです。80項目版では一つの尺度に対して1〜2項目で構成されていますが、120項目版は2〜5項目で構成されています。

そのため、80項目より精度の高いストレスチェックが期待できます。しかし、法律の義務としてのストレスチェックで120項目版はあまり使われていません

【参考】厚生労働省「新職業性ストレス簡易調査票について」

まとめ

ストレスチェックの調査票について解説しました。

調査票を選ぶときは、自社で重点をおきたい内容を踏まえてどこまで対策ができるかを検討しましょう。

また、調査票の項目はカスタマイズが可能ですが、項目に含めてはいけない項目があるため追加する際は注意が必要です。

自社にとって適切な項目でストレスチェックを実施し、メンタルヘルス不調を患う従業員を早期に発見しましょう。

三橋 利晴 (みつはし としはる)

産業医・労働衛生コンサルタント

岡山大学にて産業衛生・疫学・予防医学の実務や研究を行う。 平行して2008年からは嘱託産業医として様々な業種の事業所を担当。 大学病院では疫学や研究倫理の観点から院内の臨床研究支援を行う。

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