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従業員数が50名を超え、初めて産業医を選任する人事労務担当者様の中には、「そもそも産業医はどこで探せばいいのか」「費用はどれくらいかかるのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場では産業医の選任が義務付けられており、その責任は企業にとって重要な法的要件です。しかし、自社の課題解決に貢献してくれる最適な産業医を、数多くの医師の中から見つけ出すのは容易ではありません。
この記事では、産業医を探すための主要な4つの方法を、それぞれのメリット・デメリット、費用の観点から徹底的に比較・解説します。さらに、特に利用されることの多い「産業医紹介サービス」を失敗せずに選ぶための5つのポイントや、選任までの具体的な流れもご紹介します。
この記事を最後まで読めば、自社に最適な産業医探しの方法が明確になり、自信を持って選任プロセスを進めることができるようになります。
目次
産業医の探し方を検討する前に、まず産業医の基本的な役割と、なぜその選任が法的に義務付けられているのかを正確に理解しておくことが重要です。これは、単なる人材採用ではなく、企業の健康経営とリスク管理の根幹に関わる戦略的な判断だからです。
産業医とは、事業場において労働者の健康管理を行うために、専門的な立場から指導・助言を行う医師のことです。臨床医が患者個人の病気の治療を目的とするのに対し、産業医は企業に所属する従業員全体の健康を維持・増進し、安全で快適な職場環境を形成することを目的として活動します。
労働安全衛生法により、常時使用する労働者が50人以上の事業場では、産業医を選任することが義務付けられています。この義務が発生した日から14日以内に産業医を選任し、所轄の労働基準監督署に届け出なければなりません。この義務を怠った場合、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
産業医の職務は、労働安全衛生規則第14条第1項で9つに定められています。これらは企業の生産性向上と従業員の健康維持に直結する重要な業務です。
これらの職務に加え、原則月1回以上の職場巡視や衛生委員会への出席も産業医の重要な役割です。これらの活動は、メンタルヘルス不調による離職や過重労働といった、現代企業が抱える重大な経営リスクを予防・管理するために不可欠です。したがって、産業医の選任は、法規制への対応というだけでなく、企業の持続的な成長を支えるための投資と捉えるべきです。
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産業医を探す方法は、主に4つあります。それぞれに特徴があり、メリットとデメリットが異なります。自社の状況に合わせて最適な方法を選択することが重要です。
事業場所在地を管轄する都道府県や市区町村の医師会に問い合わせて、産業医を紹介してもらう方法です。
毎年依頼している健康診断の実施機関(病院や健診センター)に相談する方法です。これらの機関には産業医資格を持つ医師が在籍していることがあります。
産業医の紹介を専門に行う民間企業を利用する方法です。企業のニーズに合わせて、登録している多数の医師の中から最適な人材をマッチングしてくれます。
地域産業保健センターは、労働者数50人未満の小規模事業場を対象に、国が無料で産業保健サービスを提供する機関です。
各方法の特徴を一覧表にまとめました。一見して費用がかからない選択肢が魅力的に見えるかもしれませんが、人事担当者の時間や労力といった「見えないコスト」も考慮することが重要です。例えば、医師会を通じて産業医を探す場合、紹介料はかからなくても、契約交渉や条件調整に多くの時間を費やす可能性があります。一方で、紹介サービスは費用が発生しますが、その分、迅速かつ確実に自社に合った人材を見つけることができ、結果的に「トータルコスト」を抑えられる場合があります。
| 探し方 | 特徴 | 費用感 | メリット | デメリット | こんな企業におすすめ |
|---|---|---|---|---|---|
| 地域の医師会 | 地域の医師会に所属する医師を紹介してもらう | 無料または低額 | ・紹介手数料が安い ・地域の医療事情に詳しい |
