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パルスサーベイとは?質問項目や実施するメリットを解説

パルスサーベイは企業が従業員の満足度を調査する方法の一つです。頻繁に実施する調査であるため、従業員の満足度をタイムリーに把握できます。

一方、業務や企業理念などに対する従業員の意識を確認するには、調査目的に応じた質問項目を盛り込むことが大切です。

本記事では、パルスサーベイの質問項目例や実施するメリット、やり方などを解説します。

パルスサーベイとは

パルスサーベイとは、企業が従業員の満足度を調査するために使用する調査方法です。「パルス(脈拍)」と「サーベイ(調査)」の2語からなる言葉で、「脈拍を測るように頻繁に実施する調査」を意味します。

基本的にパルスサーベイは、週1回や月1回の短いスパンで繰り返し実施します。従業員の満足度や心理状態をタイムリーに把握し、短期間でPDCAサイクルを回して従業員満足度を向上させることが目的です。

【参考】経済産業省「企業の戦略的人事機能の強化に関する調査」

パルスサーベイとセンサスサーベイの違い

センサスサーベイもパルスサーベイと同様、従業員の満足度を調査する方法です。しかし質問数と調査頻度が異なります

パルスサーベイの質問数は5〜10問なのに対し、センサスサーベイの質問数は50〜100問です。

また、パルスサーベイは週に1回〜月に1回の頻度で実施しますが、センサスサーベイは年に1〜2回実施します。

調査の種類 パルスサーベイ センサスサーベイ
調査頻度 週1回〜月1回 年1〜2回
質問数 5〜10問 50〜100問
メリット 従業員の状態をタイムリーに把握できる 質問数が多く詳細であり、かつ多面的な調整ができる
デメリット 簡易的な質問が多いため、従業員の心理状態を詳細には把握できない 質問数が多いため、調査実施者・回答者共に負担が大きい

パルスサーベイとモラールサーベイの違い

パルスサーベイとモラールサーベイの違いは、調査目的・質問数・調査頻度の3点です。

調査の種類 パルスサーベイ モラールサーベイ
調査目的 従業員の心理状態を可視化し職場環境改善につなげる 従業員の士気を確認し、組織の課題を特定して改善につなげる
質問数 5〜10問 50〜100問
実施頻度 週1回〜月1回 数ヶ月に1回〜年1回

モラールサーベイは、従業員の士気を測るための調査方法です。従業員の労働意欲がどのような要素によって影響されているのかを把握し、課題の改善を図るために実施します。

調査頻度は、数ヶ月に1回〜年1回とスパンが長めです。また、質問数が50〜100問と多いため、従業員の仕事に対する意欲を詳細に把握できます。

パルスサーベイとエンゲージメントサーベイの違い

エンゲージメントサーベイも従業員の満足度を測る調査方法の一つです。しかし、パルスサーベイとは調査目的や調査頻度、質問数が異なります

調査の種類 パルスサーベイ エンゲージメントサーベイ
調査の目的 従業員の心理状態を可視化し職場環境改善につなげる 従業員が組織に愛着をもって業務に取り組んでいるかを評価する
調査頻度 週1回〜月1回 半年に1回〜2年に1回
質問数 5〜10問 50〜100問

パルスサーベイの調査目的は、従業員の心理状態を可視化し、職場環境改善につなげることです。

一方、エンゲージメントサーベイの調査目的は、従業員が組織に愛着をもって業務に取り組んでいるかを評価することです。よって、内容は直属の上司や職場環境に関する質問に限定されています。

また、半年に1回〜2年に1回と長いスパンで実施する点も、パルスサーベイと異なります。エンゲージメントサーベイは質問数が50〜100問と多いため、より詳細な分析が可能です。

パルスサーベイのメリット

パルスサーベイを実施するメリットには、以下が挙げられます。

  • 従業員満足度をタイムリーに把握できる
  • エンゲージメントの向上につながる
  • 調査コストを抑えられる
  • 従業員に内省を促せる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

