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さまざまな働き方を取り入れるために、限定正社員制度を活用している企業があります。
本記事では、限定正社員の種類や正社員・契約社員との違い、採用するメリット・デメリットを解説します。
限定正社員とは、勤務する場所や勤務時間、仕事内容などの範囲が決まっている正社員のことです。限定正社員制度の導入により、企業の現状に応じてさまざまな雇用形態を生み出せます。
厚生労働省は、限定正社員を「多様な正社員」と表現しており、多様な正社員(限定正社員)の例として下記を紹介しています。
(出典:厚生労働省「勤務地などを限定した「多様な正社員」の円滑な導入・運用に向けて」)
企業側にとって限定正社員制度は、優秀な人材の確保・定着を図れるのがメリットです。従業員側は、限定正社員として働くことでワークライフバランスがとりやすくなり、両方の立場にとって望ましい柔軟な働き方を実現できます。
限定正社員は、以下の3種類に分けられます。
各内容について詳しく解説します。
【参考】厚生労働省「勤務地などを限定した「多様な正社員」の円滑な導入・運用に向けて」
勤務地限定正社員は、以下の正社員のことです。
勤務地が一つの事業所に決まっている場合もあれば、居住地から無理なく通勤できるエリア内に限定している場合もあり、企業によって異なります。
勤務地限定正社員は、転勤や長距離通勤に対応できない従業員を残したい場合や、地域に根ざした従業員を育成したい場合などに取り入れられます。
職務限定正社員は、仕事内容・範囲が限られている正社員のことです。生産性を上げたい場合や、専門性の高い従業員の雇用・育成をしたい場合などに採用されます。
勤務時間限定正社員は、規定労働時間が常勤ではない、あるいは残業が免除されている正社員のことです。
家庭や健康の都合上で長い時間働けない従業員がいる場合や、ボランティア活動などで仕事以外の時間を確保したい従業員がいる場合などに採用されます。
限定正社員と正社員、契約社員との違いを理解しておきましょう。違いを理解することで、限定正社員に対するイメージが膨らみやすくなります。
限定正社員と違い正社員は、勤務地や仕事内容、勤務時間が限定されていません。労働契約期間に縛りがない常勤の雇用形態です。
加えて、勤務地や職種変更など、事業者の要請を受け入れる義務がある点も限定正社員と異なります。
処遇面においては、給与やボーナス、退職金の有無、福利厚生などが正社員と異なる場合も少なくありません。限定正社員の給与額は、正社員の給与額の8〜9割程度に設定されていることが多いです。
また、正社員と基本給が同じ場合でも、ボーナスや手当による加算、係数による調整を行うこともあります。
【参考】厚生労働省「「多様な正社員」の処遇について」
契約社員と限定正社員の大きな違いは、労働契約期間に縛りがあるかどうかです。契約社員は契約期間が満了すると労働契約が終了しますが、限定正社員は契約期間の制限がありません。
また、勤務時間や仕事内容、勤務地、給与などの処遇が異なる場合もあります。
限定正社員制度を活用するメリットは、下記の4つがあります。
各内容について詳しく解説します。
【参考】厚生労働省「勤務地などを限定した「多様な正社員」の円滑な導入・運用に向けて」
限定正社員制度は、勤務時間や勤務場所、仕事内容を制限することで、多様な人材を採用しやすくなるのがメリットです。たとえば、転勤や常勤ができない人や、専門スキルを活かしたい人などを確保しやすくなります。
多様な働き方に対応していることは企業価値や魅力の向上、優秀な人材の安定的な獲得につながります。
限定正社員制度は、従業員が介護や育児、健康など各自の都合に合わせて働けるようにもなるのもメリットです。
従業員が各自に望むワークライフバランスを実現することで、仕事に対するモチベーションが向上し、離職しにくくなることが期待できます。
また、雇用条件が合わず仕事を辞める必要があった従業員でも、限定正社員制度を提案することで雇用の継続ができるかもしれません。