・契約手続きは自社対応 ・医師の選択肢が限られる ・産業医経験が未知数 |
・コストを最優先したい ・契約実務に慣れている |
| 健診機関 | 健康診断を依頼している機関に紹介してもらう | ケースバイケース | ・健診データ連携がスムーズ ・セット契約で割安の可能性 |
・産業医が在籍していない場合がある ・臨床業務で多忙な可能性 |
・健診機関との関係が良好 ・健診後のフォローを重視 |
| 産業医紹介サービス | 専門のマッチングサービスを利用する | 紹介料または月額利用料 | ・ニーズに合う医師を探せる ・契約や調整を代行 ・選任後のサポートが充実 |
・費用がかかる | ・初めて産業医を選任する ・担当者の負担を減らしたい ・専門性(例:メンタル)を重視 |
| 地域産業保健センター | 国が運営する小規模事業場向けの支援機関 | 無料 | ・無料で健康相談などができる | ・主に50名未満の事業場が対象 ・直接的な紹介・あっせんではない |
・選任義務のない小規模事業場 |
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産業医の費用は、契約形態や依頼先によって大きく異なります。予算を検討する上で、これらの相場を把握しておくことが不可欠です。
産業医の勤務形態は、大きく「嘱託」と「専属」の2種類に分けられます。
本記事では、多くの企業が対象となる「嘱託産業医」の費用を中心に解説します。
嘱託産業医の月額報酬は、主に「医師会経由」か「紹介サービス経由」かで相場が異なります。
ここで興味深いのは、専門の仲介業者である紹介サービスを通した方が、直接的な窓口である医師会よりも月額費用が安くなるケースが多いという点です。これは、紹介サービスが全国規模の競争市場でサービスを提供しており、価格競争が働くこと、また多数の登録医師の中から企業の予算やニーズに合わせて柔軟な提案が可能であることなどが理由と考えられます。一方で、医師会は地域ごとの基準料金が定められている場合が多く、価格の柔軟性が低い可能性があります。「直接依頼する方が安い」という一般的な思い込みが、産業医探しの市場では必ずしも当てはまらないことは、知っておくべき重要なポイントです。
| 従業員数 | 医師会経由の月額目安 | 紹介サービス経由の月額目安 |
|---|---|---|
| 50〜199人 | 100,000円〜 | 30,000円〜50,000円 |
| 200〜399人 | 150,000円〜 | 50,000円〜80,000円 |
| 400〜599人 | 200,000円〜 | 70,000円〜100,000円 |
| 600〜999人 | 250,000円〜 | 90,000円〜150,000円 |
※上記はあくまで目安です。訪問回数や業務内容、産業医の経験によって変動します。
また、紹介サービスを利用する場合、契約形態によって費用体系が異なります。毎月の報酬とは別に、選任時に年俸の20%〜30%程度の紹介手数料が一度だけ発生する「人材紹介契約」と、初期費用は無料で月額のサービス利用料にすべて含まれる「業務委託契約」があります。予算計画を立てる際には、この違いも確認しましょう。
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多くの企業にとって、産業医紹介サービスは効率的で確実な選択肢となります。しかし、サービス会社によって質は様々です。ここでは、自社に最適なサービスを選ぶための5つのポイントを解説します。
優れた紹介サービスは、ただ医師を紹介するだけではありません。企業の業種、従業員構成、そして「メンタルヘルス不調者が多い」「長時間労働が常態化している」といった固有の課題をヒアリングし、その解決に最適な専門性を持つ産業医を提案してくれます。精神科を専門とする医師や、特定の業界に詳しい医師など、専門分野を指定して探せるかどうかも重要なポイントです。
これまでの取引実績や導入事例が豊富であることは、サービスの信頼性を測る重要な指標です。多くの企業に選ばれているサービスは、それだけ質の高いマッチングを提供してきた証拠と言えます。また、登録している医師のネットワークが広いほど、自社の細かい要望に応えられる可能性が高まります。