従業員満足度をタイムリーに把握できる

パルスサーベイは、週1回や月1回などの高頻度で実施するため、従業員満足度をタイムリーに把握できます。

従業員の満足度をこまめに把握できれば、従業員の意識が変化した要因を推測しやすくなり、効率的にPDCAサイクルを回すことが可能です。調査結果にもとづいて迅速に適切な改善策を講じれば、従業員満足度の向上を図れます。

エンゲージメントの向上につながる

パルスサーベイの実施は、従業員のエンゲージメント向上にもつながります。

調査結果を分析して適切に反映させれば、従業員は「会社はきちんと耳を傾けてくれてる」と感じられるでしょう。その結果、組織に対する信頼感が高まり、エンゲージメント向上が期待できます。

パルスサーベイのような従業員が職場での悩みや不安を発信できる機会がないと、社内で孤立感を抱える従業員が出てくる可能性があります。

実際、内閣府の調査によると、孤立感に影響を与えた出来事についての質問に対し、「仕事上(職場)の重大なトラブルにより孤立感を抱えている」と回答した人の割合は8.1%との結果です。

(出典​​:内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和4年)」

孤立感を抱えている従業員のエンゲージメントを向上させるためにも、従業員の声を反映できるパルスサーベイの実施は有効です。

【関連記事】人事として知っておきたい!生産性アップに繋がる従業員エンゲージメント

調査コストを抑えられる

パルスサーベイを実施することによって、従業員満足度を調査するコストが抑えられます。

パルスサーベイは質問数が5〜10問と少なく、調査結果の集計や分析にかかる人的コストを削減できるためです

50〜100問の質問で従業員満足度をより詳細に調査するセンサスサーベイでは、質問数が多く大がかりになりがちです。調査を外部委託すると、数十万〜数百万円のコストが発生する場合もあります。

パルスサーベイは外部に委託しなくても自社で実施できる場合が多いため、委託コストを節約できます。

従業員に内省を促せる

パルスサーベイの実施によって、従業員に内省を促せます。パルスサーベイには「業務」に関する質問が含まれることが多く、自身の仕事ぶりを振り返る機会になるためです。

さらに、短い期間で行う調査であるため、従業員の内省を習慣化させやすい点もメリットです。

パルスサーベイのデメリット

パルスサーベイを実施するデメリットは、主に以下の3点です。

  • 調査の運用側に負担がかかる
  • 従業員が負担に感じてしまう可能性がある
  • 従業員の心理状態を詳細に把握できない

それぞれのデメリットについて解説します。

調査の運用側に負担がかかる

パルスサーベイは実施する頻度が高いため、調査の運用側に負担がかかる点がデメリットです。

パルスサーベイの実施後、回答結果の収集や分析、課題に応じた施策の立案など多くの作業を行う必要があります。調査頻度が高いとこれらの作業を短期間で対応しなければならないため、運用側の負担が大きくなってしまいます

効率的にPDCAを回すには、負担にならない人的配置や実施頻度にするなどの配慮が必要です。

従業員が負担に感じてしまう可能性がある

パルスサーベイの実施は、従業員側に負担をかける可能性があります。

パルスサーベイの質問数は少ないものの、従業員は業務の合間や昼休みなどの時間を割いて回答しなければなりません。そのため、短いスパンで頻繁に行うと、煩わしく感じるかもしれません

