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新しい働き方「ワーケーション」が注目を集めています。テレワークに似た働き方ですが、どう違うのでしょうか。
この記事では「ワーケーションとは何か?」「ワーケーションのメリット・デメリット」「ワーケーションの具体的事例」「導入時の検討事項」などをご紹介していきます。
ワーケーションとは、国内や海外のリゾート地などで、働きながら休暇も楽しむという新しい働き方です。
英語のwork(働く)とvacation(休暇)から作られた造語で、一般的にはworkationですが、日本ではWorcationと表記されることもあります。
ワーケーションという働き方はアメリカで生まれ、最近になってさらに注目が集まっており、世界中で広がっています。
新型コロナウイルスの影響により、3蜜を避ける目的でテレワークが急速に普及しました。
それに伴って、離れた地にいても問題なく働ける可能性があることが見い出され、同じような働き方であるワーケーションにも注目が集まったのです。
そして今、テレワークなどを経験した若い人たちを中心に、働く場所にこだわらなくてもいいという人が増えています。
旅行会社JTBの調査「新型コロナウイルス感染拡大による、暮らしや心の変化および旅行再開に向けての意識調査(2020)」によると、新型コロナウイルスの前後で変化した考えとして、「働く場所にはこだわらなくてよい」が全体で18%でした。
中でも40歳以下の男性、29歳以下の女性が多く、20〜40歳の男性で平均25%、29歳以下の女性で、20%程度でした。こういった背景から、ワーケーションという働き方を導入し始めている企業が増えているのです。
【出典】株式会社JTB総合研究所「新型コロナウイルス感染拡大による、暮らしや心の変化および旅行再開に向けての意識調査(2020)」
ワーケーションのメリットは、大きく分けて次の4つがあります。
順に詳しく見ていきましょう。
・従業員のエンゲージメント向上につながる
ワーケーションのメリットの1つとして、従業員のエンゲージメントの向上が期待できます。
なぜなら、ワーケーションは従業員のワークライフバランスをとる効果があるからです。
ワーケーションの特徴として、いつもの職場環境とは違うリゾート地などのリラックスできる場所で、開放的な気持ちで働けることが挙げられます。
これにより従業員のモチベーションが上がり、離職率の低下につながったり、会社の業績・サービスレベルをアップさせたりする効果が期待できます。
・有給の取得促進となる
ワーケーションはそもそも有給休暇の使用を促進する目的で生まれました。
日本でもワーケーションは有給を利用して行うことが多く、これにより従業員に有給を使う機会を提供できます。
2019年4月1日から労働者に対して有給休暇取得が義務付けられたので、その対策としても良い方法となります。
・従業員のリラックス・ストレス軽減効果
従業員がリラックスでき、ストレスを解消・軽減できるのもワーケーションの特徴です。滞在先は会社のオフィスとは異なり、自然豊かな環境で働けるため、リラックスやストレス軽減効果が見込めます。
・有給が気兼ねなく取得できる
日本人の有給休暇取得率は50%と世界的に見ても低く、19ヶ国中最下位というデータがあります。
その理由の1つとして「会社に申請しづらい」ということが挙げられます。
ワーケーションが導入されれば、会社や同僚に気を使うことなく有給を自由に取得できます。
【出典】有給休暇取得率3年連続最下位に!有給休暇国際比較調査2018(エクスペディア・ジャパン)
・家族と過ごす時間が増える
残業や休日出勤などで家族と過ごす時間が減ってくると、仕事の効率やモチベーションが大きく下がります。
ですが、家族旅行にワーケーションを組み込むことで、一緒に過ごせる時間を増やすことができます。
これにより、仕事を疎かにすることなく、家族との関係も良好に保つことができるメリットがあります。
ワーケーションのデメリットは大きく分けて次の5つがあり、主に企業側のデメリットが多くなっています。
・導入コストがかかる