本社以外に支社や工場が全国に点在している場合、それぞれの事業場で産業医を選任する必要があります。複数の拠点の産業医選任をまとめて依頼でき、一元管理できる全国対応のサービスを選ぶと、人事担当者の負担を大幅に削減できます。
月額料金にどのようなサービスが含まれているのか、追加料金が発生するのはどのような場合かなど、料金体系が明確で分かりやすいことが重要です。見積もりを依頼した際に、内訳を丁寧に説明してくれるサービスを選びましょう。複数の会社から見積もりを取り、サービス内容と料金が見合っているかを比較検討することをお勧めします。
質の高い紹介サービスは、産業医を紹介して終わりではありません。選任後の産業医との定期的な連携サポート、訪問スケジュールの調整、衛生委員会の運営支援、さらには産業保健活動を管理するためのクラウドシステムの提供など、継続的なサポートを提供します。このようなサービスは、単なる人材紹介会社ではなく、企業の産業保健活動を共に推進する「戦略的パートナー」と言えます。万が一、産業医との相性が合わなかった場合に、無料で交代に応じてくれるかどうかも確認しておきましょう。
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最適な探し方と依頼先が決まったら、いよいよ選任の最終段階です。ここでは、具体的な3つのステップと法的な注意点を解説します。
契約前に、候補者となる医師と面談の機会を設けましょう。紹介サービスによっては、契約前に事前面談(顔合わせ)が可能です。面談では、産業医としての経験や資格を確認するだけでなく、コミュニケーションの取りやすさや人柄など、自社の社風に合うかどうかも見極めることが重要です。企業の課題を伝え、どのような協力が得られそうか具体的に質問してみましょう。
面談を経て双方が合意したら、契約を締結します。紹介サービスを介する場合は、企業と紹介会社が「業務委託契約」を結ぶのが一般的です。契約書では、報酬額、訪問頻度、業務の範囲、守秘義務など、細部までしっかり確認しましょう。
産業医を選任したら、事業場を管轄する労働基準監督署へ「産業医選任報告」を提出する必要があります。この届出は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に行わなければならない、という期限が定められているため、速やかに手続きを進めましょう。この届出を怠ると法律違反となるため、注意が必要です。
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本記事では、産業医の探し方について、4つの主要な方法を費用や特徴の面から比較し、自社に合った選び方のポイントを解説しました。
従業員が50名を超えた企業にとって、産業医の選任は避けて通れない法的義務です。その探し方には、地域の医師会や健診機関への相談といった選択肢もありますが、それぞれに手続きの手間や医師の選択肢の限界といった課題があります。
一方で、産業医紹介サービスは、費用はかかるものの、人事労務担当者の負担を大幅に軽減し、企業の多様なニーズに応える専門性の高い医師を迅速に見つけることができる、非常に効率的で信頼性の高い方法です。特に、初めて産業医を選任する企業や、メンタルヘルス対策など特定の課題を抱える企業にとっては、最適な選択肢と言えるでしょう。
産業医は、単に法的要件を満たすためだけでなく、従業員の健康を守り、企業の生産性を向上させるための重要なパートナーです。自社に最適な産業医をスムーズに選任するため、まずは専門の紹介サービスに相談してみることをお勧めします。
エムスリーキャリアが提供する専属・嘱託・スポット、すべての「産業医サービス」について分かりやすく1冊にまとめたサービス紹介パンフレットです。 お悩み別にオススメの産業医サービスがひと目でわかります。
産業医サービスの比較検討時にご活用いただける資料をセットにしました。 「導入後、コスト面や活用面について特に見直しできていない」 「契約更新前に他サービスとの比較ポイントについて見直したい」 「産業医を交代したいが、気をつけるべきポイントを知りたい」 上記のようにお考えでしたらぜひご活用ください。
50人以上の事業場向け
1,000人以上の事業場向け
※有害業務従事の場合は500人以上
単発の面談が必要な事業場向け