また、やらされてる感を抱き、適当に回答してしまうことも考えられます。

従業員の心理状態を詳細に把握できない

パルスサーベイは簡易的な質問設計であるため、従業員の心理状態を詳細には把握できません。そのため、具体的な改善策を講じられない可能性があります

従業員の満足度や業務に対するモチベーションなどを詳しく把握したい場合は、個別面談を実施するとよいでしょう。また、センサスサーベイを実施するのも選択肢の一つです。

パルスサーベイは意味がないといわれる理由

「パルスサーベイは意味がない」と言われる理由には、調査が形骸化しやすい点が挙げられます。

調査結果の集計や分析に追われ適切な対策を講じられないと、運営側も従業員側もパルスサーベイを実施する意味が感じられず、形骸化しやすくなります

また、頻繁に実施することで従業員がパルスサーベイに慣れてしまい、調査の目的や重要性を理解しないまま回答しているだけになることもあるでしょう。

パルスサーベイを実施する際には従業員と調査結果を共有し、どのような取り組みを実施したのか従業員に報告することが大切です。

「調査結果が反映されてる」と従業員が理解できれば、パルスサーベイに誠実に取り組むようになることが期待できます。

パルスサーベイの活用シーン

パルスサーベイの活用シーンは、以下などが挙げられます。

  • 従業員のメンタルヘルスチェック
  • 新入社員のオンボーディング
  • 施策に対するフィードバック

それぞれの内容について詳しく解説します。

従業員のメンタルヘルスチェック

パルスサーベイは、従業員の簡易的なストレスチェックに活用できます。質問項目にメンタルに関する質問を入れることによって、ストレスの度合いを調査できるためです。

短い期間で繰り返すことによって、ストレスを抱えている従業員を早期に発見でき、対策を講じられます

新入社員のオンボーディング

パルスサーベイは、新入社員のオンボーディングでも活用可能です。

入社して間もない新入社員は、職場に慣れるまでに時間がかかることも多く、ストレスを抱えやすい傾向にあるためフォローアップが欠かせません。

パルスサーベイを実施すれば、配属部署で人間関係に悩んでいないか、業務は問題なく遂行できているかなどを確認できます

新入社員が職場環境に対して不安や悩みを抱えている場合、適切な施策を打つことで早期離職を防止できます。

【関連記事】新入社員が陥りやすいメンタル不調を回避するには?―産業医のメンタルヘルス事件簿vol.7

施策に対するフィードバック

パルスサーベイは、新たな施策に対するフィードバックにも有効活用できます。パルスサーベイは匿名で行うことも可能なので、匿名性を担保したうえで実施すれば、施策に対する生の反応が受け取れます

調査頻度が高いため、導入前後でどのような変化があったかを把握しやすいでしょう。

パルスサーベイのやり方

パルスサーベイは、以下の手順で行います。

  1. 調査の目的を明確にする
  2. 調査票を作成する
  3. 調査を実施する
  4. 調査結果を分析し課題の改善策を検討する

適切に実施するために、やり方を理解しておきましょう。

1.調査の目的を明確にする

パルスサーベイを実施する際は、まずは調査の目的を明確にしましょう。「人事異動のフィードバックを収集したい」など、目的を明確にすることで目的に合った質問事項を作成しやすくなります

また、従業員の回答率を高める観点からも、調査目的の明確化は重要です。調査目的が曖昧だと不信感を招き、正直な回答が得られにくくなります。

2.調査票を作成する

調査目的が明確になったら、調査票を作成します。イエス・ノーの選択方式や、1〜10の数値方式にすると従業員が回答しやすいでしょう。

パルスサーベイの主眼は簡易的な調査を頻繁に繰り返すことなので、なるべくシンプルな質問にすることが大切です。シンプルな質問にすると、作成時だけでなく集計時の手間も省けます。

3.調査を実施する

調査票が作成できたら調査を実施します。スムーズに回答してもらうために、事前に調査を実施する日時を従業員に伝えておきましょう。

調査は、メールや社内イントラなどを通じて実施します。朝のメールチェック時や昼休みなど、従業員が回答しやすい時間に送りましょう。

パルスサーベイを実施する際は、調査結果を閲覧できる人の範囲や、調査結果が人事評価に影響しない旨を伝えておく必要があります。「直属の上司に開示されたら評価が下がるのでは」などの不安から、従業員が正直に回答しない可能性があるためです。

従業員が安心して回答できるように配慮しましょう。

4.調査結果を分析し課題の改善策を検討する

調査結果を分析して課題を把握し、改善策を検討しましょう。

課題の把握から改善策の実施までは、迅速に行うことが重要です。迅速に行うことによって従業員に「会社はきちんと向き合ってくれてる」と感じてもらいやすくなり、信頼感を生み出せます。