新しい制度を導入するときにはコストがかかりますが、ワーケーションも例外ではありません。
具体的には、遠隔で仕事をするためのツールとして、チャットソフト、オンライン会議ソフト、勤怠管理システムなどの導入が必要になります。また、そのための専用パソコンや周辺機器、インターネット環境がない場合は、そのコストもかかります。
・セキュリティ対策が必要になる
ワーケーションは基本的に職場から離れた場所で作業をするため、会社のパソコンやデータなどを外部に持ち出すことになります。そのため、パソコンの盗難に遭うリスクが高くなります。
また、ネットワーク関連にも注意が必要です。
ウイルスの感染や不正アクセスにより、会社の重要な情報が漏洩しないようにセキュリティを強化する必要があります。
ワーケーションを導入する際は、従業員にパソコンやデータの取り扱いについて改めて周知を図ること、デバイスのセキュリティ管理を徹底的に行いましょう。
・就業時間の把握が難しい
ワーケーションの労働問題として、就業時間の把握が難しいことが挙げられます。
対策の1つとして、勤務中はチャットツールやオンライン会議ソフトなどを常にオンラインにしておく方法があります。しかしながら、休暇としてリゾート地に行っている従業員にとっては、監視されているように感じる場合もあることを忘れてはいけません。
コストがかかりますが、一番確実な方法は勤怠管理システムを使うことです。
このシステムは出勤管理、残業管理、進捗確認、人件費計算などが一括で管理できます。
これにより、従業員の勤務状態がリアルタイムでわかるため、就業時間の把握に関する問題は解決できます。
・導入できる業種が限られる
ワーケーションは、導入できる業種が限られます。
旅館やホテルなどのサービス業は、お客様のオーダーに柔軟に対応していくことが主要なサービスとなっているため、ワーケーションのような働き方では、実現が困難だといえます。
介護や医療関係の仕事も同様に、現場に人がいる必要があるため、導入は難しいでしょう。
・休暇と仕事の線引きが曖昧になる
従業員側のデメリットとしては、休暇と仕事の区別がつきにくくなることが挙げられます。
これについては、就業時間をはっきりと決め、残業も必要ない仕組みを構築しておく必要があります。
前述のような勤怠管理システムを使用する、明確な就業規則を作るなどしてはっきり区別することで、従業員も休暇を楽しんでいる実感が得られるでしょう。
2019年11月には「ワーケーション自治体協議会(WAJ)」という団体が設立されました。
これは、ワーケーションでの受け入れを希望している全国の自治体が集まり、結成されたものです。
設立当時の会員数は65の自治体(1道6県58市町村)だったのが、2020年8月現在、以下のように99(1道11県87市町村)までに増えています。
WAJの主な活動は以下の4つです。
ワーケーションの受け入れを促進している地方自治体は、その土地のメリットを生かし、誘致を行なっています。
具体的な例を見ていきましょう。
北海道はその雄大な土地と大自然を有効活用した、ホーストレッキングなどのアクティビティが利用できる「休暇・観光型」と、道内に配置された短期滞在可能なサテライトオフィスを利用できる「仕事・業務型」の2つのプランが用意されています。
これにより、企業側の方針に沿って、さらに柔軟なワーケーションプランの導入が可能になっています。
長野県はリゾート地として人気の高い軽井沢などを、ワーケーション誘致の場所としています。
これらの場所は自然が豊かで様々なアクティビティが楽しめ、温泉もあるワーケーションに最適な環境です。
また、首都圏からのアクセスもいいため、多くの企業がワーケーションのための場所として利用しています。
上記のWAJの参加自治体を見てもわかるように、多くの自治体がワーケーションの導入に対して積極的です。
特に和歌山県は比較的早い段階からWakayama Workation Project(ワカヤマ・ワーケーション・プロジェクト)を立ち上げ、ワーケーションを希望している企業の受け入れを行なっています。
このように自治体がワーケーションの考えを積極的に導入していることから、「休暇をとりながら労働をする」という従来では考えられなかった、働き方に対する考え方が変化してきていることがわかります。