勤務地限定正社員を採用することで、従業員が同じ地域で長く勤めることになるため、地域理解が深まります。その結果、地域のニーズを理解した上で事業を展開したり、地域顧客からの信頼を得たりしやすくなります。
限定正社員制度は、無期転換ルールの受け皿になります。
無期転換ルールとは、有期労働契約が通算5年を超えて更新され、かつ従業員が申し出た際に、無期労働契約に転換しなければならないルールです。
有期契約社員を無期契約に転換する際、限定正社員を提案するという選択肢もあります。
非正規社員の中には、勤務場所や仕事内容を限定した働き方を望んでいる人もいるでしょう。そういった従業員に限定正社員としての選択肢を与えることで、キャリア形成をサポートできます。
また、正社員の採用が思うようにできないときに、契約社員などの有期契約社員を限定正社員にすることで、正社員の人材確保を図れます。
【参考】厚生労働省「無期転換ルールについて」
限定正社員制度を採用するデメリットは、以下の3つがあります。
それぞれの内容について詳しく解説します。
【参考】厚生労働省「勤務地などを限定した「多様な正社員」の円滑な導入・運用に向けて」
働きが異なる限定正社員と正社員とでは、給料・ボーナス・退職金のバランスをどのように取るのかが課題です。
たとえば、正社員に転居を伴う転勤があり、勤務地限定正社員より負担が大きい場合は、給料・ボーナス・退職金に差をつける必要があります。従業員が納得する給料・ボーナス・退職金を設定しないと、労働意欲をそぐ結果になりかねません。
限定正社員制度を導入すると雇用形態のバリエーションが増えるため、勤怠管理や人事評価、給料計算などの人事管理が複雑になります。
また、下記のようなさまざまな制度設計も求められます。
人事部門の負担への配慮や、人材管理を円滑にできるような制度設計が重要です。
事業内容変更や職務廃止などが生じた際に、スムーズに対応できない可能性がある点も限定正社員制度のデメリットです。
たとえば、社内都合である職務をなくしたい場合に、仕事内容が制限されている限定正社員の存在が足かせとなることが考えられます。
事業撤退をスムーズにできるかにも配慮して、制度設計を行いましょう。
限定正社員制度を採用する際の注意点は、以下の3つがあります。
それぞれの内容について詳しく解説します。
【参考】厚生労働省「勤務地などを限定した「多様な正社員」の円滑な導入・運用に向けて」
勤務場所や仕事内容、勤務時間などの限定範囲をはっきりさせておきましょう。限定正社員を採用した後のトラブルを防ぐためです。
たとえば、勤務地限定正社員の場合、採用時に決定したエリアのみでの勤務とする、都道府県をまたぐ異動をしないなどの決まりをはっきりさせます。
職務限定正社員の場合は、一定の主要業務のみ行う、商品販売業務のみ担当するなどと明示しておきましょう。
限定正社員制度をスムーズに導入するためには、従業員の理解が必要不可欠です。決定した内容を就業規則に記載した上で、従業員に周知しましょう。
制度の概要だけでなく、従業員のキャリア形成に限定正社員制度が有用なことについての説明も必要です。
不満や誤解が生まれないように、従業員の質問に回答する時間も確保するとよいでしょう。
将来的に限定正社員が働いていた事業所や、担当していた職務がなくなる可能性もあります。事業所や職務がなくなった際の対応策を決めておき、解雇を回避できるようにしておきましょう。
トラブルになるのを防ぐために、決めた対応策は就業規則に明記し従業員にも伝えましょう。
限定正社員制度の導入により、企業の現状に応じてさまざまな雇用形態を生み出せます。その結果、多様な人材の確保や、さまざまな働き方の促進により人材の定着が期待できます。
しかし、限定正社員制度を導入すると、人材管理が複雑になる点には注意が必要です。限定正社員のメリット・デメリットを理解し、自社にとって採用が適しているのか検討しましょう。
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