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従業員の安全と健康を守るためには、労使が協力して労働災害の防止や職場環境の改善に務めなければなりません。それらの意思決定の組織として重要となるのが安全衛生委員会です。
本記事では、安全衛生委員会の設置に関する法的義務をはじめ、構成メンバーの役割、記録の保管といった基礎的知識についてまとめています。
目次
安全衛生委員会とは「衛生委員会」の機能に加え、労働者の危険を防止するための取り組みについて調査審議を行う「安全委員会」の機能を統合した委員会です。
従業員の労働災害や健康障害の防止を目的として設置され、労働災害を防ぐための方針や改善策について調査と審議を行い、従業員が健康的に働ける環境作りのために運営します。
衛生委員会の詳細についてはこちらの関連記事を参考にしてください。
【参考】厚生労働省「安全衛生委員会を設置しましょう」
労働安全衛生法第17条と第18条では、安全委員会および衛生委員会の設置を義務付けています。なお、特定の業種等でその双方を設置しなければならない場合は「安全衛生委員会」として設置がすることが可能です(労働安全衛生法第19条)。
次に労働安全衛生法の設置義務に違反した際の罰則についてです。
義務の対象となる事業場が安全衛生委員会を設置しなかった場合、事業主は50万円以下の罰金を支払わなければなりません。これは、労働安全衛生法第120条にて定められています。
設置後、適切な委員会の運営がなされていない状態では、労働基準監督署から是正勧告が行われる可能性があるため注意が必要です。
【出典】厚生労働省「安全委員会、衛生委員会について教えてください。」
【参考】厚生労働省「安全衛生管理の基本」
労働安全衛生法では、安全委員会および衛生委員会の構成メンバーの要件を定めています。
なお、安全管理者と衛生管理者以外の委員については事業者が指名することとされています。議長以外のメンバーの半数は、当該事業場の過半数の労働組合(労働組合が無い場合には労働者の過半数代表)の推薦に基づいて指名する必要があります。
安全衛生委員会の構成メンバーそれぞれの役割について詳しく確認しておきましょう。
統括安全管理者は事業場全体の安全衛生を統括する責任者です。
安全衛生委員会においては議長としての役割があり、円滑な委員会の運営をはじめ安全衛生計画の策定および実施を指揮することで職場の安全を守ります。
安全管理者は事業場における技術的事項を管理する役割があります。職場の作業環境において危険な点がないかといった安全性を評価し改善策を講じます。また、労働災害が発生した際にはその原因を究明し、再発防止に向けた取り組みを行うための中心的な人物となります。
衛生管理者の役割は事業場において主に健康管理に関する事項を管理する役割があります。健康診断の実施や結果の評価を行い、健康状態に応じた適切な措置を講じます。また、感染症対策やメンタルヘルス対策といった事項にも取り組むなど、幅広い対応を行う存在です。
産業医は医学的な知識に基づき労働者の健康管理を行う医師のことです。健康診断やストレスチェックの結果等に基づき、就業上の措置や保健指導を行います。産業医はその専門性をもって作業環境や作業内容が労働者の健康に与える影響を評価し、改善のためのアドバイスを行う役割があります。
事業場で働く者の代表として、安全に関して経験を持つ労働者も安全衛生委員会に参加します。日々の作業で感じている危険や問題点を委員会に伝え、委員会にて改善を提案します。また、安全衛生に関する情報や知識を他の労働者に共有し、安全意識の向上を図ります。
安全管理者の選任が必要な業者と、選任できる資格要件については以下を確認しておきましょう。
▼安全管理者の選任が必要な業種
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む) 、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業安全管理者に選任されるためには、労働安全コンサルタントの資格を取得する、もしくは下記の資格要件のいずれかを満たしたうえで「安全管理者選任時研修」を修了する必要があります。▼安全管理者として選任できる資格要件