次に、ワーケーションを実際に導入している企業が、過去どのようにワーケーションを実施してきたのか、具体的な導入事例を見ていきましょう。
航空会社であるJALは、2017年にいち早くワーケーションを取り入れた企業として話題になりました。
現在JALでは、現場で働く一部の従業員を除いてワーケーションが利用できます。
具体的には7〜8月の夏の間に、最大で5日間の利用が可能です。この制度は従業員に好評で、2019年度は176人の従業員がワーケーションを利用しています。
三菱UFJ銀行は、長野県軽井沢にワーケーション専用の施設を建設し、従業員が利用できるようにしました。
自然豊かな場所に位置しており、従業員がリフレッシュしながら利用できるスペースとなっています。
自社専用の施設ということでIT関係の設備も整っています。
ユニリーバは2019年7月に、独自の形のワーケーション「地域 de WAA」を導入しています。
従業員は、自治体との連携のもとで、その地域にあるコワーキングスペースを無料で利用できます。
また、仕事以外の時間には、アクティビティやイベントに参加することもできます。
2019年度には旅行会社のJTBでも「ワーケーション・ハワイ」と称したワーケーションが実施されました。
これは働き方改革の一環として導入されたもので、社長自らワーケーションを体験することで、従業員にも利用してもらいやすくする狙いもありました。
またJTBはコロナウイルスの影響を受け、働き方が変化していることから、自治体と連携してさらなるワーケーションのコンテンツ拡大に力を入れています。
ワーケーションを導入する場合、通常の業務のような形態で従業員を働かせるのは厳禁です。
例えば、通常の8:30〜17:30というような就業時間を、ワーケーションの場合にも適用してしまうと、就業前の朝早い時間や、終業後の遅い時間しか観光を楽しめなくなり、ワーケーションの意味がなくなってしまいます。
そうなると、有給を使ってワーケーションをしているのに、ほとんど仕事しかしていないという不満の声も出てしまうかもしれません。ですから、就業時間をしっかり規定することが重要です。
解決方法の1つとして、有給休暇として完全に休む日を決めるか、半日だけ働くというように仕事と休暇を完全に分けることが挙げられます。これにより「有給休暇取得の義務化」にも対応できます。
いずれにせよワーケーション導入のために、特別な就業規則や制度を整備することは必須となるでしょう。
従業員の労働時間の把握は企業の義務ですが、ワーケーションのデメリットの項目でも触れたように、遠隔での業務は勤怠管理が難しくなります。
従業員の自己申告でも可能ですが、怠慢や働きすぎを避けるためには、勤怠管理システムなどを利用してしっかりと管理していく方法がよいでしょう。
勤怠管理の方法をしっかり決めておくことで、企業側としても仕事効率や従業員への信頼度を損なうことはありませんし、従業員側としても気持ちよく休暇を楽しめることにつながります。
前述の仕事と休暇を完全に分けることは、旅先で起こる労災の問題を解決することにもなります。
仕事と休暇の境界が曖昧だと災害が起こった場合に、仕事中に起こったのか休暇中に起こったのかを判断することが難しくなります。
特にリゾート地では気が緩み、事故などが起きやすくなりますので、この点については慎重に検討することが重要です。
コロナウイルスの影響で、テレワークなどの働き方が急速に普及してきました。ワーケーションも同じように、世界中で注目が集まっています。
ワーケーションがテレワークなどと違う点は、導入すると企業側だけではなく従業員側にもメリットがあり、従業員エンゲージメントの向上に繋がることです。
デメリットもありますが、有給休暇取得の促進にもなることから、日本でも事例にあげたような大手企業が導入をしています。
これからもワーケーションがさらに普及・促進されていくと考えられます。働き方の選択肢の1つとして導入を検討してみてください。
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