信頼感が生まれれば、調査自体が従業員のモチベーションになる可能性があります。

パルスサーベイの質問項目例

パルスサーベイの質問項目例を、以下3つのテーマ別に紹介します。

  • 従業員満足度に関する質問例
  • 業務に関する質問例
  • 企業理念に関する質問例

従業員満足度に関する質問例

従業員満足度に関する質問では、仕事にやりがいを感じているか、意欲的に働けているかなどを確認します。質問例は、以下のとおりです。

  • 現在の仕事にやりがいを感じ満足しているか
  • 上司や同僚から適切なサポートを受けられているか
  • 会社に貢献できていると感じるか
  • 自分の能力を発揮できているか
  • 社内に信頼できる人がいるか

従業員が満足に感じていること・不満を抱いていることを把握できれば、モチベーションアップのための施策が講じられます

業務に関する質問例

業務に関する質問では、従業員の業務に対する満足度を確認します。質問例は、以下のとおりです。

  • ワークライフバランスを実現できる仕事量か
  • 業務遂行のために、適切な設備や資源が整っているか
  • 業務内容は自分の能力に合っているか
  • 担当業務の役割や責任は明確になっているか
  • キャリアアップにつながる業務を行えているか

業務に関して従業員の満足度が低い場合は、業務内容や業務量の適正化を図る必要があります。また、オフィスのレイアウトや設備なども見直しましょう。

企業理念に関する質問例

企業理念に関する質問では、企業理念の浸透度や共感度を確認します。質問例は、以下などが挙げられます。

  • 企業理念を理解しているか
  • 企業理念に共感しているか
  • 現在の仕事は企業理念と結び付いていると感じるか
  • 経営陣の方針は正しいと感じているか

企業理念の浸透度や共感度が高いと、各従業員が同じ目標や価値観にもとづいて働けるため、一体感が生まれやすくなります。そのため、チームワークの強化や生産性の向上などが期待できます。

従業員の企業理念に対する浸透度や共感度が低い場合は、企業理念が業務にどのように反映されているかを事例で説明し、理解を促すとよいでしょう。

パルスサーベイを実施している企業事例

パルスサーベイを実施している企業事例を紹介します。パルスサーベイの導入を検討している企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社は、2019年から自社開発したパルスサーベイを実施しています。導入した理由は、従業員一人ひとりの状態を可視化するためです。

ソフトバンクのパルスサーベイは、質問数を13問とし、7段階で回答する選択方式です。業務に関する質問だけでなく、生活や健康に関する質問も含まれており、業務上だけでなく包括的な従業員満足度の向上を図っています

【参考】ソフトバンク株式会社「​​なぜ、ソフトバンクの人事本部はゼロからパルスサーベイを開発したのか?」

株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントは、自社開発した「Geppo(ゲッポウ)」というパルスサーベイを実施してます。導入理由は、従業員の増加により適材適所の重要性が増したためです。

サイバーエージェントのパルスサーベイでは、従業員のコンディションやメンタルヘルス、趣味などを調査します。業務上のデータだけでなく、多角的なデータを収集しています。

また、「キャリアエージェント」という専門組織が設置されている点も特徴です。人事部内に専門の組織を設置したことで、より緻密なデータの収集に成功しています

【参考】株式会社サイバーエージェント「サイバーエージェント流「社員がイキイキ働ける会社」のつくりかた。」

パルスサーベイを実施して従業員満足度を向上させよう

パルスサーベイを週1回〜月1回の頻度で実施することで、業務などに対する従業員の満足度やメンタルヘルスについて把握できます。

パルスサーベイの調査結果を分析して適切な施策を講じれば、従業員のエンゲージメント向上が期待できます。

ただし、パルスサーベイは短期間でPDCAを回さなればならないため、運営側の負担にならないよう人的配置が必要です。

従業員への簡易的なストレスチェックや新入社員のオンボーディングなど、さまざまなシーンでパルスサーベイを活用し、従業員の満足度を向上させていきましょう。

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