(1)学校教育法による大学、高等専門学校における理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後2年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(2)学校教育法による高等学校、中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(3)学校教育法による大学、高等専門学校における理科系統の課程以外の正規の課程を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(4)学校教育法による高等学校、中等教育学校において理科系統の学科以外の正規の学科を修めて卒業した者で、その後6年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(5)7年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(6)その他(職業訓練課程修了者関係)出典:厚生労働省 「安全委員会、衛生委員会について教えてください。」
出典:厚生労働省「安全衛生委員会を設置しましょう」
安全衛生委員会で協議する内容は多岐にわたり、衛生委員会で取り上げる事項に加え、従業員の安全に関する対策や評価についても審議します。
安全衛生委員会の具体的な審議内容は以下のとおりです。
【出典】厚生労働省:「安全委員会、衛生委員会について教えてください。」より一部改変
衛生委員会と同様に、安全衛生委員会も月1回以上開催することが法律で定められています。なお、災害時や緊急時においては、委員会の臨時開催も必要です。
また、事業者は安全衛生委員会における議事の概要を従業員に周知しなければなりません。周知の方法としては書面の交付や掲示、社内メール・イントラネットでの通知など、従業員にとってわかりやすい方法を選択しましょう。
安全衛生委員会の会議の内容をまとめた議事録は、3年間の保管が義務づけられています。議事録は、労働基準監督署の立ち入り検査があった場合必ず確認されます。誤って破棄しないよう管理しましょう。
安全衛生委員会の設置から開催までの基本的な流れは以下のとおりです。
一つずつ要点を確認していきましょう。
委員会を立ち上げるにあたって、ルールや規定をあらかじめ決定しておきましょう。以下は委員会の規定の参考例です。
メンバーが安全衛生委員会を欠席する場合の規定や、専門委員の指定に関する取り決めも決定しておきましょう。
規定の作成例やテンプレートは、独立行政法人労働者健康安全機構の公式サイトからダウンロードできます。必要に応じて活用しましょう。
【参考】独立行政法人労働者健康安全機構「各種教材・マニュアル」
安全衛生委員会のルールを決めたら、次は年間のスケジュールを作成します。
スケジュールをあらかじめ決めておけば、委員の欠席防止につながり、スムーズな協議につながります。安全衛生委員会は基本的に毎月の開催が必要であるため、12回分のスケジュールを組み立てることが理想です。
また、安全衛生委員会は、参加メンバーの業務時間内に実施するようにしましょう。安全衛生委員会に参加するために従業員が現場から離れても問題がないよう、シフトなどの人数調整をすると親切です。
加えて、産業医の訪問日程に合わせると、産業医も参加しやすくなります。
年間スケジュールに沿って、安全衛生委員会を開催しましょう。安全衛生委員会は、新型コロナウイルスの影響もあり現在ではオンラインでの開催も認められています。
ただし、オンライン開催で使用するデバイスは、以下の3点の条件をすべて満たしている必要があります。
ア 安全委員会等を構成する委員(以下「委員」という。)が容易に利用で きること。
イ 映像、音声等の送受信が常時安定しており、委員相互の意見交換等を円 滑に実施することが可能なものであること。
ウ 取り扱う個人情報の外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセ スの防止の措置が講じられていること。
【出典】厚生労働省「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第7条、第18条及び第 19条の規定に基づく安全委員会等の開催について」
オンライン開催を検討する場合は、上記の条件に加えて快適な通信環境の確保も忘れずに行いましょう。
安全衛生委員会で決めた取り組みの実施状況を確認しましょう。計画の問題点や新たな課題が生まれたら、都度改善策を講じる必要があります。
安全衛生委員会は、PDCAサイクル(計画・実施・評価・改善)を繰り返しながら進めることが重要です。
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安全衛生委員会のテーマ資料サンプル集です。 「ハラスメント」「メンタルヘルス」「業務災害」の3つのテーマについて 委員会でご利用いただける資料のサンプルをダウンロードいただけます。 効果的な議論を行うためにも、ぼんやりとテーマを決めておくのではなく テーマについて下調べし、資料を作成しておくことが大切です。 参加者の論点を揃え、具体的な話や改善策の検討につながるように準備しておくとよいでしょう。
50人以上の事業場向け
1,000人以上の事業場向け
※有害業務従事の場合は500人以上
単発の面談が必要な事業場向け